Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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今年最後のボヤキとボーナス
最近は、ノートPCとWiMAXルータを持って出かけることが増えた。

なぜかというと、最近ヨメに、「あそこのご主人は、いつも家にいるけど、プータローかしら」という噂が、全宇宙的に広まっていると聞いたからだ(サイタマ星にいたときも、そんな噂があったなあ)。

私の姿を見かけたときは、食材を大量に抱えているか、ジョギングウェアで出かけようとしているところが多いという。
たまにスーツ姿を見かけるが、あれは、きっと再就職活動をしているに違いない。

かわいそうに・・・・・。


確かに、かわいそうなのは当たっているが、プータローさんというのは、ゴールポストを大きく逸れて、ボールが場外まで飛び出したくらいの外れ加減である。

でも、俺は、プータローさんに見られても平気さ。
なんの不都合もないよ。

私がそう言うと、ヨメが「私が困るの!」と怒る。

そして、「子供たちだって、困るわよ!」

つまり、私以外の皆が困るというのだ。
(うちの夫はフリーランスですって説明すれば済むことだと思うが、ヨメは『そんなこと誰も信じないわよ!』というのだ。そんなことはないと思うのだが)


世の中には、フリーランスの方々が多くいらっしゃると思うが、皆さんはどうなんでしょうか。

そんなアホな噂、本気で気にしますかね。

まわりから、どう見られたっていいじゃねーか・・・・・というわけには、いかないんですかね。


俺は、プータローさんに見られようが、ホームレスさんに見られようが、どうでもいいわい!

だって、ホームレスデザイナーのホネホネ白髪おやじだぜ〜。

マイルドカレーだろ〜〜。


そんな風に、私のスタンスは一貫しているのだが、それが非常識だと強く言われたら、黙るしかない。
自分が非常識な人間だというのは、私が一番わかっているからだ。


家族関係は、調和が一番大事。

全宇宙に、私がプータローではないことを証明する努力は、私がしなければいけない、とヨメが力説する。

だから、最近の私は、スーツを着てノートPCを抱え、武蔵野近辺のファストフード、カフェを渡り歩き、そこで仕事をしているのである。


なんか、面倒くせえ。


しかし、調和を重んじる私は、家庭調和のために、面倒くさくても、それをしなくてはいけない。


ノイローゼになりそう・・・・・。


コーヒー一杯で店にいられる時間は、せいぜい30分程度ですよ。
それ以上いたら、営業妨害になるんじゃないですかね。

まあ、追加を頼めばいいんだろうけど、俺、そんなに金持ちじゃないし。

で・・・・・店の人に厄介者がられないように、ビクビクしながらノートPCの画面を見つめ、マウスを動かす毎日。
店の人の舌打ちが聞こえそうになったら、すぐPCを畳んで、席を立つ準備をするオレ。

仕事のはかどりが・・・・・遅い。

ほんと、ノイローゼに・・・・・。
そして、ストレスが・・・・・・。


こんな暮らしをしながら、思ったこと。

世間には、電源を貸してくださるお店が、意外と少ないという現実。

まあ、電気だって財産の一つだから、そんなに簡単に貸していただけないとは思いますが、放浪のホームレスデザイナーにとって、この現実は大変つらいです。

数少ない、そんなお店でノートPCを使っていて、店員から「また、あいつかよ」の目線をハイビームでいただいたときは、ひと睨みで25gは痩せますね。

図書館で、持参のノートPCを使わせてくれるところもあるが、いつも満員。
武蔵境駅前の近代的な図書館は、ノートPC用のデスクをたくさん用意してくださっているようだが、有料。

公共の図書館を利用して金を払うのには抵抗があるので、一度も使ったことはない。
ネットカフェは、時間単価が高いので問題外(ビンボーなので)。

無料で電気を貸してくれるところがあればなあ・・・・・。

いやいや、そんな都合のいいところが、あるわけない。

ナイナイナイ!

なんて、思っていたら・・・・・。



昨日27日木曜日、午後3時に、杉並の建設会社に行ってきた。
正月明け2週目に出すチラシの最終校正を持っていったのである。

打ち合わせと修正は30分程度で終わったので、「じゃあ、良いお年を・・・な」と社長に言われたのだが、私の目は、この事務所の中で、いつも二つ空いているデスクに釘付け。

まっさらのデスク。
何も乗っていないこのデスクに、私のノートPCを置いて作業をしたら、どんなに仕事がはかどることだろう。

電源だって、使い放題に違いない。

パラダイスじゃないですか!

普段は、宇宙で一番内気な私だが、こういうときの押しだけは強い変なヤツ。

社長。
このデスクを2時間ほど、お貸しいただけないでしょうか。
急ぎの仕事があるのでございます。
家に帰るまでの時間がもったいないので、ここで仕事を仕上げたいのでございます。

どうか・・・ぜひ・・・わたくしめに・・・この場所を。

社長は、いつも通り決断早く、「ああ、いいぜ。2時間と言わず、5時間でも10時間でも使っていいからよ」と言ってくださった。
そして、「年末に大変なこったな。俺は定時で上がるけど、若いのが大抵は8時くらいまでいるから、遠慮すんなよな」とも言ってくださった。

お言葉に甘えて、さっそく仕事にかかる俺。
カフェでは、店内の目線が気になって仕事の進行が遅くなることが多いが、ここでは人の目を気にしなくていいから、はかどりが早い。

調子に乗った私は、社長に、図々しいお願いをした。

たまに、このデスクを貸していただくなんてことは・・・・・できませんか?

ここでも社長は、即答。
「まあ、いいけどな。どうせ、使っていない机だからよ」

ラッキー!

しかし、社長が大きな顔をニヤケさせながら、私の顔を正面から覗いて、こんなことを言った。

「あんた・・・・・あんたも、淋しい男なんだなあ」

妙に実感のこもった言葉だった。



(小声で) 奥さんに出て行かれたあんたに言われたかない!



今日28日午前中で、建設会社は仕事納めなのだが、「午後は自由に使っていいぜ」という有り難いお言葉を昨日いただき、会社の鍵まで貸してくれたデカイ顔のお人。


年末に、どでかいボーナスをいただいた気分であります。




2012/12/28 AM 08:21:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | [フリーランスの心得]

JKクリスマス
世間では、クリスマスというものがあるらしい。

子どもの頃、サンタさんが来なかった私は、自分が二人の子どもの親になったとき、やっとサンタさんの存在を信じるようになった。

毎年、おもちゃ(ゲーム本体かソフト)をサンタさんは、我が子どもたちに与えてくださった。
信じていない人もいるようだが、少なくとも我が家には、確実にサンタさんがいる。

若くてイケメンだったサンタさんは、年を経るたびに白髪が増え、ゲッソリとやつれてしまったが、子どもが大きくなった今でもプレゼントを運んでくれる。

私は、そんなサンタさんを尊敬している(自画ジーサン?)。


という、いつもながらの下らない話で幕を開けたあと、高校2年の娘が「クリスマスパーティーを開きたいんだが」と突然言った。

おお、Xmasパンティか、どこでやるんだ?
エミちゃん家か、カナちゃん、タマオちゃん、トモエゴゼン、居候さんの家か?

「バカかお前は! うちでやるに決まっているだろ!」

うちで?
このオンボロアパートでXmasパンティを?
俺は、Tバックを着るのは、嫌だぞ!

「死ね!」


死んだ。


死んだあとで娘に聞いたら、パンティに集まるのは、8人だという。
すべて、女子高生。

大丈夫か。
このオンボロアパートの床が抜けるのではないか。

「抜けてもいい。とにかく、やる!」

そうか、やるのか。
この家の空間が、女子高生で満ちるのか?

なんか、WAKUWAKUするな。

「ヘンタイ!」


という心温まる会話の後、細かい打ち合わせを娘と執り行った。

食い物は、各自が手巻き寿司のネタを持ち寄るので、我が家で用意するのは、基本的に白米。
そして、鶏の唐揚げ系、ローストビーフ系、フライドポテト系、ケーキ系でいいという。

ケーキ系は、ガトーショコラをオーブンで焼く。
鶏の唐揚げ系、ローストビーフ系、フライドポテト系は、クリスマス用に作って、すでに冷凍したものがあるので、それを使う。
だから、手間いらず。

問題は、白米。

1年と少し前、我が家に1年ほど居候をしていた「居候さん」は、一人で3合のメシを食うというコメ大好き娘だ。
それに対して、我が家の炊飯ジャーは、5合炊き。
居候さんが3合のコメを食っちまったら、残りは2合だけというのは、7歳の子どもでもわかる算数だ。

残りの8人で2合のコメを争ったら、確実に「米騒動」が起きる。
血を見るのは明らかだ。

2回炊けばいいではないか、というお気楽な考え方は、私には通用しない。

だから、知り合いに圧力鍋を借りることにした。
それを使って、炊飯ジャーと圧力鍋のコラボで、1升のメシを炊こうではないか。

それなら、効率がよかろう。

早速、知り合いに圧力鍋を借りに行った。
その圧力鍋を見たヨメが、「今は、結構安い圧力鍋があるから、買えばよかったのに」とクレームをつけた。

その言葉に対して、私の辞書に、圧力鍋は存在しない、と私は、威厳を持って答えた。

これは、あくまでも、緊急用のものである。
私は、普段、料理で楽をしようと思っていない。

たとえば、フードカッターなどは必要ない。
包丁は、何のためにあるのだ。
食材をカットし、スライするためにあるのだから、それを使えばいい。
たとえば、キャベツのみじん切りを美しく終えたあとの爽快感は、電動のフードカッターでは、味わうことができない。
私から、その快感を奪う権利は、誰にもない。

電動のハンドミキサーなんかも、いらない。
メレンゲは、泡立て器でシャカシャカ作るものだ。

圧力鍋?
私のように、100パーセント勘だけで料理をする男にとって、料理の工程が確認できない圧力鍋ほど怖いものはない。
蓋を開けるまで、出来上がりがわからないなんて、不安でしょうがない。

だから、いらない。

私がそう言うと、ヨメは「へ〜〜〜〜んなのぉ〜〜」と、オペラチックに歌いながら、自分の部屋にフェイドアウトした。


ところで、今回、娘に強く釘を刺されたことがある。

「おまえは、ただ料理を作るだけだぞ。顔は出すなよ。いいか・・・・・今回のテーマは、JK(女子高生)Xmasパーティだ。JK以外は、立ち入り禁止!」

私が、何かを言おうとすると、娘は先回りして、「セーラー服を着たって、ダメだぞ。それは、ただのヘンタイだ!」と頭を叩かれた。

高校のではなく、君の中学時代の制服が残っているんだが、それを着てもダメか?

蹴りを食らった。


諦めるしかなさそうだ。

今年のクリスマスは、つまらないものになりそうな予感が・・・・・。



ところで、昨晩、アホのイナバと「ふたり忘年会」を開いた。

場所は、中央線武蔵小金井の「さかなや道場」。

なぜかわからないが、イナバの奢りだった。
なぜ、イナバは、14歳年上の私に、いつも奢ってくれるのだろうか。
謎は、深まるばかりだ。

さて、その居酒屋で、いまどき、ありえないフレーズを聞いたので、ご紹介しようかと思う。

隣のテーブルに陣を張っていた5人組のサラリーマンのうち、明らかに年長と思われる男が、若い男に「俺の酒が飲めないのか」と言ったのである。
口調からすると、冗談で言っているわけではなさそうだ。

「俺の酒が飲めないのか!」

平成を24年も過ぎ、25年になろうとする現代。
それは、とっくに死語になっていた言葉なのに、突然ゾンビのように生き返ったのを聞いて、イナバと私は、思わず顔を見合わせてしまった。


俺の酒って、どんな酒?

その酒を飲まないと、何か世の中に不都合があるのだろうか。


たとえば、原発推進派の自民党が困るとか。
維新の会の石原氏と橋下氏が、喧嘩をするとか。
小沢一郎氏の無罪が取り消されるとか。
安倍晋三氏の胃腸炎が再発するとか。


若い男のテーブルを見ると、彼の目の前にあるドリンクは、おそらくコーラ。

きっと酒が体質的に合わないか、このあと車の運転をして帰らなければいけないか、あるいは体調が悪いか、のいずれかだろう。
酒を飲まないのは、彼なりに理由があるはずである。

その全てを否定して、「俺の酒が飲めないのか」とは・・・。

いるんですね。
こういうバカが、いまだに。


そのフレーズを聞いて、無性に腹が立った私は、大人気ないと思ったが、アホのイナバに向かって声を張り上げた。

俺のタコの唐揚げが、食えないのか!

「足が多くて食べられません。足のないタコなら、食べられます!」

では、俺のパエリアは、どうだ!

「パエリアの意味が、わかりません!」

ぶり大根が、食えないのか!

「スミマセン、ブリと大根は、別にしてください!」

イナバが、テーブルに両手をついて、頭を下げた。


隣のテーブルが、静かになった。

効果は、あったようだ。



しかし、いま、冷静になって考えてみると・・・・・。

もしかしたら、「俺の酒が飲めないのかバカ」よりも、私たちの方が、はるかにバカだったのではないか、と。




2012/12/23 AM 09:00:05 | Comment(1) | TrackBack(0) | [日記]

ビール泥棒チーズ泥棒
家族の晩メシをほぼ作り終えた昨日午後7時7分前、大学時代の友人であり、コンサルタント会社の社長であるオオクボから電話があった。


「大丈夫か、おまえ」と突然言われた。

もちろん、俺はいつだって大丈夫じゃない男だ、気にするな、と答えた。

どう大丈夫じゃないかと言えばな・・・・オオクボ、俺はこの間、京橋のウチダ氏の事務所に行ったんだよ。
ウチダ氏は、例によって忙しかったから、不在だった。

だから、俺は当たり前のように合鍵で侵入して、冷蔵庫の中のクリアアサヒを飲み、身分不相応だとは思ったが、スーパードライも飲んでしまったんだな。


ウチダ氏は、このブログで何度も書いているが、イケメンである。
そして、仕事もできる。
さらに、決して人を不快にさせない卓越した話術も持ち合わせている。

つまり、人間として、とてもイヤな奴だ。

彼は、自分が不在のときに、五歳年上の貧相な白髪オヤジが来ることを想定して、絶えず事務所の冷蔵庫に、私の大好物であるクリアアサヒと各種のチーズを常備している奴なのである。

2日前、午後1時過ぎ、侵入に成功した私は、まずクリアアサヒの500缶を飲みながら、カマンベールチーズをかじった。
次もクリアアサヒの500缶。
そして、二つ目のカマンベールチーズ。

飲んで食ってだけでは飽きるので、自宅で撮りだめしておいたTVドラマ「ゴーイングホーム」を3話から観はじめた。

TVは、42インチの液晶。
レコーダーは、ブルーレイ。

成功者め!

私には、到底理解不能なのだが、世の中には、フジテレビの番組というだけで忌み嫌う人が、いらっしゃるようだ。
しかし、私は嫌う理由がまったくないので、ゆったりとした気分で、映像を堪能した。

このドラマは、BGMがないのと、会話の密度が薄いところが好きだ。
そして、物語の進行が緩やかで穏やかなところがいい。

つまり、監督と俳優の力量が如実に出る。

それぞれの俳優さんの表情、会話の間に感嘆しながら、今度はスーパードライの350缶を飲んだ。
つまみは、チェダーチーズだ。

そして、チェダーチーズをかじりながら、2本目のスーパードライ。

幸せ過ぎて、チーズ臭い屁が出た。
(下品でスイマセン)

さらに、スーパードライを飲んで、幸せ絶頂のとき、突然の眠気がやって来た。
「ゴーイングホーム」は、第5話が終わろうとしていた。

尻の居心地がいい、やや硬めのレザーのソファ。
まぶたを閉じる前に見たデジタル時計の数字は、15:57を示していた。


夢を見ているという感覚はあった。

突然、目の前に広大な竹やぶが広がったのだから、これは夢に決まっている。

漆黒の闇の中に、浮き上がって見える魍魎の巣のような竹やぶ。
鳥肌が立つくらい、おぞましい光景だ。

そこに足を踏み入れるのは勇気のいることだったが、私の足は勝手に動き出していた。
滑るように竹やぶに侵入し、アッという間に竹やぶの中心まで到達した。

その竹やぶの中心にいたのは、何故かピアノを弾いている宇多田ヒカルお嬢様だった。

その光景を見たとき、私は夢の中で、これは間違いなく夢だということを確信した。

ピアノの音に合わせて歌われる「誰かの願いが叶うころ」。

名曲だ。

聞き惚れた。

しかし、聞き惚れているときに別角度から唐突に聞こえてきた「We will rock you」。
QUEENの代表曲である。

まさか、この竹やぶには、QUEENもいらっしゃるのか。

まあ、夢だから、いてもおかしくはないが・・・・・。

しかし、その「We will rock you」は、夢にしては、妙に現実的な音だった。
無遠慮に私の左耳に侵入してくる。

これでは、宇多田ヒカルお嬢様の歌声が聴こえないではないか。

この無礼者が!

と叫ぼうとしたとき、夢の中の私は、これはiPhoneの着信音であることに気づいた。
得意先からの電話は、着信音をみな「We will rock you」にしてあったのだ。

夢の中で宇多田ヒカルお嬢様の歌声に心を囚われつつ、現実的な意識の中ではiPhoneの着信音を認識し、早く出なければ、と焦る俺。

意識は覚醒途中なのに、体は、まだ夢の中。

金縛りというほどではなかったが、焦って開けた私の目が最初に捉えたものは、暗い闇だけだった。

真っくろ〜〜〜〜〜〜〜い闇。

全身にトリハダ。

そのあと、突然口から発せられた「ギャーーーーーー!」という自分の声に驚いて、すぐに私の体は目覚めた。
そして、iPhoneの発信音が止んだ。

夢遊病者のような緩慢な動きで、iPhoneとビジネスバッグ、スーツの上着を拾って起き上がり、私は一直線にドアに向かった。
2回ドアに体当たりを食らわしたのは、覚えている。

体が完全に目覚めていなかったこともあって、距離感がつかめなかったのだと思う。

暗闇の中でドアノブを探って、震える手でドアを開けた。

廊下に出た。

廊下は、電灯がついているので明るい。
その明るさが、私を正気に戻してくれたと言っていい。

だから、事務所の鍵をかけることは忘れなかった。
そこは、褒めてくだされ。


ただ、一つだけ心残りがある。

私は、ウチダ氏の事務所で飲み食いしたあとは、いつも完璧に後片付けをしてから部屋を出ることにしていた。
ビール缶は薄く潰してレジ袋に入れ、食い終わったチーズの包み紙は、他のレジ袋に入れて、いつも持ち帰っていたのだ。
ビール泥棒、チーズ泥棒としては、それが最低限のマナーだと思っていたからだ。


な、わかるだろ・・・オオクボ。

だから、俺は大丈夫じゃなかったんだ。
ウチダ氏に迷惑をかけてしまった。
俺は・・・・・ちっとも大丈夫じゃないんだよ。


11秒の沈黙のあと、オオクボが、精神科医のように慈悲深い声で言った。

「俺が今晩、新宿御苑の馴染みの店で飲む約束をしたのは、お前だったような気がするんだが、違ったか?」

新宿御苑?
今晩?

今日は、何日だ?
12月18日?

約束?

記憶をたどってみた。

18日火曜日、午後6時半。
オオクボと約束。

思い出した!

「そうか、思い出したか。で・・・・・今は7時を回ったところなんだが、俺は、いったいどうしたらいい? このまま、お前を待ったほうがいいのか? それとも、帰ったほうがいいのか?」


オオクボさま!
行きます! 行きます!
すぐ行きます!


武蔵野のオンボロアパートから自転車を飛ばし、中央線の快速を飛ばし、メトロを飛ばし、地上の道を走って飛ばし、オオクボの馴染みの店に着いたのは7時54分だった。

確実に8時を過ぎると思っていたのだろう。
オオクボは、早すぎる私の到着に、「タクシーで来たにしても早すぎるな」と呆れた。

知らないのか? 俺は、自家用ヘリを持っているんだぜ。

「タケコプターの間違いじゃないのか」と、珍しくオオクボが冗談を言った。

タケコプターは、もう飽きちまったんだ。

(笑い)

そんな他愛もない話から始まった「旧友ひとり」との忘年会は、昨晩11時近くまで続いた。


会計のとき、約束を忘れていたし、遅刻までしたのだから、ここは俺が持つよ、と格好をつけた俺に、オオクボは「これ以上、お前が痩せていく姿を俺は見たくない」と言って、乱暴に私の腹をさすった。

そして、光り輝くカードで支払いを済ませた。


いつもなら、得をしたと思う私だったが、このときだけは、泣きたくなるくらい後悔の念が湧いて出た。

御苑の駅まで、私たちは無言で歩いた。

冗談を言う気にもならない。

申し訳ない、という気持ちしかない。

御苑の駅に着いたとき、オオクボが、「悪いな、本当ならタクシーで送っていってやりたいところだが、明日の朝から出張でな。早く帰って眠りたいんだ。本当に・・・・・悪いんだが、自分で帰ってくれるか」と、小さく頭を下げた。


それに対して、冗談で返すこともできず、頭を深く下げることもなく、ああ、としか言えなかった俺。


帰り道。
踏み出す足が、重い。


年末に、とてつもなく真っ黒い自己嫌悪に陥った俺だった。


2012/12/19 AM 06:02:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

お仕事?
おはようございます。

ホームレスデザイナーのホネホネ白髪おやじです。


よく同業者から「ホームレスデザイナーは、おかしいでしょう」と言われることがある。


説明しよう。

私の家庭は、とても複雑で、主導権をK-POP好き、朝だけ週4日の花屋パート歴7年、一日の4分の1を「ピグライフ」をして過ごすヨメが握っている。

そのヨメが、一番嫌いなのが、私が平日ノンビリしていることなのである。

「世の中のお父さんたちが懸命に働いているのに、休むなんて、もってのほか!」ということらしい。

しかし、私は、その分、土日祝日を休まずパソコンと格闘していることが多い。
土日祝に休むことは、滅多にない。
(フリーランスとは、そういう商売です)

ひと仕事終えて、平日にノンビリする。
それは、フリーランスにとって、夢のような時間なのであるが、我が家の主導権を持ったヨメは、かたくなに、それを許さない。
土日祝を休まず働いている事実をカウントしてくれないのである。
(平日仕事がない、イコール廃業の危機、そして無職、という強迫観念に囚われているようだ。まあ、過去に危ないこともあったので、わからないでもないが)

そこで私は、安らぎの時間を得るために、平日ヒマになったときは、営業の格好をして公園に行くことにしている。
携行するのは、レジャーシート、iPad2、iPhone、iPhone用スピーカー、災害用簡易毛布、バスタオル(枕がわり)、そしてクリアアサヒ。

天気が良くて暖かい日は、東京小金井公園か東京三鷹の野川公園の野っぱらで、暗くなるまで横になっている。
音楽を聴き、空を見上げて、ひとときだけ詩人になる。

この空と繋がったところではきっと・・・てなことを考えつつ、クリアアサヒを飲み、柿の種をかじる。

眠くなったら寝る。

飽きるほど寝る。

天井がない空間に、安らぎを求める俺。

だから、ホームレス。


ただ、この日本は、いつもいつも天気が良くて暖かい日ばかりではない。
困ったことに、極寒の日や猛暑の日、豪雨、竜巻、爆弾低気圧、台風、宇宙人の大襲来が、私を苦しめることもある。

そんなとき、真正ホームレスの方たちは逞しく生きておられるが、ひ弱なホームレスである私は、その環境で生きていくサバイバル技術を持っていない。

だから、そういうときは、同業者であるWEBデザイナーのタカダ様(通称ダルマ様)のお仕事部屋の片隅に置かれたソファーをお借りして、ひっそりと惰眠を貪ることにしている。

部屋の隅に溜まったホコリのように、空気以下の存在に自分を落とし、タカダ様のお仕事の邪魔をしないように、息を殺して眠るのだ。


タカダ様の奥様は、こんな私のために、専用のスウェット、毛布まで用意してくださり、私の大好物の銀河高原ビールを恵んでくださり、幼い子の世話まで押し付けてくださる。

ありがたいことでございます。

ときどき、ダルマの野郎が、「師匠、仕事を用意しておきました。ヒマはつらいでしょうから」と言って、人でなしに変身するが、もともと彼は人ではないので、許してやっている(ダルマなので)。

幼子のお守りをし、人の仕事を手伝う模範的なホームレス。

私は、そんな男なのです。

わかりましたか。同業者の皆様方。
(説明になってませんか?)



こんな役立たずの私ですが、過分なお言葉をかけてくださる方々がいるのは、幸いなことでございます。

極道コピーライターのススキダの野郎は、「リタイヤしたらよお、白馬か伊豆高原あたりのペンションを居抜きで買い取って、趣味のペンション経営をしようと思うんだが、オメエ、チューボーで料理チャチャっと作ってくんねえか」と、2歳年上の私に対して、上から目線で言いやがる。

16歳年下のチャーシューデブ・スガ君は、「気軽に立ち寄れるラーメン屋、一緒にやりましょうよ」と、おっしゃってくれている。

14歳年下のテクニカルイラストの達人、アホのイナバは、「まあ、いつまでも、とにかく一緒に」と、意味のわからないことを言ってくれる。
(ホモではありません。お互い女性の太ももが大好きでございます。特にアホのイナバは、香里奈さんのが)


過分なお言葉、ありがとうございます(泣いている)。


そんな私に対して、先日、たった3日間だけだったが、荻窪のダルマ様の仕事場の隅でホコリと化していた私に対して、ダルマ様が言ったおコトバ。

「師匠。師匠は、キラクでいいですよねえ」

いや、タカダ君、俺は幸ラク苑でラーメンを食ったことはないぞ。餃子ならあるが。

「いや、だから、キラクで」

何を言っているんだ、タカダ君。円ラクは、もう6代目だぞ。

「キラクだって・・・・・」

そうそう。奈ラクに落ちて大怪我をした市川染五郎は、復帰したらしいな。めでたいことだ。


(シラーッとした空気。そして、ど・沈黙)


俺・・・・・何か、いけないこと言っただろうか。

反省していたとき、ダルマ様の奥様、微笑みの天使トモちゃん様が、救いの手を差し伸べてくださった。

「師匠。銀河高原ビール、持って帰りますか。それとも、重いから宅配で送りましょうか」

つまり、もう帰れ、ということだな。
高度な立ち退きのテクニックを使ってきたものだ。

銀河高原ビールを土産に持たせて、追い出そうとするとは。
(もう午後5時を過ぎているから、当たり前か)

しかし、ここでトモちゃんの機嫌を損ねてはいけない。
彼女の機嫌を損ねたら、私は行き場がなくなる。

だから、ありがとニャン。ビール、持って帰るニャン。リュックを持ってきたニャンから、それに入れて帰るニャン、と最上級の敬語で答えた。

それに対して、ダルマは、「師匠、スーツにリュックは似合わないんじゃないですか。ダサいですよ」と言いやがった。

何を言っているんだ!
リュック・ベンソンの最新作は「96時間/リベンジ」だろ!
どこが、ダサいんだ!


シュールな沈黙の中、私は、銀河高原ビールをリュック・ベンソンにパンパンに詰め、ダルマの仕事場をあとにした。


はたして、ダルマは、次回も快く、こんな恥知らずなホームレスの私を受け入れてくれるだろうか。

もし受け入れてくれなかったら、私は本当のホームレスになってしまう。



そうなったら、このブログのタイトルが「ホームレスでお仕事?」に・・・・・?






ところで、前回、得意先とバトルをしたと書いたが、その後、その会社から電話があった。

本来の担当者の課長からだ。

「前回の仕事、お願いしたいんですが」と遠慮がちに言われた。
(他で断られたんでしょうね)

前回対応した横柄な男については、「大人の事情で、申し訳なく・・・」と言われた。

私は、物事を深く掘り下げる趣味はないので詳しくは聞かなかったが、ミスター横柄は、「業者なんて、叱り飛ばせば言うことを聞くんだからさ」という考えを持った勘違い人間だったらしい。

しかし、この先、ミスター横柄が私に指図するのなら、仕事はご勘弁願いたいですね、と強気で言うと、「あの人は、展示場の設営に回ってもらいましたから、ご安心ください」と言われた。
(それも大人の事情?)

それなら、断る理由はない。


これで、年末年始は、気持ちよく・・・・・お仕事?


2012/12/15 AM 07:46:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

私は冷静でしたけど
少し早い、友人たちとの忘年会。

その席で、得意先とバトルしたことを33パーセント盛った状態で話したら、「マツ、相変わらず、大人気ねえなあ」という、大学時代の友人約3人から非難の声を浴びた。

だから、その中で一番頭が寒い男の毛を毛根から17本抜いてやった。

そうしたら、「まったく、いつまでたっても子どもだよな、マツは・・・」とまで言われた。

BABOO! バブー!

「それは、子どもじゃなくて、赤ちゃんだろ。進歩がないぞ。大丈夫か、おまえ」


うん・・・・・おそらく・・・・・大丈夫じゃない・・・と思う。


というような心温まる話題ではなく、ここからは、その大人気ないバトルの模様を細大漏らさずに書き記そうと思う(33%盛ったりせず)。

このブログを何回か読んだことがある方なら、その結末は想像できると思いますが・・・・・。


得意先から、来年2月末に開かれる装飾品の展示会に置く小冊子のデザインを頼まれた。
まだ先のことだから、原稿は全く揃っていないという。
だが、最初に表紙のデザインだけは決めておこうという話になった。

その展示会は、過去に6回やっているが、小冊子を作るのは今回が2回目らしい。

では、前回の冊子があれば見せていただきたいのですが、という当たり前のことを私は担当者に聞いた。

東京神田のイベント会社。

その会社からは、今まで7回仕事をいただいたことがある。
イベント宣伝用のパンフレットが多い。

そして、担当者は、30歳半ばの男性だった。
その担当者の他に、今回は、もう一人60歳近い人がサポートとして付いた。

名刺を見ると、肩書きはない。
若い担当者は課長だが、その人は無役。

どんなポジション? などと聞くことはできない。聞く意味もない。
ただ、とにかく態度が横柄である、という第一印象がある。

課長には、かなりへりくだったもの言いをするが、私に対しては、下僕を扱うような横柄さだ(下僕は大袈裟でした。出来の悪い新入社員に対する態度と言ったほうが分かりやすい)。

「前回の冊子? なんで、それをあんたに見せなきゃいけないの? 他の人がやったのを参考にするなんて、楽をしようとしていないか?」


ほ――――――、そう来ましたかぁ。


じゃあ、まあ・・・・・その話は、撤回ということで(当たり前の要求を却下されるとは、嫌な予感が。しかも最初から喧嘩腰って)。

では、まず、方向性をご相談しましょう。
何か主題になるテーマがあれば、お知らせください。

「え? なに言ってんの! だから、装飾品! テーマは装飾品だよ!」

思わず課長の顔を見てしまったが、課長は、頭を掻くだけ。

大きく息を吸って、では、どういったコンセプトで表紙を作ればよろしいのでしょうか、と聞いた。

「知らない。だって、俺は初めてだからさ。それを考えるのがプロってもんでしょ」
(え? 丸投げ!)


いや、俺は展示会関係者じゃないんだから、教えてくれなければ、わからない。
俺こそ、初めて聞く話なんだから。
(もしも俺が独断で自分のイメージだけで作ったら、怒るんじゃないの?)

しかし、ここで腹を立ててしまったら、仕事を失うのは目に見えている。
貧乏デザイナーとして、それは、痛い。

さらに下手に出た。

では、どんなものにしようと思っているのか、そちら様のお考えをお教えください。
それに合った案を出しますので。

「は? なに? それを自分で考えるのがプロだろ! こっちに頼るのは本末転倒だろうが!」

この場合の「本末転倒」の用法は、少し違うような気がするのだが。

あなたが「本」で、私が「マツ」というのが、世間一般の常識であって、ここは転倒させてはいけないし、私は転倒させていない自信がある。
だから、「本」のあなたが、まず考えを聞かせるのが、筋だろうよ。

ここまで我慢したのだから、ここで腹を立てるのは大人気ない、勿体ない、お金がない。

ここは、気を鎮めなければいけない。

だから、相手の風貌の良いところを探して、心に余裕を持たせようと思った。
神は必ず、人に良い部分を与えてくださったはずだ。

凝視した。

頭は・・・・・頭皮丸見え。
目は・・・・・細くて垂れ下がっている。
口は・・・・・歯にヤニがこびりついている。
体型は・・・・・腹がドーン!

そして、滑舌が極めてよろしくない。
声がこもるから、語尾が聞きづらい。

しかし、人を罵倒するときだけは、声のトーンが上がって、聞きやすくなる。
つまり、褒めるべきところは、人を罵倒するときの出来の悪いオペラ歌手のような声だけ。

良かった。こんなにも、いい人に巡り合えて。

「とにかくさあ・・・作ればいいのよ。来年の2月まで時間はタップリあるんだから」

いや・・・しかし、そんな悠長なことは言っていられないのでは?

2月末の展示会に間に合わせるなら、遅くとも2月中旬までに印刷が終わっていなければいけないだろう。
デザイン、組版は、1月末、2月始めあたりまでに校了にならないと、スケジュール的に辛い。

そうすると、残された期間は、ひと月半ほど(正月休みが入るから、スケジュールはタイトだぞ)。

この時期に、コンセプトを決めなければ間に合わないのでは・・・。

細部まで詰める、とは申しませんが、とりあえずテーマかコンセプトだけでも提示してください。それに沿ったラフ案を何点か作りますので、と懇願した。

「なに! コンセプト、コンセプトって! そのコンセプトは、あんたが持っているもんだろうがよ! 人に簡単に・・・・・(なぜか言葉を溜めたぞ)頼るなよ!」


いやいや・・・・・俺は、まだこの段階では、コンセプト持っていないですよ。
コンセントなら、あちこちにあるけれど(サムい)。
だって、初めてやる仕事だもの、どんな会社が参加するかも知らないし、どの程度の規模かも教えてくれないし。
(展示会の場所と期日は聞いたが、参加企業や規模、ターゲット層は聞いても答えてくれなかった。彼らが何も知らないってことは有り得ないと思うが)

最低限の情報も与えないで、それで、部外者の俺に、コンセプトを決めろって言われても。
あなたがたの会社が、プロデュースするイベントでしょうに・・・。

責任者は、誰なんだよ、いったい?


困りきったキリンを演じている私を見て、男は、芝居がかった溜め息をつきながら、太った上体を椅子の背にもたれかけた。
そして、鼻で笑うように言ったのだ。

「K課長(本来の担当者)、こいつ・・・使えないな」
(この『使えないな』の部分は、小声で言ってくださった。気を使ってくれて、ありがとうございます!)

ただ、私にとって最大のキラーフレーズは、この「使えないな」である。
もしこの言葉がなければ、やんわりと話を運んで、ラフ案提出でソフト・ランディングするつもりだったが、このキラーフレーズだけは聞き逃せない(大人気ないのは承知)。

だから、小爆発。


まともな情報がなければ、仕事はできない!

時間の無駄!

俺にばっかり・・・・・(言葉を5秒ためて)頼るなよぉ!


机を蹴飛ばすように立ち上がって、出口まで大股で歩いた。
ドアにも怒りをぶつけようと思ったが、そこまでの熱い演技は私にはできない。
だから、ソロっとした緩やかな動きでドアを開け、上品な動作で、会社の外に出た。

担当者様ふたりのリアクションは、見なかった。

エレベーターに乗っている間、7.5回、「Go to hell」「Deadhead」と呟いた。
(8回目をつぶやいている途中で、エレベーターのドアが空いた)


自己弁護をさせていただけるなら、私は文章で書くほど熱くなっているわけではなかった。
相手の言葉も、自分で言った言葉も、ほとんど覚えていたから、気持ち的には余裕があった。

席を立つタイミングまで、密かに考えていたほどだ。

私が仕事を断ったのは、年末年始の貴重な時間を、この「素晴らしき人たち」のために使うのが嫌だったからだ。

年末は、その一年にあった出来事を優雅に振り返りながら、気持ちのいい仕事がしたい。
そして、年始は、これから来るであろう希望に溢れた未来を感じながら、明るく仕事がしたい。

だが、今回の仕事では、そんな私の希望は叶えられそうにない。

だから、断ったのだ。


これでも、私のことを大人げない、と言い切れるだろうか。

(自分でも苦しい言い訳だとは思う)



ところで、別ルートからの情報で後に判明したところによると、その横柄な男は、その会社の社長の親戚筋だったらしい。

今さら、どうでもいいことだが。


そして、さらに、どうでもいいことだが、今日から3日間、仕事がヒマ。

WEBデザイナーのタカダ君(通称ダルマ)。
あとで、昼寝をさせてもらいに行くからね。

明日も、行くかもね。
もしかしたら、明後日も。

ヨロシク・・・・・・・ね m(_ _)m



2012/12/11 AM 06:00:01 | Comment(3) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

神に誓ったこと
前回、東京八王子のショウコの家に、子守りジジイとして監禁されたことを書いた。

その続き。


ショウコに、晩メシを作ることを命令され、作った。

献立は、小松菜とベーコンのキッシュ。
イワシと白菜、キュウリ、トマトのマリネに、オリーブの輪切りを散らしたもの。
そして、カレー風味オムレツ(トロトロのやつ)。
小麦粉とドライイーストを捏ねて、速攻で焼いたナン(このナンにトロトロのオムレツを乗せて食う)。

3歳のガキ(女の子)には、オム焼きそばとジャガイモのポタージュスープ。

バブー(4ヶ月の男の子)は、おねんね。

私は、30年物のバランタインをロックで。
(自分でも卑しいと思うが、これを目当てに子守りを引き受けたのだ)

つまみは、イカソーメンとイカの姿焼き、イカの塩辛(イカのフルコース)。

「スコッチウィスキーにイカは合わないんじゃない?」とショウコに言われたので、イカにもイカにも、と答えたら、「イカイカ白髪おやじ」と罵倒された。

あるときは、ホネホネ白髪おやじ、あるときは、キリンおやじ、そして、今はイカイカ白髪おやじ。
呼び名が、コロコロ変わるオレ。

いったい、俺は何ものだ?

「簡単に言えば、『バカもの』かな?」と、ショウコ。

一本取られました。


食後は、ガキのお絵かきの相手をしながら、バランタイン。

アンパンマンを書いては、バランタイン。
バイキンマンを書いては、バランタイン。
ジャムおじさんを書いては、バランタイン。
ドキンちゃん、食パンマン、チーズを書いては、バランタイン。

ガキに「なに飲んでるの?」と聞かれたので、「おくちゅり」と答えておいた。

「どこか悪いの?」と聞かれたのだが、私が答えるより先に、皿洗いをしていたショウコに「頭が、かなり・・・ね」と、本当のことを言われた。

一本取られました。


そんな風に有意義な時間を過ごしていたら、時刻はとっくに10時を回っておりました。

おねむのガキ。

ガキを寝かしつけたあとで、ショウコは赤ん坊にオッパイを与えておった。

直視できず、ベランダに逃げる俺。

(全然隠さないんだもん)いと気恥かし。

ベランダで動悸を沈めていると、赤ん坊にオッパイをあげ終わったショウコに、「バランタイン、もう半分飲んじゃったのね」と仁王立ちで言われた。

殴られるかと思ったが、気持ち悪いほど優しい声で、「飲みすぎは体に毒だよ。もう若くないんだから」と言われた。

しかし、残すのは勿体ない。
マサ(ショウコの夫)に飲ませるのは、もっと勿体ない(と言っても、マサは酒がダメだが)。
このバランタインは、俺を待っていたのだ。
だから、全部飲む。

「でも、今夜酔っ払われても困るんだよね。夜、ミルクを上げてもらわないといけないから」とショウコ。

Aカップ貧乳の俺が、オッパイが出るであろうか。
君が小さい頃は、溢れるほど出て、君を育てたが、もうさすがに、この年では無理じゃないだろうか。
一応、努力はしてみるが・・・・・。

(私のキレのあるジョークを完全に無視して)「粉ミルクの作り方はわかるよね。温度が大事だからね。慎重に作るんだよ。私は寝ているからね。頼んだよ。あと・・・哺乳瓶の消毒も忘れずにね」

ハイ、わかりました!

しかし・・・・・あのぉ・・・・・私は、どこで寝れば、よろしいので?

「私たちの部屋に決まってるでしょ。同じ部屋で寝ないと子どもの様子がわからないじゃない。いい? 2〜3時間おきのミルク。寝過ごさないようにね」

シャワーを浴びたあとで、ショウコたちの部屋のドアを開けたら、ショウコは、ストレッチの真っ最中。

入ってもよろしいでしょうか、と恐る恐る聞くと、ストレッチ最中のショウコに、「遠慮するな」と怒られた。

遠慮しなければしないで、怒られるような気もするのだが・・・・・。

俺は何もの? 小心もの?


赤ん坊は、壁際のベビーベッド。
3歳のガキが真ん中。
それを挟んで、ショウコと私。

川の字じゃないか。

まるで孫と娘とジジイみたい。

ジジイだけが浮いているが、川の字であることは、間違いがない。

血の繋がりはないが、こんな擬似家族でも、気分は高揚するものである。

ケケケケケ、と笑った。

ショウコに「キモイ」と言われたが、なんか嬉しい。

ヒヒヒヒヒ・・・・・。

「今から家に帰る?」と、ショウコに呆れ顔で言われた。

ヒヒヒヒヒ・・・・・。

さすがに、頭を張り倒された。


でも、ヒヒヒヒヒ。


(怯えるような目で)「こんなオヤジをKちゃん(私の娘・17歳)は、よく許しているなあ。普通なら、毒殺されても文句は言えない」

いや、我が娘なら、同じように、ヒヒヒヒヒと笑うと思うよ。
思考回路が、同じだからね。

「まあ・・・そうかもね。Kちゃんは、オヤジの布団で寝ても平気なんでしょ。あの年頃の娘なら絶対に嫌がるのに、セーターなんかも共有して着てるんだよね。ありえないよね」

同じ年頃の娘を持つ友人たちに、それを言うと、「嘘だろ」と言われるのだが、娘はお友だちと遊んで疲れて帰ってくると、わざわざ私の布団を押入れから出して、そのまま寝てしまうのである。

私が食っていたものを途中で横取りして食っても平気。
自分のスエットが見つからないときは、2サイズ以上大きい私のスエットを出して着ることもある。

そのことに関して、何の抵抗もないようなのだ。

「こんなクソキモいオヤジなのに、鈍感なのかねえ、Kちゃんは」


ヒヒヒヒヒ・・・・・。


枕が飛んできた。

枕の動きは見切っていたが、枕が顔にあたっても大したことはないだろうと思って、顔で受けた。
しかし、思ったより硬い枕だったので、直撃した鼻に痛みが走った。

涙が出た。

痛みを和らげるために、バランタインをグラスに波波と注いで、ストレートで飲んだ。


バランタイン 鼻の痛みが 飛んでいく


「バカ」という褒め言葉を残して、ショウコが眠りについた。

午後11時26分だった。

そのとき、娘からのショートメールが来た。
「人妻を襲うなよ。理性を保て」

わかりました。


Aカップ貧乳からオッパイを2回与え、浅い眠りについていた頃、「朝ごはんの時間だよ」と背中をつつかれた。

おお、もう朝メシができたのか。

「なに言ってるの? サトルさんが、作るんでしょ!」

時計を見ると、午前6時25分。

早くないですか? 日曜だし・・・・・。

「子どもの朝は早いのだ」

見ると、確かに3歳のガキは起きだして、お着替えをしている。

慌てて台所に走り、フレンチトーストとナス、ピーマン、かぼちゃスライス、ズッキーニを焼いてオリーブオイルと塩、粗挽きコショウをぶっかけたものを作った。
ガキは、パンケーキにバナナのスライスと生クリームを乗せたもの。

ガキが食べながら「ママの朝ごはんより、おいしいね」と言ったときには、嵐が吹く予感がしたが、「そうだねえ、このオジさんのとりえは、これだけだからね」と穏やかなショウコの微笑みを見たときは、強大な嵐が収束したあとの安堵を感じた。

洗濯はショウコがしたが、掃除は私。

その後、ガキに本を読んで聞かせた。
「もりのかくれんぼう」
随所に隠された遊び心が面白い作品でした。

昼メシは、昨日晩メシを作ったあとに仕込んでおいた手打ちウドン。
強力粉と薄力粉を捏ねて、足で20分ほど踏んだあとで冷蔵庫に寝かしておいたやつを、ガキが食いやすいように細めに短く切って、月見うどんを作った。

「おいしいねえ」というガキの笑顔が、最高の褒め言葉。

その笑顔を見ながら、リビングで私はバランタイン。
つまみは、6角チーズ。

食後、ショウコが赤ん坊にオッパイをあげているときに、マサが帰ってきた。
(そんな光景にも慣れてしまった。ジイちゃん気分だからね)

リビングに入ってくるなり、マサが慌てた様子で「ショウコォ! 先輩の前で・・・え? なにぃ!」と叫んだ。



いや、マサくん。

俺は、見ていないから。

絶対に見ていないから。

それは、神に誓うから。

本当だから(チョット・・・・・ウソ)。





2012/12/06 AM 05:59:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

悲劇はマックで始まった
11月29日午後1時過ぎ。
得意先との打ち合わせの帰りに、久しぶりにファーストフード店に入ったら、隣の席に子持ちの主婦が4人やって来て、座るとすぐ愚痴の大噴射。

コーヒーを飲みながら、のんびりノートPCで簡単な修正をしようと思っていたが、4人の怒涛のような会話が、耳のスイッチをオフにしても流れ込んでくるので、逃れるようにして店を出た。

どなたも1才未満と思われるベビーを膝の上に乗せていた。
ファストフード店で日頃の不満を言い合うのが、唯一のストレス解消法なのかもしれない。
しかし、もう少し、周りに気を配るという意識も必要ではないだろうか。

2階から1階に降りようとした時も、勢いのある声が追いかけてきたから、まるで自分が逃亡者になったような気がした。

滞在時間、4分49秒。
高速で熱いコーヒーを飲み干したので、舌が痛いし、喉も熱い。


のんびり修正をしようとした気が削がれて、途方に暮れた。

おとなしく家に帰ればいいのだろうが、何か物足りない。
そこで、吉祥寺から武蔵境駅まで行く通りを横道にそれながら、日当たりのいい公園を探すことにした。

公園でお仕事?

自転車で探し回ること21分15秒。
「武蔵野中央公園」というところに辿り着いた。

初めての公園だ。
広いし、木花が多い。
日当たりのいいところもある。

早速、日当たりのいいベンチを確保して、PCをいじりだした。
修正箇所は4つ。
15分程度で終わるだろうと予測した。

しかし・・・・・ですよ。

ガキ連れのママさんの大群が、私の周りを取り囲むように、群れ出したではないか。
(幼稚園が終わった頃か)

ワイワイガヤガヤ、エ〜ン、ギャー、ドンドン!

嫌がらせか。

都会の公園は、ママさんとガキどもの天国だということは認識していたが、こんなにアッという間に占領されるとは思わなかった。
恐怖で、髪の毛が一瞬にして白くなった(ハハハ)。

広い公園だから、他にも行く場所はあるだろうに、よりによって俺の周りに、これだけ集中するとは・・・、ひよこクラブの陰謀とか。

まあ、冷静に考えれば、初めて来た私が、この近辺のママ・ガキの習慣を知らなかっただけだろうが。


「トモキ! 乱暴すんなぁ!」「落ち着け、このバカ!」「遠くへ行くなぁ!」
「人のもの、取るんじゃねえぞ!」「わけわかんないこと、すんなぁ〜、コラァ!」


まるでヤンキーの集会。


もう仕事どころじゃ、ないですよ。

これは、店じまいするしかない。
他の公園に行く気力も完全になくなった。


PCをバッグにしまい、脱力しながら駐輪場に向かおうとしたとき、iPhoneが震えた。
ディスプレイを見ると、大学時代の友人カネコの娘ショウコからだった。

早く出ないと怒られるので、すぐに出た。

しかし、「遅い! 何コール待たせるんだ! たるんでるぞ!」と怒られた。

よ、4コール目ですが・・・・・遅かったでしょうか?

「2コール目までが望ましい」

ハイ、以後、気をつけます。

「それでね・・・サトルさん」
突然、それでね、と優しい声で語りかけられると、背筋に悪寒が走るのだが、それを悟られると悲劇が待っているので、おお、とだけ答えた。

「マサ(ショウコの夫)が、土曜日、実家に帰らなきゃいけないの。だから、ピンチヒッターで泊まりに来てぇ〜」
猫なで声とは、このことを言うのかと思った。

鳥肌が・・・・・。

ようするに、今年7月に生まれた赤ん坊の世話を、マサの代わりに俺にさせようという気なのだな。
優しい声を出したって、その手には乗らないぞ。

断る! と毅然と答えようとした。

しかし、「バランタインの30年物を貰ったの。まだ封開けてないんだけど、飲む?」と言うではないか。

バ、バ、バ、バ、バ、バ、バ、バ・・・・・・・・。

「バランタイン!」

さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ、さ・・・・・・。

「30年ものぉ!」

行くぅ―――――――!!


ということで、土曜日の午後4時ジャストに、東京八王子のショウコたちのマンションに行ってきた。

ドアが開くなり、ショウコが両手で掲げた、やっと首が座り加減の赤ん坊が、バブー!

こちらも負けずに、BABOO!

「バブー」BABOO、「バブー」BABOO!

「うるさいから、早く入ってくださる?」と、落ち着いた様子のショウコ。

家の中にいると、完全に母親の顔になっているから不思議だ。
(しかし、大学院では、院生の顔に変わるのだろうな)

これが、私に対してだけ凶暴になる「モンスター・ショウコ」とは思えないほど、落ち着いた佇まいを全身から醸し出している。
これだから、女は、パラノーマル・アクティビティなのだ(?)。


マサは?

「昼過ぎに出かけましたの」

3歳のガキと赤ん坊、そして、ショウコ。

幸せな家庭の匂いがプンプンする。

その匂いを嗅いだだけで、気分が高揚するオレ。
その気分のまま、バランタインを飲ませろ、と要求した。

しかし、「まだ、お早いんじゃなくて?」と却下。

だって、もう4時だし。

「まだ世の中には、働いている人がいっらしゃるのだから、我慢なさったほうがよろしいですわ」

そ、そうですね。
(口調が怖い)


その後、晩御飯を作ってくださるかしら、と命令され、ガキの分とショウコ、私の晩メシを作った。

私がメシを作っている間、ショウコは、子ども二人と夕寝ですよ。

俺は、家政婦か。
ミタさんか、松嶋さんか、市原悦子さんか、ホネホネ白髪おやじか!

命令に忠実に、6時前までに晩メシを作ったので、ショウコを起こしに行ったが、ドアを開けると、百パーセント母親の顔をして、赤ん坊にオッパイをあげておった。

見なかったことにして、ドアを高速で閉めた。

動悸が激しい。


ウブなオジさんだこと。


と、ここまで書いたところで、50分まで、あと数十秒。

私は、ブログに費やす時間は50分以内と決めている。
胸に付けたカラータイマーが点滅すると、M78星雲に戻って仕事をしなければいけない。

だから、この続きは、また地球に舞い戻ってからにします。



ということで、次回に続く。



2012/12/03 AM 05:59:54 | Comment(4) | TrackBack(0) | [日記]



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