Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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合コンで舌打ち
大学1年の娘は、合コンには行かない。

誘われたこともないらしい。

え? 大学生は、合コンをするものだと思っていたが、と言ったら、「それは、偏見。新入生歓迎コンパはあるが、ボクは行かない。それに、合コンなんかに行っているやつは、クラスに1人か2人だよ。1年生は、特に忙しいからな。もし行っているやつがいたとしたら、そいつは、大学生活を投げたやつだ」と蔑まれた。


私は、精神年齢が幼稚なので、同じ世代より、若い世代の人の方が、話が合う。

だから、聞いてみた。
得意先の若い人のほとんどが、「合コンは、行きませんねえ。一度もないです」という答えが圧倒的だった。

そうですか。
若い人は、みな合コンに行きたがるものと思っていたオジさんは、ちょっと意外でした。

そのとき、こんな意見を述べた得意先の人がいた。
「きっと地方の人は、東京の人はみな合コンをする、という印象を強く持っていて、大学に入ったら、あるいは、社会人になったら、即合コン。それを当たり前のように受け入れて、きっと合コンに参加する人は、そんな地方出身の人ばかりなのかもしれないですね」

かなり偏見が混じっているようだが、1割くらいは当たっているかもしれない。
娘に聞いてみても、「家族と暮らしている人の合コン参加率は、おそらくゼロに近いよ」と言うのである。

「それに、ボクは、20歳までは、酒は飲まないと決めているからな。タバコは、一生吸わないぞ。合コンなんかに行っていたら、人生設計が狂う」

娘は、高校のときまでは、自分のことを「オレ」と呼んでいたが、大学に入ってからは「ボク」に変わった。
その理由は、わからない。
きっと理由があるのだろうが、面倒くさいので、聞いたことはない。

私は、6歳の頃から「赤玉ポートワイン」を飲んでいた不良だが、娘は、禁欲的である。
性格や体質は、私によく似ているのに、私の不真面目なところは受け継がずに、娘は生真面目を貫いている。

私は、いつ地獄に堕ちてもいい生活をしているのに、娘は、この夏休み、お友だちと四国にボランティアに出かけるのだという。
お年寄りしか労働力のない農家に住み込みで行って、2週間、農作業を手伝うというのだ。

それを聞いて、こいつは天使か、と思った(親バカ?)。

そんな発想は、私の灰色の脳細胞の中には、1ミリもないぞ。
人の役に立ちたい、という思いはあっても、ビール会社の売り上げを上げるお手伝いをする発想しか、私には浮かばない。

今回、うまくいったら、来年以降も続けるつもりだというから、その純粋さに、私は打ちひしがれた。

こ………この子は、本当に俺の子なのか。

いて座矮小楕円銀河からやってきたエイリアンではないか、と思った。

ただ、くすぐったいことに、娘は、こんなことも言ったのである。

「おまえは、酒を飲んでも絶対に乱れないよな。人に迷惑をかけないよな。あれは、すごいぞ。酒に呑まれないのは、感心するぞ。18、19のガキが、酒に呑まれるのは、みっともない。酒にも修行が必要だ。おまえの姿を見ていると、酒の行者を見ているようだ。だから、ボクは20歳過ぎて、どれだけ自分が修行できるかを見極めて、酒を飲もうと思う。そうしないと、安心できないからな」


親バカ話は、これくらいにして。
同業者との飲み会の話に移る。

いつもの吉祥寺の居酒屋で、お馬さん(人類史上最も馬に激似の男)が言った。
「あの席の6人、合コンなんじゃないですかね」

見ると、20代半ばと思える男3人が、前に座る3人の女性のご機嫌を伺っているのが見えた。

しかし、こんなしょぼい、ダサい居酒屋で合コンをするだろうか、と言ったら、「何がしょぼくてダサいだ!」と、馴染みになった片エクボの女店員さんに、デコピンをされそうになった。

(しょぼくてダサい上に、危険で、暴力的な居酒屋だな)

怖くて、ウ○コを漏らしそうになったぞ!

ウ○コを漏らす寸前に、片エクボさんに聞いた。
「シモコーべさんも、合コンをするの?」
(彼女の名前は、笑えるかもしれないが『下河辺』というのだ)

片エクボさんは、胸を反らして、「アタシは、合コンには行きませんよ。誘われたこともないし、自分から行くつもりもございませんから」というのである。

片エクボさんの年齢はわからない。
聞く気もない。
ただ、若い、ということだけはわかる。

お馬さんが、鼻息荒く、「彼氏はいるの?」と聞いた。

それに対して、片エクボさんは、「彼はいるかもしれないし、いないかもしれない。アタシが『彼』だと思っていても、相手は思ってないかもしれないから、わからないですよね。アタシは、そこまで恋愛の達人じゃないし」と、なぜか私の目を見て、答えた。

その答えはいいな、という意思表示に、左手の親指を立てて、頷いた。

片エクボさんも、それに答えるように、左手の親指を立て、ウィンクをしながら去っていった。

「何ですか? その親指は?」と、同業者の中で最長老のオオサワさんに聞かれた。

これは、人間の持っている指の中の一つで、たいていは一番太い形をしています。
私は、拇印を押すときに、この指を使うのですが、隣の人差し指さんを使う人も多いようですね。
キーボードを叩くときは、「B」と「N」の位置が、ポジションでしょうか。
まあ、私は、無茶苦茶なブラインドタッチなので、関係ありませんが……。

ハハハハハハ…………。

「何がおかしいの?」と、にこやかな笑顔を作って、片エクボさんが、揚げ餃子と焼き鳥を持ってきた。

ハハハハハハ、と高らかに笑ったら、またデコピンをされそうになった。

店長を呼んでください。
暴力に訴える店員がいます。
これは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる恐れがあります。

すると、片エクボさんが、驚くべきことを言った。
「この店の店長は、今は不在です。私がいま『店長代理』です。何かあった場合は、私が全責任を負います。なんでも、お申し付けください」

そうですか。
では、お聞きします。
この居酒屋のメニューに載っていない「デコピン」を強要する店員さんが、いらっしゃるのですが、これは「あり」ですか?

片エクボさんが即座に答えた。
「あり、です。デコピンをされたがっているお客様には、そのサービスを行っています」

つまり、私が、デコピンをされたがっているという判断でよろしいでしょうか。

「はい、やんどころなく」

やんどころなく、とは、難しいロシア語を使ってきたな。
あなたは、ロシア人ですか、と聞いた。

冗談のつもりだったが、片エクボさんが、「母親がロシアです」と答えた。
確かに堀北真希、いや、彫りの深い顔と色白の肌には、ロシア系の「かほり」がないこともない。

ブラーヴダ?(本当ですか)

「プラーヴダ」と、毅然として片エクボさんが答えた。


「え? え? え?」
お馬さんが、パニックに陥ったように、片エクボさんと私の顔を交互に見て、鼻を鳴らした。


お馬さんが「ひひ〜ん」と鳴く前に、片エクボさんと私が「ヒッヒ〜ン!」と、ロシア語で、いなないた。


合コンをしていたらしい男女6人が、私たちの方を見て、「チッ」と舌打ちをした。



お邪魔をしてしまったようである。



2014/07/20 AM 06:38:01 | Comment(1) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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