Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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2分で消滅
おバカが帰ってきた、という話を以前このブログでエントリーしたことがあった。

フクシマさん、というおバカ偏差値99の男がうつ病を克服して帰ってきたことは、今年一番の嬉しい出来事だった。
そのフクシマさんの奥さんから、先週末に電話をいただいた。

「ご迷惑をおかけしたので、お礼の意味も兼ねまして、外でお食事でもいかがでしょうか」

私は、フクシマさんに迷惑をかけられたおぼえはまったくないのだが、ご馳走してやる、という人様の好意を踏みにじるほど極悪人ではない。
ただ、ご馳走になるにあたって、偉そうだとは思ったが、二つの条件を出させていただいた。

一つは、桶川の会社でフクシマさんと同僚だった麻生久美子似の元事務員を呼ぶこと。
そして、二つ目は、高級な食い物を食うと腹を壊す私のために、食い物は庶民的なものにして欲しい、というもの。

「では、ガストにしましょうか」と言われたが、私の希望としては、いま猛烈な逆風を浴びている「マクドナルド」か「すき家」が望ましい、とお願いした。

そのことはきっと、私と同じように、少数派、逆風が大好きなフクシマさんや麻生久美子似にも絶対受け入れられるはずです、と熱弁した。

その結果、すき家では長話はできないだろうということもあって、場所は新宿駅西口のマクドナルドに決定した。

お昼時間を過ぎていたし、逆風を浴びているから空いているに違いない、と予測したが、店内は意外と混んでいた。
本当に逆風を浴びているのか、これなら同じように逆風を浴びている「ワタミ」にすればよかった、と後悔した。

なんだかなあ〜、期待はずれだったなあ、と妊娠9ヶ月の麻生久美子似と愚痴をこぼしあった。
麻生久美子似のお腹は、だいぶ目立って、マクワウリをまるごと飲み込んだみたいに膨れていた。
お腹を触りたい衝動を抑えるのに、全身全霊を使ったので、疲れた。

しかし、麻生久美子似は、相変わらず大物だった。
「触っていいですよ〜」

触らせていただいた。
何でもないときにこんなことをしたら、明らかに犯罪だが、今回は幸運にも前科がつかずに済んだ。

幸せな胎動を感じて、体が震えた。

しかし、可哀想なのはフクシマさんだった。
同じように、腹に手を伸ばしたら、「あんたはダメ!」と、奥さんと麻生久美子似から、頭を叩かれていた。

触ったら、純正のおバカが伝染る、と本気で心配されたらしいのだ。

そのフクシマさんに対する扱いを見て、フクシマさんが、本当に帰ってきたことを実感した。
それを見て、両目から水が出そうになったが、右目だけで抑えておいた。
右目は、著しく視力が衰えているので、涙くらい流させてやらなければ可愛そうだと思ったのだ。

頼んだメニューは、全員が違うものだった。
なぜなら、ひとと同じものを食いたくない、という大人気ない4人が集まったからだ。

私が何を食ったかって?
それは、内緒です。

ちょっとしたいたずら心で、フクシマさんが頼んだチキンフィレオに、いつも持ち歩いているビタミンB群の錠剤をふた粒、密かに混入させた。

ゴリッ!
「あれ! なんか変なものが入っていたぞぉ! なんだこれは?」

「安定剤じゃないの。店が気をきかせたのよ」とフクシマさんの奥さん。

「ああ、そうか。じゃあ、食べても大丈夫だね」
何事もなかったように、完食したフクシマさんだった。

信じられないでしょうが、こんなおバカが、この世界には存在するのですよ。

大阪都構想や橋下市長、行列ができる法律ナンタラの話をしたあとで、唐突にマーチの話になった。
フクシマさんの奥さんが、私の大学の後輩だということが、発覚したのである。

「ああ、では、全員がマーチなんですね」と麻生久美子似が、マクワウリのお腹をさすった。

MARCH、とは、東京の大学の頭文字で、早稲田慶応上智国際基督教大学ほどは、優れた知能を持たない中途半端な位置に甘んずる大学の総称だった。

我々3人が、マーチだったことは知っていたが、フクシマさんの奥さんまでマーチだったとは。

「では、この会合を『マーチの会』と名づけましょうか。これからは、定期的に『マーチの会』を開きましょうよ。いいと思いませんか?」
フクシマさんが、近所迷惑を顧みず、立ち上がって宣言した。

「いいね、いいね!」、と一度は、話の流れに乗って、全員が、それを受け入れた。

しかし、2分後に、全員の顔が曇った。

そして、誰もが思い浮かべたことを、私が代弁した。

俺たちって、少数派が大好きで、絶対に派閥を作らないのを生きがいにしてきたんだよね。
ここで「マーチの会」なんか作ったら、そのポリシーを覆すことになるよね。
それは、俺たちが一番やってはいけないことじゃないだろうか。

全員の首が、縦に振られた。

フクシマさんが、アイスコーヒー。
フクシマさんの奥さんが、ホットミルクティー。
麻生久美子似が、野菜生活。
そして、私がプレミアムローストコーヒー。

各自違う飲み物を飲みながら、全員が互いの目を見ながら、頷きあった。

一時間程度だったが、とても楽しい時間を過ごした。

そして、帰り道。
全員が、中央線沿線の住民だった。

中央線の快速下り。

我々は、当たり前のように、ホームに散らばった。

フクシマさんが、4両目。
フクシマさんの奥さんが、5両目。
麻生久美子似が、6両目。
そして、私が、7両目。

窓の外の景色は同じだとしても、違う車両に乗るという行為が、妙な安心感と満足感を我々に与えて、4人は満ち足りた気分で車窓を眺めた。

車窓を見ながら、関係ないことを思った。
私は、橋下市長の手法が好きではないが、大阪都構想は、いいな、と思った。
新しい時代の匂いが、プンプンした。

余計なお世話かもしれないが、新しい時代を切り開けない民意は、既得権という過去の亡霊をのさばらせただけではなかったか。

大阪市、という名前だけが残ることに、大きな意味はあったのか。
「変革の機会」を逃した代償が、いつか重くのしかかるときが来るかも知れないとも思った。

中央線の車窓とは、何のつながりもないけれど……………。


あれから二日。

三人からは、メールは来ず連絡もない。
こちらからも、する気はない。



その居心地の良さは、わかる人にしかわからないかもしれない。



2015/05/20 AM 06:46:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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