Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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社長ふたり
埼玉にいた頃に、お世話になった社長がいる。

ひとりは中古OA販売会社の社長(その風貌からカバ社長と密かに呼んでいる)
もう一人は、建築会社の社長だ(夫婦ともども故芦屋雁之助氏に似ていることからガンノスケ社長と密かに呼んでいる)。

カバ社長からは仕事をいただいたことはないが、事務所のパソコンのメンテナンスをする代わりに、カバ社長が持っている倉庫の一角を「隠れ家」として利用させてもらっている。
倉庫というと埃っぽいイメージがあるが、OAを扱っているせいか空調がしっかりしていて、居心地はいい。

この隠れ家で、私は惰眠を貪ったり、いいちこのお湯割りを飲んだり、カップラーメンを食ったりして気持ちをリフレッシュさせていた。
私がどこにいるか誰も知らない、という状況は、私にとってこの上もなく快適な環境であると言える。


ガンノスケ社長は、奥さんと二人で、細々と建築会社を経営している。

年に5棟から9棟の家を建て、それをチラシと立看板で告知して売るという、昔ながらの至って基本的な販売方法を取っている。

「運が良ければ売れるし、悪かったら売れない。まあ、博打と一緒だね」
とガンノスケ社長は、いつも言っている。

埼玉にいた頃は、年に一度か二度、チラシの仕事をいただいた。
2色刷りのワンパターンのチラシだったが、出すのと出さないのでは、やはり反響は違う。
ガンノスケ社長は、私が武蔵野に越してから、遠慮をして仕事を出すのをためらっていたようだ(あるいは、面倒くさかった?)

去年は「4棟しか売れなかった。バブル以後最低の記録だね」

一年ぶりに会うガンノスケ社長。
そして、その横には、なぜかカバ社長。

場所は、吉祥寺の天狗

カバ社長は、なんこつ唐揚げにかじりつき、ガンノスケ社長は、串焼きを頬張り、私はざるそばを啜っている。

なぜカバとガンノスケが一緒にいるかというと、ガンノスケがカバの会社から中古のパソコンとコピー機を買ったことから、5年以上前から付き合いが続いていたらしい。

衝撃のビックリ!(日本語オカシイ?)

そして、つい最近、会話の中で、共通の知り合いとしてバカなデザイナーがいることを思い出し、「吉祥寺、行っちゃう?」という軽いノリで、昨日の夕方、突然電話がかかってきたのである。


いや、しかし・・・・・私は(激しいたちくらみの中で)家族の晩メシを作るという責務がございまして。


「じゃあ、ご家族も一緒にどうですか。私たちが奢りますから」

お・ご・り・・・・・。

なんと美しい言葉!
おそらく日本語でこれほど美しい響きを持つ言葉はないであろう。


私は、日本に生まれてきたことを誇りに思う。


家族を引き連れて、奢らせにやって来た私は、日本古来の「紹介という儀式」が面倒くさいたちなので「これ、ファミリーです」という実に大雑把な紹介で「奢らせ隊」にご挨拶をした。

同席だと気詰まりするだろう、というガンノスケ社長のありがたいご厚意を受け、ヨメ、息子、娘、居候さんは、我々から9メートル39センチ離れたところに席を取った。

奢らせ隊が「好きなもの食って」というので、我がファミリーは、本当に遠慮することなく色々なものを注文したようだ。
特に、我が息子と居候さんが。


私の顔を見て、「Mさん、やつれたんじゃない?」とカバ社長が心配してくれたが、いや、連れは4人です、と言ってごまかした。

???????

まったく、意味が通じなかったようだ。
(当たり前か)

私が、そばを啜っている姿を見て、ガンノスケ社長が「肉の方がいいんじゃない? いまMさんに必要なのは、肉だよ」と、サイコロステーキと豚肉の生姜焼きを注文してくれた。

ガンノスケに感謝。

「俺たち、吉祥寺は初めてなんだよね! なんか、外国に来た感じだね!」とガンノスケが言う。
「なんか、気後れするよね。俺たち、田舎者なんだなって、本気で思うよ」とカバも言う。

そして、「Mさんは、完全に吉祥寺に馴染んでいるよね。完全に、都会人だね。うらやましいよ!」と、さらにカバ。

カバに感謝。

人の悪口を絶対に言わない、カバとガンノスケ。

私は、その点を最大評価して、お二人のことを尊敬している。

「なんか、嬉しいなあ! Mさん、全体的に萎んだ感じがして、とても心配だけど、話してみるといつものMさんだよね。いいね、いいね、楽しいね!」とカバ社長。

「やっぱ、チラシ、Mさんに頼もうかな。今日は、カアチャンに厳しく言われてきたんだよね。『Mさんの機嫌を損ねちゃダメだよ。絶対にお願いしてくるんだよ。そうじゃないと、家に入れないからね』って言われてるんだよ。だから、ねっ、お願い!」
ガンノスケ社長に、拝まれた。


普通は、仕事をいただく側が、拝むものではないのか。


カバとガンノスケに、ダブル感謝。


ホノボノとした気持ちを抱えて、お二人に「ごちそうさま」を言った。

ファミリーも大きな声で「ごちそうさま!」


さて、トータルの金額は?

ガンノスケ社長が「と、とりあえず、こ、ここの支払いは俺が・・・・・」と狼狽しながら、カードで会計をしていた。


食いやがったな、我がファミリー!


やつれた私には、その金額を聞く勇気が・・・・・・・なかった。





2011/05/20 AM 06:21:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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