昨夜は友人と一緒に映画版『オペラ座の怪人』を観にゆきました。疲れた……。風邪気味だったこともあるのでしょうが、疲れが今もまだ残っています。
どういうわけか私は映画が苦手でして、映画館に足を運ぶのは数年ぶりです。以下、ちょっとネタばれです。

感想は……ひと言で申すと、「まあまあ良かった」です。
オリジナルのミュージカルの世界をさほど損なうことなく、ディティールにもきちんとこだわって(オペラ座のセットや歌手たちの衣裳、裏方の実態の描写なども)いるのには好感が持てましたし、内容に関しては切り貼りや付け足しは少なからずあったものの(映画と舞台では表現の仕方が全く異なってくるから当然か)まあ納得できる範囲でした(第二幕の混乱した六重唱がカットされたのは残念でしたが……)。キャストも、役者としても歌手としても実力者揃いで、タイトルロール以外はキャラズレがなかったのは良かったです。
パンフレットを読むと、監督のジョエル・シュマッカー氏は実際、映画化に際してミュージカルでは語られていない部分に至るまでかなり細かく考えたそうで(マダム・ジリーの半生など)、赤い薔薇の使い方や終盤ラウルがファントムの隠れ家に行き着くまでの冒険活劇(ファントムとラウルのフェンシングなど、アドベンチャー映画?と思ってしまった)、ラストにちらりと示されるクリスティーヌの後半生、そして何より、ファントムがオペラ座に住み着くようになったいきさつなど、まさに映画版ならではでしょう。
細かいところまで考えて書き込んでいるなあと感心しつつ、ふと、謎を多く隠していた舞台版が懐かしくなったことも事実です。

タイトルロールを演じたジェラルド・バトラーはハンサムな容貌に立派な体つき、まさに男盛りといった容姿で男の魅力を発散しており(やや若過ぎるかも、とも感じました。ファントムって中年じゃなかったっけ?)、マスクに隠されていた部分がそれほど崩れていなかったせいかもしれませんが、このファントムはそれほどまでにコンプレックスを感じる必要があるのかなあ、とついつい思ってしまいました。確かにファントムには性的な魅力が欠かせないと私も思いますが、それはむしろもっと隠避で暗い、屈折した魅力なのではないか、と感じるのは私の思い込みでしょうか。少なくとも、たくましい肉体から発散されるフェロモン、というのとは違うのではないか、と思うのです。何といいますか、あのファントムには“影”“闇”が足りない。

クリスティーヌ役のエミー・ロッサムは美しい容姿と声の持ち主でした。でもここだけの話、メグを演じたジェニファー・エリソンの澄み切った美声の方により惹かれました。ラウルを演じたパトリック・ウィルソンは歌も立派でしたが演技も的確、ただの世間知らずの二枚目坊ちゃんではない、あくまで誠実なラウルを描き出していて好感が持てました。