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● ゴミクズの呪い |
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ゴールデンウィーク前は、ありがたいことに、いくつか仕事をいただいた。
大急ぎではないが、休み中に進めておかなければ後で後悔を悔いるので、大まかなスケジュールをたてて、ゴールデンウィーク中に処理していこうと思っている。
しかし、そんな矢先に、明らかに邪魔な電話がかかってきた。 しかも、朝の8時前だ。 こんな非常識なことをするのは、荻窪のゴミクズだろうと思ったら、「当たり」だったので、笑った。
説明しよう。 荻窪のゴミクズとは、WEBデザイナーのタカダ君(通称ダルマ)のことだ。
WEBの中だけでしか生息できず、現実世界では何の役にも立たないし、何もできない。 仕事をして生計を立ててはいるが、パソコンの前を離れたら、お掃除ロボットに吸い込まれるのがお似合いなほど、ゴミと同化している。
「師匠! 一大事です! トモちゃんのお父さんが入院で、トモちゃんが子供を連れて実家行きです。誰もいません。カップラーメンは飽きました。俺、どうしましょ」
朝8時に聞いて楽しい内容ではない。 テンションが下がる。 だから、切ろうかと思ったが、哀れなダルマの顔を想像すると、心は全く痛まないとはいえ、このままゴミ箱に捨てるのは忍びない思いもある。
いま、ある食材を言ってみよ。
「米と卵だけです。あとはカップヌードル、カレーヌードル、シーフードヌードル、あと・・・・・」
ご馳走が作れるじゃないか。 具なしチャーハンとスープがわりにカップヌードル。 そして、チャーハンには目玉焼きを乗せよう。
豪華フルコースじゃないか。
「でも、俺、チャーハン作ったことないから! それに、具のないチャーハンは、チャーハンじゃありませんよ!」
具のないチャーハンとは言っても、一流のシェフが作れば、鉄人チャーハンになる。 贅沢を言うと、月にかわってお仕置きよ。
というわけで、お仕置きをしに、荻窪のダルマの事務所まで行ってきた。
悲愴な顔で迎えられたので、空気を和らげようと投げキッスで応えたら、「人の気も知らないで!」と怒られた。
私は常識人なので、ひとの気は知っているが、ダルマの気は知らない。 吐きそうになりながら投げキッスをしたのに、人の気も知らないで!
などとじゃれあいながら部屋に侵入し、すぐに冷蔵庫を開けた。 確かに、卵以外にあるのは、牛乳とコーラなどの炭酸類、ビールだけ。 あの料理上手のトモちゃんの冷蔵庫が、こんなに寂しいことになっていたなんて。
まさか、ダルマは捨てられたのか。 あるいは、食材を買うこともできないほど貧窮してしまったのか。 とうとう私と同じ「貧民族」の仲間入りか。
・・・・・などと考えながら、キッチンを動き回っていたら、キッチンストッカーと外国製と思われる野菜ストッカーを見つけた。 開けてみたら、キッチンストッカーには、調味料やパスタ類、レトルト食品がマンザイ、いや満載だった。 野菜ストッカーには、タマネギ、キャベツ、ナス、トマトなどが仲良く出番を待っていた。
いくら料理をしないとは言え、こんなにわかりやすいところに食材があるのに気づかないとは、ゴミクズの判断力はゴミクズ以下に成り下がったと思われる。
しかも、キッチンストッカーの目立つところには、「ダルちゃん。悪いけど、しばらくはこの中のレトルトを温めて食べてね。お惣菜はコンビニかルミネで買ってください」という貼り紙があった。
こんな目立つ貼り紙にも気づかないとは、ゴミクズは目もゴミクズ以下になってしまったのか。
ダルマに、このことを問いただすと、「だって、男子厨房に入らずって言うじゃないですか。俺、男子ですから!」と口を尖らせた。
確かに生物学的には人間の男子かもしれないが、ゴミは厨房に限らず、どこにでも入ってくるものですよ。 我が家には、よくサーキュレーターに付着していますが。
・・・・・と、どS的にいたぶるのも可哀想になってきたので、ダルマのために、朝メシを作ることにした。
レトルトは使わない。 野菜も使わない。
卵とご飯だけでチャーハンを作る。 調味料は、鶏がら粉末、塩コショウ、醤油、マヨネーズ。 スープは、鶏がらでダシを作り、塩コショウ、醤油で味を整え、よく溶いた卵を回しかけるだけ。 チャーハンに目玉焼きをのせようとしたが、卵がもったいないので省略した。
2人分の量のチャーハンをダルマは、2分5秒で完食した。
しかし、食ったあとの「美味い」のリアクションがない。 ごちそうさま、さえも言わない。
こんなゴミクズに育てたおぼえはないんだが。
と思っていたら、ダルマがiPhoneを取り出して、どこかに電話をかけ始めた。
そして、「トモちゃ〜ん」と叫んだ。 「いま、師匠が来てるんだ。ものすごく美味しいチャーハンを食べさせてくれたよ! トモちゃんのチャーハンも美味しいけど、師匠のはシンプルなのに深い味がして、すごく美味しいんだ。師匠に、味付けを聞いてみたら?」
ダルマが、iPhoneを差し出したが、私は断った。 トモちゃんがつくるチャーハンの方が、美味いに決まっている。
ダルマは腹を減らしたゴミだから、何でも美味く感じただけだ。
iPhoneから61センチ離れたところから、トモちゃんが一番! と叫んで、私はダルマの事務所から逃亡した。
そのあと、ダルマから「師匠、なんで怒ってるんですか」という留守番電話が2度あったが、無視した。
怒ってなんかないですよ。
ただ、突然、持病の不整脈が舞い降りてきたので、どこか静かなところで、心臓のブレイクダンスを抑えようと思っただけだ。
10分ほどおとなしくしていたら治まったので、小さなブレイクダンスだったようだ。
しかし、なぜ突然不整脈が舞い降りたのか。
きっと私がダルマのことを「ゴミクズ」「ゴミ」などと表現したせいだ。
どんなゴミにだってホコリはあるだろう。 そして、ゴミクズだって、人を呪う能力は持っているナッシー。
油断をしてはいけない。
だから、これからは尊敬の念を込めて、ダルマのことを「ゴミクズ大王」と呼ぶことにする。
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2015/05/01 AM 06:27:02 |
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