Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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私は冷静でしたけど
少し早い、友人たちとの忘年会。

その席で、得意先とバトルしたことを33パーセント盛った状態で話したら、「マツ、相変わらず、大人気ねえなあ」という、大学時代の友人約3人から非難の声を浴びた。

だから、その中で一番頭が寒い男の毛を毛根から17本抜いてやった。

そうしたら、「まったく、いつまでたっても子どもだよな、マツは・・・」とまで言われた。

BABOO! バブー!

「それは、子どもじゃなくて、赤ちゃんだろ。進歩がないぞ。大丈夫か、おまえ」


うん・・・・・おそらく・・・・・大丈夫じゃない・・・と思う。


というような心温まる話題ではなく、ここからは、その大人気ないバトルの模様を細大漏らさずに書き記そうと思う(33%盛ったりせず)。

このブログを何回か読んだことがある方なら、その結末は想像できると思いますが・・・・・。


得意先から、来年2月末に開かれる装飾品の展示会に置く小冊子のデザインを頼まれた。
まだ先のことだから、原稿は全く揃っていないという。
だが、最初に表紙のデザインだけは決めておこうという話になった。

その展示会は、過去に6回やっているが、小冊子を作るのは今回が2回目らしい。

では、前回の冊子があれば見せていただきたいのですが、という当たり前のことを私は担当者に聞いた。

東京神田のイベント会社。

その会社からは、今まで7回仕事をいただいたことがある。
イベント宣伝用のパンフレットが多い。

そして、担当者は、30歳半ばの男性だった。
その担当者の他に、今回は、もう一人60歳近い人がサポートとして付いた。

名刺を見ると、肩書きはない。
若い担当者は課長だが、その人は無役。

どんなポジション? などと聞くことはできない。聞く意味もない。
ただ、とにかく態度が横柄である、という第一印象がある。

課長には、かなりへりくだったもの言いをするが、私に対しては、下僕を扱うような横柄さだ(下僕は大袈裟でした。出来の悪い新入社員に対する態度と言ったほうが分かりやすい)。

「前回の冊子? なんで、それをあんたに見せなきゃいけないの? 他の人がやったのを参考にするなんて、楽をしようとしていないか?」


ほ――――――、そう来ましたかぁ。


じゃあ、まあ・・・・・その話は、撤回ということで(当たり前の要求を却下されるとは、嫌な予感が。しかも最初から喧嘩腰って)。

では、まず、方向性をご相談しましょう。
何か主題になるテーマがあれば、お知らせください。

「え? なに言ってんの! だから、装飾品! テーマは装飾品だよ!」

思わず課長の顔を見てしまったが、課長は、頭を掻くだけ。

大きく息を吸って、では、どういったコンセプトで表紙を作ればよろしいのでしょうか、と聞いた。

「知らない。だって、俺は初めてだからさ。それを考えるのがプロってもんでしょ」
(え? 丸投げ!)


いや、俺は展示会関係者じゃないんだから、教えてくれなければ、わからない。
俺こそ、初めて聞く話なんだから。
(もしも俺が独断で自分のイメージだけで作ったら、怒るんじゃないの?)

しかし、ここで腹を立ててしまったら、仕事を失うのは目に見えている。
貧乏デザイナーとして、それは、痛い。

さらに下手に出た。

では、どんなものにしようと思っているのか、そちら様のお考えをお教えください。
それに合った案を出しますので。

「は? なに? それを自分で考えるのがプロだろ! こっちに頼るのは本末転倒だろうが!」

この場合の「本末転倒」の用法は、少し違うような気がするのだが。

あなたが「本」で、私が「マツ」というのが、世間一般の常識であって、ここは転倒させてはいけないし、私は転倒させていない自信がある。
だから、「本」のあなたが、まず考えを聞かせるのが、筋だろうよ。

ここまで我慢したのだから、ここで腹を立てるのは大人気ない、勿体ない、お金がない。

ここは、気を鎮めなければいけない。

だから、相手の風貌の良いところを探して、心に余裕を持たせようと思った。
神は必ず、人に良い部分を与えてくださったはずだ。

凝視した。

頭は・・・・・頭皮丸見え。
目は・・・・・細くて垂れ下がっている。
口は・・・・・歯にヤニがこびりついている。
体型は・・・・・腹がドーン!

そして、滑舌が極めてよろしくない。
声がこもるから、語尾が聞きづらい。

しかし、人を罵倒するときだけは、声のトーンが上がって、聞きやすくなる。
つまり、褒めるべきところは、人を罵倒するときの出来の悪いオペラ歌手のような声だけ。

良かった。こんなにも、いい人に巡り合えて。

「とにかくさあ・・・作ればいいのよ。来年の2月まで時間はタップリあるんだから」

いや・・・しかし、そんな悠長なことは言っていられないのでは?

2月末の展示会に間に合わせるなら、遅くとも2月中旬までに印刷が終わっていなければいけないだろう。
デザイン、組版は、1月末、2月始めあたりまでに校了にならないと、スケジュール的に辛い。

そうすると、残された期間は、ひと月半ほど(正月休みが入るから、スケジュールはタイトだぞ)。

この時期に、コンセプトを決めなければ間に合わないのでは・・・。

細部まで詰める、とは申しませんが、とりあえずテーマかコンセプトだけでも提示してください。それに沿ったラフ案を何点か作りますので、と懇願した。

「なに! コンセプト、コンセプトって! そのコンセプトは、あんたが持っているもんだろうがよ! 人に簡単に・・・・・(なぜか言葉を溜めたぞ)頼るなよ!」


いやいや・・・・・俺は、まだこの段階では、コンセプト持っていないですよ。
コンセントなら、あちこちにあるけれど(サムい)。
だって、初めてやる仕事だもの、どんな会社が参加するかも知らないし、どの程度の規模かも教えてくれないし。
(展示会の場所と期日は聞いたが、参加企業や規模、ターゲット層は聞いても答えてくれなかった。彼らが何も知らないってことは有り得ないと思うが)

最低限の情報も与えないで、それで、部外者の俺に、コンセプトを決めろって言われても。
あなたがたの会社が、プロデュースするイベントでしょうに・・・。

責任者は、誰なんだよ、いったい?


困りきったキリンを演じている私を見て、男は、芝居がかった溜め息をつきながら、太った上体を椅子の背にもたれかけた。
そして、鼻で笑うように言ったのだ。

「K課長(本来の担当者)、こいつ・・・使えないな」
(この『使えないな』の部分は、小声で言ってくださった。気を使ってくれて、ありがとうございます!)

ただ、私にとって最大のキラーフレーズは、この「使えないな」である。
もしこの言葉がなければ、やんわりと話を運んで、ラフ案提出でソフト・ランディングするつもりだったが、このキラーフレーズだけは聞き逃せない(大人気ないのは承知)。

だから、小爆発。


まともな情報がなければ、仕事はできない!

時間の無駄!

俺にばっかり・・・・・(言葉を5秒ためて)頼るなよぉ!


机を蹴飛ばすように立ち上がって、出口まで大股で歩いた。
ドアにも怒りをぶつけようと思ったが、そこまでの熱い演技は私にはできない。
だから、ソロっとした緩やかな動きでドアを開け、上品な動作で、会社の外に出た。

担当者様ふたりのリアクションは、見なかった。

エレベーターに乗っている間、7.5回、「Go to hell」「Deadhead」と呟いた。
(8回目をつぶやいている途中で、エレベーターのドアが空いた)


自己弁護をさせていただけるなら、私は文章で書くほど熱くなっているわけではなかった。
相手の言葉も、自分で言った言葉も、ほとんど覚えていたから、気持ち的には余裕があった。

席を立つタイミングまで、密かに考えていたほどだ。

私が仕事を断ったのは、年末年始の貴重な時間を、この「素晴らしき人たち」のために使うのが嫌だったからだ。

年末は、その一年にあった出来事を優雅に振り返りながら、気持ちのいい仕事がしたい。
そして、年始は、これから来るであろう希望に溢れた未来を感じながら、明るく仕事がしたい。

だが、今回の仕事では、そんな私の希望は叶えられそうにない。

だから、断ったのだ。


これでも、私のことを大人げない、と言い切れるだろうか。

(自分でも苦しい言い訳だとは思う)



ところで、別ルートからの情報で後に判明したところによると、その横柄な男は、その会社の社長の親戚筋だったらしい。

今さら、どうでもいいことだが。


そして、さらに、どうでもいいことだが、今日から3日間、仕事がヒマ。

WEBデザイナーのタカダ君(通称ダルマ)。
あとで、昼寝をさせてもらいに行くからね。

明日も、行くかもね。
もしかしたら、明後日も。

ヨロシク・・・・・・・ね m(_ _)m



2012/12/11 AM 06:00:01 | Comment(3) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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