Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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お馬に助けられた
「お馬さん」(人類史上最も馬に激似の男)から、ヘルプコールが来た。

メインで使っているMac Proとサブで使っているMac Bookの調子が悪いというのだ。
Mac Proは頻繁に落ちて、Mac Bookは起動さえしないという。

お馬さんは機械が苦手なので、Macの調子が悪くなると、「直してくださいませ」といきなり宅配便で送ってくることがあった。
専門の修理に出したほうがよろしかろう、と私が言うと、お馬さんは、「いや、俺はMさんの方を信頼していますので」と、私の弱点を突くキラーフレーズを言うのである。

そんなことを言われたら、直さざるを得ませんよね。

しかし、今回は、一気に2台である。
専門家に頼んだほうがよかろうに、と私が言ったら、またも「俺、Mさんを信頼していますから」と鼻息荒く言われた。

そして、「悪いんだけど、俺んちに来て直してくれないですか。急ぎの仕事が溜まってるので、ちょっと困ってるんですよ」と言われた。

お馬さんが住む、さいたま市のメガ団地は、私が5年前まで住んでいたところだ。
しかし、私は15年間住んでいたその団地に、いい思い出がない。

正確に言うと、14年間は楽しかったが、最後の1年で地獄に落ちた。
だから、今その団地を思い出すことはまったくない。

その団地を抹消したいとは思っていないが、6.24秒のバズーカで掃射したいとは思っている。

そのことは、お馬さんも承知のはずだ。
そんなこともあって、遠慮がちに「武蔵野まで車でお迎えに行きますので、お願いしますよ。Mさんに迷惑はかけませんから」と懇願するのである。

私は、面倒くさいやりとりが嫌いなので、じゃあ、浦和まで迎えに来てよ、と答えた。
浦和には得意先があるので、浦和まで行くことには抵抗がない。

浦和駅前で待っていたら、「Mさんですか」と声をかけたのは、背の低い小さなミニな男だった。
要するに、お馬さんの長男だった。

「馬二世」だが、「お馬さん」ほど馬臭くはない。
「人間」と言っても通用するだろう。

「父がいつもお世話になっています」と言われたので、「俺、動物が好きだからね」と答えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(沈黙)。

「眠っていてください。着いたら起こしますので」

お言葉に甘えて、眠った。
そして、爆睡の真っ最中に揺り起こされた。

駐車場を夢見心地で歩いたから、5年ぶりの団地の風景はまったく目に入ってこなかった。
エレベーターの中でも宇宙遊泳の気分だった。

半分眠ったまま、お馬さんちに引きずり込まれた。
「ご苦労様です」とお馬さんに頭を下げられたので、「ごちそうさまです」と答えた。

私は、時候の挨拶やお互いの近況報告、天気の話題、菅義偉官房長官の話が苦手だし、エーケービー、ジャニーズ、エグザイルの合計人数を知らないので、すぐに作業に移った。

結論を先に言うと、Macは、壊れていたわけではなかった。
Mac Bookは、電源アダプタが断線していただけだった。
Mac Proは、ファンクションキーを打つと落ちる現象が出たが、キーボードを予備のものに変えたら、落ちなくなった。

だから、電源アダプタを取り寄せるべし、と言った。
「どこで?」と聞かれたので、アマゾンで、と答えた。

「アマゾンでないと、ダメですか」と言うので、別にユニゾンでも、クリムゾンでも、三方一両損でもいいけどね、と言った。

「サンポウイチリョウゾン?」
馬一世と馬二世が、ヒヒーンと首をかしげた。

三方一両損を知らぬとは、なんという無教養。
あなたたちは、江戸南町奉行・大岡越前守忠相殿を知らぬのか。

え〜い、頭が高い。控えおろう!
目の前のこのコーモンが目に入らぬか!

「コ、コーモン??」

いや、これはですね。
いま大学2年の娘が幼稚園の頃、志村けん師匠の水戸黄門コントで、「このコーモンが目に入らぬか!」のフレーズを間に受けて、つい最近まで、それが正しいと信じきって覚えていたんですよ。
可愛いじゃないですかぁ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(沈黙)。

えーと………じゃあ、私の役目も終わったので、帰ることにしましょうか。

「ええ! もう帰るんですか?」

これ以上、この団地の空気を吸ったら、私のコーモンは開きっぱなしになって、パンツが何枚あっても足りなくなるでしょう。
さらばじゃ!

「ああ、それならワインを持って帰ってくださいよ。いいワインが2本あるんです。Mさん、毎日1杯のグラスワインなら平気なんですよね」

グラスワインではなく、グラスアイーンですがね。

「グラスワインとして飲むには、ちょうどいいワインですから」
(アイーンを見事なほどスルーしましたな)

「ワインを持って電車に乗るのは大変でしょうから、俺が車で武蔵野まで送りますよ」
お馬さんが鼻息荒く言った。

断る理由がなかったので、お言葉に甘えた。

埼玉臭い駐車場を歩いているとき、一人のご老人に声をかけられた。
「あんた、Mさんじゃないかね」

私の記憶に間違いがなければ、その平たい顔は、ある一人の老人の悪意ある創作話を間に受けて、私の悪い噂を団地内に拡散したご老人だ。
当時70代後半だったから、今は80歳半ばにはなっているだろう。

何か言ってやろうと思って、足を一歩踏み出そうとしたとき、お馬さんに、サングラスを渡された。
「ほら、クドウさん、これ忘れてますよ。早くかけないと、紫外線は毒ですから」

言われるままに、品もセンスもないサングラスをかけた。
「ああ、さすが、背が高い人はサングラスが似合いますねえ。クドウさん、きまってますよ」

お馬さんの意図を察した私は、Thank You. You are most similar horse to human と答えた。
(ありがとう。君は人間に一番近い馬だね)

「オー、サンキュー! ミスター、クドウ」

そんな茶番のあとで、お馬さんの愛車ボルボに押し込められた。

サイドミラーを見ると、平たい顔のご老人が立ち尽くす姿が映っていた。

お尻ペンペンをしなかったことを少し後悔した。
いや、お尻ペンペンなどしたら、コーモンが開きっぱなしになってしまうだろう。
パンツが何枚あっても・・・・・・・・・・・。
(下品でスミマセン)



ただ、私は、幸せな気分も感じていた。

お馬さんが、懸命に私を守ってくれたからだ。

お馬さんに感謝しつつ、私は穏やかに眠りの世界に入った。


志村コーモン様が夢に出てきた気がしたが、それは気のせいかもしれない。



2015/05/08 AM 06:27:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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