Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ヘチマとガイコツとバッファロー
今年の春から、大学2年の娘が週3回、夜だけイトーヨーカ堂でアルバイトをしている。

だから、少しでも売り上げに貢献しようと思って、先週末イトーヨーカ堂に行ったら、「GO! GO! ジャイアンツセール」などというものをやっていた。
その文字を見たとき、猛烈に腹が立ったので、回れ右をして大股で店から逃走した。


善良な日本国民の誰もが、読売に洗脳されたジャイアンツ教の信者だとは思うなよ。


企業には、「提携」という大人の事情があるのはわかるが、今回のセールは純粋に欲しいものを買いたい客としては、こじつけの度が過ぎて興ざめした。

nanacoには9千円以上の残高があったが、13階段から飛び降りる覚悟でヨメにプレゼントした。
ヨメは「ヒーハー!」と、飛び上がって喜んでくれた。


そんな話を宮城県仙台から、呼びもしないのにやって来た友人にした。
場所は、東京駅八重洲地下街のオムライスの店だった。
ヘチマが、「東京のオムライスが食いてえ!」と言ったからだ。

ふわふわのオムレツ嫌いの私が、我慢してふわふわオムライスを食ったあとのコーヒータイムに、「おまえのジャイアンツ嫌いは病気だな」と、ヘチマ顔のノナカが褒めてくれた。
「俺は楽天が勝って、『優勝セール』をやってくれたら大喜びだけどな」

おまえは相変わらず馬鹿だな。
それは、お前がゴールデンイーグルスのファンだからだろ。

俺は、読売系列のものは、この世からすべて消え去って欲しいと思っているんだから、そもそもの前提が違う。
俺のほうが損得がない分だけ純粋だ。
ピュアだ。
天使だ。

そんな馬鹿馬鹿しい絡み方だったが、ノナカは、怒りもせず相手をしてくれた。
それはきっとノナカの奥さんが危機を脱したからだ。

8月8日のブログで、ノナカの奥さんが余命宣告を受けた、という友だち甲斐のない文章を載せた。
ノナカの奥さんは、3週間前に突然昏睡状態に陥ったが、奇跡的に回復し、先週は一日だけだが家に帰ることを許されたという。

そのことをノナカから電話で知らされたとき、私は、ノナカの奥さんの「生きたい」という思いの強さに心打たれ、感動し、メシだけしか喉を通らなかった。

その日、私はおんぼろアパートの風呂場でシャワーを浴びながら号泣した。
風呂から出たとき、大学2年の娘から、「おまえ、目が真っ赤じゃないか。とうとう念願のウサギに変身したのか」と言われた。

いや、湯上りに目薬を差そうと思ったら、間違って赤ワインを差してしまったんだ。

そう言ったら、娘が、右手の親指を突き出して「グッジョブ!」と褒めてくれた。

うちの娘は、すごい、と思う。


で・・・いいのか・・・奥さんをほったらかしにして。
おまえも心配だろうに。

「墨田区のミニパソコン塾の責任者が、突然辞めちまって」
ノナカは、仙台で塾を経営していたが、その他に東京墨田区と江東区にミニパソコン塾を持っていた。

二つのミニパソコン熟は、大学時代の友人で今は新宿でコンサルタント会社を経営しているオオクボに任せきりだったが、担当者の一人が突然失踪に近い辞め方をしたというのだ。

「まったく連絡がつかないんだよ」
ヘチマ顔が困った顔をすると、本当に困ったように見えるからわかりやすい。

私が困った顔をしても、貧相なおっさんが、1円玉を落としたのか、5円玉か、10円玉か、50円玉を落としたのか見分けがつかないから、誰からも心配されない。

しかし、そんなこと、オオクボに任せればいいだろうに。
そのために、あいつはいるんだから、何もおまえが東京に出てこなくても。

「いや、女房に行ってこいって言われたんだよ。そして、おまえに謝れって怒られたんだ」

なんだ? 俺に謝れって?
俺は、おまえの性格と顔と生まれが悪いことは、初めて会った日からわかっていたから、いまさら謝られても困るぞ。
それが、おまえの個性なんだから、俺はそんな小さなことは気にしない。
俺は、顔面が個性的なやつには優しいんだ。

そんな私の軽口を無視して、ノナカが渋柿を食ったような顔をして言った。
「女房がな・・・俺がおまえにミニパソコン塾の面倒を見て欲しいと頼んで、おまえに断られたと言ったら、怒ったんだよ。
Mさんは、今まで何があっても自分の体のことは言わなかったのに、今回だけは素直に病名を告げた。あなたには、その意味がわからないの? 何年付き合っているのよ! 馬鹿なの、あなたは? ってな」

まあ・・・おまえが馬鹿なのは、間違いないからなあ。
それは、奥さんが正しい。

私がそう言うと、「俺たちは、おまえのその軽口にいつも騙されるんだよな。というか、甘えてしまうんだよな」と、両手で薄くなった頭を掻きむしった。

おまえ・・・確実にあと2年でハゲる頭を粗末にするなよ。
明日にも頭皮完全脱毛してしまいそうだぞ。

「で・・・大丈夫なのか、本当におまえ? 女房が絶対に聞いてこいって言うんだ」
ハゲの部分は、聞こえないふりか。

まあ、今すぐ命を取られる病気じゃないからな。
俺は不整脈の持病があるから、それを併発して運が悪ければ、って話だよ。

「おまえ、運は良かったけ?」


安心してください。
すこぶる運の悪い男ですよ。



ただ・・・俺の病気は、5.7秒前まで元気だったのに、突然具合が悪くなって、立っていられなくなることがたまにあるんだ。
でも、道行く人がみな優しくて、こんな汚いガイコツのことを看病してくださるんだ。

その点では、俺は運がいいと言えるかもしれない。


だけど、俺はともかく、おまえだって運のいい男じゃないか。

「俺が? 運がいいのか。そんなこと、考えたこともないが」


奥さんと結婚できたこと。
そして、その奥さんが、おまえの子を産んでくれたこと。
それって、この地球上で最高の運だろうが。


ヘチマ顔の目に、水滴が盛り上がって、すぐに溢れた。
ヘチマの肩が大きく震えていた。

その両肩を掴んだとき、ヘチマの思いと私の思いが同期して、私の目にも水滴が溢れた。
大人ふたり、声を殺して泣いた。

そのとき、新宿でコンサルタント会社を経営するオオクボが、約束の時間を40分過ぎて店に入ってきた。

私たちの醜い姿を見て、オオクボはすべてを悟ったようだ。
呆れたことに、オオクボも泣いてしまったのだ。

ヘチマとガイコツと成功したバッファロー。

なかなか興味深いトリオ漫才ではないか。


ウェイターが注文を取りに来たが、私たちの異種格闘技的な泣き姿を見て、大きな鼻息を吐きながら後ずさりをして逃げていった。

申し訳ありません。
驚かすつもりは、なかったのですよ。


このトリオ漫才は、最近水の量が多くて困っているのです。


しかも、このバッファローは社長のくせにアホだった。

オムライスを食ったあとで、突然踊るように痒がりだし、全身を掻きむしり始めたのだ。
そして、叫んだのである。

「俺、卵アレルギーだったんだぁあ!」

すぐに、タクシーで病院に搬送しました。
そして、入院。



ホント、アホの相手は、疲れます。



2015/10/24 AM 06:22:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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