Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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キャンドゥした
鼻から内視鏡を食ったあとで、オネエにしか見えない女医に、「消えてますね」と言われた。

何が消えたのかは想像にお任せするが、消えたことは目出たいことらしいので、素直に喜んだ。

そして、次の日。
高校3年の娘のお友だちのアミちゃんが、イタリア産のワインを持ってきて、「パピー(私のこと)、おめでとう、治ったんだってね。飲もうぜ」と言った。

いやいや、君たちは飲んではいけませんよ。

「じゃあ、美味しいもの、食わせろよ」

結局、病気が治ったことに便乗して、私の料理を食いたいだけなんだな。
こじつけじゃないか。

「こじつけ、と言えば、私、コジハルが好きなんだよね」とアミちゃん。

話が飛び過ぎてよくわからない。
「コジハル」というのは、新しく聞く言葉だ。

「こじつけ」から飛んできた言葉だから、きっと意味はそれに近いのだろう。

コージーコーナーの春巻き……とか(ぜんぜん近くない)。

「それじゃあ、コージーハルだろうが!」

適切なツッコミ、ありがとうございます。

「エーケービーの小嶋陽菜(コジマハルナ)のことだぁ!」

それでは、略し方に工夫がない。
当たり前すぎて、意外性もない。
その場合、普通「コジルナ」ではないのか。

私が、そう言うと、アミちゃんが、まるで道端に落ちている、カレン、ジェシカ、アンジェリカを見るような尊敬する目で言った。
「パピーさあ……、子どもの頃、可愛げのないガキ、だって言われなかった?」

確かに言われた。
ルックスは可愛かったが、性格は、クソでキモくて終わってる、って言われてた。
(もちろん、昔は、そんな上品な言葉はありませんでした)

という女子高生に無理矢理合わせた会話の中で、私は、妙に居心地の悪い感覚、まるでデーブ・スペクターさんの巧みに計算された古典的なダジャレを全身で受け止めたときのようなズレを感じ取ったのである。

アミちゃんの髪の毛を凝視した。
長さは同じだが、馴染んでいないような気がした。

アミちゃん、それってエクステンションじゃない?
それに、君、アミちゃんじゃないよね?

「おぬし、できるな!」と言ったのは、娘だった。
「なぜ、わかった?」

顔は同じだが、俺が知っているアミちゃんは、俺をいつも軽蔑の眼差しで見ていた。
しかし、君には、俺に対する軽蔑がない。

つまり、あなたは別人だ!
You are not Amichan!

というようなバカげた展開の後、本当のアミちゃんが、オンボロアパートのドアを蹴り倒して、姿を現した。
アミちゃんの振りをしていたのは、妹のユミちゃんだった。

アミユミ。
まるで、PUFFYではないか。

それはパクったということか、と私が聞いたら、「私たちが生まれた頃、PUFFYはまだデビューしていなかった」と言われた。
確かに、PUFFYのデビューは、彼女たちが生まれた1年後だから、パクリではない。
面白い偶然、と言っていいかもしれない。

このアミユミは、双子。
マナカナよりも精度の高い双子っぷりである。

違いは、アミちゃんが髪が長くて、ユミちゃんがショートということだけだ。
今回、ユミちゃんには初めて会ったのだが、目と鼻と口の配置は、まるで双子のように似ていた。

それは、あたかも、フォトショップCSで人物を切り取って、コピー&ペーストし、髪の毛を短く加工したあと、洋服の色を変えたような双子だった。

だから、君たちのことを、「フォトショップCS5&CS6姉妹」と名付けよう。

「伝わりづらいわ!」

そのあと、鳥の唐揚げ、マグロカツ、海老フライ、バーニャカウダ、シジミとエノキダケの和風パスタを食いながら、女子高生と話をした。

当然の流れとして、双子の話題になったのだが、私は誰もが聞くような「双子って、異性の好みも一緒なの? 片方が具合悪いときは、もう片方も具合悪くなるの? 洋服の趣味も一緒なの?」などという、ありきたりのことは聞かない。

もし、ウサイン・ボルトが双子だったら、どうなると思う? という話題を振った。

「兄弟で金メダル銀メダルを取るわよねえ」

違う!
絶対に、片方の名は、「ロッカク・ボルト」に、なっていたはずだ。

白けたぞ。
デーブ・スペクターさんは、このシラーっとした空気さえも織り込み済みで、天才的なダジャレを言うのだから、たいしたものだと思う。
私だったら、心が折れてしまうだろう。

心が折れかけた私だったが、双子の話題をそのまま続けた。

じゃあ、イチロー選手が、双子だったら、どうなっていたと思う?

私のことを軽蔑の眼差しで見ながらアミちゃんが、「弟はジローになるんじゃない?」と投げやりに言った。

違う!
ご両親はきっと、次に七つ児を産んで、野球チームを作るはずだ。
「オールマン・ブラザース・ベースボール倶楽部」を!

もはや、心地よいほどに、白けた空気。
唐揚げとマグロカツ、海老フライが綺麗に消費され、全員が無言でパスタと格闘していた。

しかし、ここでめげるほど、私はウブではない。

では、織田信長が双子だったら?

「歴史が変わるわよね」と、懸命に答えを探し出してくれたのが、我が娘だった。

感謝感謝。


いや、この場合は、どちらかが相手を暗殺しただろうな。
それが、戦国の領主の掟だ。

私がボケた答えを言うと思っていたのか、全員が、舌打ち寸前の軽いコケ芸をした。

その耐え難い空気を救ってくれたのが、またしても娘だった。

「リョウシュって、なんだ?」

ほら、買い物をしたとき、おつりと一緒に貰うだろ、あれだよ。

「それはリョウシュウショ!」
思った通りの間で、娘がツッコんでくれた。

トイレの後に、臭いを消すために噴射するやつだよ。
リョウシュウリキ。

「それは、ショウシュウリキ!」
これも、完璧な間だった。

さらに、刑事が取調室で……、と私が続けたとき、アミちゃんが、それを遮って、「それ、どこまで続くの!」と、下手な漫才を見せられた関西人のように「勉強し直してこいや、ボケ!」という目で、私を見据えた。

そして、「あんた、こんな父親で、よく我慢してるね」と慈悲深い目を娘に向けた。


そのとき、身長159センチ、体重40.5キロ、一年の一学期からクラストップを維持する成績優秀な娘(親バカ)が、名言を吐いたのである。


「こんな親じゃなきゃ、いる意味がない。いないと、人生がつまらない!」


その言葉は、私の心のハートのど真ん中のセンターを199キロの豪速球で震動させた。

感動した、と言っていい。

だから私は、言葉に出して、キャンドゥした、と呟いた。

そうしたら、アミユミに、「パピーさあ、せっかく娘が感動することを言ったんだから、素直に喜ぼうよ。キャンドゥじゃ、100円ショップじゃないか。今の言葉は、そんなに安くないでしょうが」と怒られた。

いや、キャンドゥの由来は、100円で品質のいい商品を提供することで、人々を感動させようと思ってつけられ………。

「また、嘘ばっかり!」
アミユミにユニゾンで怒られた。

はい、申し訳ございません。
本当に感動いたしました。
自慢の娘でございます。

そう頭を下げたら、アミユミが、両側から頭を撫でてくれた。


そのとき思った。

双子の女子高生に頭を撫でられるのも、気持ちいいものだということを。



キャンドゥした。

(お断りしておきますが、私はキャンドゥの回し者ではございません)




2013/09/07 AM 07:10:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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