Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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みみっちくて器がでかい
酒の席では、色々な話が出る。

悪口も。

昨晩、同業者のカマタさんから、「matsuさん、みみっちい男って言われてるよ」と言われた。

その件に関して、反論するつもりはない。
確かに私は、みみっちい男である。
その自覚は、人に言われなくても赤ん坊の時から絶えず持っていた。

しかし、言った相手がコバヤシだというので、軽い言い訳を、ここでしておきたい。

これは、人の悪口になるので、悪口が嫌いな清々しい方は、ご遠慮いただいた方がいいと思います。
ただ、悪口ではあるが、陰口ではない。

なぜなら、このブログをコバヤシが読むことが確実だからだ。


コバヤシは、仮名である。
本当は、ハ●シというのだが、(器が)小せえ男なので、コバヤシと呼ぶ。
同業者の半分以上が、そう呼んでいる。

ただ、コバヤシは同業者ではない。
だから、同業者の飲み会に参加する資格はない。
一度、コバヤシから「参加させてくださいよ」という申し出があったが、多数決の結果、同業者7人中6人が拒否したので、彼の願いは叶えられなかった(我々は民主主義的組織なのである)。

コバヤシは、印刷ブローカー(印刷物を頼みたい人と印刷会社の間を取り持つ仕事)だ。

私がコバヤシの存在を知ったのは、7年ほど前だ。
何度か仕事の打診があった。

しかし、あまり条件の良くない仕事ばかりだったので、毎回断っていた。
コバヤシの横柄な物言いも気に食わなかった。

人に仕事を頼むときは、頼み方というのがある。
どれが正しい頼み方か、というのはその時々で違うと思うが、コバヤシの頼み方は、どんなときでも横柄だった。
だから、私は拒み続けた。

しかし、5年前に仕事を請けた。
ある大学の新しいキャンパスのパンフレットに載せるパース図の仕事だった。
面白そうな仕事なので、請けた。

最終工程まで行って、仕上げの段階になったとき、気がついたら午後11時を過ぎていた。
そのときは、最終工程をクライアントに見せるために、大学の事務所で仕事をしていた。

そこは、私が当時住んでいた埼玉の団地から20キロ以上離れたところだったし、私は電車とバスを乗り継いで来たから、帰りの足がない状況だった。

仕事が終わったあと、コバヤシの車で送ってもらうことになった。
団地近くまで来て、「そう言えば、晩メシを食ってないな」とコバヤシが言うので、団地近くのファミリーレストランでメシを食うことにした。

ただ、私は家でカップ麺を食う予定だったので、そこでは、生ジョッキと枝豆だけにした。

コバヤシには、私が奢ると言った。
わざわざ遠回りして送ってくれたのだから、それが最低限の礼儀だと思った。

コバヤシは、「俺、肉が大好きなんだよね」と言って、ステーキ定食を頼み、定食にはサラダがついていたが、他にシーフードサラダ、スイーツ、ドリンクバーを頼んだ。

たいした食欲である。

みみっちい話だが、そのとき私が支払った代金は、私の分800円前後に対して、コバヤシのは3200円を超えていた。

コバヤシは、「ごちそうになったな。今度は俺が奢るからさ」と6歳年上の私に対して、絶えずタメグチで言いながら、夜の闇に消えていった。

それからもコバヤシは仕事の話を持って来てくれたが、私の趣味に合わないものばかりだったので、今回は遠慮しますよ、と言って断り続けた。

最初の仕事から1年半が経ったころ、コバヤシが切羽詰まった声で電話をかけて来た。
「仕事をしくじりそうだから、助けてよ」

助けてもらいたいときでも、タメグチだった。

コバヤシの妹さんがパソコンが出来るので、簡単なチラシのデザインを頼んだら、画像がすべて吹っ飛んでいたという。
RGBとCMYKの違いがわからない妹さんだったらしい。

印刷会社のオペレーターに頼んで、画像を変換してもらえばいいと言ったら、一旦は納得したが、すぐ後に「画像の色が違う。これじゃ、クライアントから怒られる」と、また泣きついてきた。

印刷会社のオペレーターに、色の修正まではできないと言われたという。
断るのも面倒くさくなって、印刷会社に出向いた。

「今日の3時までに校了にしないと間に合わないんだ。できるよな!」とタメグチ。

誰か、コイツに仕事の頼み方を教えてやってくれ。

文句を言っても仕事が遅れるだけなので、無言で仕事を始めた。
午後1時半を過ぎていた。

画像の数は6点。
商品の画像だ。
オリジナルの色を知らないので、1点1点コバヤシに確かめながら修正した。

そして、3時前に何とか仕事は校了。
昼メシを食っていなかったので、思わず、腹へった、と呟いた。

「ああ、お昼まだだったのか。じゃあ、ちょっと待ってて。前回奢ってもらったから、今回は俺が奢るよ」

なかなか、気が利くではないか。
見直した。

10分ほど席を外して帰って来たコバヤシが手に持っていたのは、マクドナルドの袋。
「はい」と渡された袋の中をのぞいてみたら、中に入っていたのは、ハンバーガーが一つだけ。

100円マック。
(実はマックのハンバーガーを食うのは、これが初めてだった! 機会を与えてくれたコバヤシに感謝!)

ありがとうございます。
美味しくいただきました。
ただ、できればコーヒーをつけて欲しかった。

それからもコバヤシからは、半年に1度の割合で仕事の打診があったが、すべて断った。

だが、今週の月曜日のことだ。
吉祥寺のヨドバシカメラで、掃除機のノズルを買った帰りに、ヨドバシカメラの一階の出入り口で、一番声を聞きたくない相手から声をかけられたのである。

「痩せたよねえ、matsuさん」

人違いの振りをして通り過ぎようとしたが、買い物袋を持った右手をつかまれた。

「ちょうど良かった。いい仕事があるんだ。話を聞いてくれないか」

どうせ断ることになるから無駄だ、と言ったのだが、コバヤシはつかんだ手を離してくれなかった。
手を振りほどくのも大人げないので、仕方なく近所のカフェに入った。

昼メシがまだだったので、メシを食うことになった。
コバヤシは、ビーフシチューと3種類のパンの盛り合わせ。
私は、サンドイッチとコーヒーだった。

仕事は、ギャランティは珍しくよかったが、時間が非常にタイトだったので断った。

しかし、コバヤシに文句を言われた。
「難しいからこそ、やるのがプロでしょ!」

それに対して、私は、できないものはできないというのがプロだ。
クライアントに迷惑をかけたくない。

「高い金を貰ったら、やり遂げるのがプロだよ」とコバヤシ。

俺は、その高い金を貰っていない。
請けたら、仕事と金に対して責任は負うが、俺は請けるつもりはないからな。

「仕事の内容を全部聞いといて、断るなんて非常識だ!」

そんな非常識な男を呼び止めた君が悪い。
俺は、話は聞くと言ったが、やるとは言っていない。
それに、仕事を頼むときは、最低限、対等の立場でものを言った方がいい。

「俺は客だ」

客ではない。
仕事を請けたら客だが、それでも対等だ。
仕事を請けたとしても、俺は君の下につくつもりも、上に立つつもりもない。

「そんなんだから、いつまでたっても、さえねえんだよ!」
コバヤシが、捨て台詞を残して立ち上がった。
そして、そのままカフェを出て行った。

カフェに独り残された「さえない男」。
「さえない男」は、思った。

私の昼メシ、850円。
コバヤシの昼メシ、1580円。

私には、その1580円を支払う義務はない。

だから、コバヤシの携帯に電話をかけた。

私が謝るとでも思ったのだろうか。
コバヤシは、どこか嬉しげなトーンで、「するのか?」と第一声を放った。

昼メシ代、1580円を忘れていますよ。
俺は、自分のしか払わない。
その代わり、カフェのレジに、君の名刺を置いていく。
もし支払わなかったら、無銭飲食で訴えてもいいと言っておくが、それでもいいかな。

3分後、コバヤシがカフェに戻って来て、レジの男の人に何かを訴える姿が見えた。
レジの男性は困惑顔で、「この人は何を言っているのか」と周りをキョロキョロと見回しはじめた。

私は立ち上がって、伝票を上に持ち上げ、コバヤシの背中を指差した。
レジの男性は、それで納得したようである。
私が手に持った伝票を恭しく受け取って、レジに戻った。

代金を支払って、カフェを出る間、コバヤシは私の方を一度も見なかった。

そして、その日の夜、コバヤシは、同業者のカマタさんに「matsuは、みみっちい男だぜ」と陰口を叩いたという展開になる。



みみっちい男は、今とても反省している。

だから、今度コバヤシに会ったときは、私の方から奢らせてもらおうと思う。

マクドナルドのハンバーガー。

コバヤシが私に奢ってくれたときは100円だったが、今は120円。

つまり、20円分だけ、私はコバヤシよりも器がでかいということ。



みみっちい?



2013/06/27 AM 06:00:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

普通の子が漏らした?
極道コピーライターのススキダに、世間ではアベノミクス、アベノミクスと騒がしいが、世界的にはハツネミクスの方が有名だろう、と言ったら、「おまえ、俺だからいいが、人様にそんなことを言ったら、人格を疑われるぞ」と凄まれた。

はい、すみません。
熱でモウロウとしておりました。
私が、悪うございました。


しかし、さらに人格を疑われることを書こうと思う。
ここからは、汚い表現がありますので、食事前、食事中の方は、ご遠慮ください。


このブログで、私の変態的太ももフェチぶりを繰り返し書いたので、私がヘンタイだということは、もうおわかりだと思う。

だが、私には、もう一つフェチがあることは、あまり知られていない(当たり前)。

おでこフェチ。

女性の無防備にさらされたオデコを見ると、そのオデコにキスしたくなってしまうのである。

ベッキーさんのオデコが目の前にあったら、私は吸い付いて一生離れない自信がある(スッポンか)。


なぜオデコと太ももが好きなのか。

それは、200数十年前にさかのぼる。
中学1年の頃、私は内藤洋子さんという女優を初めて好きになった。

その内藤洋子さんは、いつもオデコをさらし、映画ではテニスウェアなどを着て、健康的な太ももを見せていた。

内藤洋子さんは、私が中学2年のとき、19か20歳の若さで結婚し、芸能界を引退した。
活動時期の極めて短い女優さんだった。

しかし、私の脳裏には、その光るオデコと健康的な太ももが強烈に焼き付けられ、私の変態的嗜好は、中学2年のまま成長せずに今に至っている。

その中学2年の変態BOYが、内藤洋子さんのオデコと太ももを見て、何と言ったか。


内藤洋子のオデコと太ももが可愛すぎて、ウ●コを漏らしそうだ〜〜〜〜〜!


下品に思われるかもしれないが、これこそが、私が人を最大限に評価するときの「極上の褒め言葉」なのである。

私の友人たちは、そのことを知っているから、私の口からそのフレーズが出ると、「ああ、コイツは相当気に入っているんだな」と納得する。

年に1回か2回は、このフレーズを使う。

たとえば…………、

柴咲コウのアイ・パワーがストロングすぎて、〜〜〜を漏らしそうだ〜〜!
ガッキーのスマイルがエンジェルすぎて、〜〜〜を漏らしそうだ〜〜!
アンジェリーナ・ジョリーのデサイシブがスプレンディッドで、〜〜〜を漏らしそうだ〜〜!

………というような使い方をする。

稚拙で下品な表現方法であるが、友人たちからブーイングが出たことはない。
ただ、我がヨメからは出る。

「子どもに悪影響を与えるから、止めてくれない?」

その主張は、わかる。
それは、私もわかっているので、子どもが小さい頃はその表現を使っていたが、子どもが小学校高学年になる頃には、完全に封印した。

私は、常識的なヘンタイなのだ。

息子は私に似ずに、極めて真面目で常識的な人間だから、私の口癖を真似ることは少ない。
しかし、いま高校3年の娘は、私に体質、思考方法、好みなどが似ているクローンだから、確実に真似をする。

だから、娘の前では、この表現を絶対に使わないように、私は気を配って来た。
非常に苦しい選択だったが、娘のために私は、上品な父親を演じてきたのである。


ところで、我が家には、頻繁に娘の友だちが、晩メシを食いにくる。
食いにくる女子高生は、6人。
一度に全員が来るわけではないが、2〜3人が、週に2回程度やってくる。

昨日の晩も二人来た。

一人は、以前我が家に1年ほど居候をしていた「居候さん」。
彼女は、「小腹が空いたので、晩ご飯までのつなぎに米を2合ほど食べておこうか」と言って、おヒツの2合メシに塩をふりかけて食うという、ごく普通の女子高生である。

もう一人は、イッちゃん。
彼女は、「人の作った洋服なんて気持ち悪くて着られるかあ!」というポリシーを持っているから、自分の着る下着、パジャマ、洋服、制服をすべて自作するという、ごく普通の女子高生である。

居候さんは、豚ヒレカツ丼を「控えめに」3杯食って、キャベツ半分を使った千切りをアッと言う間に消費し、ドンブリ一杯の味噌汁を2度おかわりするという、普通の晩メシを摂取した。

イッちゃんは、居候さんが「普通の量」の晩メシを食う間、43分かけて豚ヒレカツ丼を普通に消費した。

晩メシが終わったあとで、居候さんが「パピー、iPad貸してくれる?」と言うので、貸した。

どうやら、3人で動画を見るようだ。

何を見ているかというと、居候さんとイッちゃんは、アーティストの布袋寅泰氏の大ファン(渋い?)。
つまり、布袋氏のミュージック・ビデオを見ていた。

「キマッテルね、カッコいいね」
「あのヘアスタイルが最高だよね」
「ギターが、ギュインギュイン歌ってるじぇ〜。クールだあ!」

などと、興奮の極地。

普通の女子高生が、布袋寅泰氏のMVを見てキャーキャー言うという、普通の場面。

その普通の場面に、突然出現した「呪いのことば」。


「布袋さんのギターがカッコ良すぎて、ウ●コを漏らしそうだあ〜〜〜!」

イッちゃんの言葉に同調するように、居候さんが、「おおおおお! 漏らした〜、漏らした〜!」と叫ぶ。


え?

え?

んんんんんん………え?(3度見)


それは、普通の女子高生の間で、いま流行っている言葉なのか。

しかし、こんなお下品な言葉が、流行るものだろうか。

念のため、ネット検索をしてみたが、その表現が流行っているという情報はなかった。



ということは………これって、もしかして………。

いやいや、まさかね。

しかし………。



どう思います?



2013/06/22 AM 07:13:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | [子育て]

38.8度の高熱(同居人から同居人へ)
以前のブログで書いたが、極道コピーライター・ススキダの仕事を手伝うことになった。

輸入雑貨店のポップと取扱説明書を兼ねた小冊子の組版である。
打ち合わせに関しては、ススキダが忙しいので、奥さんが担当することになった。

打ち合わせは、今まで2回あった。
しかし、その2回ともススキダがついてきやがったのだ。

過保護なのか、それとも、奥さん離れができていないのか。
忙しいってのは、嘘なんじゃないか。

「まったくウザいんですよ、コイツ」と言いながらも、嬉しそうなススキダの奥さん。

嫉妬  S H I T !

今回の仕事に関しては、打ち合わせは確認事項だけである。
今まで他の人がやってきた仕事だから、フォーマットは既にできている。
こだわるところと言えば、色使いだけだ。
つまり、色だけを確認すればいい。

楽すぎて、拍子抜けするほどだ。

中央線武蔵境駅から程近いサイゼリアで、ピザマルゲリータと生ジョッキを奢らせてやりながら、打ち合わせを進めた。
ススキダの奥さんとススキダは、ドリンクバー。

ススキダは、相変わらず小指を立てて紅茶をすすっていやがる。
それを見るたびに寒気がする。

本当に寒い………。

ススキダが言う。
「そう言えばな、ウチダさんが入院してるんだ。過労と急性胃炎らしいが、検査も兼ねて、しばらく入院するらしい」

京橋のウチダ氏は、イベント会社を独りで運営している「出来るイケメン」である。
業者を適材適所で使いながら、どんなに忙しくても仕事をミスることなく、いつも鮮やかな仕事ぶりを見せてくれる尊敬できる男だ。

私も4年前に、急性胃炎と急性気管支炎、栄養失調で入院したことがある。
イケメンは、急性胃炎になりやすいのかもしれない。

ウチダ氏は、レベル1のイケメン。
それに対して、私はレベル99のイケメン。

その差は、たとえば俳優の福山雅治氏とアンガールズの田中卓志氏程度の差しかない。
たいしたことはない。

ウチダ氏は、私より5歳年下だが、私は彼をこの世で2番目に尊敬している(1番目は教えない)。

だが、2歳年下のススキダのことは、ゾウリムシ程度にしか思っていない。
(ゾウリムシさん、申し訳ない)

そうか……ウチダ氏が入院を。
見舞いにいかなければ、いけないな。

「いや、ウチダさんから言づてがあるんだ。『Mさんに見舞いにきてもらったら困る。あの人は、きっと病室で柿の種をポリポリしながら、クリアアサヒを飲むだろう。そんなことをされたら俺の肩身が狭くなる。だから来ないでくれ』と」

いくら俺が非常識だからといって、病室で柿の種とクリアアサヒはないだろう。
せいぜいが、柿の種ポリポリくらいだ。

「いや、だから、それをされたらウチダさんが困るんだよ。絶対に行くなよ!」

しかし、尊敬する友人が入院しているのに見舞いにも行かなかったら、俺は人間でなくなる。

俺をススキダ・カズキにするつもりか!

私がそう言ったら、ススキダの奥さんが手を叩いて喜んだ。
ツボに入ってしまったようである。

私も同じように手を叩いて笑ったら、ススキダに「 Fuck You ! 」と鬼の形相で褒められた。

だから、Sorry と言って胸を張った。

生ジョッキの2杯目を飲み干した。

しかし、そのとき私の体に異変が起こった。

体がブルブルと震えだしたのだ。

ススキダの顔が怖いからか。
それは半分あたっていたが、半分は外れていた。

前回のブログで書いたが、先々週、家族が順繰りに熱を出した。
だから、私も熱を出すだろうと期待したが、1週間経っても熱は出なかった。

しかし、一昨日の土曜日の朝に、突然熱が出たのである。
ヒマなときは出ないで、忙しくなりはじめたら熱が出るなんて、俺の体は、なんてヒネクレているんだ。

歯の根が噛み合ないほどの強烈な悪寒。
土曜日は、災害用シートに身を包んで、無理矢理汗をかき、熱を追い出した。

日曜の朝起きたときは、37度まで下がったから、治ったものだと思って、打ち合わせに来たのだ。
しかし、打ち合わせが終わって気が抜けたのだろう。
また、熱が自己主張をし始めたようだ。

ススキダの奥さんの手が伸びて来て、私の頸動脈を触った。
ススキダの奥さんは、元ナースだった。

そして、ススキダの奥さんが、まるで看護師長のような毅然とした態度で言った。
「カズキ、Mさんを救急病院に連れて行くから、車を下に回しておいて」

ススキダは、まるで下僕のように素直に頷いて、店を出た。

近くの救急病院で点滴。
まるで、病人みたいだ。

熱を測ったら、38.8度。
意外と高熱だったが、それほど気分は悪くない。
フルマラソンは無理だが、10キロの競歩くらいなら出来そうな気がする。

ススキダが、「俺は仕事で新宿に行くが、レイコ(ススキダの奥さん)を置いてくから、点滴が終わったら、送ってもらえ」と気持ちの悪い顔を近づけて言った。

それは断る。
俺は看護師さんがそばにいると、惚れてしまう癖があるんだ。
俺を不倫男にするなよ。
俺は、危険な男だぜ。

点滴が終わったら、タクシーで帰る。
余計な心配はするな。
俺を独りにしてくれ。

ススキダ夫妻は、拍子抜けするほど素直に私の言うことを受け入れて、私を独りにしてくれた。

友とは、ありがたいものである。

点滴が終わって、無罪放免。

救急病院からオンボロ・アパートまでは、約3キロ。
元気なときだったら歩いて30分もかからないが、今の体調では1時間以上かかると思った方がいいだろう。

コンビニでミネラルウォーターを2本買って、ゆっくりと歩き出した。
宙を浮く気分、というのはこのことか、と宇宙飛行士の気分で歩き出した。

タクシーに乗るという選択肢はない。
バスを1回乗り換えれば、アパートの近くまで行けるようだが、乗り換えるのが面倒くさいので選択肢から外した。

5分歩いて立ち止まり、水を飲む。
それを繰り返せば、それほど体が消耗することはないだろう。

貧弱な宇宙飛行士は、武蔵野の道を漂いながら、オンボロ・アパートを目指した。
1回目の休憩を取ろうとしたとき、クラクションが聞こえた。

振り返ると、ススキダのエスティマが、ゆっくり止まろうとするのが見えた。

ストーカーかよ!

「やっぱり思った通りだったな。新宿の打ち合わせが早く終わって来てみたら、歩いているおまえが見えたんだ。レイコが絶対に、おまえは歩いて帰るって言ったが、本当だった。おまえは、本当にバカだな。自分が鉄人だと思ってるんじゃないか」

そうさ。
俺は鉄人だ。

いいことを教えてやろう。
アイアンマンの次回作は、俺にオファーが来てるんだ。
アンジェリーナ・ジョリーが相手役らしいぞ。
アンジーが相手役なら、ギャラはいらないって、俺は言ったんだ。

ススキダに、鼻で笑われた。

知らない間に力づくで拉致されて、エスティマの後部座席に座らされた。

ススキダの奥さんに、また頸動脈を触られた。
まさかの頸動脈フェチ?

ススキダの奥さんは、ナースの顔で頷いて、「ススキダよりも馬鹿な人を初めて見ました」と褒めてくれた。

褒められて、いい気持ちのまま、アパートに到着。
気は進まなかったが、ススキダに礼を述べた。
奥さんに対しては、ハグで感謝の意を表そうと思ったが、ススキダにスゴい勢いで止められた。

奥さんは、乗り気だったのに………。


今朝、大量の汗で、午前3時52分に目覚めた。
粘っこい汗が気持ち悪かったので、軽くシャワーを浴びたあと熱を測ったら、36.7度だった。

ほぼ平熱。


京橋のウチダ氏の見舞いに、行くべきかどうか。

柿の種ポリポリとクリアアサヒは魅力的だが、ウチダ氏に風邪を伝染してしまっては申し訳ない。

泣く思いで断念。


残念!





ところで、昨日は父の日。

我が家では、私は「父」ではなく、君たちの「同居人」である。だから、我が家に父の日はない……と、子どもたちに長年教えて来た。

子どもたちは、同居人の言いつけを守って、父の日を意識しないで生きて来た。

しかし、昨日の晩、紙袋を渡された。

中を見ると、アディダスのジョギング・シューズが入っていた。

高校3年の娘が言う。
「これは、同居人から同居人へのプレゼントだ。靴があまりにもボロかったんで、可哀想になったんだ。父の日とは関係ないぞ」

息子と娘、それに我が家にメシを食いにくる娘のお友だちが金を出し合って、買ってくれたのだと言う。


その同居人から同居人へのプレゼントを、昨晩は枕元に置いて、感触を何度も確かめながら寝た。

眠りが浅かったのは、熱のせいではなかったのかもしれない。



2013/06/17 AM 05:50:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

怒られて当然
先週は忙しかった。
しかし、今週は急ぎの仕事がなくて、ヒマ。

ただ、仕事がゼロというわけではないので、余力を残しながらパソコンに向かっている。
ストレスはない。

先週は、家族が順繰りに風邪を引いて高熱を出した。
ヨメを発端に、息子、娘の順だ。

高校3年の娘と私は、体質が似ているから、風邪をキャッチボールすることが多い。
だから、今回も高熱が出ることを期待したが、いまのところ、その気配がない。

熱を出すなら、ヒマな 「今でしょ!」
(無理矢理なぶっ込み方)


ヒマだから、今日の晩メシは、手の込んだものを作ろう、と思いながら台所に立った。
はたして、それが手の込んだ料理かと言えば、異論はありましょうが、串揚げを作ることにした。

串揚げとサラダスティック、タラのすまし汁。
タラは丁寧に骨を抜いた。
ほらっ、手が込んでいるでしょ!

具材を仕込んでいたときに、ケツのポケットに入れておいたiPhoneが震えた。

ディスプレイを見ると、「栃木のオッサン」となっていた。
「栃木のオッサン」は、埼玉の団地に住んでいた頃、同じ団地に住んでいた人だ。

私は、彼に対して全く親しみを感じたことがなかったのだが、団地の遊歩道などで出くわすと、彼の方から親しげに話しかけてきて、ときに1時間以上拘束されることがあった。

要するに、話好き。

しかし、その話好きの「栃木のオッサン」は、10年以上前に奥さんと離婚をした。
離婚のとき、分譲マンションを奥さんと子どもたちに与え、自分は栃木のアパートで独り暮らしをしながら養育費を払う、という波瀾万丈の人生を彼は送っていた。

そうなれば、もう私との接点もなくなっただろう、と思ったが、なぜか彼の方から年に4回ほど電話をかけてくるのが決まり事になった。
彼のネットワークの中に、親しい団地の人間がいなかったので、彼の別れた家族の近況を私から聞くためだった。

しかし、私は人様の暮らしには全く興味がない男だから、彼の家族の情報を収集することに関しては、何の役にも立たなかった。
だから、こんな役立たずはお払い箱だろうと思って、彼からの接触がなくなることを期待したのだが、彼はその後も年に4回のローテーションで電話をかけてきた。

よほど気に入られたものと思われる。

その栃木のオッサンが言う。
「俺、とうとう『なまぽ』の仲間入りですよ」

さあ、困ったぞ。
新しい流行語が出てきたのか。
それとも、栃木弁か。

自分が知っていたとしても、他人はその言葉を知らないということを想像できないやつが、近ごろ多すぎる。

私は「ウォーキング・ディクショナリィ」と言われている男だが、そんな私でも、知らない言葉はたくさんある。
特に、新しいことばは、ほとんど脳が受け付けないから、それが新しいことばだとしたら、お手上げである。

だが、一応、想像はしてみた。
これは何かを省略したことばではないか、と推測した。

「なまぽ」の「なま」は、「生」であろうと思った。
それなら、あとは「ぽ」だけである。

生のポーランド人の太もも。
生ガキを食うポルトガル人の太もも。
生意気なポニョの太もも。

しかし、これでは「なまぽふ」になってしまう。

大事な「太もも」を省略してしまったら、意味がないではないか(?)。

他にも色々考えようとしたが、栃木のオッサンに「まあ、聞いてくださいよ」と思考を遮られた。

「聞いてくださいよ」と言われても、私には家族の晩メシを作るという崇高な仕事がある。
いつものように、1時間も独演会を開かれては困る。

だから、私は、栃木のオッサンに、こう言った。

なるべくダイジェストでお願いします。
それに、話は聞きますが、それは聞くだけでいい内容の話ですか。
それとも、聞いた後で何か感想を述べなくてはいけませんか。
できれば、相づちだけの方が楽なんですが(晩メシを作りながら聞くことができるから)。

そう言ったら、「バカにするな!」と電話を切られた。


バカにしたわけではない。
もともと、私が他人の情報には興味がないことを栃木のオッサンは知っていたはずだ。

私は栃木のオッサンの毎回の近況報告に、気のない相づちを打つことを繰り返していた。
それでも、栃木のオッサンは、怒ることなく「Mさんは、いったい、何に興味があるのかなあ」などと苦笑しながらも飽きずに電話をかけてきたのである。

「俺のことなんか、興味ないでしょ」
はい、ありません。
「まいったなあ、ハハハハハ……」

それが、儀式だと私は思っていた。
ただ聞いているだけで相手は満足するのだ、と解釈していた。

しかし、今回は怒られた。

よほど聞いて欲しい話題だったのだろうか。


晩メシを食い終わってから、ネットで「なまぽ(ナマポ?)」を調べたら、意味がわかった。

デリケートな話題だったんですね。


そりゃ、怒るわ。




でも………こちらから謝罪の電話をかけることはしませんよ。


俺には、他人の人生を「評価する」趣味はないので。

(自分の人生の価値もわからないのに、他人の人生の価値がわかるわけがない)



2013/06/12 AM 05:53:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

杉並猫騒動(俺がマツコ・デラックスさんだったら)
痛い痛い、アイタタ……イテテ。

ヨメが、ずっと「痛いアピール」をしている。
なぜ痛いか?
スカッシュというのをお友だちとしたらしいのだ。

普段からまったくスポーツに興味を示さず、体を動かすことを嫌うヨメがスカッシュなるものをしたのはなぜか。
私は知らなかったのだが、「だって、いま話題になっているからよ」らしいのだ(ホントに?)。
そして、「『みんな』やっているから、やってみたの!」

好きでもないのに、話題になっているからやる。
私には理解不能の行動だ。

そもそも「みんな」がスカッシュなんて、やっていないと思うし。
まあ、しかし……それで流行から取り残される強迫観念から逃れられるなら、精神安定剤としては、いいのかもしれない。

だが………イテテ、ああ、イテテ。
「痛いアピール」が、うるさくて気が散る。

そこで、お怒りを覚悟で言ってみた。

俺が、「痛い痛い」なんて叫び続けていたら、どう思う?
「『我慢しなさい!』って言うでしょうね。『男なら我慢しろ』って」

そうだよねえ。

「ああ、でもねえ、女はいいの! 男の『痛い』は、みっともないけど、女の『痛い』は可愛いから」

最強の論理だ。
この論理に勝てる人は、おそらくマツコ・デラックスさんくらいしかいない。


ところで、話かわって、杉並の建設会社に行ったときのことを書く。
午後4時の約束だったが、恒例の10分前に、会社のドアを押した。

しかし、そこでは、異変が起きていた。

社員たちが総出で、「おい、どこ行った」「逃がすなよ」「すばしっこいやつだな。ほらっ、取り囲め!」などと騒いでいたのである。

私の存在など無視ですよ。
普段は温厚な40代の女性事務員さんも、「早く捕まえてよ。仕事にならないから!」と叫んでいた。

まさか、ワニガメでも迷い込んだか、と思った。
しかし、女性事務員さんに恐る恐る聞いたところ、「猫が入ってきたの」と言うではないか。

猫ちゃんですか。
それにしては、騒ぎすぎではないかい?

女性事務員さんが言うには、「社長が猫アレルギーなの。だから、仕事にならないのよ」ということだ。
つまり、社長からの捕獲命令を社員一丸となって遂行しようとしているところだったのだ。

たった一匹の猫で大騒ぎ。
仕事も止まっているというから、ちょっと呆れる。

で、社長は?
仕事の打ち合わせがあるんですけど。

「社長は、社長室に籠もっています。『猫を排除するまで俺は絶対にここから出ないぞ』とおっしゃっています」

詳しく聞くと、社長の猫アレルギーは一年ほど前から、かなりの重症になって、セキ、クシャミや皮膚のかゆみの他に涙が止まらなくなることもあるのだという。

それは、ご同情申し上げます。
しかし、仕事の打ち合わせは?

社長室をノックして、打ち合わせに来ました、と言うと、でかい業務用作業マスクをした社長が、右手を大きく振って、「今は、それどころじゃねえ。あいつが出て行かない限り、俺は息もできない」と叫んだ。
そして、いいアイディアが浮かんだ、と言うように両手を強く叩いて、「そうだ、あんた、あんたに任せよう。俺んところのじゃダメだ。あいつらは、どシロートだ。あんた、動物好きだったよな。頼んだぜ」と言って、こちらの返事も聞かずに高速でドアを閉めたのである。
目が血走っていた。

大のおとな8人が、猫一匹で大騒ぎ。

平成25年6月4日。
梅雨らしからぬ乾燥した空気が東京地方を覆っていた午後4時過ぎ。
「杉並猫騒動」を収束させたのは、ホネホネ白髪おやじだった。

私は猫を飼っているわけではないが、オンボロアパートの庭のダンボールには、「セキトリ」という名の野良猫が棲みついていた。
だから、たまにセキトリと戯れることがあった。

その結果、私の体には、「セキトリ臭」が染み付いていると私は確信していた。
このにおいを嗅がせれば、猫を安心させられるのではないかと思った。

8人の大人が騒ぐから、猫は怖がって、応接セットのソファの下に潜ったまま人間どもを威嚇している状況だ。
それを見て、たじろぐ8人の、どシロートたち。

私は、どシロートの皆さま方に、ソファから離れるようにお願いした。
できれば、事務所をいっときだけ出ていって欲しい、と。

人がいなくなったのを確認して、ソファに座り、体を軽く叩くホネホネ白髪おやじ。
これで「セキトリ臭」をばら撒いているつもりだ。
あとは座っているだけで何もしない。

そんな風に7分15秒ほど「セキトリ臭」を撒き散らしていたら、足元に丸い猫の頭が見えた。
模様はチャトラ? かな。
そして、その猫が頭を回し、私を振り仰いで「ニャオン」と鳴いた。

捕獲成功。

大きなダンボールを用意してもらい、そこに毛布を敷いて、デジカメで写真を撮った。
「迷い猫」の貼り紙を作るためである。

そして、飼い主が出てくるまで、ビルの管理会社に頼んで、猫を保護してもらうようにした。

めでたく任務完了。

騒動のあと、応接セットで社長と仕事の打ち合わせをした。
社長は大きなマスクをしたままである。

そうとう重症な猫アレルギーなんですね。
ご同情申し上げます。

そして、打ち合わせをし始めてから約5分が経過。
社長が、「カユイ、カユイ」と言い出した。
カユイぞ! カユイ、カユイ、ああああああ! カユイ!

首のあたりを掻きまくっていた。
すぐに首が真っ赤になった。

「カ〜〜〜〜ユイ!」

しかし、痒いだけで、セキ、クシャミ、涙は出ていないようだ。
だから私は、同情しながらも打ち合わせを進めようとした。

すると、社長が突然怒ったのである。
「おい! 俺がこんなに苦しんでいるんだから、今日の打ち合わせは中止しましょう、くれえ言えねえのかよ!」

え? ここは、怒られるとこですか。
大変だとは思いますが、痒みを少しの間だけ我慢して、チャチャッと打ち合わせを終えるのが、大人だと思いますが。

「我慢できねえんだよ! 俺はカユイのが一番嫌いなんだ!」

怒られることを覚悟で、言ってみた。
しかし、もしも私が猫アレルギーで今日の打ち合わせを延ばしてくださいって言ったら、社長は絶対に怒りますよね。

「当たり前だろうが。そんなことで予定を狂わされたら、頭にくるわな!」
目が血走ってますよお。

でも………いま社長は、それと同じことを………。

「いいんだよお、俺は! 俺は、あんたにとって客なんだから、俺の言うことが絶対だ!」

ここでも最強の論理。
俺が、マツコ・デラックスさんだったら・・・・・。


この世で、逆らえないもの。


ヨメと客。



2013/06/07 AM 06:04:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

腸のスパイラル理論
いやあ、デフレ・スパイラルが少し改善したと思ったら、俺の方は腸のスパイラルですよ。腸のスパイラルは、つらい。株の乱高下より、腸の乱高下は、体にこたえますね。

などと言うと、聞いた人のほとんどは、唖然とした顔をするか無視するか苦笑するかの三択だ。

しかし、我が高校三年の娘は、「わかるわかる。腸のスパイラルは勘弁してもらいたいね。電車の中でスパイラルったときは、もう地獄だぜ!」と、話に乗ってくれる。

いい娘を持ったものだと、つくづく思う。

………という話と、どう繋がっていくかは、後のお楽しみということにして。


前回のブログのエントリーに対して、2つの興味深い反応があった。

一つは、私のブログをたまに読むという、娘のお友だちの反応だ。
「kのパピーって、懐古趣味なんじゃないの。昔は良かった、なんてジジ臭いこと書いちゃって」というもの。

もう一つは、私がMacを週に1回教えている人からの反応。
「matsuさんは、懐古至上主義なんですね。年寄りに多い『昔は良かった。今は全部ダメ』ってやつですか。あれって、あまり共感を得られないんじゃないかなあ」というもの。


日本語の読解能力不足?


私の過去のブログを呼んでいただくとわかると思うのだが、私は「昔は良かった」という会話には決して加わらないというポリシーを貫いているオッサンである。

そして、前回のエントリーでも、懐古趣味とは逆のことを書いたつもりだ。
昔のボクシングの話を持ち出しはしたが、昔の人もすごいが今の人はもっとすごいんだよ、と結論づけたつもりだったのだが……。

一部分だけ読んでわかったつもりで、後は読み飛ばしたのだろうか。
興味のない文章のときは、私もそうするから、つまらない文章だったと理解すればいいのかもしれないが。

ただ、二人目の人物に関しては、私は釈然としないものを感じているので、今回そのことを掘り下げて書こうと思った。

しかし、当然のことながら、このブログをその人は読むだろうから、それを書くことはモラル的に許されるのか、と一晩熟睡ながら葛藤した結果、ご本人に先日の話を書いてもよろしいか、とお伺いを立てた。
(ブログネタに困っていたので)

すると、太っ腹にも「ああ・・・まあ・・・いっかぁ」というお返事をいただいたので、いつも通り「嘘くさい表現」で書くことにした。

まず名前はキョセンさん、と呼ばせていただく。
大橋巨泉氏に雰囲気が似ているからだ。

私は他人の個人情報にはまったく興味がないので、年齢、出身地、好きな果物、取り憑いている背後霊、性別などは絶対に聞かないことにしている。
見た目は男に見えるが、見た目は男でも中身は女という人は、この世の中に天文学的な数いらっしゃるので、今回は性別不明ということにしておく。

年齢は、おそらく15歳から50歳くらいの間だ。
生活環境からすると独身と思われるが、生活形態を別にした配偶者がいることも考えられるので、これも不明としておく。

Mac歴は半年程度。
パソコンは、中学生のころから触っていたがウィンドウズだったという。
(私は中学のころ何を触っていたかなあ………)

今回教えるのは、ホームページ作り。
ホームページとブログの作り方を教え、サーバーのセッティングをして、ホームページをアップするところまでが私の仕事だ。

講習会の日は、キョセンさんの都合で、毎週水曜日か木曜日の午前11時から午後2時までということになった。
「昼メシは、こっちで用意しておきますから」と言われたので、手ぶらで行った。


その昼メシ。

ひと袋百円程度で売っている冷凍スパゲッティだった。
キョセンさんは、「これ、うまいんですよ! 俺は3食これでも文句はないですね」とおっしゃる。
しかし、私は駄目だ。

もちろん礼儀として最後まで食ったが、一応言いたいことだけは言わしていただいた。
最近の私は、人に気を使うのが面倒になってきた。
あとあとのことを考えたら、いま言っておいたほうが、これから先の付き合いがスムーズに行くと思っているからだ。


俺ねえ。
何が嫌いって、ふにゃふにゃの麺ほど嫌いなものはないんですよ。

ラーメン、うどん、そば、パスタ。
どれもコシのある固いやつがすきなんだ。
煮込みうどんなんか、なんでわざわざ麺を柔らかくするのか、理解不能ですよ。

できれば、米も若干硬いほうが望ましい。
ふっくらとツヤツヤに炊けたご飯、なんて俺はいらない。

たとえば、行列のできるラーメン屋さんで、柔らかい麺が出てきたときは、「病人食か!」って言って、店ごとひっくり返したくなるくらい、俺は柔らかい麺が大嫌いなんだ。
(ただし、立ち食いそばは例外。安さと緊急性という点を考えたら、渋々ではあるが、受け入れざるを得ない。ごく稀ではあるが、おいしいテンプラを出すところがあるし)

……で、このご馳走してくれた麺なんだけど、「病人食か!」なんですよね。

ご馳走してもらって申し訳ないんだけど、俺の口には合いません。

すると、キョセンさんは落胆することなく、「ああ、そうですかあ。まあ、こういうのって、好みですからねえ」と頭をかいた。

良かった。
怒られなくて。

しかし、である。
2回目の講習会のとき、ご馳走していただいたのは、またも同じ冷凍スパゲッティだった。

言いたくはないが、前回の話を、かなりの密度で凝縮して「柔らかい麺大嫌い説」を主張した。
(実に大人気ない。黙って食っていればいいものを……と自分でも思う)

「はぁ〜そうなんだぁ、でも俺は好きなんだけどなあ、これ。俺は3食これでもいいですよ。あとは味噌汁があれば最高だな」

スパゲッティに味噌汁か………ここは、何も言わないでおこう。
病人食を完食。

そして、3回目の講習会。
まさか・・・ね、と思っていたら、またもや冷凍スパゲッティ!!!

これは、もしかして、自分の昼メシくらい自分で持って来いよ、という暗示なのか。
いや、しかし、最初の電話のとき、「昼ご飯は用意しますから」とはっきり言ったはず。

つまり、私の話をぜんぜん聞いていないということ?
ホームページ作りの話は熱心に聞いているが、それ以外はまったく耳に入らないということか。

あるいは、出されたものを黙って食えよ、ということなのかもしれない。
ご馳走してやってるんだから、我慢しろよ………と。
(常識で考えると、この線が一番濃いかな。でも私だったら、ゲストの好みに合わせるのだが)

病人食を完食。

この調子でいくと、4回目も間違いなく冷凍スパゲッティ攻撃を受けることは明白。

だから、私は言った。

次回は、俺が弁当を作ってきましょう。
好きな食べ物を言ってください。
そして、絶対に食えない嫌いなものも教えてください。

(あらかじめ教えてもらえば、「柔らかい麺なんて嫌だあ!」などと大人気ない文句を言われることもないだろう・・・・・これが大人の対応というものだ)

「好きなのは、唐揚げ、メンチカツ、生姜焼き、牛タン、肉巻きおにぎり。嫌いなのは、シイタケ、トマト、ナスですね」

わかりました。

メンチカツ、鳥の唐揚げ、ブロッコリーのソテー、アスパラの牛肉巻き、オニオンフライ、そして、ご飯は、刻んだ玉ねぎがたくさん入ったドライ・カレーを作って持っていった。

しかし・・・弁当箱を空けたとたん、キョセンさんが、首を振った。
「あっ、言い忘れたけど、俺、ブロッコリー駄目なんですよね。玉ねぎは辛くて駄目。カレーは大好きなんだけど、ドライ・カレーは許せないんだ。ん? これなに? 牛肉の中身はアスパラ? 俺、アスパラが一番嫌いなんだ」

もしかして、これは、返り討ちにあったって言うこと?

しかし、事前に嫌いなもの聞いたという努力が報われない世の中なんて………。

アスパラが一番嫌い?
だったら、真っ先にアスパラって言ってくださいよ。

玉ねぎが嫌い?
メンチカツには、玉ねぎが必需品ではないでしょうか。

言いたいことは山ほどあったが、これ以上言うと修羅場になる。
だから、その場は、私が唐揚げ以外の弁当を二人分食って、キョセンさんは大好きな冷凍スパゲッティと唐揚げを食うということで落ち着いた。

気まずい雰囲気にならないように、メシを食いながら、私はキョセンさんに、こう話しかけた。

いやあ、デフレ・スパイラルが少し改善したと思ったら、俺の方は腸のスパイラルですよ。腸のスパイラルは、つらい。株の乱高下より、腸の乱高下は、体にこたえますね。

すると、「ああ、わかるわかる。腸のスパイラルね。それ、つらいですよね。本当にあれはつらい。腸の乱高下か。うまいこと言うなあ」と、キョセンさんが、おっしゃったのである。

嬉々。


釈然としないことは、たくさんあったが、「腸のスパイラル理論」を理解していただけたことで、私はとても満足した。



さて、次回の5回目の講習。

私は持参の弁当。
キョセンさんは、冷凍スパゲッティということで、よろしいでしょうか。



(はじめから、そうしておけばよかった)

(ただ、はたしてこのブログをキョセンさんが読んでくれるかどうか。たとえ読んだとしても…………)



2013/06/01 AM 07:46:49 | Comment(2) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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