Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








すっきやねん!
同業者に、人類史上最も馬に激似の男がいる。
「お馬さん」と呼んでいる。

その「お馬さん」が、いつもこう言っている。
「俺、関西弁アレルギーなんですよね」
東京生まれでもないくせに、異常なほど関西人に敵対心を持っている男なのだ。

彼は、テレビで関西弁を聞くと、鳥肌が立って、すぐテレビを消すという。
40年以上の人生で、一度も関西人と付き合ったことがないから、免疫がないのだろう。
そして、心が狭いから、その免疫のなさを克服しようともしない。


私が最近、いいな、とおもった関西弁。

関西の人気者、やしきたかじん氏が天に召されたとき、司会者の宮根誠司氏が言った言葉。
「なに、先に死んでくれてんねん」

愛情と愛惜に溢れた、いい言葉だな、と思った。

「どうして、先に死んじまったんだよ」というより、私には、伝わる密度が濃い。
これは、いい言葉だ。

しかし、関西弁アレルギーの男には、「伝わんないよ!」ということになる。

ただ、そんな風に偉そうに言っても、子どもの頃からジャイアンツ・アレルギーの私にとって、ジャイアンツ関係の報道には、すべて「ケッ!」という反応になるから、ひと様の心の狭さを笑うことはできない。

私も同じように、「こころ狭き人」だ。


ところで、ここで、話は4メートルほど飛ぶ。

私と高校3年の娘は、串揚げ(大阪では串カツ)が、大好きである。
だから、3年ほど前(娘が高校に上がる直前)から、二人で大阪まで串カツを食いに行くツアーを年に2回敢行している。

金券ショップで買った新幹線自由席券を使用し、大阪に昼過ぎに到着。
昼は立ち食い形式の串カツを堪能し、思いつくままに環状線や地下鉄に乗り、市内をブラついたあとで、夕方また串カツ屋に入り、串カツを堪能する。

そして、その夜、東京駅行きの夜行バスに乗り、朝東京駅に到着すると、中央線に乗って家に帰り、娘は学校がある場合は、朝シャンしてから制服に着替えて登校するという楽しい生活を送っていた。
娘が志望大学に合格した(パチパチパチ)ので、そのお祝いも兼ねて、今回も21日に「串カツ・ツアー」を敢行した。

当たり前のことだが、大阪では関西弁が蔓延している。

娘は埼玉生まれ埼玉育ち。
私は東京生まれ東京育ち。
しかし、関西弁アレルギーはない(ほとんどの人が、ないと思うが)。

関西弁に限らず、どの方言も好ましく思っている。

昼間、梅田地下の立ち食い形式の串カツを食いながら、関西弁のコーラス(会話)を心地よく聞いていた。
そのとき突然、50歳前後のおじさんに、「兄さんたち、関西の人間やないな」と話しかけられた。
「違和感、あり過ぎや」とも言われた。

こっちは、全く違和感なかったんですがね。


その夜は、阪急グランドビルの串カツ屋さん。
ここは、2度目だ。
店内が綺麗で、にぎやかで、串カツが美味い。
だから、今回も行った。

カウンター席で、適当なものを食って、他愛もない話をしていたとき、カウンターの右隣に座ったサラリーマンらしき二人連れに、話しかけられた。
30歳は超えていないと思う。

「東京もん?」
私が頷くと、「違和感バリバリやな。すぐわかったよ」と口を曲げるようにして言われた。

私たち親子の顔は、いたって普通の日本人顔である。
「東京」という字が、顔に刻まれているわけではない。
どこに行っても、普通の日本人として景色に溶け込む平凡すぎるほど平凡な顔だ。

だから、大阪にも普通に溶け込んでいると思っていた。
しかし、「違和感バリバリ」だという。

東京弁を喋っていたからか?

「いや、違うな.とにかく俺たちの仲間には見えない」
一人がそう言うと、もう一人が「俺たち、東京が大嫌いだからね。敏感なんだよ」(関西弁を文章にするのは難しいので、以下は東京弁に翻訳)と言った。

東京に行ったことがあるか、と聞いたら「行くわけないわ! 嫌いなんだから!」とまた一方的なご意見。
一度行けば、考えも代わると思うが。

「だから、嫌いだから、行く気はないって!」
かなり筋金入りの東京嫌いと見た。

苦笑しながら、こう聞いてみた。
では、東京の人間が、大阪に越してきて、どれぐらいで関西の人は、東京人を受け入れてくれるのだろう。

「1ヶ月2ヶ月では無理だな。人によって違うけど、2年から5年はかかるだろうな。あるいは、一生受け入れない場合もある」

では、3歳まで大阪で暮らした人が、別の土地に行った場合は、もう関西人ではないのか。
「他がどう思うかは知らないが、俺は認めないな。ただ実家がこっちにあれば関西人だ」

沖縄の人が大阪に嫁いで、下手くそな関西弁を喋ったら、認めるか。
「ぜったい、認めない。下手な関西弁喋られるくらいなら、沖縄弁で喋ってもらった方がいい」

一所懸命に溶け込もうとして話しているのに?
「下手くそな関西弁は、あかん!」

他にも、関東のお笑いや食べ物、人物に関する否定など、かなり過激なことを言っていたが、誤解を与えそうな表現になるかもしれないので、ここでは書かない。

最後に、彼らが、面白いことを言った。

私が、俺は、大阪、嫌いじゃないぜ、と言うと、「ほら、東京人は、すぐカッコつけるからな」と笑われた。
そのあと、真顔でこう言ったのだ。

「東京は、外から入ってくるやつが多いだろ。そして、いつのまにか出て行く。だから、受け入れて忘れて、が当たり前になっている。
大阪も出たり入ったりはするが、大阪の人間は、ここに根付いたものを守ろうとするんだな。
わかるかい? 守っているんだよ、俺たち大阪の人間は、大阪の大事なものを。
カッコつけてたら、守れないからな。そこだけは、わかって欲しいな」


食い終わって席を立とうとしたら、二人に「俺ら、東京人とこんなに喋ったのは初めてだよ。全然おもろなかったけどな」と笑いながら、勘定書をひったくられた。

ちょっと待てよ、と私が言うと、「これも守ることの一つだからな。俺たちに恥をかかせるなよ」と、両手を立てて壁を作るように、勘定書を取り返そうとした私の手を遮った。

そして、「カッコつけてるわけやない。東京もんに負けとないだけや」と出口を指さされた。

私が宇宙で四番目に嫌いなことは、レジなどで、「私が払います」「いえ、ここは私が」という茶番劇を演じることだ。
あれは、必要なのか、といつも思っている。

奢りたいと思っている人がいたら、奢ってもらうのが礼儀だ。
余計なことは、しない方がいい。


私が、そんな私のポリシーに従って、おおきに、と言って頭を下げたら、「アホ!!」と言いながら、一人がコップの水をかけるふりをした。
娘が、ごちそうさまでした、と頭を下げたら、二人とも「オウ! 気ぃつけて帰りや」と笑ってくれた。

いい笑顔だった。



帰りの夜行バスの中で、娘が言った。

「少しまた大阪が好きになったな」

ああ、大阪、串カツ、好っきやねん!
(関西の方、怒らないでください)





2014/02/24 AM 08:35:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.