Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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生き返った指
3週間ぶりにジョギングをした。

色々な出来事があったあとのランニング。

病み上がりでもある。

38度以上の熱が4日続いたあと、四谷と東京八重洲の得意先に行ったときは、体が宙を浮いている感覚を絶えず味わっていた。
歩いていると、しゃがみ込みたくなる欲望に襲われる。
自分の体が異次元のはざ間に落ちていくような違和感が絶えず纏わりついていたのだ。

だから、走るのはまだ早いかもしれないと思った。
無謀かな・・・・・と。

だが、とりあえず自転車で小金井公園まで行ってみた。

自転車に乗っているときも、何となく宙を浮いている感覚はあって、絶えず「やめようかな」とブレーキをかけている状態だった。

無理はしない。
ジョギングを長く続けるこつは、これに尽きる。

ジョギングは、頑張るものではない。
自分の体調を整えるものである。

体調を整えるためのスポーツで、体を壊してしまったら、何にもならない。
だから、私はいつも自分の体の声を聞きながら走っていた。

走る前は、10キロ走ろうと思っていても、違和感を感じたら2キロでやめた。
「根性論」に酔って、一心不乱に走るのは、私の一番性に合わない行動だ。

だから、自分の体調を確かめるように、慎重に走り始めた。
浮いている感覚は、まだかなりある。

視野が狭い感覚もある。

これは、やめたほうが、いいか。

3百メートルほど走って、スピードをさらに緩めた。
歩くより少し速いスピードだ。

息はまったく上がっていないが、腰から下に力が入っていないのが、明確に感じ取れた。
インフルエンザのダメージなのか、それとも他のダメージなのか、おそらく両方だろう。

からだが、走りたいと言っていないのだ。
私は、そう判断した。

止まった。
走るのをやめた。

天を仰いで、大きく息を吸う。
そして、体の力を抜く。

手を大きく振りながらのウォーキング。
あまり大きく手を振ると、後ろにのけぞって倒れそうな感覚になった。
だから、少し前傾姿勢になって、手をいつもより小さく振るという微調整をした。

それで、安定した。

全身のどこにも力が入っていないような状態で歩くと、違和感が小さいのがわかった。

「ウォーキング」と言うほどの、格好のいいものではない。
ただ手を振り、足を前に動かして体重移動するだけの小さな作業である。

それに没頭した。
ひたすら没頭した。

頭を悩ます雑事も、仕事のこともすべて忘れて、座禅を組むような無の境地で、ただ体重を移動させることだけに集中した。

どれくらいそれを続けていたかは、知らない。

それまでは、まったく目に入っていなかった、日陰の雪の存在が視界の片隅に見えたとき、自分の体に血が通ってくるのが、徐々に実感できた。
汗はかいていない。
息もまったく苦しくない。

ただ指先、足先に、懐かしい感覚がある。

足が特に熱い。
足の指が、膨らんだような奇妙な熱さを持って、自己主張していた。

立ち止まって、公園の歩道からはずれた木のベンチに腰を下ろした。

そこで、靴を脱いだ。
ついでに、靴下も脱ぐ。

左足の薬指。

黒く変色して、爪も生えなくなった左足の薬指。
トンカチで叩いても痛みを感じなかった指。

それが、熱を持っていた。

つまんでみた。

指の根元に、感覚があった。
根元に爪を立ててみた。

少し、痛かった。

指先を叩いてみた。

鈍かったが、小さな衝撃があった。

つねってみた。

痛かった。

嬉しくなった。

指先は黒く変色していたが、それは何かを訴えていた。

確実に何かを訴えていた。



忘れていた感覚・・・・・。


この指に血が通うことなど、もうありえないと思っていた。


涙が出た。




2011/02/14 AM 07:57:22 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]



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