Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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神に誓ったこと
前回、東京八王子のショウコの家に、子守りジジイとして監禁されたことを書いた。

その続き。


ショウコに、晩メシを作ることを命令され、作った。

献立は、小松菜とベーコンのキッシュ。
イワシと白菜、キュウリ、トマトのマリネに、オリーブの輪切りを散らしたもの。
そして、カレー風味オムレツ(トロトロのやつ)。
小麦粉とドライイーストを捏ねて、速攻で焼いたナン(このナンにトロトロのオムレツを乗せて食う)。

3歳のガキ(女の子)には、オム焼きそばとジャガイモのポタージュスープ。

バブー(4ヶ月の男の子)は、おねんね。

私は、30年物のバランタインをロックで。
(自分でも卑しいと思うが、これを目当てに子守りを引き受けたのだ)

つまみは、イカソーメンとイカの姿焼き、イカの塩辛(イカのフルコース)。

「スコッチウィスキーにイカは合わないんじゃない?」とショウコに言われたので、イカにもイカにも、と答えたら、「イカイカ白髪おやじ」と罵倒された。

あるときは、ホネホネ白髪おやじ、あるときは、キリンおやじ、そして、今はイカイカ白髪おやじ。
呼び名が、コロコロ変わるオレ。

いったい、俺は何ものだ?

「簡単に言えば、『バカもの』かな?」と、ショウコ。

一本取られました。


食後は、ガキのお絵かきの相手をしながら、バランタイン。

アンパンマンを書いては、バランタイン。
バイキンマンを書いては、バランタイン。
ジャムおじさんを書いては、バランタイン。
ドキンちゃん、食パンマン、チーズを書いては、バランタイン。

ガキに「なに飲んでるの?」と聞かれたので、「おくちゅり」と答えておいた。

「どこか悪いの?」と聞かれたのだが、私が答えるより先に、皿洗いをしていたショウコに「頭が、かなり・・・ね」と、本当のことを言われた。

一本取られました。


そんな風に有意義な時間を過ごしていたら、時刻はとっくに10時を回っておりました。

おねむのガキ。

ガキを寝かしつけたあとで、ショウコは赤ん坊にオッパイを与えておった。

直視できず、ベランダに逃げる俺。

(全然隠さないんだもん)いと気恥かし。

ベランダで動悸を沈めていると、赤ん坊にオッパイをあげ終わったショウコに、「バランタイン、もう半分飲んじゃったのね」と仁王立ちで言われた。

殴られるかと思ったが、気持ち悪いほど優しい声で、「飲みすぎは体に毒だよ。もう若くないんだから」と言われた。

しかし、残すのは勿体ない。
マサ(ショウコの夫)に飲ませるのは、もっと勿体ない(と言っても、マサは酒がダメだが)。
このバランタインは、俺を待っていたのだ。
だから、全部飲む。

「でも、今夜酔っ払われても困るんだよね。夜、ミルクを上げてもらわないといけないから」とショウコ。

Aカップ貧乳の俺が、オッパイが出るであろうか。
君が小さい頃は、溢れるほど出て、君を育てたが、もうさすがに、この年では無理じゃないだろうか。
一応、努力はしてみるが・・・・・。

(私のキレのあるジョークを完全に無視して)「粉ミルクの作り方はわかるよね。温度が大事だからね。慎重に作るんだよ。私は寝ているからね。頼んだよ。あと・・・哺乳瓶の消毒も忘れずにね」

ハイ、わかりました!

しかし・・・・・あのぉ・・・・・私は、どこで寝れば、よろしいので?

「私たちの部屋に決まってるでしょ。同じ部屋で寝ないと子どもの様子がわからないじゃない。いい? 2〜3時間おきのミルク。寝過ごさないようにね」

シャワーを浴びたあとで、ショウコたちの部屋のドアを開けたら、ショウコは、ストレッチの真っ最中。

入ってもよろしいでしょうか、と恐る恐る聞くと、ストレッチ最中のショウコに、「遠慮するな」と怒られた。

遠慮しなければしないで、怒られるような気もするのだが・・・・・。

俺は何もの? 小心もの?


赤ん坊は、壁際のベビーベッド。
3歳のガキが真ん中。
それを挟んで、ショウコと私。

川の字じゃないか。

まるで孫と娘とジジイみたい。

ジジイだけが浮いているが、川の字であることは、間違いがない。

血の繋がりはないが、こんな擬似家族でも、気分は高揚するものである。

ケケケケケ、と笑った。

ショウコに「キモイ」と言われたが、なんか嬉しい。

ヒヒヒヒヒ・・・・・。

「今から家に帰る?」と、ショウコに呆れ顔で言われた。

ヒヒヒヒヒ・・・・・。

さすがに、頭を張り倒された。


でも、ヒヒヒヒヒ。


(怯えるような目で)「こんなオヤジをKちゃん(私の娘・17歳)は、よく許しているなあ。普通なら、毒殺されても文句は言えない」

いや、我が娘なら、同じように、ヒヒヒヒヒと笑うと思うよ。
思考回路が、同じだからね。

「まあ・・・そうかもね。Kちゃんは、オヤジの布団で寝ても平気なんでしょ。あの年頃の娘なら絶対に嫌がるのに、セーターなんかも共有して着てるんだよね。ありえないよね」

同じ年頃の娘を持つ友人たちに、それを言うと、「嘘だろ」と言われるのだが、娘はお友だちと遊んで疲れて帰ってくると、わざわざ私の布団を押入れから出して、そのまま寝てしまうのである。

私が食っていたものを途中で横取りして食っても平気。
自分のスエットが見つからないときは、2サイズ以上大きい私のスエットを出して着ることもある。

そのことに関して、何の抵抗もないようなのだ。

「こんなクソキモいオヤジなのに、鈍感なのかねえ、Kちゃんは」


ヒヒヒヒヒ・・・・・。


枕が飛んできた。

枕の動きは見切っていたが、枕が顔にあたっても大したことはないだろうと思って、顔で受けた。
しかし、思ったより硬い枕だったので、直撃した鼻に痛みが走った。

涙が出た。

痛みを和らげるために、バランタインをグラスに波波と注いで、ストレートで飲んだ。


バランタイン 鼻の痛みが 飛んでいく


「バカ」という褒め言葉を残して、ショウコが眠りについた。

午後11時26分だった。

そのとき、娘からのショートメールが来た。
「人妻を襲うなよ。理性を保て」

わかりました。


Aカップ貧乳からオッパイを2回与え、浅い眠りについていた頃、「朝ごはんの時間だよ」と背中をつつかれた。

おお、もう朝メシができたのか。

「なに言ってるの? サトルさんが、作るんでしょ!」

時計を見ると、午前6時25分。

早くないですか? 日曜だし・・・・・。

「子どもの朝は早いのだ」

見ると、確かに3歳のガキは起きだして、お着替えをしている。

慌てて台所に走り、フレンチトーストとナス、ピーマン、かぼちゃスライス、ズッキーニを焼いてオリーブオイルと塩、粗挽きコショウをぶっかけたものを作った。
ガキは、パンケーキにバナナのスライスと生クリームを乗せたもの。

ガキが食べながら「ママの朝ごはんより、おいしいね」と言ったときには、嵐が吹く予感がしたが、「そうだねえ、このオジさんのとりえは、これだけだからね」と穏やかなショウコの微笑みを見たときは、強大な嵐が収束したあとの安堵を感じた。

洗濯はショウコがしたが、掃除は私。

その後、ガキに本を読んで聞かせた。
「もりのかくれんぼう」
随所に隠された遊び心が面白い作品でした。

昼メシは、昨日晩メシを作ったあとに仕込んでおいた手打ちウドン。
強力粉と薄力粉を捏ねて、足で20分ほど踏んだあとで冷蔵庫に寝かしておいたやつを、ガキが食いやすいように細めに短く切って、月見うどんを作った。

「おいしいねえ」というガキの笑顔が、最高の褒め言葉。

その笑顔を見ながら、リビングで私はバランタイン。
つまみは、6角チーズ。

食後、ショウコが赤ん坊にオッパイをあげているときに、マサが帰ってきた。
(そんな光景にも慣れてしまった。ジイちゃん気分だからね)

リビングに入ってくるなり、マサが慌てた様子で「ショウコォ! 先輩の前で・・・え? なにぃ!」と叫んだ。



いや、マサくん。

俺は、見ていないから。

絶対に見ていないから。

それは、神に誓うから。

本当だから(チョット・・・・・ウソ)。





2012/12/06 AM 05:59:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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