Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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サプライズがドラゲナイ?
今回は、忘年会も兼ねた飲み会にしましょうよ。
そのほうが効率的だと思いますよ。

恒例の同業者との飲み会で、先日そう提案したのだが、みんなから「忘年会には、まだ早い」と拒否された。
さらに、「忘年会と新年会は、きちんとやりましょう。行事って、そういうもんなんだから」と全員に合唱された。

堅苦しくて、肩が苦しくなったわ。
どれも同じ飲み会じゃないか。
形式ばる意味がわからない。

今年の忘年会と来年の新年会は、パスしますかね。

ひとり文句をたれながら、ハムカツを食い、中ジョッキを飲んだ。

中ジョッキを飲んだ?

「え? ビール飲んでもいいんですか!」と人類史上最も馬に激似の「お馬さん」にヒヒンと言われた。

そうです。
一ヶ月限定だが、ビールを1日1本飲んで(休肝日を2日とるから一週間に5本)、血液の数値がどう変わるか、「試してみる時期かもしれません」と、主治医であられる優香観音様から命令されたのだ。

私は美人の命令は素直に聞くタチなので、「ありがたや」と観音様に向かって手を合わせた。

ついでに、お馬さんにも手を合わせた。
(お馬さんが早く人間になれますように)

その私の拝みポーズを見て、同業者のバンドウさんが、「Mさん、違うでしょ。五郎丸のポーズはこうですよ」と意味不明のことを言った。
悪いが、無視した。

久しぶりに飲んだビールは、一番搾りの味がした。
その芸術的な味を一日たりとも私は忘れたことがなかった。
一口目を飲んだときの鼻に抜ける香りと喉を通る液体の上品なコクが、私の脳細胞全体に恍惚感を与えた。

食欲が進みますわー。

ハムカツの次は、串揚げ盛り合わせ。
次に、揚げ餃子。
そして、舞茸の天ぷら。

脂っこいものばかりだが、太宰治も「富嶽百景」に著していたように、「一番搾りには脂っこい食い物がよく似合う」(嘘です)。

アホな同業者どもは、ルールを知りもしないラグビーの話題から、次にはドラマ「下町ロケット」の話で盛り上がっていた。

「Mさんも、もちろん見てますよね。『下町ロケット』」と、同業者の中で最長老のオオサワさんに聞かれたので、安心してください。一話の途中まで見ましたよ、と答えた。

阿部寛さんは、相当にいい役者さんなので、期待を込めてレコーダーに予約し、後日大学2年の娘とともに観た。

しかし、一話の半分を超えたところで、二人揃ってリタイヤした。

かつての「半沢直樹」と同じで、出てくる男の俳優さんの誰もが、血管が切れそうなほど力んだ演技をしていて、馴染めなかったからだ。

私は、男だけが、「会社を救う」「家庭を守る」「日本を守る」と咆えるドラマや映画、小説が苦手である。
そんなに力まなくても、会社は救えるし、家庭は守れるし、日本は沈没する。

もちろん、ドラマだから、大げさにやらなければ万人好みの作品にならないというのは承知している。
だから、好きな人は観ればいいと思う。

しかし、私のように血の薄い人間には、熱血は無理だ。

ただ、この種のドラマが持つ意義に関して、私は否定しない。
世間で、熱血ドラマが好まれるのは、昔のマンガ「巨人の星」からすでに立証されている。

そういう人は、きっと血管が強いのだろう。
血圧あがりっぱなしが心地いいのだろうな、と羨ましく思うだけだ。

私は頑張っても血圧が上がらない体質なので、申し訳ありませんが、その話題はパスです。

さらに、「なんとかジャパン」という名の野球チームの話になったのだが、これもパスした。
野球シーズンをすでに過ぎているのに働かせるのは、私の感覚では「ブラック企業」だ。
このあたりの対応を見ると、さすがにメジャーリーグ機構は、選手の体のケアがよくできているな、と感心する。

大切な商品を価値のあるまま守るのが、有能なプロフェッショナル組織というものだ。
シーズン中、懸命に働いた人たちに休んでいただこうという発想がないことに、私はたいへん驚いている。

私は、アスリートの体は、「適度な鍛錬と完璧で効果的な休養」で作られると思っている。
アスリートの体を配慮するなら、鍛錬が万全なシーズン中にやる方が合理的だ。
体を休めるシーズンオフに、無理やり世界一を決める必要はない。

・・・・・といつもながらの文句をたれながら、オオサワさんに、さりげなく賄賂を渡した。

「え? 何ですか、これは?」と眉間に皺がよるオオサワさん。
人は、突然のプレゼントには、どう反応していいいかわからなくなるようだ。

仏頂面のまま、包装を解いた。
中には、プレゼントの引換券が入っている。

それを見たオオサワさんが、「な、な、なんですぅ〜」と語尾をフェイドアウトさせた。

「初孫、おめでとうございます!」

ささやかなサプライズ。

同業者全員でお金を出し合って、環境にやさしい木工の三輪車を注文したのだ。
出来上がるのは、2週間後だが、こういうものは初孫誕生の熱気があるうちに、渡しておいたほうがいい。

「オオサワさんは絶対に泣かないだろうね」という意見がほとんどだったが、私ひとりが泣くと予言した。
貧相な預言者が予言したとおり、オオサワさんは、鼻をピクピクさせたあとで、オイオイオイと泣いた。

そんな風に泣くカピバラ似のフレンチブルドッグの姿を見て、まわりのお客さんが驚き、ドン引きの空気が店内に蔓延した。
お騒がせして申し訳ありません。

そして、締めのプレゼントは、ちょっと高価なシャンパンだった。

吉祥寺の居酒屋、店長代理の片エクボさんが、「おめでとぅーござぁいまぁ〜す」と言って、シャンパンを開けてくれた。
このシャンパンはメニューにはないものだが、片エクボさんに無理を言って取り寄せてもらったのである。

しつこいとは思ったが、また「おめでとうございます」と乾杯をした。
オオサワさんの泣き笑いの顔が、とても良かった。

もちろん私はシャンパンは毒なのでパスです。


そんな喜びの空気に包まれた空間で、一人寂しくペリエを飲んでいた私の左肘が、異次元の強い力で引っ張られ、私は店の隅にある取り調べ用のテーブルまで連行された。

目の前には、片エクボ刑事が、目を釣り上げて私を凝視していた。

俺、なにか悪いことした?

小用のあと、手を洗わなかったことくらいしか、思い浮かばないが。
まさか、それを見られていたのか?

「別に、白髪の旦那に報告しなくてもいいと思ったんだけど、聞いてくれる?」

報告しなくてもいいことなら、聞かない。

「き・い・て!」

聞きましょう。

「聞いても、軽蔑しないでね」

する。

「し・な・い!」

何なんだ、このコントは。
いつまで続くんだ。

そう思っていたら、片エクボさんが、「ちょっと左の耳を貸してくれる?」と声を落として言った。

返してくれるのなら、貸す。
返してくれるというので、左耳を貸した。

片エクボさんは、思いやりのある人だ。
私の右耳が聞こえないことを覚えていて、左耳に囁いてくれたのである。

「あのね・・・・・妊娠した。入籍した。もう彼と一緒に住んでいるの。今年いっぱいで店やめるの」


(永遠の思考停止)


「どうしたの? 白髪の旦那、聞こえたの? 表情がないよ。生きてる〜?」
顔の2センチ前で両手を振られた。


人は、本当に驚くと、反応ができなくなる生き物のようだ。


まことにドラゲナイことで。
(意味も分からずに使ってみました。もう古いとか?)


2015/11/14 AM 06:33:01 | Comment(1) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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