Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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カープ、銭湯、剣道
たいへん面白い話を3つ。

以前のブログで、同業者二人の仕事がアベノミクス・スパイラルによって激減したことを書いた。
業績のいい取引先が、外部に出す仕事を調整して、同業者のところまで仕事が降りてこないようになったという話だ。

一流デザイナーのニシダ君は、全盛期に比べて仕事が半減。
初めての「冬の時代」を過ごしていた。

そんなニシダ君に、僭越ながら五流デザイナーのガイコツが、アドバイスをした。

取引先から仕事が来ないなら、取引先の担当者にお願いして、関連会社の仕事を回してもらうように、ダメもとでお願いしてみたらどうだろうか。

素直なニシダ君は、私のお節介を間に受けて、本当にお願いしてみたらしい。
すると、あら不思議。
それなりに割のいい仕事を2件いただいたという。

「センセイ、ありがとうございます」と弾む声でお礼を言われた。

そして、ついでに「俺、ジャイアンツファンやめましたから」と話が飛躍した。
ニシダ君の出身は広島。
高校まで広島で過ごしたニシダ君は、そのときは当たり前のようにカープファンだった。

しかし、東京の大学に出てくると、そこにはカープファンは少数派で、アホなジャイアンツファンばかり。
アホなジャイアンツファンは、基本的に「長いものには巻かれろ派」だ。

西田くんも同じように「長いものには巻かれろ派」だった。
当然のように、アホなジャイアンツファンの仲間入りをした。

それ以来、ずーっとアホを貫いていた。

しかし、今年は、「事情が変わったんですよ。僕の『カープ愛』を掘り起こす強烈な出来事が起きたんです。黒田投手の復帰です。そして、大勢のカープ女子の存在。ここで『カープ愛』を持たなければ、僕は何のために広島に生まれたのか、わからないじゃないですか!」と熱弁するのだ。

どちらにしても、長いものに巻かれている状態は、変わりませんがね。
きっと、黒田博樹氏が引退したら、またジャイアンツファンに戻るのが既定路線と言っていいでしょう。

ただ、いっときだけでも、アホの集団から抜け出せるのなら、よしとしましょうか。


そして、もうひとり、仕事が激減したのが、東京稲城市の同業者だ。
5年前に知り合った稲城市の同業者は、極度の人見知りで、奥さんと子ども以外の人とは、まともにコミュニケーションが取れなかったが、なぜかガイコツとは普通に取れた。

そんな人見知りくんから、昨年の春までは、私の方が仕事を貰いっぱなしだったが、今はこちらが出す側になった。
つまり、今は私が彼に恩を返している状態だ。

今回も、恩を返すために、稲城市の同業者の事務所に、自転車でお伺いした。

すると、人見知りくんに「Mさん、俺の方が仕事貰う立場なんですから呼びつけてくださいよ。俺が、そちらに行くのが筋だと思いますよ」と怒られた。

しかし、我がオンボロアパートに人を招くのは、気が引ける。
これが、極道コピーライターのススキダや死神・尾崎なら同じようにオンボロだから、家に入れても景色に同化するからいい。

しかし、人見知りくんは、この景色には似合わない。
それに、私は同業者の事務所に行く途中にある長い「多摩川原橋」を自転車で風を切りながら渡るのが好きだ。
さらに、同業者の事務所から1.5キロ離れたスーパー銭湯「季乃彩(ときのいろどり)」に行くという楽しみもある。

俺の楽しみを奪わないでもらいたい。
私がそう言うと、人見知りくんが両手で膝を叩いた。

「ああ、そうだ! これから、季乃彩に行きませんか。俺、2年くらい行ってないかもしれません。車を出しましょう。一緒に行きましょう。裸の付き合いをしましょう。いいと思いませんか」

裸の付き合い?
なんという気持ちの悪い響き!
一気にテンションが下がった。

しかし、人見知りくんは、行く気満々だった。

困ったぞ、と体が寒気に支配されていたとき、iPhoneが震えた。
ディスプレイを見ると、杉並の顔デカ社長からだった。

「ごめん、今いいか? パソコンの調子がおかしいんだが、今から来れないかな。特急料金を大幅に上乗せするからよお」

はい、わかりました。
すぐに、お伺いします。

このときほど、顔デカ社長が愛おしく思えたことはない。


最後は極道の話。

ススキダから「ランチを奢るぜ」と脅された。

断る!
ゴキブリに奢ってもらうほど、俺は落ちぶれちゃいない。
ゴキブリ仲間を探すんだな。

「そうか、俺もそろそろ仕事に飽きてきた頃だから、白馬あたりで居抜きのペンションを手に入れようと思うんだ。そのときは、おまえをシェフとして雇うつもりだが、勉強のために、質の高いビストロの味を経験しておくのもいいと思ったんだがね」

はい、行きまする。

新橋5丁目の狭いビルが林立する中の5階建てビルの2階に、そのビストロはあった。
狭いビストロだ。
キャパシティは、50人程度か。

ランチを快適に食うには、店内が少し暗い。
ススキダの醜い顔がぼやけて見えるのはいいことだが、これでは料理の微妙な色合いがわからないだろう。

所詮はシロウトの遊びか! と罵った。

「悪いな、シロウトで。これは俺がプロデュースした店だ。去年の9月オープンだから、まだ8ヶ月も経っていない。ただ、結構、繁盛してるんだがな」
鼻を膨らませるススキダ。

鼻にハバネロを詰めてやろうと思ったが、残念ながら、今日は財布にハバネロを入れてこなかった。
命拾いをしたな、ススキダ。

勝手に運ばれてきたランチは、「スズキの香草パン粉焼き、白味噌酒蒸しソースのせ」という気取ったものだった。
そして、3種類のパンが食べ放題。
それに、ヤングコーンとほうれん草のサラダが付く。

ケッと思いながら食ったが、たいへん美味かった。
舌だけではなく、鼻と目でも味わうことのできる上品な味だった。
ススキダの醜い顔が目の前になければ。もっと気品を感じたのではないか、とゴキブリを激しく呪った。

食い終わった頃、シェフ兼オーナーが白い前掛けをつけたままやって来た。
少しナヨっとしたオーナーだった。
年の頃は、29歳から47歳くらいだろうか。

そして、ススキダが、私を紹介した途端、オーナーが「ススキダさん、いいですね。この人の雰囲気。この店のフロア・マネージャーにピッタリじゃないですか。俺が夢見ていたマネージャーの姿そのままですよ」とナヨっとした声で言われた。

あん?
フロア・マネージャーだと?

はあん?
なに、ボケかましとんねん。

ススキダの顔を睨むと、わざとらしい薄ら笑いを作ってオーナーと握手をしていていた。

その姿が癇に触った私は、オーナーに失礼だとは思ったが、「美味かったです。ごちそうさま」と言って、席を立ち、そのまま店を出た。
ススキダは、追いかけてこなかった。

そのあと、日を置いて2回、ススキダからメールが来た。
「オーナーが、お前のことを気に入って、年俸・片手五本で雇いたいと言ってるぞ。良かったな」

無視をしたあとの2回目。
「おまえの値が上がったぞ。片手五本に、さらに二本プラスするらしいぞ。もう決めちまえよ」

気になったことがあったので、ススキダに電話してみた。

あのオーナーのことなんだけどな。
もしかして「男しか愛せない男」か。

すると、ススキダが即答。
「ああ、よくわかったな。そっち側の人間だ。やっぱり、おまえも、そっち側だったか」

ということは、おまえも言い寄られたんだよな。

「そうだ」

要するに、俺をおまえと同じ被害者にしようとしたわけだな。

「・・・・・・・・・・・・・・」

おまえ、俺がボクシングをしていたことを忘れたか。
至近距離から、得意の右フックをお見舞いしてやろうか。

「おまえ、俺が剣道三段だったことを忘れたか? 棒を持てば俺の方が強い。だから、抱かれちまえよ」


その日から、密かに、ご近所の元警官、剣道五段のご老人に剣道を習い始めた私だった。

メ〜〜〜〜ン!



2015/05/14 AM 06:21:02 | Comment(1) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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