Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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冗談通じる? 通じない?
世の中には、冗談の通じない方がいらっしゃる。

娘の大学受験日。
試験あとに待ち合わせて、サイゼリアで簡単な答え合わせをした。

確実にできた問題は無視して、答えが怪しい問題だけを娘に憶えておいてもらって、あとでチェックすることにしたのだ。
その結果、ボーダーラインは、楽に超えたのではないか、という結論に至った。

父娘でグータッチをしたあとで、さすがに俺が腹を痛めて産んだ子だ、頭脳明晰なところは、そっくりだな、と言った。

すると、隣のテーブルに座っていた、30代と思われる女性二人が、高速でこちらを振り向いた。
我々の会話が、聞こえたようだ。

顔を見合わせて、「えー! 気持ち悪い」と囁く声が聞こえた。

もちろん私が気持ち悪いのは、私が一番よく知っている。
気持ち悪さ冬季オリンピック、というのがあったのなら、メダルは無理だが、上位入賞する自信はある。

ただ、これは冗談のつもりだったが、よそ様に向けて言った冗談ではなかった。
娘だけが笑ってくれれば(あるいは、ツッコンでくれれば)いいと思って言った言葉だ。

しかし、世の中には、それに真面目に反応する人がいるのだ。
しかも、追い討ちをかけるように、我々の方をチラ見しながら「早く出ましょうよ」と席を立ってしまったのである。

それを見て、私が腹を痛めて産んだ子が、「何じゃ、あれ!」と憤った。
そして、「偏差値、低いんじゃないか」と言ったが、その事実に関しては、ご想像にお任せするしかない。


話変わって、杉並の建設会社にお呼ばれしたので、昨日行ってきた。

「(東京)狛江の分譲地の看板、なかなかよく出来ているじゃねえか」と、応接セットのソファに座るなり、お褒めいただいた。
珍しく上機嫌のようだ。

そして、「このインスタント・コーヒーだがよ。ハイブリッドっていう最上級のものだぜ。ちょっと奮発したんだよな」と私の前に置かれたコーヒーを指さした。

この会社では、社員並びに客全員が飲むのは、お茶と決まっているのだが、私にとってお茶は天敵である。
日本茶、紅茶、ウーロン茶の類いは、すべて私の腹を攻撃するミサイルになる。

ポンポンが、ぴーぴーになるのだ。

だから、私はお茶は、たとえ柴咲コウ様に勧められたとしても、決して飲まないと決めていた。
建設会社の顔でか社長に勧められたら、なおさら飲まない。
飲む意義を見つけられない。

しかし、その私の頑なな態度に、顔でか社長は気分を害することなく、私にだけコーヒーを提供してくださるのが、今では日常の光景となった。
しかも、今回は、意味不明のハイブリッド・コーヒーだという。

お・も・て・な・し。

嫌な予感がする。
東京に20年ぶりの大雪が降る前触れかもしれない(もう降った?)。

ハイブリッド・コーヒー、いとうまし!

インスタント・コーヒーもバカにできませんね。
ドリップ・コーヒーと比べても、鼻を刺激する香りに遜色はない(ような気がする)。
少なくとも私には、ブラインド・テイストをしてもわからないだろう。

そんな風に、インスタント・コーヒーへの感謝の念を胸に溜めていたとき、顔でか社長が言った。

「分譲地に立てる看板だけでなく、近隣にも小さな看板、捨て看を設置したいんだがよ。
一応その筋の許可は取ってあるんで、できるだけ早急にできねえかな。
場所は6カ所程度だ」

もちろん、仰せの通りにいたします。
私は、権力者には、表向きは逆らわないように決めているので、深く頭を下げた。

打ち合わせは、3時間近くにも及んだ。
社長は、捨て看に分譲地の完成予定写真を入れることにこだわったが、私は写真よりも分譲地のネーミングを前面に出すことにこだわった。
写真でイメージをアピールするより、分譲地自体の認知が大事だと思ったのだ。

分譲地の場所と名前を憶えてもらうことが第一。
あとは、現地見学会で個々の客に希望を聞いて、イメージを確立させればいい。

最初からイメージを押しつける必要は、ないんじゃないですか。

時間はかかったが、最後には、社長は私の言い分に納得してくれた。

その間、こちらからお願いしたわけではないが、コーヒーのお代わりが運ばれること4回。
コーヒーを運んでくるたびに、40代の女性事務員さんの眉間の皺が深くなっていった、と思ったのは、私だけではなかったようだ。

その姿を見て、社長が嬉しそうに言った。
「なあ、これが本当の『おかわりなく(泣く)』ってやつだな」
泣く真似をしたのである。

それを聞いて、私の脳の全部が固まった。
ポッカーン!

まさか、それが冗談だとは思わなかったから、同じように思考停止した社内の人全員と顔を見合わせた。

誰もが、まさか、まさか、まさかのポッカーン顔。

まるで料理下手の人が作った豆乳スープが、極上のクリームシチューになったような意外性だ。
笑うわけにもいかず、皆の顔が能面になった。

私の顔もイケメンの能面になった。

しかし、社長は上機嫌な顔を崩さずに、「ハハハハハ、あんたのお相手をしていると、真面目なことを言うのがバカバカしくなってよ。ちょっとボケてみたんだが、伝わんなかったかい?」と笑った。


いえいえ、充分に伝わったでございます。
たいへん面白かったでございます。
私ごときには、思いもよらぬ冗談でございます。

上機嫌な社長は、「そうかい、そうかい、総会屋」と言って、嬉しそうに両手を叩いた。


冗談が通じるようになったのはいいが、これから先もこのクォリティで冗談をぶっ込まれたら、どうしようか、と危惧した私だった。



それに、社員の皆様方も、絶望的に可哀想だな………と。




2014/02/13 AM 07:51:06 | Comment(3) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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