Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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大量に備蓄したもの
あまり書きたくない内容だから、気が重い。
きっとあとで読み返したら、自分でも後悔すると思う。
それに、読むほうもきっと面白くないだろうと思う。

では、書くなよ、と言われそうだが、他につぶやく場所がないので、書くことにする。

申し訳ありませんが、嫌な方は、飛ばしてください。


昨日、新丸子の母から電話があった。

それは、姉の部屋に珍しく鍵がかかっていないので、久しぶりに姉の部屋を掃除しようと入ってみたら、部屋が大変なことになっている、という電話だった。

いつもなら百パーセントに近い確率で部屋のドアには鍵がかかっているのだが、昨日は慌てていたのか、鍵をかけずに出て行ったらしい。
どこに行ったの、と聞くと「渋谷の場外馬券売り場」と母がため息を吐きながら答えた。

勝馬投票券のことが頭の中を占めていて、ドアに鍵を閉め忘れたのだろうと思われる。

母が言う「部屋が大変なこと」とはどういうことか、と聞こうと思ったが、見た方がわかりやすいし、今年はまだ実家に帰っていないので、新年の挨拶を兼ねて行ってみることにした。
申し訳ないが、また友人から、原付バイクを借りた。

その方が楽だからだ(お尻がラク?)。

挨拶もそこそこに、姉の部屋に入る。

母たちが新丸子に越してから11年がたつ。
その間、私は一度だけ姉の部屋に入ったことがあるが、それは7、8年前のことだった。
そのときは、大きな箪笥が二つとテレビしかないスッキリした部屋だった、と記憶している。

しかし、その部屋は、今回すっかり様変わりしていた。

まず、目に飛び込んできたのが、トイレットペーパーの山だった。
薬局などで、12ロールをワンパックにして売られているもの。
それが、ベランダ側の窓を塞ぐようにして、壁のよう積まれていたのである。
それも全て同じメーカーの同じ銘柄のものだった。

正確に数えはしなかったが、百パック近くあると思う。
それは窓を完全に塞いで、天井まで整然と積み重ねられていたから、アイガーの北壁をはじめて見たときのような威圧感があった(見たことはないが)。
これでは、ベランダに出ることはできないし、太陽の光も入ってこないだろう。

他にティッシュペーパーのパックも積み上げられていた。
これは、5個ワンパックで売られているやつだ。
同じメーカー同じ銘柄のものが、やはり数える気にもならないくらい積まれている。
おそらく、薬局の店頭でもこれほど詰まれてはいないだろう。

そのほか、食品用ラップも同じ銘柄のものが、百個近く積まれていた。
姉は料理はしないのに、何でこんなにもあるのだろう?

10キロのお米の袋も8つ壁際に積まれていた。
あきたこまち
この重いものをどうやって持って帰ったのだろう。

お米は、母が生協の宅配を頼んでいて、そのときどきで銘柄は違うが、毎回必ず5キロの無洗米を頼んでいるという。
だから、これは姉が独自に誰かに頼んで宅急便で送ってもらったものだろう。
しかし、ご飯粒を食わない姉が、なぜこんなにも大量に米を買ったのか。
理解に苦しむ。

他には、ゴミ袋がやはり大量に。
箱入りの洗濯洗剤も大量、同じ銘柄のシャンプー、リンス、トイレの消臭剤が10本くらい、インスタントラーメンのパック(5個1組のもの)が20個ほど、カップラーメンも数え切れないほど、同じ種類の加湿器が3つ(中身を開けた形跡がない全くの新品)、「氷結」という缶チューハイのグレープフルーツ味がケースで4箱。

そして、2006年からのカレンダーが50本以上。
カレンダーは、すべてSMAPのものだった。
同じものを10本ずつ購入したようだ。

SMAPといえば、CD。
おそらく200枚以上あるだろう。
同じ内容のものが、キッチリ10枚ある。
要するに、10枚単位で買っていると思われる。

SMAPのDVDも30枚近くあった。
やはり同じ内容のものが数枚あった。
DVDプレーヤーを持っていないのに、である。

故・パク・ヨンハさんのCDも数十枚。
あとは、故・尾崎豊さん、X JAPANの故・hideさん、故・忌野清志郎さんのものが数十枚。
要するに、故人ばかりだ。
それなら、ZARDのものもあってよさそうなものだが、女性が大嫌いな姉は、そのあたりは徹底している。

コレクションの山に占領されて、6畳の和室は、布団一枚がやっと敷けるほどのスペースしかない。

「何だろうね、これ?」と母が聞くが、わかるわけがない。

だが、わからない、と言ってしまったら母が不安になるので、私は努めて明るい口調で言った。

きっと恵まれない人に寄付しようと思って溜めているんだな。あるいは、来たるべき関東大震災のことを考えて、備蓄してるんじゃないかな。ほら、トイレットペーパーもティッシュも米も必要でしょ。

言った私は笑ったが、母は笑わなかった。

同居している母としては、気味が悪くて、笑ってはいられないということなのだろう。

そして、最後に母が見せてくれたのは、ダイニングに置いてある冷蔵庫の中だった。
冷凍室には、冷凍食品がぎっしり詰まっていた。
冷蔵室、野菜室は、7割方「氷結」グレープフルーツ味で埋められていた。

壮観だ。
これだけあれば、しばらく買い物に行かなくても、美味しい冷凍食品生活が送れるだろう。

でもね・・・・・と母が言う。
「あの子、電子レンジが使えないんだよ。私は冷凍食品があまり好きじゃないから、食べないし・・・・・」
そう言って、母が、口ごもった。

しばらく沈黙が続く。

言っていいのかどうか、迷っている顔だ。
口元が、強く引き結ばれている。
言いたくないという意思のほうが強いのかもしれない。

しかし、言わなければ、私を呼んだ意味がない。
そんな心の葛藤が、母の吐く息を荒くしていた。


そのとき、私の頭に閃いたものがあった。

私は言った。
「帳面だね」

それを聞いて、よくわかったね、というように母が私を見上げた。

姉は、自分の備蓄したものをノートに書き記していたのだ。

そして、もし、その備蓄した物の数が減っていたとしたら、姉は・・・・・。


そこまで思い至って、私の心は憂鬱になった。

これは、笑って済ませられることではなかった。

このことを誰かに相談しなければいけない。

しかし、誰に相談したらいいのか。


「好きなようにさせておこうか」
今度は、母が明るく言ったが、私は笑うことができなかった。


母の悩みを少しでも軽くしなければならない。


そうは思っても・・・・・・・。




2011/01/16 AM 09:06:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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