Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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キリンの骨とクロサワ
長い間、秘密にしていたことがある。
私は、熟女よりも若い子の方が好きだということを。
(要するに、ただのヘンタイ)


このブログで書いたことがあるが、昨年の夏に当時21才のポニーテールさんと横浜根岸森林公園で、ランニングが縁で知り合った。
(リンク外れがなければ、コチラ

お互い、人見知り。
しかし、人見知り同士が化学反応を起こすと、仲良くなることもある。

娘のような年の子と仲良くなって、今年の8月からは、毎月一回「居酒屋デート」のお呼びがかかる。

「キリンおやじ(私のことをこう呼ぶ 首が長いので) はなの舞 行こうぜ」というお誘いのメールが来る。
私が都合のいい日を返信すると「予算3千円」と返してくる。
奢ってもらう気は、全くないようだ。

もちろん、「居酒屋デート」と言っても、色っぽいものではない。
ポニーテールさんの話を聞いて、相づちを打つだけだ。
ときに、話の流れで、からかったりすると、張り手が飛んできたり首を絞められたりする。

年頃の娘が、親父に甘えているという図式だろうか。
ちなみに、ポニーテールさんのご両親は、奄美大島でご健在である。

先週、そのポニーテールさんから、「キリンおやじ はなの舞オーケーか」というメールが来た。
都合のいい日にちを返すと「ありがとね」という返事が来た。

いつもと違う、その文字を見て、嫌な予感がした。

嫌な予感のまま、19日に東京品川の「はなの舞」にいくと、ポニーテールさんの隣に彼氏がいて、私の姿を認めると急速に立ち上がった。

「キリンおやじさん、ご無沙汰をしております」
頭を下げられた。

しかし、私は「キリンおやじさん」という名前ではない。
ブラッド・ピットという正式な名前があるのだが、面倒なので、特定の人にだけ「キリンおやじさん」と呼ぶことを許している。

堅苦しい雰囲気が嫌いな私は、とにかくビール、ビールがなければ人生じゃない、と言って3人分の生ジョッキを注文した。

まあ、乾杯といこうぜ。
ほら、足を崩して。
ああ、掘りごたつだから、崩せないかあ。
おや、ナツミちゃん(ポニーテールさん)は、顔を崩しちゃったかあ。

いつもなら張り手が飛んでくるところだったが、距離が遠かったからなのか、緊張からなのか、私の頬に異変は起こらなかった。
だが、とりあえず、空気を和らげるために言ってみた。

俺の方は、足も崩すし、顔も崩すし、ついでに一万円も崩しちゃおうかなぁ。

「・・・・・・・・・・」

墓穴を掘ったか。

堅苦しい空気のまま、「キリンおやじさん」と言われた。
「ナツミさんに、プロポーズをしたところ、キリンおやじさんのご意見を伺ってからと言われまして」

なんだよ。
かしこまりやがって。

俺の一番苦手な展開じゃないか。


職業は介護用品の営業。
27歳の背の小さな男。
顔はエラが張っていて、鼻は鷲鼻。
いい男の範囲からは、大きくずれていた。
しかし、その目は清く澄んでいた。

ご実家が、横浜戸塚でアパートを2軒経営している長男。
だから、経済的な部分で言えば、いい物件だ。

しかし、彼は性格が「嫌なやつ」なのである。

普通、自分の彼女が、得体の知れないオッサンと仲良くしていたら、うさん臭く思うのではないだろうか。
だが、彼は初対面のときから、私に対して雑念を感じさせない、程よい礼儀を持って接してくれたのである。

こんな嫌なやつが、世の中にいるだろうか。

その嫌なやつが、私がほとんど冗談で言った「東京でのナツミちゃんの親代わり」という「おとぎ話」を信じて私に筋を通そうとしているのだ。

乾杯のあと、私の顔を泣きそうな顔で見つめているポニーテールさん。

その顔を見て、感じた鼻の奥の痛覚。

もしかしたら、今夜の試合、俺は完投は無理かもしれない。
セットアッパーとクローザーを用意してくれないと、俺は持たないかもしれないと思った。

しかし、親代わりの威厳を持って、ポニーテールさんに、私はこんなことを聞いた。

ナツミちゃんが彼のことを好きなのは当たり前として、もう一つ、彼のいいところを俺に教えてくれ。
何でもいいから。

ポニーテールさんが、ほとんど間を置かずに言った。
「彼が、キリンおやじの存在を変に思わなかったことかな。
普通だったら、どこのキリンの骨(!!)とも思えないオッサンを連れてきたら、ゼッタイ変に思うはずだよね。
でも、彼は、普通に受け止めてくれた。
それが一番だったね」

こいつ、俺を泣かせようとしているな。
でも、その程度のことでは、俺は泣かないからな。

鼻の奥が、つーーん。

横を向いて、ジョッキを飲み干した。

私がお代わりを頼む前に、彼氏が、私のジョッキを掲げて、店員にお代わりを頼んだ。

気を使いやがって。
本当に、嫌なやつだな。
まったく気に食わないやつだ。


気には食わないが、俺は賛成するぞ、と答えた。


すると、二人が立ち上がって、頭を下げた。
さらに、二人が抱きつかんばかりに喜びを表現するのを見て、私はイカの漁師焼きを食うことに専念した。

食いながら思った。

なんなんだ、この「おとぎ話」は。
俺は「キリンの骨」だぞ。
君たちとは、何の関係もないではないか。

「キリンの骨」に、なぜ筋を通す?

こんなことで、ポニーテールさんのご両親の理解を得られるのか。

しかし、事態は、高速で進んでいく。
ポニーテールさんが、言った。

「キリンおやじは、私たちの結婚式に出るのは嫌だよねえ」

それは、そうだ。
私のポジションを理解してくれるのが新郎新婦だけ、という状況に私は耐えられない。
そんな拷問は、受けたくない。

「だからさ。結婚式の前に、キリンおやじのための結婚式をしようと思うの」

俺のための結婚式を?
本当に「おとぎ話」だな。
結婚式前に、無駄な時間を使うなよ。

「無駄じゃないよ。二人で決めたんだ。まだ具体的には何も考えてないけど、絶対にやるからな」
キラキラした4つの目が私を見た後で、頭がふたつ深く下がった。

鼻の奥が、つーーーん。


そうか。
こんな手もあったのか。
この展開は、予想外だった。

鼻の奥が、つーーーん。
汚い涙オヤジになった私は、こう呟いた。


俺に完投は、もう無理だ。
クローザーを・・・・・・・クローザーを呼んでくれ。


そう私が呟いたとき、「はい、なんでしょう」と言ったのは、ナツミちゃんの彼だった。

ん?

「クロサワは………黒沢は、僕ですけど」




いや、そんなオチは、いらないから。




2013/11/21 AM 06:08:01 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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