Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ヨコハマの空の下 メルアド交換
横浜元町の松雪泰子似の美女から仕事をいただいた。

この松雪泰子似の美女のことは、このブログで何回か書いているが、最近は、ご本人から柔らかなクレームをいただいているので、あまり書けない。

柔らかなクレーム。
「あまり美化されると正直困るんです。私はMさんのブログファンの一人ですが、何度も書かれると、ブログを読むのをやめようかと・・・・」

絶滅の危機に瀕するツシマヤマネコと同じように、数少ない貴重なブログファンを失いたくないので、もう書くまいと固く誓った。

しかし、死ぬ前に、一つだけ言っておきたい。

私が「美女」と書くとき、たいていは10%増量して表現するのだが、この人の「美」は、本物である。
性格も含めた正統派の美女をひとり選べと言われたら、私は間違いなく彼女を選ぶ。

これは、どうでもいい情報だと思うが、私が見た美女のベスト・スリーは、港区北青山のバスタ屋さんの行列に並んでいた故・夏目雅子さん。
渋谷宇田川町のNHK放送センター駐車場で見た中山美穂さん。
お台場で、同年代の女性と二人で歩いていた滝川クリステルさん。

いずれも女神といっていい方々だった。

ただ、このお三人は、芸能人である。
言い方は変だが、「綺麗で当たり前」という方々だ。

しかし、松雪泰子似は、違う。
一般人なのである。

それなのに、この美しさは・・・・・。

具体的に書きたいところだが、クレームが怖いので書かない。

ただ、松雪泰子似との1時間4分の打ち合わせの間、私の心臓の鼓動は、いつもより29%アップし、至福の時間を過ごしたことだけは、死ぬ前に、ここで書き残しておきたい。

ここまで書いて、気が晴れたので、話を次に進める。


打ち合わせが滞りなく終わったあとは、フリータイム。

まさか松雪泰子似を昼メシに誘うわけにはいかないので(そんな度胸はない、金もない)、どこか広い空間で、精神の安らぎを得たいと思った。

横浜元町のそばには、港が見える丘公園という有名な公園がある。
私の好きな公園の一つではあるが、ここは有名すぎて今さら足を運ぶのも照れくさい空間である。
(坂道を登るのが面倒くさい。そして、カップルが多いから。)

人一倍カップルに対して敵意を抱いている私は、この公園のことは無視して、元町からはかなり離れているが、根岸森林公園まで足を伸ばすことにした。

根岸森林公園に関しては、ネットで調べれば簡単にわかるだろうから、沿革・歴史など詳しいことは書かない。

むかし友人が根岸に住んでいたとき、彼のマンションを訪れるたびに私たちはここに足を運び、毎回のようにランニング(ジョギングではない)をしたものである。

1周約1.3キロの周回コース。
それなりにアップダウンがあるので、ペース配分が難しいコースだと言える(クロスカントリー的と言えば、わかりやすいか)。

1周を5分15秒以内で走ったら、今日は調子が良い。
しかし、それ以下だったら、調子が悪い。

それを基準にして、走ったものだ。
それが、13〜4年ほど前のことだ。

その後、1度だけ根岸森林公園に足を運んだことがあったが、ランニングはしなかった。

いつも一緒に走っていたパートナーは、離婚と長年のハードワークがたたって体を壊し、実家のある京都府乙訓郡に帰ってしまったので、走る気になれなかったのだ。


何年ぶりになるか忘れたが、久しぶりに足を運んだ根岸森林公園。

「馬の博物館」の後ろの道を降りると公園がある。
降り立った途端、目の中に、公園の緑が圧倒的な密度で入ってきた。

前日の雨で、緑が、さらに力を取り戻したように思えた。

緑の木と緑の芝生。
緑の美しい公園だという私の記憶は、時を経ても全く色褪せることがない。

暑いが、目を心地よく刺激する緑と、その香りを肌で感じると、体の奥底に溜まった疲労が少しずつ段階的に抜けていく気がする。

つまり、心地よい空間。

木陰に腰を下ろし、バッグから保冷袋に入れたクリアアサヒを取り出した。
昼メシ兼ツマミは、チーかま5本。
あとは、カットよっちゃんを2袋、亀田の柿の種1袋だ。
(人は駄菓子と言うが、私は主食と言っている)

心身ともに完璧にくつろいだ状態でクリアアサヒの500缶を飲み、チーかまを齧るホネホネ白髪おやじ。

午前中は、美女の顔を真正面から拝み、午後は緑深き地で、クリアアサヒを飲む。
久しぶりの贅沢気分である。

ペースの速さに自分でも驚くが、2本目のクリアアサヒを開けた。

何人かのジョガーが、私の目の前を走りすぎていった。
その中で、小柄な体でバランスのいいフォームで走っている女性が、私の目にとまった。

白のTシャツ、白の短パン、青のランニングシューズ。
手をリズミカルに振り、膝から下の蹴り上げも理想的なリズムを刻んでいた。

小柄な割に歩幅の広いストライド走法。
特別スピードがあるわけではないが、才能を感じさせる走りだった。

ステップの度に、頭の後ろで揺れるポニーテールが、まるで別の生き物のように感じられて、目を奪われた。

私の前を通り過ぎるたびに、私はその姿を凝視した、

おそらく、その視線を覚られたのだと思う。
次にその女性が私の前を走ってきたとき、彼女は、「ちょっと頼んでいいですか」とスピードを急に落として、私に言ったのだ。

スケベ心を見透かされたか。

しかし、女性は、綺麗な白い歯を見せて、「すみませーん」と言ったのである。
そして、ストップウォッチを私の目の前に差し出して、「これで1周のラップを教えていただけませんか。走っている私に、何分何秒って叫んでください」。
そう言ったあとで、私に向かって深く頭を下げ、「厚かましいお願いをしてごめんなさい。集中して走りたいものですから」と、下げた頭を数秒間キープした。

断る理由などない。
だから、「いいですよ」と答えた。

そうすると、またポニーテールが揺れたあとで、女性は、コースに戻っていった。

年齢は、おそらく20歳か21歳。
美人かと言えば美人ではない。
可愛いとも表現できない。

ただ普通より「今の消費税分」くらいは、可愛いかもしれない。
それに、健康的な笑顔がプラスされるから、好感度は高い。

濃い緑の匂いの中に、若い健康的な女性の匂いが混じった。

こんな贅沢な偶然なら、一生のうちに、あと一万回は経験してもいいと思った(スケベおやじ)。

普段なら、見ず知らずの人に話しかけられる確率が異常に多い自分の存在を呪ったものだが、この日は呪う気になれなかった。

クリアアサヒが、美味かった。

数分後、ポニーテールが見えた。
ストップウォッチを見た。

5分51秒、と叫んだ。

ポニーテールが、頷いた。

次は、5分43秒。
そして、5分46秒。
5分40秒。
かなり、正確なピッチと言っていい。

ポニーテールが、私の前を50メートルほど通り過ぎてから、反対側の芝生の山を駆け上がった。
練習の続きかと思ったが、次に姿を現したときは、右手に青いリュックを持って、私の方に歩いてくるところだった。

そして、私の前で立ち止まって、1度頭をペコリ。

「ありがとうございましたぁ!」

そのまま帰るだろうと思ったが、躊躇いもなく私の横に腰を下ろした。

ポニーテールは、バッグを開けてタオルを出し、顔と首筋を拭いた。
そして、バックから取り出したミネラルウォーターを一気に半分ほど飲んだ。

見つめては失礼だと思ったので、その動作を気配で感じただけだが。

そのあと、人見知りの私としては奇跡と言っていいくらい、スムーズに雑談に入ることができた。

まず、フォームが綺麗だと褒めた。
ただ、綺麗すぎて力感がない。
一流のランナーは、みな走りに個性がある。
あれは、どこかで全体のバランスを一度壊して、自分のものにしているから、個性的なフォームになる。
それぞれの個性的な走りには、ランナーなりの理論的な裏づけがあるのだ。
しかし、君のフォームは、一度も壊したことも壊されたこともないから、綺麗だけどスピードが上がらないんだ。

そんなことを言ったら、「走るの6年ぶりなんですよ。1か月前に、中学卒業以来6年ぶりにまた走り始めたんです。中学のときは陸上部だったんですけど、色々とあって・・・・・」と、ポニーテールが白い歯を見せた。

6年ぶり、ということなら頷ける。
その割には、いいタイムだったと言っていい。

偉そうに言ったら、「経験者ですか」と聞かれた。

中学、高校、大学のとき、陸上部だった、と答えたら、「見えませんね」と言われた。
速そうに見えないのではなく、「体育会系に見えない」ということらしい。

それは、10人中11人に言われる、と言ったら、「ダハハ」と笑われた。
「このバカおやじ」と思ったのかもしれない。

話を軌道修正した。
俺は、押忍! とか、先輩、ありがとうございました! なんて、一度も叫んだことなかったから、変わった体育会系なんだ。

「じゃあ、先輩から、怒られたでしょ」と、心地よいタメグチで言われた。

沈黙は、最強の抵抗だ。
「Silence, but most strongest resistance」

「沈黙は、最強の抵抗?」
ポニーテールが、斜めに揺れた。

そうだよ。
怒られたら、黙る。
頷いたりしないし、口ごたえもしない。
ただ何度怒られても黙る。
そして、その間に、実力を蓄える。

黙って力を蓄えて、彼らに負けない実力を示せば、3ヶ月もすると、「ああ、こいつは、こんなやつなんだ」と、まわりを思わせることができる。
認めてはもらえなくても、とりあえず仲間には入れてもらえる。

俺は、そうやって高校一年、大学一年の体育会系的封建主義を乗り切ったんだよ。

社会人になっても、独立してからも、ずっとそのスタイルを続けている。

だから、俺から沈黙を取ったら、丸腰だ。
最強の武器がなくなる。

そうなったら、完全に老いぼれたってことだな。

「ダハハ、面白いね」と、またタメグチ。

ポニーテールが言う。
「ワタシ、その面倒くさい上下関係が嫌で、高校では部活やめたんだ。高校出てからも、ずっとフリーター」
そして、天を仰ぎながら、ため息をついた。

「沈黙は最強の抵抗かぁ・・・・・。そんな生き方ができたら、高校でも走っていたかもなぁ・・・・・」

両膝を自分の体に寄せて、膝を両手で抱き、今度は顎を膝の上に乗せながら、顔だけを私にゆっくりと向けた。

そして、言った。
「回り道してるよね、ワタシ」

綺麗ごとだったら、いくらでも言えたが、それを言える雰囲気ではないような気がした。

だから、回り道 地球一周 回り道  詠み人 ホネホネ白髪おやじ、と俳句を詠むようにして言った。

ポニーテールに、瞬きのない目で、見つめられた。

瞳に、公園の緑が映っていたから、その目は、とても綺麗に見えた。
心臓の鼓動が、19%アップした。

そして、突然「メルアド交換しようか」と言われたときは、89パーセントにアップして、失神寸前になった。

「相談に乗ってもらおうかな」


ソ、ソウダンデスカァ?(そうなんですか)。


(ダジャレにもなっていなかったので)完全にスルーされたが、ポニーテールも偶然iPhoneだったので、「Bump」して、交換した。



こんな若い子とメルアド交換・・・・・なんて(ニヤけている)。



長生きしてよかった、と思った。



2012/07/14 AM 06:07:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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