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● ガラパゴスの死に方 |
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恥ずかしながら、「ガラケー」の名称由来がやっとわかった。
ガラパゴス・携帯のことだったのですね。
つまり、進化の止まった携帯のことを指していると知った。 こんなことがわからなかったとは、私の頭も、進化が止まったようだ。
今年読んだIT関係の記事の中で、「日本のスマートフォンもガラパゴス化している」というのがあった。 そのタイトルを見て、日本のスマートフォン技術の進歩は、もう止まってしまったのか、と思った。
しかし、読み進んだら、世界のスマートフォンの分布図では、iPhoneの使用比率が少ない(お膝元のアメリカでも少ないらしい)のに、日本だけが、突出してiPhoneの使用率が高いという記事だった。
そこで、日本のスマートフォンユーザーは、世界から孤立して、「ガラパゴス化している」という論理だった。
だが、本人は、得意げに書いたつもりだろうが、iPhone自体が、今でも進歩し続けていて、OSも順次アップデートしている機種のユーザーを「ガラパゴス」というのは、論理的に無理がある。
孤立していたとしても、取り残されてもおらず、進歩が止まっているわけではないからだ。
要するに、比率だけを取り上げて、「世界はAndroidの時代だよ」を、流行りの(?)「ガラパゴス」という言葉に、かけたかっただけだろう。 単純に、統計の使い間違いですね。 論理が破綻しています。
たとえば、占有率を考えたら、WINDOWS OS と比べたら、Mac OSなどは遥かに占有率が低い。 つまり、筆者の論理から推察すると、Mac OS を使っている人も「ガラパゴス化」していることになる。
すごいな、俺。
世界で使用比率の少ないスマートフォンを使い、使用比率の少ないパソコンを使っているなんて、稀少生物ではないか。 なんか、嬉しい。
話は違うが、我がオンボロアパートこそ、ガラパゴスの象徴かもしれないとも思った。
我が家では、ガラパゴス化(部品生産終了)した洗濯機やオーブンレンジが元気に動いている。 絶えず異音を発しながら、空気をかき回してくれる扇風機などは、ガラパゴスそのものかもしれない。
そして、アパートの壁の所々にヒビ。 防音性が低いから、我が家のにぎやかな会話は、一時期、外に筒抜けだったらしい。 だから、いま、家族で話すときは、6浪生を抱えた受験前のご家庭みたいに、小声の会話が当たり前になった。
4軒となりの家のピアノが下手くそだ、などと言ったら、すぐに届いて、村八分にされるに違いない。
シャワーの音も外に漏れるので、我が家のシャワーヘッドは、一番出の悪いものに交換した。 錆びかけた鉄の階段を上るとき、普通に上ると、音が「ドンドン」とうるさいので、みな、ソーっと上る習性がついた。
大きなくしゃみが出そうになったら、押し入れが一番防音性に優れていることに気づいたので、押し入れまで我慢して、くしゃみをすることも覚えた。
家族みんなが、世間様に気を使うことを覚えたから、これは、決して悪いことではない。
ガラパゴスの効能と言っていいだろう。
ここに、キヤノンのインクジェット・プリンターがある。 A3まで出力できる、昔のものとしては、優れたものだ。
10年以上前、オークションで5千円で手に入れた。 製造年は、おそらく2000年頃。
数年前から、部品の生産が止まり、インクの生産も止まり、ドライバーのアップデートもなくなった。 それでも、インクが生産中止になる前に、オークションで5セットを手に入れて、今まで使っていた。
ただ、新しいOSには対応していないので、古いMac G4に古いOSを入れてプリントしていた。 我が家のカラーレーザーはA4対応なので、A3を出力するなら、このプリンターを使ってJPEGで出力するしかない。 今どきのプリンターに比べたら、色は荒いが、色の雰囲気とレイアウトがわかればいいから、不足はしていなかった。
ただ、インクジェットの欠点は、プリント音がうるさいところだ。 特に、このプリンターは、元サッカー日本代表監督を呼び捨てにする、という暴挙に、毎回出るのである。
ジーコジーコジーコジーコジーコジーコジーコジーコ・・・
サッカー界のカリスマに対する尊敬が、全くない。
さらに、このプリンターは、年を経るごとに、その音がでかくなってきたから、近所迷惑なやつでもある。 夜間には、絶対に使えない。
その呼び捨てを夜間に聞いたら、元サッカー日本代表監督のファンが、殴り込んでくるはずだからだ。
2週間前、いつものように、そのプリンターに働いてもらった。 彼は、A3を4枚、綺麗な色で吐き出してくれた。
ジーコジーコジーコジーコジーコジーコジーコジーコ・・・
だが、一昨日、使おうと思ったら、電源がつかなかった。 ACコードを何度抜き差ししても、彼は起きてくれなかった。
2週間前、私は、彼に、こう呟いた。
もう、このインクが最後のセットなんだよね。
私のそのつぶやきを彼は、重く受け止めたのかもしれない。 それで、寿命を悟ったのかもしれない。
だから、動くのを諦めたのだ。
そんな彼の生き様を見て、私は思った。
寸前まで、あんなに懸命に働いてくれたのに、逝くときは、あっという間の潔さ。
すごいなあ、と思った。
そんな「ガラパゴスの死に方」ができる人が、この世の中に、何人いるだろうか。
私もそんなガラパゴスになりたいと思った。
ご苦労さまでございました(頭を垂れつつ合掌)。
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2014/07/30 AM 06:40:00 |
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