Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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貧乏ゆすり
私は、貧乏ゆすりがないと生きていけない男だ。

気がつくと膝から下が揺れていることが多い。

これを我がヨメは嫌う。
「貧乏臭い」というのだ。

とは言っても、本物のビンボーほど「貧乏ゆすり」が似合う人種はいないのではないか。
「富豪ゆすり」ならおかしいが、ビンボー人が膝下を揺らすのは、ジャストフィットだ。
理に適っていると思う。

なぜ文句を言われるのか、理解し難い。

ただ、私が貧乏ゆすりをするのは、家だけである。
外では、年に1回やるかどうかだ。

外で「ビンボー」をアピールしたとしても、いいことなど一つもないからだ。

私の場合、10人中11人が、私の風貌を見ただけで「ビンボー」と判断するだろうから、何もそのイメージを「貧乏ゆすり」によって、増殖させる必要がない。
だから、外では、やらない。

それは、イケメンが、わざわざ白馬に乗らなくてもいいのと同じことだ(?)。

よく電車などで、「貧乏ゆすりの達人」の方が、大きく膝下を揺らして、こちらのケツに大きな震動を与える場面に遭遇することがある。
あれは、大変気持ちが悪い。

酔う。

中には、インナーイヤフォンで音楽を聴きながら、両足を震動させている人もいて、あれは音楽に反応しているのだと思うが、どう考えても、サルが覚えたての「貧乏ゆすり」を、得意げに披露しているようにしか見えない。

いい感じはしない。


昨日、杉並の建設会社から恫喝気味の仕事の依頼があったので、クソ暑い中、行ってきた。

そして、ここの顔でか社長が、激しい貧乏ゆすりをなさる方なのである。

絶えず、足が揺れているのだ。
激しく揺れるから、声も揺れる。

でかい声に、いつもビブラートがかかっている状態だ。
ただ、滑舌がいいから、彼の声は私の左耳に、確実に伝わる。

それは、ありがたい。

「分譲地のことだけどよお」(膝が大きく揺れている)
「7カ所立てた看板が、効果があったみたいだな」(ビブラートと膝揺れ)
「問い合わせが、1週間の平均で32件だ」(膝が嬉しそうに揺れている)

「モデルハウスが、あと2週間で完成する」(膝の震動激しい)
「そこで、内覧会のチラシ、よろしくな」(両足が震動)

1時間20分の打ち合わせの間、膝の震動が止まることはなかった。
大きく両足を震動させたときは、でかい顔も揺れるから、かなりの迫力だ。
遊園地のアクティビティを経験しているような錯覚に陥る。

今年の夏は、遊園地に行かなくてもいいかもしれない。
もう、十分堪能した。


そんなことを思い出しながら、オンボロアパートの仕事場で、心置きなく貧乏ゆすりをしながら、チラシのアイディアを考えていた。

膝を揺らしながら、とりあえず2パターンのチラシを考えた。
分譲地の家並みをジグソーパズル風にして、「家づくりの最後のピースは、どこにはめますか?」というイメージのものと、家を俯瞰で表現して、家族がそのまわりを通常よりも5倍くらい長い手で、手をつなぎながら囲んでいるイメージのものだ。

その作業をしていたとき、大学1年の娘が仕事場にやってきた。

「夏休みは、アルバイトをしなくていいか?」と言うのである。

今年の夏、娘は、四国に2週間ほどボランティアに行く予定だ。
その準備があって、アルバイトをしている暇はない、ということを私に伝えに来たのだ。

大学生は、夏にアルバイトをするというのが、当たり前になっているのだろうか。
だから、娘も、そんな強迫観念にかられて、アルバイトをしなければ、と思ったのかもしれない。

「夏はアルバイトをして、半分は、家に入れるからな」ということは、大学に入る前に、けなげにも娘が宣言していたことだ。

しかし、ボランティアによって、その宣言が叶わないことを娘は、気にかけていたようだ。

私は、ここで宣言するが、娘のアルバイト代金の上前をはねるほど、落ちぶれてはいない。
(むかしむかし我が家に1年間居候していた娘のお友だちは、親に6割ピンハネされるという)
私は、むしろ、娘が働いて得た金は、すべて自分のために使って欲しいと思っている。

使うのもよし、貯金するのもよし。

娘が働いて得たものが、どんな使い方をされようが、親に、それを干渉する権限はない。
労働して得た対価は、その人固有のものだ。

親は、よく働いたね、と言うのが義務だ。

それ以上のものはない。

お年寄りのお手伝いをしたい、という娘の思いこそが、「今年の夏のテーマ」だ。

それ以外に、重要なものはない。

私は、一応、父親として、そんなことを娘に伝えた。


娘は、感動するかと思ったが、自分の膝と私の膝を交互に見て、こんなことを言ったのだ。

「あのなあ……ボクたちの『貧乏ゆすり』、見事にシンクロしてるぞ。いい話をしていても、この貧乏ゆすりを見たら、説得力はないわな」

確かに………な。



その夜。

私は、夜寝ているときも、どちらかの足が絶えず揺れている珍種だが、隣の布団で寝ている娘の両足を見て、DNAの恐ろしさを痛感した。


娘が爆睡しているとき、娘のどちらかの足が絶えず小さく揺れていたからである。




2014/07/25 AM 06:34:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | [子育て]



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