Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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「ワーイ」の100乗
極道コピーライター・ススキダから頼まれた輸入雑貨ショップの仕事が、10日前に終わった。

そして、中央線の特別快速並みの高速で、ギャランティが支払われていた。
しかし、こちらの請求額より少し多く入金されていたので、文句の電話をかけた。

「いや、それはだな……レイコ(ススキダの奥さん)が、仕事の打ち合わせをするのが初めてだったんで、おまえに迷惑をかけたんじゃないかと思ってな。
だから、それは迷惑料+レイコに対する教育料だと思ってくれ」

教育なんて、俺はしていないぞ。
教えたことと言えば、バレない不倫の仕方だけだ。

私がそう言うと、ススキダが「コロす!」と凄んだ。

だから、「殺さないでください」と、威厳を持って電話を切った。


レギュラーの浦和のドラッグストアの仕事をしていたとき、iPhoneが震えた。
ディスプレイを見ると、知らない電話番号だった。

「拒否」ボタンを押そうとしたら、左手の親指が私の意思に逆らって、「応答」ボタンを押してしまった。

「ユミコさんのご主人さまの携帯でよろしいでしょうか?」
聞き覚えのない声だ。

新しい手法の振り込め詐欺ではないかと思った。
私のヨメをダシにして、全財産の5兆円を私に振り込ませようというのか。

身構えた。

しかし、続けて聞こえて来たのは、まるで今すぐ漏らしそうなほど切羽詰まった女の声だった。
「待ち合わせの時間に、奥さんが来ないんです!」

12時半にランチの約束をしたのだが、1時10分になってもヨメが姿を見せないのだという。
それで、以前に、どういうわけか私の携帯の番号をヨメから教えられていたので、私のiPhoneに電話をかけてきたということらしい。

「何か、あったのでしょうか?」

電話はしましたか?

「しましたけど、出ないんです」

私は、ヨメの行動を熟知しているから、ヨメがなぜ電話に出ないのか、知っている。
自分のiPhone5を置いた場所を忘れたからだ。

いまヨメは、必死になって、iPhone5を探しているに違いない。
しかし、多くの人が経験あるように、探せば探すほど大事なものが見つからないというのは、天才アインシュタインをも悩ませた問題である。

ただ、私はヨメのiPhone5のある場所を知っていた。
私は、何でも知っているのだ。

朝早く、ヨメが台所で洗い物をしていたとき、シンクの横の引き出しに置き忘れたのが、そのiPhone5だった。
おそらくiPhone5は、その場所から動いていないものと思われる。

そして、ヨメが、そのことに気づくことは一生ないだろう。
まったく関係ない場所を懸命に探しまわっているに違いない。

だが、知っていて教えないとなると、夫婦関係に亀裂が入る恐れがあるので、親切な夫である私は、オンボロアパートの階下に降りて行って、ヨメにiPhone5の場所を教えた。

「えー! 誰が入れたの! こんなところに?」

そうヨメが言ったので、iPhoneも、たまには孤独になりたかったのさ……な〜んちって! と答えた。

白けた。

ヨメは、まるで怖いものから逃れるようにして、1時26分に家を出た。
(家を出たといっても、家出をしたわけではない)


その後に電話をしてきたのは、高校3年の娘だった。

「斉藤さんって、知ってるか?」

ああ、知っている。
今度始まる日本テレビのドラマだな。
観月ありさ主演の。

「バカか、おまえは! リアルな斉藤さんだよ!」

「斉藤さん」の原作はマンガだが、話はリアルだ。
他に、リアルな「斉藤さん」がいるのか?
俺は、知らないぞ。

「リアルにいるんだ。
篠原涼子を愛しさと切なさと心強くしたような感じの相当な美人だぞ。
心当たりはないのか?」

それは、お得意さんの斉藤さんだな。
色々な業種のプロデュースをしている会社のチーフ・プロデューサーだ。
最近、横浜元町の支社から新宿本社に移ってきたお方だ。

「やっぱり、知っとるのかい!
で、その斉藤さんが、なんでオレの顔と名前を知っているんだ?
いつもお父さんには、お世話になっていますって言われたぞ。
まさか……お世話をしているのか?」

iPhoneの中の家族写真を見せただけだ。
家族がいるということをアピールしておかないと、惚れられてヤケドをすることもある。
用心のためだ。

「おまえ、キモイな。鬼キモイな」

いや、鬼ではなく、神だと言ってくれ。
神キモイと。

「ケッ! 虫けらキモイわ!」

電話を切られた。
(虫けらキモイは、もちろん最上級の褒め言葉だと思うが)


その後、同業者のお馬さん(人類史上最も馬に激似の男)から電話があった。

二十歳で結婚した息子に子どもが生まれたのだが、2年で離婚。
その息子が、つい最近、子ども連れで実家に出戻ってきて、お馬さんがヒマなときは、孫の面倒を押し付けられているという。
(お馬さんは説明能力が3歳児なので、この程度の話を説明するのに、17分25秒の時間を要した)

お馬さん一世、お馬さん二世、そして、孫が三世。
埼玉のご自宅は、まるで厩舎ですな。

息子も奥さんも出かけていて、お馬さん三世(1歳2ヶ月)に、何を食わせたらいいかわからない。
だから教えてくれ、と嘶(いなな)かれた。

ニンジンを生で、と答えた。

「生で? そのままで? それじゃ、馬みたいじゃないですか」

だって、馬じゃないですか。

しかし、それではお馬さん三世が、あまりにも可哀想なので、事細かく教えてさし上げた。
とても感謝された。

ヒヒ〜〜〜〜〜〜〜ン!


トリを飾るのは、WEBデザイナーのタカダ君(通称ダルマ)。

晩メシを食い終わった午後8時36分に、ハイテンションで電話をかけてきやがった。

「師匠! 喜んでくださいよォ!」

わかった。
ワーイ! ワーイ! ワーイ! ワーイ! ワーイ!

これでいいか、と言って電話を切った。

しかし、それから6分待っても、ダルマから電話はかかってこなかった。
いつもなら、「師匠! 冗談はフェイスだけにしてくださいよぉ!」と間抜けな電話がかかってくるはずなのに………。

心配になって、こちらから電話をかけた。
さっきの電話のあと、顔面発作で苦しんでいるかもしれないからだ。

予想に反して、ダルマが普通に出た。

あれでよかったのか、と聞いた。

「はい、さすが師匠ですね。俺の言いたいことが、すぐわかったんだから」

(ダルマの言いたいこと?)
えーーーと、要するにぃ、二人目ができたってことだよな。

「ああ、やっぱり、わかっていたんですね。何も言わなくても通じるんですねえ! 師匠には!」
(タカダ君、悪いが、俺はテキトーに答えただけですよ)

いや、しかし………、タカダ君、俺は間違っていたかもしれない。
この場合は、「ワーイ」の5乗ではなく、「ワーイ」の100乗でなければいけなかったんだ。

95乗も少ないなんて、君に悪いことをした。
謝るよ。

だがね、タカダ君。
今の俺は、体力的に「ワーイ」の100乗は無理だ。
だから、95乗を「借り」にしておいてくれないだろうか。

私がそう言うと、ダルマは即答した。
「わかりました。『ワーイ』の95乗を俺の『貸し』にすればいいんですね」

悪いね。

「いや、大丈夫です。なんの問題ありませんよ」


(よかった。ダルマが、愛すべきアホで)


ワーイ!


(これで、「ワーイ」の94乗に減った)



タカダ君、トモちゃん(ダルマの奥さん)、おめでとうございます。


誕生予定日を聞くのを忘れたが、おそらく年内には生まれることだろう。

それまでに、「ワーイ」の94乗をお返しすることを、今回のマニフェストに追加しておこう。



2013/07/07 AM 08:07:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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