Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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覚悟の老犬
オンボロアパートの庭に住み着いた「猫」と言う名の生命体。

今年は寒いので、猫さんにも辛い年だろうと思った。
だから、ダンボールの家を補強することにした。

もともとレジャーシートを外側に貼って補強はしてあったが、それだけでは冷気を遮るには弱い。
だから、プチプチを二重に貼って空気の層を作ることにより断熱効果を高めることにした。

作業の間、セキトリ(猫様の名)は傍に立って、私を睨んでいた。

「早くやれや。寒くてかなわんがな。裸で外にいる俺の身にもなってみろや。このボケが!」

痛いプレッシャーを横側から感じつつ、作業は25分で終わった。
セキトリは、しかめっ面のまま、ニヒルに断熱住宅に入っていった。


そのとき、VOLVOが、オンボロアパートの前にとまった。
中から出てきたのは、杉並の建設会社の社長だ。

外車で、わざわざ迎えに来てくれたのである。

本来なら24日に仕事の打ち合わせをする予定だったが、雪が積もった建築現場で、社員二人が怪我をしてしまったため、その日の打ち合わせは後日ということになった。
そこで、お互いのスケジュールを調整すると、時間が取れるのは日曜日しかないということになり、社長が「じゃあ、俺んちで打合せしようか。家まで迎えに行くからよ」と言ってくれたのである。

社長の家は、三鷹駅からほど近い住宅街にあるという(意外とご近所だったのね)。
それなら、車でなくても自転車でこちらから伺います、と言ったのだが、社長が「客人に手間をかけさせるわけにいかねえだろ」と凄むので、怖くて社長の言いなりになった。

社長の家は、新しくはなかったが、古くもなかった。
小さくはなかったが、大きくもなかった。
庭は、狭くもなく広くもなかった。
門もあったが、粗末でも豪華でもなかった。

リビングに通された途端、「昼メシは、寿司でいいだろ」と、また凄まれたので素直に頷いた。

リビングの一角には、暖炉(!)。
すでに火が入っているから、リビングは暖かい。

だ、暖炉ですかぁ!
セレブですなあ!

感心したが、声に出して言うと下品に思われそうなので、心の中で、暖炉、ダンロ、だんろ、お金持ち、と唱えた。

お互い無駄な会話は面倒くさいと思うタチなので、すぐにバッグから会社案内とチラシの修正プリントを出した。
社長は、それをひったくるよう奪い取り、老眼鏡をかけて、食い入るように見つめた(穴が開きそうなほどの眼力で)。

社長がプリントを見ている間、暇だったので、暖炉の火をずっと見つめていた。

暖炉、ダンロ、だんろ、お金持ち・・・・・・・・。

パチパチと音を立てる火を見ながら、150回くらい呪文を唱えた頃、社長が「両方とも90点だな。まあ、完成度は高いんじゃねえか。あとは説明をもう少し具体的にしようか。それで、お終いにしようぜ」と、老眼鏡を下にずらし、睨みながら優しく微笑んだ。

そして、唐突に言った。
「森伊蔵、飲んだことあるかい?」

滅相もございません。
森伊蔵など、お目にかかったこともございません。
どなたさまで御座いましょうか。

恐縮している私を無視して、社長が「下手なウィスキーより全然うまいぜ」と鼻の穴を膨らませた。

(社長、恐縮ですが、『全然』の使い方を間違っておられます)

社長は、高級そうな陶磁器のぐい呑みをひとつ持ってきて、それに森伊蔵さんを注いだ。

何ゆえに、お一つ?

「だってよお、俺はあんたを車で送っていかなきゃいけないだろ。酒飲むわけにはいかないわな」

いやいや、私は高速回転の足を持つ男でございます。
ここからなら、徒歩25分で家に帰ることができるでしょう。
お気遣いは、無用でござます。

と固辞しているところに、寿司屋がピンポーン。

社長が電話をした気配はないので、1時過ぎに配達するように、あらかじめ頼んでおいたと思われる。

なかなか用意周到なお方である。

品のいい握り寿司のご様子を伺うと、「特上」だと思われる。
我が人生初の「特上寿司」。

遠慮するのが面倒くさくなったので、森伊蔵さんをいただきながら、特上寿司を口に放り込んでいった。
酒も寿司も大変美味しかったが、食い終わっちまえば、みな同じ。

森伊蔵さんを手酌で飲んでいる最中に、もう寿司の味は忘れた。

どんなに高価なものでも、食い物に有り難味を感じない貧しい舌。
罰当たりな男でございます。

「飲みながらでいいからよ。仕事を進めちまおうぜ」
修正箇所が少なかったせいか、打ち合わせは一時間弱で終わった。

「で、直しは、いつできる?」

今週中に。

「よし、じゃあ、2月3日午後2時だ」

承知しました。

帰ろうと思ったが、リビングに入ってきた時から気になるものがあって、私は打ち合わせのさなかも、たまにそちらを盗み見していたから、何となく心の落ち着きが悪かった。

それは、リビングの隅に置かれた犬小屋。
まるでミニチュアのログハウスのような風情のある、洒落た犬小屋だった。

もちろん中には、薄茶色の犬がいて、気持ちよさそうに寝そべっていた。

たまに、ご主人様の方を伺う目が、老人の目をしていた。

かなりの老犬だと見た。

14、5歳。
おそらく雑種。
大きさは中型犬より少し大きいくらいか。

長い人生を生きてきて、最後の最後に悟りを開いた修行僧のような枯れた目をした犬だった。

犬小屋の入口の上に、「ソフィー」というネームプレートが、架かっていた。
レディ、だろうか。

犬小屋に近づいて、「ソフィーちゃん」と呼んだ。

しゃがんで目を覗き込むと、小さく鳴いて、顔を持ち上げた。

目やにの溜まった両目。
老女の雰囲気を色濃く漂わせた寂しげな目が、私を見た。

もう一度「ソフィーちゃん」と言うと、何かを計るように、私の目を見た。
そして、見つめた。

「犬が好きなのかい?」

ええ、まあ。

「だろうな。こいつは、もう17歳でな。もう、あまり人間に関心を持たねえんだよ。こいつが、あんたのことを見つめるってのは、きっとあんたが犬好きだってのを感じたからだろうな」

ソフィーの目を見る。
疲れているような、何かを諦めたような悟った目をしているが、その目の奥には、何かを期待して待っているような小さな光も感じることができた。

待っているもの。

それは、自分の「最期」と言っていいものかもしれない、と思った。

死期を待っているのではないか。
勝手に、そんなことを想像した。

社長が言う。
「15年前、この家を買ったとき、今は家を飛び出したカミさんが連れてきたのが、この犬でよぉ。その時は、もう立派な成犬だったな。2歳だったよ。
俺にすぐ懐いてな。カミさんより、俺の方に懐いて、カミさんが嫉妬したくらいだよ。そして、カミさんは家を出ていって、この犬が残ったってわけだ。
二人の子どもは、まったく犬の世話は、やかねえ。
だから、こいつは、俺だけの犬だ。俺しか見えてねえと思っていた。
しかし、まだ他のことにも興味はあったんだな。
あんたのこと・・・・・気に入ったみたいだぜ」

途中から社長の声が掠れたのに気づいて、犬を見ていた目を、社長の顔に移した。

涙。

社長の目から、透明な液体が、2滴流れ出しているのが見えた。

「こいつ・・・生きてるんだなぁ。間違いなく・・・・・生きているんだなぁ」
両目を乱暴に、ゴシゴシと拭く社長。

それを見て、嗚咽した。


帰りの車の中では、二人とも一言も喋らなかった。

言葉が見つからなかった。

オンボロアパートに着くと、私は無言で車を降りた。

「ありがとな」。
社長の掠れた声が、背中に聞こえた。

何か言うと涙が出そうになるので、首を大きく二度下げて、私はアパートの階段を上った。


ソフィーの覚悟をした目が、目の前に浮かんで、私は階段の途中で足を止め、座り込んだ。

そんな私の姿を見て、フロントガラス越しに何度も頷く社長と目が合った。

結局、涙が止まるまで、私は5分近く、階段に座っていた。

そして、社長も、車を出さずに、そんな私をずっと眺めていた。


5分経って、お互いが大きく頷いたとき、何かが通じ合ったような気がした。


それが、何かは、今もよくわからないのだが・・・・・・・。



2012/01/30 AM 05:40:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

疲れるヒトと地震予知
最近、ヨメが、一段と面白いことになってきた。

この間も、こういうことがあった。

私が、今日は、大宮のオオサワさんのところでキシさんにパソコンを教えることになっているから、これから出かける、と言ったときのことだ。

ヨメの答えは、「今日、お友だちと昼食会をするの。宅急便が来るんだけど、受け取っておいてくれない?」だった。
いつものことだが、私の言うことは、全く耳に入らないようだ。

無駄だと思ったが、私はもう一度繰り返した。

今日は、これから大宮のオオサワさんのところに行くんだ。
だから、宅急便を受け取るのは無理だね。

「12時から14時の間に来ることになっているの。誰もいないと困るわ」

時刻は、午前11時20分頃。
ヨメが、さらに言う。
「わたし、もう15分くらいで家を出るから、お願いね」

いや、だから、俺も12時前に家を出ないと約束の時間に間に合わないんだ。
仕事だから、急に断るわけにはいかないよ。

「どこに行くの?」

だから、大宮のオオサワさん。

「2時までには帰ってこられるでしょ?」

いや、家から大宮まで、早くても片道1時間半かかる。
そこで、2時間から3時間作業して、帰りも1時間半かかるわけだから、帰ってくるのは、早くても6時過ぎるんじゃないかな。

「じゃあ、宅急便は、どうしたらいいかしら?」

どうせ不在連絡票を置いていくだろうから、ドライバーに直接電話すれば、運が良ければ今日中に再配達してくれるよ。

「ああ・・・・・そうね。それしかないわね」

わかってくれたようである。

と思ったが、それは、大きな間違いだった。

「で・・・その不在連絡票は、どこにあるの?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

いや・・・・・まだ、配達されていないんだから、不在連絡票はないのが普通なんじゃないかな。

「ああ、そうかぁ。そういうことなんだぁ!」

どうやら、わかってくれたようである。
一件落着か・・・・・。

しかし・・・・・。

「ねえ、オオサワって、どこの辺にあるの? 東京?」

いや・・・・・俺が行くのは、大宮のオオサワさんのところ。
オオサワは、人の名前。

「オオサワの大宮さんって、言わなかった?」

言わない。

「変なのぉ」

(行く前から疲れる)



こんなこともあった。

私が、武蔵境駅前の銀行に行く、と言ったときのことだ。

「じゃあ、ついでに駅前の図書館に本を返してきてほしいの」

ああ、いいよ。
で、その本は?

「ええとね」と言って、本棚近辺で、本を探し出すヨメ。
探している間に、本の整理をし始めた。

そして、3分後。
「ああ、あったあ!」と、でかい声。

あったのか。
じゃあ、返してこようかな。

「いや、あったのは、以前から探していたメモよ。レタスクラブの間に挟んであったんだわ。探せば、出てくるものよね」
と言いながら、また整理をし始めた。

そして、今度は、SHINEEの写真集を手にとって、見始めるではないか。

いや・・・あのさあ・・・図書館に返す本を探してるんじゃなかったっけ。

「ああ、そうそう、本ね。そうよ、本を探していたんだわ。真面目に探さなくっちゃ!」

探す、と言いながら、また本の整理をし始めるヨメ。
すでに15分以上経っている。

そのとき、ヨメの携帯が鳴った。
「ああ、タニさん、ちょうどよかった。この間のお礼をしようと思っていたのよ。この間は、本当にありがとう。あのケーキ美味しかったわ。手作りで、あんな美味しいものを作れるなんて、器用だわ。プロのパティシエより美味しいんだもの。感激したわ。そうそう・・・」

話が長くなりそうだったので、私は、銀行に行くよ、と紙に書いて、電話中のヨメに見せた。

するとヨメは、携帯を手でふさいで、「ダメダメ、本の返却期限は今日までなんだから、今日返してもらわないと」と言うのである。

それなら、早く探してくれないかな。

「ああ、タニさん、ごめんなさいね。ちょっと立て込んでいるから、こちらから、かけ直すわ」

そして、今度は本気で本を探し始めた。

しかし、あるべきはずの本が見つからない。
「おかしいなあ、おっかしいなぁ、おかし〜なぁ。どこ行っちゃったんだろう? 私の本」

(いやいや、あなたの本ではありませんよ。図書館の本です)

首を傾げながら探すこと、4分59秒。
そして、5分後に、突然ヨメが叫んだのである。

「ああ、思い出したァ! 店(パート先の花屋)に忘れてきたんだァ! そうか、そうか、店だ、店だァ! 店だったんだァ!」

・・・・・・・で、どうするの? 今日が返却日なんだろ?

「まあ、いいんじゃない? 一日くらい遅れても、大丈夫でしょ。それに、返却日は、もしかしたら明日だったかもしれないし。慌てることないわよ」


待たされた俺は、一体なんだったんだ!?


ちなみに、返却日は、なんと一週間後だということが、あとで判明しました。

(疲れる)



そんなヨメであるが、ときどき鋭いことも言う。

インターネットのヤフー・トップページに「首都圏直下型地震、マグニチュード7クラス確率4年以内に70%」というのを見つけたときのことだ。

私は、これはエライこっちゃ、と顔を青ざめさせたのだが、ヨメは違ったのである。

「こんなのレポートとしては0点よね。確率70%って言うけど、あとの30%は何なの?
地震が来なかったら、30%は来ない確率があったから来なかったんだっていう言い訳を残しているわけよね。
占いじゃないんだから、科学者が予測するなら、もっと具体性が欲しいわよ。
研究者が、科学的なデータをもとにして結果を出すなら、自分の研究にもっと自信を持つべきよ。
その研究が、本当に正確な実験データを基にしているなら、たとえば、1年以内なら起こる確率30%。しかし、データにない現象が発生した場合は、確率は100%になることもありうる、という補足を付ける。
2年以内なら40%。同じように、データにない外部要因が働いたら100%。5年以内なら85%。8年以内なら99%。そして、9年目なら100%っていうふうに出すのが、正確なレポートじゃない?
これじゃあ、4年以内の根拠がわからないし、残り30%の詳しい説明もないし・・・・・こんなの科学って言える?」


ヨメを見直した瞬間だった。



2012/01/26 AM 05:32:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

シロウトの野球論
昨日の日曜日、我がオンボロアパートにワイルド・ターキーを持ってきたのは、大学時代の友人・シバタ(通称ハゲ)だった。

ハゲは、ドクターストップがかかっていて酒が飲めないので、ミネラルウォーターとハゲタカ(いや綾鷹)を持参だ。

まずは、ハゲの近況報告を聞かされたが、少しも面白くなかったので、聞いているふりだけをした。
(オール電化の家なので、電気料金が大変だ、という話はチラリと聞こえたような気が)

そして、話の後半で「この間の、お前のブログなんだけどさ」というフレーズが出てきたとき、やっと耳にスイッチが入った。

どこかお気に召さなかったのだろうか、と一瞬考えたが、どうせ全部お気に召さないだろうから、余計なことを想像するのは止めた。

ハゲが言う。
「ダルビッシュのところは、何となくわかる。だが、最後のほうで、『1イニングを抑えただけで高額な年俸を手にするセーブ王』というのがあったろ? あれは、認識不足も甚だしいぞ!」


ブログの正しい文章は、こうなる。
選手やセットアッパーが、お膳立てしてくれた中で、1イニングを抑えただけで高額な年俸を手にするセーブ王と言われる投手。


それに対して、ハゲが、常識的すぎる理論を述べた。
「ストッパーは、毎試合、自分の出番に備えて肩を作ってスタンバイしなければならない。そして、彼らが出てくるときは勝敗のかかった緊迫した場面だ。それは並大抵の神経や技術で乗り越えられるものではない。だから、高年俸をもらって当たり前なんだ。お前は、プロ野球に興味がないから、そのあたりのことが、わからないんだよ!」

ハゲは、5年前、横浜市神奈川区にオール電化の家を建ててから、横浜ベイスターズのファンになった。
それまでは、寄らば大樹の蔭、長いものには巻かれろ的、付和雷同型のバカな巨人ファンだった。

ジャイアンツバンザイ、讀賣バンザイ、ナベツネバンザイ。
(新聞は、讀賣とスポーツ報知しか読まないという洗脳されやすいバカ人間・・・・・ハゲに読まれていることを承知で書く)

ハゲは、今でも密かにジャイアンツを応援しているらしいが、地域事情を考慮してベイスターズに肩入れするという仮面をかぶっているのだ。
つまり、ハゲには、自分の意思というものがないのである。
まわりに合わせることでしか、渡る世間の鬼と戦うことができない、つまらない男だ。

ただ、今シーズンは、彼の大好きなジャイアンツ出身の中畑氏がベイスターズの監督になるという、ハゲにとっては願ってもない展開になった。

「俺、今年は本気で応援する! 命かけて応援する!」

愛すべきバカ。

ハゲが、ベイスターズを応援することによって免疫力が高まるのなら、それは悪いことじゃない。
それで、彼の病が再発を免れるなら、私は中畑氏に一生感謝することを惜しまない。


話を戻して・・・・・ハゲの抗議に対して、私はこう言った。

ストッパーという言い方は間違っている。
正確に言うなら「クローザー」だ。

それに、私も前回ひとつ間違って表現したので、ここで訂正させていただく。

セットアッパーではなく、正しくは「セットアップピッチャー」だ。
申し訳ございません。


そのクローザーだが、私の中でのクローザーの定義は、極端な言い方をするとこうなる。

9回裏、1点差、ノーアウト満塁のピンチで登板して、3者連続三振と言わないまでも、鮮やかにクリーンナップを打ち取り、チームに勝利をもたらす男前な投手。


だから、私の中の定義では、例えば以下のような状況でセーブがついても、彼はクローザーの役目を果たしたとは認めたくない。

3点勝っている場面で、9回ノーアウト・ランナーなしで登板し、適当にヒットを打たれ、あるいは四球を出し、点を取られながらも何とか勝つ。

3点勝っている場面で、9回ツーアウト・ランナー1塁で登板し、打者にホームランを打たれて1点差。その後ランナーを2、3人ためながら、かろうじて勝つ。

5点勝っている場面で、7回裏に登板し、ソロホームランを4本打たれるも、1点差で勝つ。

これらは、たとえルール上でセーブがついたとしても、私の中では、内容のないセーブと判断する。

3点差あるいは5点差のお膳立ては、選手とセットアップピッチャーがしてくれたもの。
それをヨタヨタしたピッチングで試合をクローズしたとしても、それはクローザーが試合を作ったとは、言わないのではないだろうか。
そんなピッチングをファンは見たがってはいないと思う。
そんな消化不良の勝ち方は、勝ったとしても、クローザーにとっては価値のないものだ(ワイルドターキーをワイルドに飲みながらワイルドに力説した)。


しかし、そんな熱い私の言葉に対して、綾鷹をグビグビ飲んだあとで、ハゲがアッサリと言ったのである。
「まあ、しかし、それは野球を知らない奴の、言いがかりだよなぁ」


ん・・・・・野球を知らないというのは・・・・・認めるが。


「現代の野球では、ピッチャーの役割は分かれているんだ。その中で先発ピッチャーは、先発の役割を果たし、中継ぎは中継ぎの役割を果たす。そして、クローザーはチームに負けをつけなければ、彼の役割は果たしたことになるんだよ。勝ち方にこだわる必要はない。カッコ悪くても負けない投球をすればいいんだ。それがクローザーが求められている仕事だ」


しかし・・・・・だな。
俺は、こうも考えるのだ。

日本の誇るセーブ王、佐々木主浩は、一番輝いていた横浜時代の1998年、45のセーブを上げ、防御率も0.64という特筆すべき記録を残したが、51試合登板で、投げた回数は56イニング(ウィキペディア参照)。

メジャーを代表するクローザー、ヤンキースのマリアーノ・リベラは、最高の成績を残した2004年、53のセーブを上げ、防御率は1.94という記録を残し、74試合登板で、投げた回数は78回。

毎試合クローザーの出番が、あるわけではないことはわかる。
年間、162試合のメジャー・シーズンに、74試合当番するのは、並大抵の体力でないこともわかる。

しかし、そのことがわかっていても、私は彼らの年俸は高すぎると思うのだ。
たとえば、リベラ氏が、当時年俸10億の選手だったとする。
細かいことを言うようだが、1イニングあたりに換算すると1280万円になる。
1打者あたりだと316万円だ。

佐々木氏の場合は、3億円の年棒として、1イニングあたり535万円。1打者あたり141万円。

ちなみに、イチロー選手の昨年の成績をもとに、年俸を14億と見ると、1安打あたりの単価は760万円、一番多くヒットを打ったときで、534万円。
ヤンキースのアレックス・ロドリゲス選手のホームランは、昨年の成績だと1本当たり1億5625万円(!)、一番多くホームランを打った年で、4630万円。

私の感覚がおかしいのだろうか。
これを適正価格と見ることができないのだ。

これも極端な表現だとは思うが、たとえば10対0で負けていた試合で、ロドリゲス氏がソロホームランを打ったとして、そのホームランは、1億以上の価値があるだろうか。
もちろん、年俸はホームランだけに支払われるものでないことは、わかる。
3塁の守備だったり、相手チームに与えるロドリゲス氏のプレッシャーだったり、記録を蓄積するにあたって彼が犠牲にした時間、スターとしての華麗な姿に支払われるものだということも承知だ。

しかし、それを考慮したとしても、リベラ氏の1打者あたり316万円、1打者あたり5球を要するとして、1球あたりの単価が63万円というのは、私にはどうしても適正価格に思えないのである。


だって、63万円あれば、安い店ならクリアアサヒ350缶が6千本、買えるのにィ〜〜!
(ちなみに、1日5本飲んでも1200日分)

1億5625万円あれば、銀だこの「チーズ明太子味」が26万416個、食えるのにィ〜〜!
(ちなみに、毎日3個食ったとして、237年分)


私は、ハゲに向かって、こう力強く自説を述べた。

するとハゲは何といったか。

「おまえってさぁ・・・・・そんなに細かったっけ? そんな計算は、ああ、面倒くせえって、いつも怒っていなかったか?
おまえ・・・・・性格、変わったか? それに、その考え方、ちっとも夢がねえぞ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


ハゲに言い負かされて、ワイルドターキーをストレートで飲む情けない私。


ノドが、焼けた。





クローザーなんか、嫌いだ。



2012/01/23 AM 08:19:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

朝、起きがけの感想文
外は雨。外気温0.8℃。室温14.0℃。暖房切。節電中。足のつま先が冷たくて痛い。



久しぶりに楽しい気分になったのは、芥川賞を受賞した田中愼弥氏の受賞会見を見たときだった。

「もらってやる」
「もらって当然」

氏の会見時の不貞腐れた態度に「中二病」の作家などと揶揄した記事があったが、私は自分が生まれながらの中二病なので、共感しながらこのニュースを見た。

また、記事の中で、「今まで一度も働いたことがない」ことを、ことさらに強調した文章もあった。
しかし、作家に世間一般の常識を当てはめるのは、むしろ非常識な評価である、と私は思っている。

一般的な価値観を取り払ったところから、作家は物語を紡ぎ始めると私は思っているので、むしろ無頼派の作家を私は歓迎する。

たとえ、それがポーズだったとしても、自分が作り上げた作家としてのポーズをこれからも続けていくのなら、私は彼を「中二病の仲間」として応援したいと思う。



ダルビッシュ投手に1億ドル以上(入札額含む)。

日本のプロ野球界で際立った成績を残したダルビッシュ有選手が、テキサス・レンジャースと契約したというニュース。

契約総額が6千万ドル以上。
6年で、およそ46億円。

一流中の一流であるダルビッシュ選手なら、それは簡単に想像できる金額だろうし、当然の評価だと思うかもしれないが、私としては、その金額に敢えて疑問を持たざるを得ない。

言いがかりを付けるなら、この価値観の違いは何だろうか、というところか。

私は、優れた力量を持った人、実績を残した人は、リスペクトすべき存在だと思っている。
イチローやキング・カズ、錦織圭、宮里藍、内村航平、内山高志など。

みな己れの実力で実績を勝ち取って、栄光と金を手にした人たちだ。

しかし、ダルビッシュ選手は、日本では実績があるが、当然のことながらMLBでの実績はゼロだ。

いくら優れた選手だからといって、違う集団で作った実績を、ゼロの実績に加算して46億支払うというシステムが、私には未だに理解できないでいる。

松坂大輔選手を例に出すのは、ダルビッシュ選手に申し訳ない気もするが、あえて言わせてもらう。
彼は投資額に見合う活躍をしただろうか。

金銭的に最大限の評価をしてもらって、レッドソックスに入団した彼が、メジャーで収めた成績は、5年で49勝、防御率4.25、先発投手としてローテーションを守ったと言える投球回数200回を超えたのは、5年間で一回だけ。
平均すると、年間125イニングしか投げていないのだ(一試合平均6イニング弱)。

私個人の感想として、記録を見る限り、彼は並の選手としか思えない。
これは、もちろん結果論ということを承知で書くが、投球回数を基準に考えると、球団として高い買い物をしたことは、否定できないと思う。

古い話で申し訳ないが、今とは日本選手のメジャーにおける環境が違うとはいえ、メジャーで輝かしい足跡を残した野茂英雄投手は、日本での実績が加算されずに、最初はマイナー契約だった。
(ソフトバンクの川崎選手が、マリナーズとマイナー契約を交わしたのは、その志望動機は別にして、私には清々しく思える)


ポスティングでメジャーに入った選手の中で、投資金額に見合う活躍をしたのはイチロー選手だけと言ってもいい現実。

それらを踏まえると、メジャーでの実績のない選手をゼロとしないで、日本の成績を加算するポスティングというシステムが、多くの事例を踏まえて合理的ではないという判断に、どうしてもなる。

要するに、イチロー選手だけが例外であるということ。

そして、ダルビッシュ選手が、イチロー選手と同じく例外になるかどうかは、誰もわからないということ。

そのわからないことに対して、46億の札束を用意する「賭け」とも言うべきポスティング・システムの危うさ。
さらに、メジャーリーグに限らず、プロ野球選手の高額すぎる年俸が、適正なコストパフォーマンスを有しているかという疑問。

誰とは言わないが、打つだけで走れない守れない選手(あるいはドーピングまみれで無駄に筋肉の鎧をかぶった選手)が、なぜ高額な年俸を手にしているのか。
選手やセットアッパーがお膳立てしてくれた中で、1イニングを抑えただけで高額な年俸を手にするセーブ王と言われる投手。
ほとんど丼勘定とも思えるFA選手への年俸の大盤振る舞いなど。

これらの例を見ると、野球というスポーツに熱い期待を持っている人には申し訳ないが、私には、職業としての野球は、費用対効果に見合っているとは思えないのである(夢を与える職業、という部分を加味してもだ)。


ダルビッシュ有選手には、メジャーリーグで、ぜひ最高のピッチングを見せてもらいたいと思う。

しかし、勝手な言い分ではあるが、(メジャーリーグでは)ゼロの実績しかない選手に、巨額の投資というギャンブルをするスポーツに、最近の私は、あまり魅力を感じなくなっている。



ネットで目にした記事なので、信ぴょう性があるかは、わからない。

「ALWAYS」という日本映画のプレミア試写会の挨拶で、俳優の三浦友和氏が、サプライズで登壇した「東洋の魔女」のみなさんに対して、その偉業を讃え、「なでしこJAPANより凄かったですよ」というようなニュアンスのことを言ったらしい。

それに対して、「なでしこJAPANに失礼だ」などというクレームが多く寄せられたという。

価値観の違い。

言論の自由とはいえ、その程度のことに抗議する人の心境が、私には全く理解できない。

目の前にいる「東洋の魔女」の偉業を讃えて、何の不都合があるというのだろう。
なでしこさんたちが目の前にいたら、彼はきっと、その偉業を同じように讃えたことだろう。
今回、なでしこJAPANを引き合いに出したのは、それがイメージとして、一番伝わりやすいからだと思う(優劣を比較したわけではない)。

目の前にいる伝説の人たちの偉業を讃えて、リスペクトする。
それは、人間として、当たり前のことではないか。

そんな簡単なことが、なぜ分からないのか、理解に苦しむ。

言葉の理解力がないし、あまりにも反応が浅薄すぎる。

それは、顔をさらさないネット住民の底の浅さが出た反応だと思う。



これも、ネットで目にした記事。

アメリカの25歳の美女が、人生相談のコーナーに、100万ドルの年収を持つ男性と結婚するには、どうしたらいいか質問した、という興味深い記事だ。

その質問に対する一人の男性の答えが面白かったので、要約して紹介してみたいと思いう。


「私の年収は100万ドル以上で、あなたのいう条件は満たしているので、答える資格はあると思います。
しかし、私が、あなたと結婚するのは間違った選択と言えるでしょうね。その理由は、たいへんシンプルなものです。
あなたは「美しさ」と「お金」を交換しようとしています。例えばAさんが「美しさ」を差しだすその対価としてBさんは「お金」を払う、ということです。
Bさんのお金は無くならないけど、Aさんの美しさはいずれは衰えます。しかも、Bさんの収入は増えることもあるけど、Aさんは毎年綺麗になることはありません。
私は魅力的な「資産」だけど、あなたの資産価値は流動的です。あなたの価値は今後10年で驚くほどに劣化していくでしょう。
つまり、あなたは、今現在は資産価値はあるかもしれないが、将来の資産価値については疑問と言わざるを得ない。
このような理由で、私はあなたと「デート」というレンタルの関係を持つのはいいが、「結婚」という、わざわざ資産価値を減らすようなことをしたいとは思わない。
だから、あなたは、お金持ちと結婚することは忘れて、自分で年収100万ドル稼いで金持ちになった方が、いいと思います。
ただ、もしもレンタル、いやデートする気があったら、そのときは連絡して下さい」


この年収100万ドルの男の言っていることが正しいかは、微妙なところだが、思い上がった相手の目を覚ます効果はあったのではないかと思う。

「容色」という財産は、年々衰えて、価値はゼロに近くなっていく。
本当の金持ちは、そんなものには惑わされない。
そんなものは「レンタル」で十分だ、というお金持ち的な思考方法。

そんな金持ち的な思考を、一度でもいいからしてみたいものだ、と思う。



ただ、私は、年齢とともに内面に磨きがかかり、魅力を増す女性がいることを否定しないということだけは、ここで強調しておきたい。



2012/01/20 AM 05:41:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]

13日のミタさん
1月13日、金曜日。

三が日に、酒も飲まずに、最近段々と萎んできた脳みそから、懸命にアイデアを搾り出した会社案内とチラシのラフデザインを持っていった。
場所は、杉並の建設会社。

「あけまして おめでとうございます」
でかい顔を近づけて、ニヤリと微笑まれたときは、反射的に足が竦んだ。

取って食われるかと思ったが、本人としては、満面の笑みを作っているつもりだったらしい。
ご機嫌な声で、「まあ、飲めよ」と言って、日本酒を振舞ってくれた。

乾杯のあと、両手を両膝に揃えて「今年も よろしくお願いします」と頭を下げられたときは、その殊勝な挨拶に、寒気がしそうになった。
しかし、酒が美味かったので、寒気が襲うことはなかった。
(酒がなかったら、心が凍えてしまっただろう)

お年賀をもらった。
「普通は手ぬぐいだが、うちはバスタオルだ。でっかくて悪いけど、意外と役に立つんだぜ」

確かに、バスタオルは珍しいが、手ぬぐいよりは遥かに役に立つ。

そして、私が差し出したお年賀を見て、社長は感心してくれた。
3年前からお年賀に使っている、「立体型3層マスク/花粉・ウィルスしっかりガード(30枚入り)」だ。

「ああ、これも役に立つな。気がきくじゃねえか」

恐れ入ります。

という私があまり得意でない儀式が終了して、打ち合わせに移った。

食い入るように、ラフデザインを見つめる社長。
でかい顔、鋭い目。

紙をめくり、一点に目を止め、まためくり、少し戻り。
見つめること20分。

息を止めて待つ私(それは嘘。日本酒をチビチビ飲んでいた)。

「会社案内60点。チラシは70点だな」

微妙な点数。
いいのか悪いのか。

「会社案内は、イメージ的に説明しているところが40%くらいある。
イメージ的なやつは、真ん中の見開きのところだけでいいだろ。
あとは、もっと具体的に営業項目を説明しようぜ」

これは、予想できた反応と言っていい。
確かに、イメージでごまかしたところはある。
ただ、ここは、あらかじめ社長のアイデア頼みの箇所と位置づけていたから、具体的な提案をしてくれれば、直すのに、それほど時間はかからない。

「あと、俺の巻頭の挨拶の件だがよ」

巻頭ページに、社長の挨拶を2ページ分載せることになっていた。
しかし、読んでみて、社長が書いた文章がくどくて、何を言いたいのかわからない部分が多々あった。
同じような内容の話を言葉を代えて表現しているところなどがあったので、全面的に改訂した。

その結果、社長のオリジナルの文章は、3割程度しか残らなかった。
あらかじめメールで、その旨は伝えておいたが、自分の書いた文章を7割も手直しされたら、誰でもいい気分はしないだろう。

だから、怒るかと思った。

顔色を窺った。

しかし、社長は酒で赤くなった顔に軽く笑みを浮かべて「ああ、こういう風に直すと確かに読みやすいわな。あんた、見かけによらないな」。

どこが見かけによらないかわからなかったが、怒っていないようだったのでホッとした。

巻頭の長い挨拶は誰も読まないだろうと想像し、挨拶の部分は見開きページの上半分だけにして、下には、社員たちの働く様を出来る限り大きくトリミングし、大きさに変化をつけて紙面を埋めた。
これは、かなり気に入ってくれたようである。

「社員の顔が出るってアイデアはいいわな。できればもっと大きくアップにして欲しいくらいだよ。なんなら、撮り直してもいいぜ」

その部分は、社員の働く姿を撮り直すことで、話はまとまった。

あとは、細かい仕事の概要、業績の箇所をどうするかを2時間かけて、打ち合わせをした。

そして、また昼メシを奢ってくれた。
社長が、アッサリしたものが食いたいと言ったので、二人してトロロそばを頼んだ。
残った日本酒を飲みながらだったから、体が十分すぎるくらい温まった。

「眠くなる前に、チラシも片付けちまおうか」
目をこすりながら、赤ら顔の社長が言った。

チラシは、住宅と住宅設備の紹介を9割、他の仕事が1割という割合だったが、それを「住宅ばかりやっているわけじゃねえからな。これだと、他のハウスメーカーのチラシと変わんねえな。他の仕事も強調しようぜ。住宅に関しては6割くらいで丁度いいだろ」と提案された。

しかし、折込チラシを見る人は、住宅の施工、住宅設備と単価に興味があるのでは?

「まあ、それは否定できないがな。だけど、初めてのチラシだ。会社の説明を細かくしないと、会社自体の認知度は上がらないんじゃねえか。家をつくるだけじゃないってことを知ってもらわないとな。2、3回は、それで行ってみようじゃねえか」

そういったご要望を頂いたので、ラフデザインを更に細かく分けて、業務内容の説明を増やすことにした。

その打ち合わせに、3時間近くかかった。

そして、「次は、1月24日に打ち合わせだ」と一方的に告げられた。

11日あれば、できない仕事ではない。
だから、「承知しました」と答えた。

すると「ミタさんかい?」と言われた。
以前同じことを言った時は無反応だったので、知らないと思っていたが、知っていたようである。

この社長とテレビドラマは、まったくイメージが繋がらない。

「若い社員が騒いでいるんで、最終回をブルーレイに撮って正月に見たんだよ。カアちゃんには、とっくの昔に逃げられたし、子どもたちは怖がって俺に近づかないから、正月は暇でな。寝っ転がってテレビばかり見てたよ。ミタは、最後の回しか見ていないから、細かいことはわからなかったが、見ていたら、なんか、引き込まれちまってな。気がついたら、泣いてた」

泣いた?
この、でかい顔が?

「それで・・・な。恥ずかしい話だが、すぐにブルーレイ・ボックスを予約したよ」

意外。

こんなとき、世慣れた人なら、気の利いたことを言って相手を喜ばすのだろうが、私には、そんな高等テクニックはない。

そ、そうですか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「俺んちにも、あんな家政婦がいたら、カアちゃんも帰ってきたかもしれねえな。子どもたちもメシを自分たちの部屋で勝手に食うなんてこともしなくなったかもしれねえな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

話が、重くなってきた。

余計、返す言葉がない。

結局、何も言葉をかけられないまま、会社を去るという不器用な俺。




13日の金曜日。

私には、ジェイソンよりもミタさんの方が怖かった日だった。




2012/01/17 AM 05:40:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

1月4日 ふたりめ
前回の続き。

静岡のスガ君の家に、極道顔ススキダ&極妻と新年の挨拶に行っていたとき、ショウコから電話がかかってきて、「吉祥寺に4時」と言われたところまで書いた。

4時までに吉祥寺に行くには、新幹線を利用しないと間に合わない。
そこで、静岡駅から「こだま」に乗った。

新幹線は、故郷からUターンする人で、かなり混んでいるだろうと思ったが、想像通りかなり混んでいた。
東京駅まで立ちっぱなしだった。
久しぶりの東海道新幹線を堪能できたから、その部分は良かったが、クリアアサヒを飲みシャンパンを飲んだほろ酔いの体には、2.5倍の疲労がのしかかった。

自業自得。

中央線は東京駅始発だったので、座ることができた。

爆睡。

吉祥寺駅に着いた時は、午後4時8分前。
駅に着く20秒前に目覚めたから、ホームを歩いているとき、体が浮いているような感じがした。

その歩き方を見て、酔っぱらいと思った人がいたかもしれない。
だが、私は少し酔ってはいたが、酔っぱらいではない。
そこのところは、はっきりしておきたい。

だから、酔っぱらいでないことを強調するために、駅の階段をかなりのスピードで駆け下りた。
他にも下りる人が沢山いたが、奇跡的に誰にもぶつからずに下りることができた。
ただ、立ちくらみがして、1分25秒ほど、柱にもたれてしまったが。

その1分25秒が、致命傷になった。

待ち合わせ時間に、1分遅れてしまったのだ。

もちろんショウコは、もう来ていた。
2歳の娘も横にいた。

「遅刻だよね、サトルさん!」と言われた。
目も顔も笑っていたが、こちらに引け目があるせいか、何となく凄みの空気を感じさせるショウコだった。

こういうとき、いやあ、静岡まで年始の挨拶に行っていてね、という言い訳ができる男なら楽なのだが、私はそれができないタチだ。

だから、ゴメンナサイ、と謝るしかない。

「じゃあ、今日は、サトルさんの奢りだからね」(いつも奢りだが)
2歳の娘も、意味も分からず「オゴリオゴリ」と笑っている。

「プリンバナナサンデーを二つ頼んだからね。それと連れのひとが来たら、生ビールをよろしくって頼んだから」

その言葉通り、私が席に座ると、2分後に生ビールが席に運ばれてきた。
ついでに、カキフライを頼んだ。

プリンとビールで、乾杯。

「あけましておめでとう」とショウコに睨まれたので、お年玉を渡した。
ショウコたちが、いつ来てもいいように、バッグにお年玉を忍ばせていたのである。

我ながら、いい心構えだと思う。
この心構えを仕事にも生かせれば、俺は飛躍的に大金持ちになると思うのだが・・・。

「じゃあ、私からも」と言って、ショウコが、私の子どもたちにお年玉をくれた。
本日、3個目のお年玉。
子ども、という商売は、儲かるようにできているようだ。


ところで、マサ(ショウコの夫)は、どうした?

「同僚と初詣に行った」

妻は、行かなくていいのか?

「私は、サトルさんの教えを守って、初詣には行かない」

いや・・・・・別に、私は教えたつもりはないのだが。


私は、日本一の罰当たり者である。
この年まで、一度も初詣なるものに行ったことはないし、何かに手を合わせたこともない。

大学一年のとき、一度だけ大学の陸上部の仲間8人と新年が明ける頃、明治神宮に行ったことはあるが、あまりの人ごみに腹が立ち、俺は暖かいところで待つ、と言って、喫茶店で一人だけの新年を迎えたことがあった。

あれが唯一のチャンスだったが、一度チャンスを逃すと、チャンスは永遠にやってこないものらしい。
それは、何事にも言えるようだ。

初詣に行かないからといって、その理由は、宗教的なものではない。
我がヨメは、宗教上の理由で行かないようだが、私の両親は普通に初詣に行っていた。
つまり、初詣に行かないのは、家訓ではない。

私が行かないのは、人ごみが面倒くさいということと、何もないものに向かって、手を合わせることができないからだ。
(要するに罰当たり)


ショウコは、私の大学時代の2年下の後輩・カネコ(芋洗坂係長に激似)の娘だ。
ただ、カネコとショウコには、血の繋がりがない。
カネコの結婚相手に、たまたま6歳の子ども(ショウコ)がいたというだけである。

カネコの娘であるショウコは、6歳で、突然私の前に現れた。
はっきりと物を言う子で、頭が良く、その頃から私のボケに的確に突っ込んでくれる才能を持っていた。

だから、私は自分の子どもと同等の愛情をショウコに注いだ。
その愛情の深さは、父親であるカネコよりも上だと今も私は断言できる。

ショウコには、勉強を教えた。
テニスを教えた。
料理も教えた。
旅行にも行った。

だから、ショウコは、私の高校一年の娘と同じくらい、私の影響を色濃く受けている娘だ。
初詣にいかないのも、そのせいだ。
世間の人から見たら、それは悪影響だと受け取るかもしれないが、私としては、ただ単純に嬉しい。


私の影響を受けて成長している子どもが3人もいるなんて、生きてきた甲斐があるというものだ。


マサは、新年に、何を祈るつもりなんだろうな? と聞いてみた。

そう聞いていた時に、またiPhoneが震えた。
ディスプレイを見ると「尾崎」となっていた。

すぐに出た。

「生まれた」
たったそれだけの言葉。

尾崎に、二人目の子どもが生まれたようだ。

男か女か?

「また女だ」
口を歪めて笑う尾崎の顔が、目の前に見えるようだ。

また俺が名前をつけてやろうか。

「もちろんだ」

おめでとう、と言っておく。

電話が切れた。
短い会話だったが、お互い満たされたものを吐き出した会話だったと思う。
嬉しくなって、ジョッキのお代わりを注文した。

勘のいいショウコは、尾崎と私との会話が、どんなものだったか察したようだった。

「すごい偶然だよね」とショウコが言った。

そして、私の目を真っ直ぐに見て、こう続けたのだ。
「マサがね、祈りに行ったのは、二人目が無事産まれますようにって」

ふたりめ。

ん? 二人目?

ま・さ・か・の・・・・・・・?

「そう、できた」

な・な・な・なんとぉ!

大学在学中に一人目を産み、大学院に進学して、二人目。

何て行き急いだ人生なんだ。

しかし、嬉しい。
それは、実に喜ばしい。

で、予定日はいつだ。

「それは内緒」

何で、内緒だぁ!

「だって、パパにも、まだ報告していないんだもの。いくら何でも、パパを差し置いて言うわけにはいかないでしょ」


ああ・・・まあ・・・それは・・・たしかに。



2012年1月4日。

この密度の濃い一日を、私は一生忘れないであろう。







そして、1月11日。

東京事変解散発表。

この日も、私は忘れないと思う。



2012/01/13 AM 05:38:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

1月4日 静岡で炙り牛タンわさび風味丼
前回からの続き。

前回、極道顔ススキダの奥さんの来歴を書いた。

極道が、どのような悪どい手法を用いて白衣の天使を強奪したか、私は怖くて聞いたことがない。

極妻の今の国籍は日本だが、生まれは香港、両親は中国人。
それに対して、極道も父親は日本人だが、母親は中国人という血統だ。

そして、極道は日本語、英語のほかに、北京語を少々話すという手品も使う。
おそらくその手品に騙されたのではないか、と私は想像しているのだが、真相はわからない。

真相を聞いたら、東京湾に沈められるのではないか、という恐怖を絶えず持っているからだ。

他に、極道と極妻の間には、一人娘の極娘がいるが、彼女はボストンの大学を卒業したあと、外国の企業に就職し、今はカナダに住み、カナダ人のボーイフレンドがいるという。

つまり、極道、極妻、極娘は、インターナショナルな人種なのである。
純国産品種の自分が、みすぼらしく見える。


そのインターナショナルな極妻が、クリアアサヒの500缶を2本飲み、私が3本飲んだ頃、車は東名を降りて、静岡市内に入った。

スガ君には連絡してあるのか、と私が聞くと、極道は「ケッ」とだけ答えた。

極道用語で、「ケッ」は、当たり前だ、わかりきったことを聞くな、という意味らしい。

一般市民である私は、それに対して、ギョッ、と答えておいた。
ギョッ、は「おみそれしました」の意味である。

スガ君の家に到着したのは、午後12時29分。
極道の野郎、結構飛ばしやがったな。
A級ライセンスは、さすが違う。

ギョッ!(おみそれしました)

静岡のスガ君の家は、3階建て。
1階が事務所で、2、3階が居室になっている。

1階の事務所にいた奥さんのシマコさんに、新年の挨拶をしたあと、2階のリビングに案内された。

リビングで待っていたのは、関取・・・・・ではなく、濃紺の着物を着たチャーシュー・デブ(差別用語?)。
179センチ、130キロの関取デブだ。

奥さんのシマコさんも160センチ70キロ(推定)という立派な体型をなさっているのだが、スガ君の隣に座ると、半分以下に見える。
もしかしたら、その効果を狙って、シマコさんは、スガ君と結婚したのかもしれない。

一般市民である私の新年の挨拶は、「ぉめでとぅース」だけだったが、極道の新年の仁義は、くどかった。
何度も「昨年はドウタラ」「今年もドウタラ」と上半身を屈め、ときに両手で膝をつかみ、ときにガンを飛ばしながら、意味不明の笑い声を立てるのである。

面倒な野郎だ。

一通りの儀式が終わったあとで、シマコさんが、「シャンパンでも」と言ってくれたので、極妻と私は「喜んで」と答えた。

運転手であるススキダは、酒を飲めない(飲んではいけない)。
というより、もともと、この極道は酒がダメなタチである。

人は見かけによらない、というか、見掛け倒しというか。
(まったく怖い顔してるくせに、一滴の酒も飲めないなんて・・・ブツブツブツ・・・)

と独りごとをつぶやいていると、スガ君が「Mさん、また痩せましたね。お年賀に牛タンのブロック用意しましたので、持って帰ってくださいよ」と言ってくれた。

ギョッ!(この場合は、かたじけない、の意味)

そして、私の子どもたちに、お年玉までくれたのである。
返す返すも、ギョッ! でございます。

昼飯時にお邪魔をするという不躾なことをしてしまったが、シマコさんが、手料理を振る舞ってくれた。
一度煮込んでからワサビ醤油に漬け込んだあと炙った牛タンをメシの上に盛っただけのものだったが、これが美味い。
とろけるような柔らかさの牛タンと熱いメシが調和して、口の中でワサビの風味と共に広がる感覚は、上品で芳醇だった。
それに、シャンパンとも意外に合うし。

我が家でも、作ってみることにしよう。

と満足感に浸っているとき、我がiPhoneがまた震えた。

ディスプレイを見ると、ショウコだった。

すぐに出ると、いきなり「サトルさん、お年玉ちょうだい」という23歳の子持ちの人妻とは思えない「おねだり」をされた。
しかも「私と子どもの二人分」という図々しさだ。

しかし、ショウコには極端に甘い私は、ああ、いいよ、と即答してしまったのである。

「これから吉祥寺に行くから出てこれる?」という要望にも、イイヨォ! と軽く答えるジジイ。

「じゃあ、4時にガストで」

炙り牛タンわさび風味丼を食い終わったのが、午後1時22分。
そして、今は、午後1時27分。

午後4時に吉祥寺のガストに行くには、車では間に合わない(おそらく東名はUターンラッシュの真っ只中だろう)。
新幹線を利用するしかない。
調べたら、静岡駅13時48分発の「こだま652号」があった。
それに乗らなければ、間に合わないであろう。


スガ君、悪いね、慌ただしくて。
また、改めて挨拶させてもらうから。

ススキダ。
俺をこだま652号に間に合うように、静岡駅まで連れて行け。
師匠の命令だ。
お願ウィーネ!


こういうとき、細かい理由を聞かないのが、極道のいいところである。
10分弱で、私を静岡駅まで連れて行ってくれた。

奥さんを大事にしろ。
そして、お前は、顔を整形しろ。

そう言って、私は改札を風のように通り過ぎた(もちろん切符は買った)。


と書いたところで、また飽きたので、この話は次回に続きます。



2012/01/11 AM 05:43:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

1月4日 極道のヘッドフォン
前回の続き。

ススキダが、突然ヘッドフォンが、と言い出しやがったという話。

東京ICから東名に入り込もうとしたときのことだ。

「10年近く愛用していたSONYのヘッドフォンが壊れちまって、新しいのを探しているんだが、なかなかいいのが見つからなくてな。お前なら、知っていると思ってよぉ」

お前ではなく、師匠と呼べと言ったろ!

「じゃあ、おまえ師匠、でいいか?」

なんだ、その面倒くさい呼び名。
師匠が嫌なら、マエストロにしろ。
その方が、俺にふさわしいかもしれん。

「じゃあ、和尚はどうだ」

俺は、ボウズじゃねえ!

というような不毛なコントに飽きた極妻が、「ヘッドフォンの話は、いずこに?」と言って軌道修正をしてくれたので助かった。

「いろいろネットの情報を調べたんだが、今ひとつ決定打がなくてな。商品のレビューとかクチコミを読むと、全く正反対の意見を書いているのがあって、混乱するんだよな。おまえ、あの書き込みって、信用できると思うか(おまえ、じゃなくて師匠だろうが)」


ススキダは、音にこだわる男である。
そのそもススキダと私の付き合いは、スピーカーを通して始まったという経緯がある。

8年前のことだ。
私は、かつてスピーカーづくりを趣味としていた。
住宅事情により、超小型か小型スピーカー製作が主で、20種類以上のスピーカーを作ってきたキャリアがある。

しかし、ある日突然、せせこましく小さいスピーカーを作るのに飽きた私は、一発でかいスピーカーを作って、これで打ち止めにようと決心したのである。

秋葉原で30センチ口径のウーファーを見つけた私は、それに合うミドルレンジのスピーカーとツィーターを1ヶ月かけて探し出し、設計図を描き、木材をドイトで調達し、断裁もドイトでしてもらった。

そして、さらに1ヶ月かけてコンデンサやアッティネータで音質音量を調節し、横55センチ×縦120センチのでかいスピーカーを完成させたのである(もちろん塗装も自分でやった)。

それをリビングに置いて、ジャズやジミヘン、椎名林檎、浜田省吾を聴くとき、それは私の至福の時間といってよかった。

でかいスピーカーではあるが、住宅事情もあって、大きな音で聴くことはしなかった(できなかった)。
大きな音で聞かなくても、性能がよかったせいか、音がクリアに聴こえたということもある。

しかし、人間はイメージで物事を判断する生き物だ。
そのイメージ型人間の筆頭であるヨメが、「そんな大きなスピーカー、近所迷惑じゃない?」と言い出したのである。
でかいスピーカー、イコール音もでかい、というイメージがヨメの頭の中には、出来上がっていたようだ。

そんなとき、いや、よく聴いてごらん、ちっとも大きな音じゃないだろ、と言っても、イメージ先行型の人間には、それは言い訳にしか聞こえない、という悲しい現実。

そして、ヨメは、舌鋒鋭く、私に向かって最後にキラーフレーズを放つのだった。


「どうせ右耳が聞こえないんだから、そんな大きなスピーカーで音楽を聴いても無駄でしょ! 無駄!」


タジタジとなる私。
音楽は、耳だけでなく体全体と感覚、想像力で聴くものだというのが私の持論なのだが、ヨメの言うことも正論であることは否定できない。

だから、私は持論を引っ込めて、そのスピーカーを処分することに決めたのだ(元手が10万円以上かかっているので、白髪になるほど悩んだが)。

数人の友人に電話をして、スピーカーを引き取ってもらえないだろうか、と頼んだが、サイズを聞くと皆「ノーサンキュー」と言って誰もが受け取りを拒んだ。

そこで、私はスピーカーをオークションに出すことにしたのである。

製作期間2ヶ月、使用期間2ヶ月。
ジャンルは、主にジャズ、ジミヘン、椎名林檎、浜田省吾。
サイズも正確に提示し、画像も載せた。

そのとき、オークションの質問コーナーに問い合わせをしてきたのが、極道ススキダだった。

「当方は、クラシックを主に聴きますが、クラシックとの相性はどうでしょうか」

ピアノやヴァイオリン、チェロなどのソロは、タッチを想像できるほどリアルですが、オーケストラになると、人によっては臨場感に乏しいと感じるかもしれません。
ただ個人的な感想ですが、ホルストの「惑星」は、宇宙空間的な浮遊感を感じて、私は気に入っています。

私は、そう返答した。


そのスピーカーは、結局、私の予想の2倍以上の金額で、ススキダが落札してくれた。

落札後、何度かススキダは、律儀にスピーカーに対する感想をメールで送ってくれた。
「弦楽四重奏を聴いている時の低音から中音の響きが、自然に体に入り込んでくる感じで、鳥肌が立ちました」とか「オペラを聴くとホールの大きさまで伝わってくるようで、その臨場感のリアルさに感動しました」とか、そんな好青年的なコメントを読んで、人のいい私は簡単に騙されることになる。

まさか・・・こんな素敵なコメントを書く男が、極道だったなんて。

メールをやりとりする間に、彼がコピーライターをしていることがわかり、私の仕事とシンクロする部分もあったので、お互い協力しませんか、という流れになった。

そこで、横浜みなとみらいの「横浜美術館」前で会う約束になった。
目印は、私は東急ハンズの紙袋、ススキダはエナメルの焦げ茶のバッグだった。

待ち合わせ場所で、焦げ茶のバッグを持った男の姿を遠目で見て、私は一度「回れ右」をした。

まさか、ヤ・ク・ザ・様?

パンチパーマに、オレンジのワイシャツ、白のジャケット、白いズボン。
エナメルの焦げ茶のバッグ。

ヤクの売人か・・・・・?

その姿を見て恐れ戦いた善良な一般市民である私は、かかわり合いになるのを恐れて、その場を逃げようとした。
しかし、相手の動体視力が、思いのほか良かったのが不幸だった。

パンチパーマが、「ああ、Mさんですかぁ〜!」と駆け寄ってきたのである。

そこで逃げていれば、私の人生は大きく変わっていたに違いない。
こんなヤクザな人生を歩まずに済んだかもしれない。

そのときから始まった地獄の人生。
ススキダは、2歳年上の私を「おまえ」と言って脅し、私を手下のように扱った。

出会ったとき、180センチ60キロだった私の体重は、55キロまで減り、175センチ59キロだったススキダの体重は、75キロにまで増えた。
極道は、人の生き血を吸って、これからも太り続けることだろう。

この世に、神はいないのか・・・・・。


という本気の冗談は、これくらいにして、ヘッドフォンのことである。

この極道は、基本的に真面目だから、人の話を鵜呑みにするところがある。
辛口の言い方をすると、自分の意見を持っていない。
多数派に入ることを好む性質を持っている。

つまらないことに悩むのだ。

だから私は、2歳年上の威厳を見せつけて、言った。


インターネットは、もともと極端な意見を持つ人間が、アクションを起こしやすい媒体だ。

掲示板、アンケート、コメント欄やレビュー欄。
その種の場では、普通の意見を持った人の参加率は、低いと思う。
素性を晒さないで物を言える環境の恩恵を蒙った人たちが、声だけを出す場である。

その意見の場が、広告媒体を含むものだとしたら、意図的なヤラセの意見を載せる場合もある。
あるいは、歪んだ自己顕示欲から、悪意だけを発散することがある。

だから、ネットの意見は、割り引いて考える必要がある。

それよりも、家電量販店に行けば、親切な店舗は、ヘッドフォンの試聴をさせてくれる。

意図的な他人の意見に惑わされるより、自分の耳で聴いて、一番だと思うものを選べ。
それが、商品選びで後悔をしない一番の方法だ。

ネット上の他人の意見は、彼らにしか意味がない。


そんな私の意見に対して、「さすが、師匠!」と褒めてくれたのは、極妻だった。

極妻は、生まれは香港。
両親は、中国人。
15歳の時、単身で日本に来て、親類の家から高校に行き、帰化の条件を満たすまで日本で働いて、帰化したあと看護の専門学校に行き、看護師になった。

広東語、北京語、英語、日本語を話す才女(北京語と英語は完璧ではないと本人は謙遜しているが)。
そして、小泉今日子似のルックス。

存在自体が、天使といっていい。

しかし、その天使が、極道の餌食に・・・・・。


と書いたところで、また飽きたので、この話は次回に続きます。



2012/01/09 AM 08:18:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

1月4日 極道が来た日
杉並の建設会社からいただいた会社案内とチラシの仕事は、だいぶ格好がついてきた。
あと2日もすれば、それなりの形にはなるだろう。

建設会社には、13日の金曜日に、ラフデザインを持っていく予定になっている。
ジェイソンが、出てこなければいいのだが・・・。

ところで、日にちは戻るのだが、今回は、濃密な1月4日の出来事を書こうと思う。
この日は色々なことがありすぎたので、順を追って書くと、かなりの長文になる。

途中で飽きてしまいそうなので、シリーズで書かせていただきます(50分しか集中力が続かないので)。


2012年1月4日午前10時7分過ぎ、我がiPhone4が震えた。
ディスプレイの表示を見ると「極道」となっていた。
極道顔コピーライターのススキダからだ。

新年から見たい顔ではないので無視しようと思ったが、ススキダの奥さんの愛らしい顔が、頭に突然浮かんだので、1.7秒後に「応答」ボタンを押した。

「おめでとう」と言われたので、誰が、と答えたら、「世界中のみんなに」と返してきやがった。

だから、俺は宇宙人だから関係ないな、と答えたら、「確かにな」と言われた。

今年初めての会話にしては、イケてるな、と自己満足に浸った。

そんな風に自己陶酔していたら、唐突に「いま、お前んちのアパートが見える場所に車を停めている。挨拶に行ってもいいか」と言われた。

断る!

「麗子も一緒なんだが」

はい、お待ちしております。

14ヶ月ぶりに見る極道の妻は、相変わらず愛くるしい顔をしていた。
なんてったって小泉今日子に似ているのだ。

私の記憶に間違いがなければ、今年で46歳になるはずだ。
私の中では、美魔女コンテスト・ナンバーワンと言っていい。

「今年もよろしくお願いいたします」と頭を下げられたので、ご主人抜きで、よろしくお願いします、と答えた。

すると、極妻は、「いま、ウザイ亭主を消す魔法を習っているところです。フォグワーツ魔法学校で」と、人差し指を魔法の杖にして、極道の顔に魔法をかける仕草をした。


おお! 消えたじゃないですか! 完璧に習得されたようですね。
素晴らしい! ブラボー!


拍手をした。

極妻も、拍手をしていた。

しかし、消えたはずのウザイ亭主が、「新年から何バカやってんだ!」と片眉を吊り上げて怒った。
一瞬で、魔法が解けた。

魔法が解けたあとで、極妻が、子どもたちにお年玉をくれた。
あいにく、息子は少年ジャンプを買いにコンビニに、娘は郵便局のバイトに行っていたので、私が代わりに受け取った。

極道が「着服するなよ」と凄んだので、「チャクフク? ドウイウ意味デスカ? 宇宙人、ワカラナイ」と答えておいた。

宇宙人は極道を見ると、からかいたくなる本能を持っているらしい。

しかし、からかってばかりいても話が進まないので、新年の挨拶は受けた、子どもたちのお年玉ももらった、奥さんだけ残して、お前は帰れと言った。

私は本気で言ったつもりだったのだが、極道は冗談だと思ったようだ。

極道顔が真顔になって、「昨年は、ラーメン屋のことで迷惑をかけたな」と言って極道頭を下げ、「これだけは、伝えておきたかったんだ」と私の目を睨んだ(おそらく本人は睨んだつもりはないだろうが、一般庶民なら必ずそう判断する)。

ラーメン屋の顛末に関しては、以前ブログに書いたので、あらためてここでは書かない。

だから、ラーメン屋? もう、忘れた。俺は年が新しくなると、脳内のハードディスクを代えることにしてるんだ。だから、その記憶は、捨てた、と答えた。

怒るかと思ったが、ススキダは、今度は小さく頭を下げて、つぶやくように「すまない」と言った。

その謝り方に心を動かされた私は、今回のことで悪いやつなんかいない、と言って、ススキダの体をハグした。

気持ち悪いので、ハグは0.6秒だけだったが、私の思いは、ススキダに伝わったようだった。

極道は「今年も、よろしくな」と言い、爽やかではない笑顔を私に見せたあとで、極妻と頷きあった。
極妻が、私に向かって、深く頭を下げた。
そして、顔を上げると、極道と極妻で、また頷きあった。

その姿を見て苛ついた私は、爽やかすぎる笑顔を極妻に向けたあとで、じゃあ、帰れ、とススキダに向かって、魔法の指でドアの方を指さした。

極道は、神妙な顔で、「ああ、消えることにするよ。邪魔したな」と素直に靴を履いた。

極妻は、まだ残っている。
極道が、ドアの外に消えた。


コーヒーでも、いかがですか?

「ありがとうございます。いただきます」

コーヒーを入れようとしたところで、極道がドアを開け、「おい!」と言って怖い顔を出した。
まだ、3分も経っていない。

ウルトラマンかよ!

「まったく、お前らときたら、何で新年早々、そんな馬鹿ができるかねえ」

そう言われた私は、極道の目の前に、二本指を出した(ピースサインではない)。

おまえ、という言い方は間違っている。
俺はお前より、2歳年上だ。
年寄りをもっと尊敬しろ。
今年からは、俺のことを「師匠」と呼べ。

「はい、師匠!」と答えたのは、極妻の方だった。

極道は、偉そうに「年上なら年上らしい行動を取れ」と、ホザイた。
その偉そうな態度に対し、私は、年下なら年下らしい顔をしろ、と腰を引かせながら、胸を反らせた。

そして、威厳を保ちながら、コーヒーを飲みますか? マクドナルドのプレミアムローストコーヒーより、確実にまずいですが、と謙遜した。

しかし、極道は、人の好意を踏みにじる男だった。
つまり、仁義を知らない男だった。

無情にも、「いらねえ。これから、遠出をするんでな」と言ったのである。

新年から、可愛い奥さんとドライブか?

「ああ、悪いか? 静岡まで、愛のドライブだ」と鼻を膨らませながら言った後で、「スガさんに、新年の挨拶をしに行かないとな」と続けた。


スガ君は、一昨年、ススキダと京橋のウチダ氏と私が、共同でプランを立てて、飯田橋にオープンしたラーメン屋のオーナーだ。
今は、経営からは手を引いているが、開業資金を拠出したこともあって、実質的なオーナーは、今でも彼だと言っていい。

その後、複雑な事情が絡み合ったのだが、新年が明けるとともに、その事情は古いハードディスクの方に格納してしまったので、その件は、もう忘れた。


そうか。
エスティマで、静岡まで愛のドライブか。
そのラブドライブの真ん中に、俺も加えてくれないだろうか。
俺もスガ君に、挨拶がしたい。

私がそう言うと、極妻が、「はい、師匠、喜んで!」と言ってくれた。
極道は、小さな舌打ちはしたが、拒絶の言葉は吐かなかった。

そこで、私は俊敏な動作で、小さな発泡スチロールのボックスに保冷剤を入れ、クリアアサヒを詰め込んだ。
500缶を8本。

それを見て、「おい! 車の中で飲むには、多すぎないか」と極道がクレームをつけたが、俺だけじゃない、奥さんの分もだ、と私が言うと、極妻が「さすが、師匠!」と手を叩いた。

極道の今度の舌打ちは大きかったが、極妻と私は無視して、エスティマの後部座席に乗り込んだ。

そして、車が発進しないうちに、乾杯。

極道は、二度大きな舌打ちをして、車を発進させた。

クリアアサヒを飲みながら極妻と談笑。
4日目にして、やっと正月らしい気分になってきた。

やはり、正月に酒は必要だ。
我慢するなんて、体に悪い。
ココロにも悪い。

仕事をはかどらせるためとはいえ、無駄な三が日を過ごしたような気になった。

私は、普段より通行量の少ない環八道路の景色を眺めながら、柿の種を齧り、クリアアサヒの500缶を傾けることに専念した。

そして、美女と酒を飲む幸せを噛みしめていた。

しかし、そんな私の幸せを踏みにじる馬鹿がいたのだ。

お察しの通り、極道顔のあいつだ。

「あのなあ、ヘッドフォンのことなんだけどよお・・・・・」

なんだ、唐突にヘッドフォンとは?


と書いたところで、飽きてきたので、この続きは、次回に・・・・・。




2012/01/07 AM 08:18:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

2012年 今年も
あけまして おめでとうございます

2012年 昨年の出来事は 忘れられませんが 少しでも前向きに そして 自分の仕事を責任もって やり遂げ 生きていけたらと


今年も よろしく お願いいたします



正月は、杉並の建設会社からいただいた会社案内とチラシのデザインを練る仕事がある。
最近、頓に萎縮し始めた脳をフル活用して、どちらも6〜7割くらいは出来上がったような気がするが、もしかしたら、これは正月特有のボケということもあり得る。

出来たような・・・・・出来ないような。

今年の三が日は、意味もなくクリアアサヒ断ちをすると決めたので、アルコールが体に入っていないのがいけないのかもしれない。
初夢に、特大チャーシューラーメンとクリアアサヒの夢を見たし・・・・・。

今年も、馬鹿ですな・・・・・。



ところで、昨日、風が強い中、小金井公園で初ジョギングをしてきた。
10キロを47分で走るという、ゆるいペース。
ただ、ほぼ一ヶ月ぶりのジョギングなので、右膝が痛くなった。

人の体というものは、こうやって徐々に衰えていくものなのだろう。

恐怖。



我が家の長男は、昨日は、友だちに誘われて、なぜか釣り堀に行った。
このクソ寒いのに、釣り堀とは、物好きな友だちもいたもんだ。
(クソ寒い中、ジョギングをする奴も、アホだが)


ヨメと高校一年の娘は、吉祥寺でお買い物。

二人して、一万円の福袋を買って帰ってきた。

最近の福袋は、店によっては、中身がわかるようになっているらしい。
ヨメたちが買ったものも、中身がすでにわかっているものだったという。

しかし、中身がわかっているものを福袋と言うのは、代々積み重ねられた日本文化を踏みにじるものだと思うのだが、いかがでしょうか。
これでは、まるで答えの書いてある試験問題を解いているようなものではないか。
(意味が違う?)


ただ、我がヨメのように、いつも買ってから後悔する人には、いいシステムかもしれない。

と思ったのだが、ヨメのいつもの癖が始まった。

「ああ、この上着、いま持っているのと色が似てるわね。店で見たときは気づかなかったけど、こんなに暗い色だったんだぁ。それに、バッグも思ったより小さいわね。ああ、失敗したかもぉ!」

今年も、買う前に悩むのではなく、買ったあとに悩む癖は不動のようである。

娘は、春物のトレーナー2点とスカート、バッグや小物の入った福袋を手にして、満足そうな顔をしている。
「今日の買い物は、255パーセント! 満足だぞい!」

ブレない娘である。

そのブレない娘は、ヨメが「イタリアントマトでお昼を食べましょうよ」と言うのに対して「それより、兄にも何かを買ったほうがよかろう」と提案したという。

「え? イタトマでランチの方がいいでしょう」と、未練たっぷりのヨメ。

「買い物で贅沢したんだから、お昼は家に帰ってカップラーメン。それより、とにかく兄に何か」と、ブレない娘。

娘は、ダウンベストを提案したが、ヨメは「もったいない」と却下(もったいない、と言っても一万円の福袋よりは、はるかに安い)。
結局、帰る途中に書店で見かけた、年が明けたため半額になった浜崎あゆみのカレンダーだけを買って帰ってきた。


家で、ホームラン軒の「カレーラーメン」を食いながら、ヨメが、ため息混じりに言う。

「ああ、久しぶりに、イタトマの『ビーフデミグラスドリア』食べたかったなあ。正月にカップラーメンなんて、なんか・・・・・とっても・・・・・なんか、惨めだわ」

(俺なんか、朝は抜き、昼メシは、亀田製菓の柿の種ですが・・・・・正月なのに)






ところで、ことし初めての苦言。

大学時代の陸上部の仲間から、性懲りもなく電話やメールが来る。

「今年こそ、箱根駅伝見ろよ。今年も母校が出てるんだから、応援するくらい、いいだろ」


お前ら、俺の友だちを何年やってるんだ?

俺は、箱根駅伝は嫌いなんだよ。
母校が出ていようが、陸上部の後輩が出ていようが、嫌いなものは嫌いなんだ。

何度、言わせるんだ。

まったく、学習能力のない奴らだ。

俺は、お前らと違って、正月も仕事なんだ。


ヒマ人と一緒にしないでくれるぅ〜〜 ・"(>0<)"・





まあ、今年も、こんな風に、ひねくれ者を通しますので。




2012/01/03 AM 07:46:00 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]



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