Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ミスター・スケルトン
かつて私は、金持ちの子どもに偏見を抱いていた。

君たちは絶対に勘違いしている!

自分が汗水流して得た金は尊いが、ただ親が金持ちだというだけで「自分は金持ちなんだよねえ」という、薄っぺらなガラスの階段に立って人を見下し「金持ち面」をする人種が、私は大嫌いだった。

だが、友人のテクニカルイラストの達人・アホのイナバの奥さんを見ていると、自分の偏見がとても醜いものだということに気づかされた。

アホのイナバの奥さんは、5年前、父親から気が遠くなるような額の遺産を相続して大金持ちになったが、今も昔と同じように自然体で、家庭菜園を趣味とする質素な生活を続けていた。

そして、近い将来、老人福祉施設を建てるために、いま福祉と介護の勉強をしているのだという。
お金の使い方をわかっている賢い人だ。

夫であるイナバも、アホはグレードアップしたが、生活は古いバージョンのままで、私に「アホ」を千回以上言われ続けても、「アハハハハ」と幸せそうに笑う極めつけのアホのままだった。

私が審査委員長だったら、11月22日「いい夫婦の日」に発表される「パートナー・オブ・ザ・イヤー」には、毎年イナバ夫婦を選ぶことだろう。

彼らは、おそらく三船ナントカさんと高橋ナントカさんのように、「いい夫婦」に選ばれながらも数年後に破綻して修羅場を演じることなど絶対ないと断言できる。

なぜなら「修羅場? それって、公園の砂場みたいなものですか?」という次元を超えたアホのレベルまで到達したイナバには、破局などありえないからだ。

「え? 破局? 薬局なら家の近くにありますけど」
こんなことを真顔で言えるアラフォーも珍しい。

そんなアホのイナバから、意外な仕事の依頼があった。
カメラマンの仕事だ。

イナバの奥さんの友人が河口湖に住んでいるという。
「そこそこ広い家なんですよね」

敷地面積を聞いたら、確かに広かった。
大型のバスタオル1111枚分くらいの広さだ(わかりづらい?)。

その広さの中に欧風庭園を造っている最中なのだが、造園中の模様を毎月定期的に写真に収めて欲しいというのだ。

そんなものは、ご自分でデジカメで記録するか、造園業者に頼んだほうが簡単でしょうよ、と言ったのだが、アホのイナバの奥さんが、「どうしても賢いMさんにお願いして」と、お友だちに強引に推薦したのだと言う。

では、現地にお伺いして、現場を見てからの判断でよろしいでしょうか。

「もちろんでございます」(アホのイナバの奥さん)
「モチです」(アホのイナバ)

モチはいま食いたくないかな。


という展開があったのち、河口湖に行ってきた。
ベンツの運転者はアホのイナバ。
助手席には奥さん。
後部座席には、自称「武蔵野のガイコツ」。

武蔵野から2時間弱車を走らせて、富士山が遠景として「世界遺産」を主張する風光明媚な家にベンツが侵入した。
依頼者のキヨミさんは、旦那様との二人暮らし。
歳は、おそらく42から47歳の間と推測した。

お子様二人は、イギリスに留学中だという。
それを聞いて、「典型的な金持ち一家やんか」と思ったが、テラスで出された飲み物が「いろはす」だったので、なぜか力が抜けたす。
しかもコップがガラスではなく紙だったす。

労働者階級の私に、グレードを合わせてくれたのかもしれない。
お気遣い、ありがとうございます。

「いろはす」を飲んだあとで、造園中の庭園に案内してもらった。
庭園は3分の1もできていないと言われたが、どの程度の広さの庭園を作るつもりなのかわからないので、「今のままでも花がようけあって十分立派やんか。大型のバスタオル333枚分はあるでえ」と思った。

「これから池を作って、小さな滝も配置して、噴水なんかも付け加えようかと思ってますし、バーベキューのできるスペースや風車、円形舞台なんかも作る予定なんですよ」

言っていることが別次元過ぎて、吐きそうになった。

ただ、ここで吐いてしまったら、世界遺産である富士山に失礼になると思ったので、懸命にこらえた。

そのあとも「ああだこうだ」と説明を受けたが、「どうやって断ろうか」と考えていたので、ほとんど脳細胞に浸透しなかった。

頭が空っぽのまま、家の中に拉致された。
大型のバスタオル222枚分くらいの広さの平屋建ての欧風建築だった。

リビングに暖炉があったが、その程度では驚かなかった。
100インチの液晶テレビにも驚かなかった。
高級そうな大理石のテーブルにも驚かなかった。

驚いたのは、若い白人のメイドさんがコーヒーを持ってきてくれたことだ。
秋葉原のメイド喫茶よりはるかにクォリティの高いメイドさんだった(メイド喫茶には行ったことがないが)。

ただ、もちろん日本の営業用メイド服とは違って、彼女が着ていたのは質素なヴィクトリア朝のものだ。
質素だが、品がよくて、腰が高い位置にあるので長い丈のスカートがよく似合っていた。
フリルのついたカチューシャも品よく見えた。

身長は170センチを超えていただろう。
手足が長い金髪、美形。
体全体からいい匂いが漂っていた。

大変恥ずかしいことを白状するが、このメイドさんと毎月会えるのなら、この仕事を請けてもいいかな、とスケベ親父は思ってしまったのだ。


やってみましょう。


「では、報酬はこれくらいでいかがでしょうか」と、キヨミさんが、いきなり提示した。

私の想定していた額の2倍以上のギャラだった。

いや、そんなにいただくのは………。

「でも、交通費を含めると『こんなもの』ではないでしょうか」

それを聞いたアホのイナバが「こんなものでしょう」と、真剣な顔で何度もうなずいた。
「Mさん、『こんなもの』ですよ、普通」とアホのイナバの奥さん。

いや、でも、ですよ……写真を撮るだけですからねえ。
俺、プロのカメラマンじゃないし。

「何を言っているんですか、Mさん。Mさんは、プロですよ。これくらいは当然です。ご自分を安売りしないでください」(アホのイナバの奥さん)
「そうそう、大安売りは夕方のスーパーだけ」(アホのイナバ)

腑に落ちないまま、コーヒーを飲み干した。

すぐに白人のメイドさんがカップに新しいコーヒーを注いでくれた。

そして、私の目を見ながら、こう言った。
「イクス・キューズ・ミー。ユア・ネイム・イズ・コンナモノ?」
あとでキヨミさんに聞いたら、日本語はほとんど話せないという。

イエース! ファーストネーム・イズ・コンナモノ。ラストネーム・イズ・ガイコツ

「ガイコツ? ホワット?」

スケルトン。

「アイ・シー、サンキュー」

白人のメイドさんは、私の説明に納得して自分の持ち場に戻った。
立ち姿が、すこぶる美しかった。
アンジェリーナ・ジョリーほどの色気はないが、エイミー・アダムスの若い頃の気品ある佇まいを思い起こさせた。

窓の向こうに富士山が見えたが、私がユネスコの関係者なら、富士山より、このメイド姿を世界遺産にするかもしれない。


次にこの屋敷に来たときは、彼女は私のことを「ミスター・スケルトン」と呼ぶに違いない。


いや、ぜひ、そう呼んでいただきたいと思う。



これで私の楽しみが、またひとつ増えた。




2015/08/29 AM 06:30:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

スイーツは別腹? フルーツは?
高校、大学の7年間をラグビー部で男臭い汗を撒き散らした29歳のユカワさん。
いい加減、人に迷惑をかけるのはやめて、大人になりましょう。

お節介とは思いましたが、神田のイベント会社の中村獅童氏似担当者に成り代わって私がお叱りの言葉を申しました。


一昨日の打ち合わせで、獅童氏が、「俺、急性アルコール中毒で、2日間入院したんですよ」と言ったのである。

お盆休み前に、新入社員歓迎会を仕事終わりに社内でやったという。
普段は居酒屋でやるそうだが、予約を取り忘れるという単純ミスがあって、社内での飲み会になった。

獅童氏は、怖い顔をしているが、酒は弱い。
全く飲めないというわけではないが、ビールなら中ジョッキ1杯、酎ハイなら1杯、ウイスキーの水割りも1杯、日本酒とワインは体がほとんど受け付けないという。

そんな獅童氏がなぜ急性アルコール中毒になったか。
それは、私が冒頭で叱ったユカワさんのせいだった。

新入社員とは、ユカワさんのことだ。
新入社員といっても、新卒ではなく、遠回りしての「新入」だった。

試用期間の3ヶ月満了が近づいて、まもなく本社員になるのが決定的だった日の歓迎会。
ユカワさんが、ターゲットにしたのは、獅童氏であった。

獅童氏が何歳なのか私は知らないのだが、ユカワさんよりは年上らしい。
そして、ユカワさんが高校、大学時代をラグビー部で練習に明け暮れたのと同じく、獅童氏も高校3年間をラグビーに打ち込んだと言う。

ユカワさんは、獅童氏より一回り体がでかかった。
おそらく、フォワードとバックスの違いだろう。

ユカワさんは、獅童氏のことを「先輩」と呼んだ。

そして、「先輩、もっと飲みましょうよ」と、しつこくビールを勧めた。
まわりの人が、「こいつは、酒が弱いから、あまり飲ませるなよ」と忠告しても、「ラグビー部のしきたりですから」と勘違いのルールを持ち出して、挙げ句の果ては、「先輩! 後輩の俺が勧める酒が飲めないんですか」と、からんだ。
(俺の酒が飲めない教は、とっくに死に絶えたと思ったが、脳みそ筋肉属の中に生息していたのか)

獅童氏は怖い顔に似合わず、根が優しいから、後輩の勧める酒を何杯か重ねた。

「コップ4杯までは覚えていたんですよね」
「でも、心臓が破裂しそうになって、ぶっ倒れました」
「気がついたら、病院のベッドですよ」
「幸い症状は軽かったんですけど、大事をとって2日間入院させられました」

災難でしたねえ。
で、ユカワさんは、お見舞いに来ましたか。

獅童氏は、歌舞伎役者が見栄を切るような芝居がかった顔を作って、「来ませんよ。会社辞めちゃったんですから」と肩をすくめた。
獅童氏に申し訳なくなって辞めたわけではないようだ。

獅童氏がぶっ倒れた次の日、ユカワさんは部長に呼ばれた。
そして、社内規則に従って、3ヶ月の試用期間をさらに3ヶ月延長すると言い渡された。

社内規則には、試用期間中に会社に迷惑をかけたときは、解雇か試用期間の延長があると書かれていた。
しかし、解雇では重すぎると配慮して3ヶ月延長にするという、それは会社側の親心だった。

だが、その親心はユカワさんには通じなかったようだ。
翌日から、会社に来なくなったというのである。

自己中心的な、なかなか楽しい性格の人だったようだ。
安保反対の若者に喧嘩を売って、挙げ句の果ては金銭トラブルで自民党を離党した楽しい議員と同類なのかもしれない。

「俺がぶっ倒れなければよかったんでしょうけどね」と、どこまでも人のいい獅童氏だった。

そして、獅童氏が言った。
「Mさんは、さぞかし酒の武勇伝があるんでしょうね」

ありませんよ、そんなもの。
俺、酒飲んで酔っ払ったことないですから。
酔ったふりをしたことはありますけど、演技が下手っていつも笑われてましたよ。

私は他の奴らより多くの酒を飲みながら、他の奴らが限界を超えないように監視するのが役目だった。
(私は人に弱みを見せるのを極端に嫌う人格破壊者だったから、意地でも酔わなかった)

「おい、ハゲ! もうやめろ、あとはタンパク質を摂ることに専念しろ」
「カツラ! そこでおしまいだ。それ以上飲むとカツラを剥きとるぞ」
「デッパ! 目が座ってきたぞ。水をたくさん飲め。浴びるほど水を飲め」

とは言いつつも、結局酔いつぶれるのが自分の仕事だと思っている奴が多くて、介抱が仕事の私は、飲み会ごとに忙しい時間を過ごしたものだ。

「それは………俺みたいに酒の弱い人には、想像できないことですよね」
獅童氏から尊敬の眼差しで見つめられた。

(俺に惚れるんじゃねえぜ)


「でも、あれから俺、食欲がまったくないんですよねえ〜、それが心配でっ!」と獅童氏の顔が、梅干を12個食ったような酸っぱい顔になった。

聞いてみると、「牛丼は一杯食べるのがやっとですよ」「定食は、ご飯のおかわりなんて無理です」「ラーメンは、サービスのライス抜きです」「弁当は、ライスの大盛りは無理で普通盛りです」と嘆くのだ。

でも、普通に食っているんですよね。

「いや、普通じゃないですよ。ライスをお代わりしない定食や無料のライスを食べないラーメンなんて、俺、人生で初めてですから」

それで、ちなみに、昨日は何を食いましたか。

「朝は目玉焼きとトースト。昼はカレー。夜は近所の定食屋で焼肉定食でした。その他、合間にバナナ」

完食しましたか。

「一応全部食べましたよ。もったいないですからね。ただ、晩ご飯の定食はご飯のお代わりはしてませんよ」
「食欲が全然ないんでっ!!」

あのー……このテーブルのカゴに盛られた「三角どらやき」は、おそらくどなたかが富山県に帰省したときのお土産だと思うのですが、さきほどから見ておりますと立て続けに4個ほど口にされていますが……。

それって、結構ヘビーだと思うのですが、それでも食欲がないと……?


「ああ、スイーツは別腹って言うじゃないですか。これはカウントしないでください」


ああ、別腹?

どらやき1個150キロカロリーとして、4個で600キロカロリー。
それを別腹だと?

ちなみに今日のお昼は何を?

「とんこつラーメン、ライス抜きでっす!」
得意げに胸を張られた。

とんこつラーメンのカロリーが600キロカロリーとして、どらやきと合わせると1200キロカロリー。
カロリー過多ではないかい?

しかし、別腹?

「そうですよ。別腹。
スイーツが別腹なのは常識です。だって、俺、ぜ〜んぜん食欲ないんですからねっ!」

しかし、合間にバナナも食っているんですよね。

「知らないんですか? フルーツも別腹だって!」

初耳だわ。


そうですか。
平成も27年を過ぎると、知らないことがたくさん出てきますね。

今に、200グラムのハンバーグステーキも別腹、なんて時代が来るかもしれませんね。


私がそう言うと、「そんなことあるわけないでしょ! 肉が別腹なんて、どうしたらそんな発想になるんですか!」と、真顔で完全否定された。


ジョ……ジョジョ立ち…いや、じょ、冗談ですのに。



チッキショー!

(尊敬する小梅太夫先生の顔真似をしてみました)


腹を抱え、涙を流しながら悶絶する獅童氏。


これで、獅童氏の食欲も(おそらく)復活することでしょう。



2015/08/22 AM 06:38:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

お尻の下の違和感
はっきり言うが、杉並区だけが暑いわけではない。

しかし、東京杉並の建設会社社長は言うのだ。
「今年の杉並はバカ暑くて、俺は杉並を逃げ出したくなったぜ」

確かに連日伝えられるお天気ニュースの見出しを見ると、今年が暑かったのは間違いないようだ。

でも、暑いのは日本全国も同様で、地球規模で言えば、北半球の多くは記録的な暑さですから、東京目線だけで「暑い暑い」と騒ぐのは、なんだかな〜。

そう言ったら、「あんた、本当に可愛くねえよな」と顔デカ社長に笑われた。
そして、「あんたみたいな憎たらしい人は、絶対に熱中症にならないんだよな」と褒められた(?)。

顔デカ社長は、3年前と2年前に熱中症になってから、己の体力に自信が持てなくなったという。
「それまでは、夏は大好きでよお。暑くなるとメシもうまいし、酒もうまいし、毎日キャバクラ通いしても全然大丈夫だったんだがな」

どんなに暑くてもほぼ毎日現場に大きな顔を出していた顔デカ社長は、昨年からは現場視察を週に1回朝の涼しいときだけにしたらしい。

そして、現場で作業員たちが快適に働けるよう、体温チェックや水分補給などをマニュアル化して徹底させ、現場に氷柱などを置いて涼を取らせ、昨年は「現場熱中症ゼロ」を実現したのだという。

「今年は猛暑だが、今年もゼロだぜ」と胸を張る顔デカ社長。
「しかし、あんた、俺より10歳上なのに、いつも涼しい顔してるよな。俺なんか45で熱中症になったときは、もう俺も終わりかと思ったぜ」

それは、私の場合、生まれたときから終わっている人間なので、暑さに強いんじゃないですかね。

お盆休みで誰もいない会社に、顔デカ社長の笑い声が反響した。
今日は、機嫌がいいようだ。

そして、話題が変わった。
「あんた、まだ酒やめてんのか」

いいえ、一日一杯のグラスアイーンだけは認められています。
幸せでございます。

「そうか、俺はワインなんて気取ったものは嫌いでな。もっぱら焼酎なんだが、不思議なことに熱中症になってから酒も弱くなっちまってよお。もう人生に楽しみなんか、ねえよ」

顔デカ社長は、1本3万円以上するという「森伊蔵」しか飲まないバチあたりな人だ。
4年前までは、その森伊蔵の一升瓶をほぼ五日で1本消費していたという。
しかし、今では、1本空けるのに二週間以上かかるというのだ。

「悲しいことに、体が受け付けねえんだよな」

それは、受付に美人を置かないからじゃないですかね。
美人の受付がいれば、酒は進むと思いますよ。体は正直ですから。

「それ、気の利いたことを言ったつもりか。ぜ〜んぜん面白くねえわな」
笑顔で睨まれた。
迫力のある笑顔だった。

はい、おっしゃるとおりでございます。
申し訳ございません。


さて、仕事の打ち合わせも無事終わって、ケツが「帰りたい帰りたい」と自己主張をし始めたので、ケツをあげようとしたら、ケツの下の違和感に気づいた。

それほど大きな違和感ではない。
美人だと思っていた女性が、実は男性だったという程度の違和感だ。

世の中には、美女に見える男性や美男に見える女性は溢れるほどいる。
ただ、安全保障関連法案が憲法違反ではない、と非愛国的に強弁する自民党議員、公明党議員の数ほど多くはないと思うが。


話を戻して、違和感の正体は……。

差し歯2本だった。

社長のですか、と違和感を手のひらで転がしながら、顔でか社長に見せた。

「あん? 差し歯かい? 俺の歯は全部自前だ!」と、厚い胸を張られた。
48歳の男の胸のふくらみなんて見たくありませんよ。

「当然、俺んところの社員のだろうな。だが、誰が差し歯してるかなんて、わかるわけねえよな。でも、社員のだったら、俺が預かる義務はあるわな。もらっとくぜ」

しかし、差し歯を落とした社員さんは、今頃あわてているんじゃないですか。
会社で落としたとは思っていないかもしれませんね。

お盆休みを歯抜けの状態で過ごす気分とは、どんなものなんでしょうか。


「ハハハハハって笑ったら間抜けだろうな。歯抜けの間抜け、面白くねえかぁ。ハハッ」




ぜ〜んぜん、おもしろくねえわな(心のつぶやき)。



2015/08/15 AM 06:33:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

社会不適格者ふたり
社会不適格者が、二人いる。

一人は、このブログを読んでいる方はご存知だと思うが、私である。

もう一人は、大学時代の同級生、ヘチマ顔・ノナカだ。
ノナカは、変人とか偏屈とかいう、わかりやすい性格ではない。
大学時代のノナカは、彼自身は何の悪意もないのに、口から言葉の毒を吐いて人を嫌な気持ちにさせる天才だった。

おそらく本人が自覚してなかったからだろうが、まわりを不愉快にさせても平気でいられる神経は、絶えず導火線を踏んでいるような危うさがあって、そばで見ていた私はハラハラの連続だった。

だから、同級生たちは、2ヶ月もしないうちにノナカから離れていった。
私は、ノナカに自分と同じ匂いを感じていたので、毒を吐かれても同じ毒を吐き返せばいいと単純に受け止めて、むしろ自分に向けられる毒を楽しんでいた。

そんなこともあって、ノナカは学食では、いつも一人でメシを食っていたが、少数派が好きな私は、ときどき彼の隣に席を取って黙ってビーフカレーを食ったものだ。

社会不適格者だった私には、幸運にも陸上部というコミュニティがあったから、孤独を骨の髄まで味わうことがなかった。
しかし、クラブや同好会に入らなかったノナカは、傍からは孤独に見えた。

ただ、本人がそれをまったく意に介していなかったのは、驚嘆すべきことだった。
「鈍感」は、ひとつの才能だ、と思った。
そのあたりも私がノナカを気に入った理由の一つだった。

卒業年に、ノナカは生まれ故郷である宮城県の教員採用試験を受け、宮城県の中学の社会科の教師に採用された。

その口から毒しか吐けない男が、教育者になる。
同級生の誰もが心配した。

在学時代はノナカを疎ましく思っていた同級生の誰もが、ノナカのその決断を心配した。
つまり、ノナカは、クラスメートに本当に嫌われていたわけではなかったということだ。
誰もが、その存在を少し煙たがってはいたが、「同級生」として認めていたということだ。

「ノナカが、中学校の先生だって? 長続きするかぁ? 大丈夫か? 一番ノナカに合わない職業だろう!」
クラスメートの多くが口を揃えて言っていた。

そのノナカは、11年間中学の教師を勤めたあとで独立し、学習塾の経営を始めた。
そのときも大学の同級生の何人かは、「塾? できるのか? あいつに。教師だって似合わなかったのに、塾の経営なんて!」と心配した。

しかし、私も含めた同級生たちの心配は杞憂に終わって、ノナカは意外にも経営の才能を発揮し、彼が宮城県に開いた2つの塾は、少子化の逆風にも負けずに今もそれなりに繁盛していた。

私が、ノナカの友だちとして認められていたかどうかの自信が私にはないのだが、ノナカは仙台に帰ってからも定期的に私に電話をよこし、近況を報告してくれた。

だが、事業が順風満帆だったノナカに突然、「誰か」がイタズラをした。
5年前に、胃ガンを発症したのだ。
そのとき、胃の3分の2を切り取ったノナカは、手術と抗癌剤治療の効果が劇的に作用して、黄泉の世界に行かずに済んだ。

ノナカのガンは、その後も再発せず、塾の経営者として、さらには地方の名士としての暮らしを続けていた。

だが、人の運命は、どんなときでも、目に見えないものに理不尽にも翻弄されることがある。
4年前に、今度は奥さんがガンを患ったのだ。

どの種類のガンだったのか、私は詳しいことは聞いていない。
それを聞くことに意味を見出していない。

奥さんの手術が成功したとき、ノナカが泣きながら言った「神よ! もし本当にいたのなら感謝します!」という言葉は、今でも私の脳の特殊な部分に残って、年に何回かはリバースされるフレーズになっていた。


今週の水曜日、3年ぶりにノナカと会った。
場所は、吉祥寺のドトールだ。

ノナカは、年に2〜3回東京に出てくるが、私とスケジュールが合わないことが多いので、いつもすれ違いだった。
今回は、あらかじめ1か月近く前からノナカが日にちと時間を指定してくれたため、久しぶりに会うことができた。

老けたヘチマ顔の目には、私は顔色の悪いガイコツに見えたようだ。
ノナカが私の顔を見ていきなり言った。
「血が足りてない顔だよな」

じゃあ、おまえは、幸せが足りてない顔か。

何気なく口から出た言葉だったが、ノナカが出す空気が101パーセント曇ったのを見て、私は後悔した。
ノナカが、目の奥に深く暗い沼のような重い闇を満たして言った。

「女房が、ナオミが、余命宣告を受けた」

大きく息を吸っても酸素が肺に入ってこなかった。
薄い空気しか取り込むことができなかった。
貧血、酸欠とは種類の違うめまいを感じた。
そして、頭の奥がしびれて、目の前に薄暗闇の世界が広がった。

闇が重かった。


ここまでキーボードで打ち込んで、俺は何を伝えようとしているんだ、と思った。

友人の奥さんの余命宣告。

そんなことを軽々しく表現していいわけがない。
そのことは、どんなに私が鈍感でも理解していた。
だが、いけないこととは思いつつも、友が絞り出すように言った言葉を平然と私は打ち続けるのだ。

なぜなら、社会不適格者だから。

「なあ、俺はナオミに何をしてやればいい?」

暗い沼からノナカが私を覗いたが、私は「おまえが一番大事な重い命に向き合うこと」という白々しいことしか言えなかった。


それから一時間、ノナカと私は、お互いの暗黒面を覗くような会話しかできなかった。
というより、私はノナカの話をただ聞くだけの木偶の坊に変身していた。

ノナカを励ました方がいいのはわかっていたが、私はノナカと同じ位置で同じ表情で、ため息を吐き出すことしかできなかった。


話の中で、ノナカが私に頼みごとをした。
ノナカは宮城県の学習塾の他に、東京に「ミニパソコン塾」を2店舗持っていた(墨田区と江東区)。
4年前に、その開店準備をしたのは私だったが、経営も頼むと言われたとき、私は場所が遠いことを理由に断った。

そこで私は、新宿でコンサルト会社を経営している大学時代の友人オオクボにサポートを頼んだ。
オオクボは、快く受けてくれて、今も彼の部下がミニパソコン塾をうまく軌道に乗せていた。

「でもなあ、俺は本当は、おまえにやってほしいんだよな」
ノナカが頭を下げた。

だが、社会不適格者の私は、冷酷にも今回も断ったのだ。

悪いな。
俺が二人いれば引き受けたかもしれないが、残念ながら俺は今ひとりしかいない。
だから、無理なんだ。

それを聞いたノナカは、諦めの表情を眉だけを動かすことで作って「そうだよな。悪かったな。無理な頼みごとをして」ともう一度頭を下げた。

目の前で、背を丸めながら冷めたコーヒーをすするノナカを見て、私は体が震えるほど後悔した。


社会不適格者がふたり。
何の結論も出せぬまま吉祥寺で別れた。

きっとノナカは、身動きできないほどの心細さに己を縛られているいま、何の役にも立たない友人を持ったことを後悔しただろう。
中央線の中で自分の運命を呪い、東北新幹線の中で呪い、帰りのタクシーの中で私を呪ったはずだ。

だが、そんなノナカが我が家のドアを開けたときは、精一杯の笑顔を作って、「ただいま」と言ったに違いない。

ノナカは、年を経て、そんな風に人間くさい男に変化していた。


変化と進歩を忘れた人間くさくない私ができること。

私は目に見えるものしか信じないバチあたりな男である。
ただ「無神論者」と威張るほどの確固たる信念を持っているわけではない。
神仏に頼ることが怖い、ただの臆病者だ。

そんなバチあたりな私だったが、朝起きたときと夜眠る前に、ヘチマ顔ノナカの奥さんの生きてきた軌跡を讃えることは普通にできた。


祈りはしないが、社会不適格者の私にも、人を讃えること、感謝することはできるのだ。



ノナカと結婚してくれて、ありがとう。

本当に、ありがとう………と。



2015/08/08 AM 06:39:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

冷や汁を食うホッキョクグマ
とても信じがたい話なのだが、一日のブログのアクセス数が一昨日はじめて1万を超えた。

ほんまですの?
デスノート?

夢かも知れないと思ったので、おんぼろアパートの庭のダンボールに住み着いた野良猫の「セキトリ」のほっぺをつねったら、「フギャー、何すんじゃ、ボケ!」と怒られたので、夢ではなかったようだ。
(ちなみに、これはイジメでも虐待でもございませぬ。私とセキトリは親友ですゆえ)

おそらくCGI解析を間違った結果だと思いますが、これからこのようなことはないだろうから、一度だけ自慢しておきました。

日頃の感謝を込めまして、皆様の健康と交通安全、家内安全、商売繁盛、安産スッポン、世界平和、受験合格、夫婦円満、進撃広島、柴咲コウ様結婚、日本列島震動停止、安倍内閣悪霊退散を祈願したいと思います。


……という話とは何の関係もなく、杉並区荻窪に生息するWEBデザイナー、タカダくん(通称ダルマ)から、突然のSOSが来たので、たいへん忙しかったのだが、冷やかしに行ってきた。

行ってみたら、ダルマの仕事場は、北極だった。
だから、ダルマがホッキョクグマに見えた。

しかし、このホッキョクグマは、本当のホッキョクグマより遥かに暑さに弱い珍種だった。

「だって、俺、汗かくの嫌なんですもん!」

ダルマの奥さんの微笑みの天使・トモちゃんは、お子様二人を連れて水族館に行ってらっしゃるという。
しかし、ダルマは暑くなると実の子どもの情操教育にさえ参加しない、クズ中のクズだった。

「なんで暑い中、わざわざ汗をかきに行かないといけないんですかね」
「冷房の効いた部屋から出るのは、絶対に嫌!」

いや、家族サービスのためにかく汗は美しいものだ。
その場合、汗をかいたとしても、その汗は気持ちのいいものではないのか。

「気持ちのいい汗なんか、ありませんよ!」

逆ギレされた。

舌打ちしながらエアコンの設定温度を見たら、22度だった。
無理やりな節電をしろとは言わないが、もう少し、地球にやさしくなれないものだろうか。

「暑さに弱い人間は、夏だけは地球にやさしくなれませんね! 他の人がやさしくすればバランスは取れるでしょう。俺は俺なんだから!」
これを人間の世界では「開き直り」と言う。
ホッキョクグマには、わからないかもしれないが。

設定温度22度。
室内の実質温度23度。

外気温との差、10度以上。
脂肪の少ないガイコツは、凍えそうですよ。

我が家のオンボロアパートは、すべての窓の外側に二重にスダレをかけて直射日光を遮っているから、室内温度が29度を超えることはない。
冷房を全く使わないということはないが、暑いときでも使うのは1日1〜2時間程度だ。

私の仕事場は、熱暴走防止のために、2台の扇風機を2台のパソコンにだけあてているが、それでパソコンも私も不自由はない。
パソコンも私も普通に動いている。

ただ、たまに無性に涼しい空気にあたりたいときがある。
そんなときは、中央線武蔵境駅前の「武蔵野プレイス」という図書館に行くか、イトーヨーカ堂の食品売り場をうろついて涼をとることがある。

私には、それで充分だ。
それ以上の涼しさは毒だ。

だから、ダルマの仕事場は「毒のふきだまり」と言っていい。

私は、設定温度を27度にしないと仕事を手伝わないぞ、と憎々しいパワーハラスメントのクソオヤジになった。

それを聞いて、ダルマは「エーッ!」と口から泡を吹いた。
それを見て、私は「ダルマカニ」というインドカレーを思い出した。
ただ、ダルマの顔は、「ダルマカニ」ほど美味しく見えなかったが。

ダルマの仕事を手伝っているとき、高校野球オタクのダルマが何かを言っていたが、私はその全てを無視した。

高校野球に関しては、あらゆる角度から苦言を呈することができるが、それは人によっては、「タチの悪い言いがかり」と捉えられるかもしれないので、ここでは述べない。

ダルマは、私の「高校野球無関心」を知っているはずだ。
しかし、今回は暑さで脳が溶けたのか、しつこく私にとっては難解な「高校野球語」をしゃべるのだ。

ここ3、4年ほどで、やっとお得意様の中で、私の「高校野球無関心」「プロ野球無関心」が浸透してきて幸せを感じているところだったのに、こんなところに地獄の穴があったとは。

そこで、私は仮説を立てた。

室内温度は、30分も経たないうちに26度になっていた。
ダルマは、室内気温が25度を超えると「脳が溶ける変態グマ」なのではないか、と。

早速、実証してみた。
設定温度を23度に下げてみた。
室内温度は10分も経たずに、25度を切った。

すると、ダルマが言ったのだ。
「師匠、腹が減ったでしょう。出前を取りましょうか」

気温が下がって、脳が正常に働き、昼メシどきを過ぎていたのを思い出したようだ。

夏に弱いダルマのメシは、朝はソーメン、昼はざるそば、夜は冷やし中華と決まっているらしい。
他のものは全く喉を通らないらしいのだ。
料理上手のトモちゃんが、どんなに工夫しても、結局は冷たい麺類しか食わないと言う。

だから、夏は必ず5キロ以上痩せる。
ダルマがいつ死んでも私は気にしないのだが、トモちゃんと子ども二人のことを思うと少しは栄養のあるものを食わせなくては、と思った。

そこで、出前はやめて、私が昼メシを作ることにした。
食材を漁ってみるとキュウリと大葉、ナス、塩昆布、イカ1杯、冷凍ご飯を見つけたので、「冷や汁」を作ることにした。

まず耐熱皿に味噌を適当に塗りこみ、10分間オーブンで焼いた。
そして、イカの内蔵を抜き、軟骨を剥がし、イカをソーメン状に薄く切って氷水にさらした。
キュウリ、ナス、大葉も粗みじんに切って、他の容器で水にさらした。

味噌をミキサーに入れ、水とコンブ茶の顆粒を入れて攪拌し、出汁を作った。
チンした冷凍ご飯を丼に盛り、出汁を回しかけたあとで、キュウリ、ナス、大葉、塩昆布を乗せ、最後にイカソーメン、練りワサビを乗せるだけの簡単な食い物。

豆腐があれば、さらに栄養価は高くなるのだが、イカがあるだけでも上等だ。

さあ、召し上がれ。

「なんですか。この変な食べ物は? 今の俺は、ご飯は喉を通らないんですよね」とお怒りのダルマだったが、レンゲで軽く掬って一口食ったあとの顔は、ホッキョクグマが、まるで愛らしい「ダルマのプーさん」に見えた。

そして、瞬く間に完食。
「おかわり!」とおねだりするので、私の分も与えたら、またもやすぐに完食。

結局、私は冷や汁を食うことができず、残ったキュウリと塩昆布をマヨネーズとマスタードで和えたものを食パンに挟んでサンドイッチにして食った。
これは、これで美味しかった。

「師匠! レシピ、レシピ!」
「これなら俺、毎食でも食えますよ。ほら! レシピ、レシピ!」
「レシピィ、レシピィ、レ・シ・ピッ! YO!」
最後は、ラップ調で叫ばれた。


あれから、ホッキョクグマは、朝昼晩、トモちゃんが作る冷や汁を食っているらしい。

そして、イカは必需品だというのだ。


あいつ、イカれてるんじゃないのか?
(最低なダジャレ)



2015/08/01 AM 06:28:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | [料理]



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