Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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土建屋さんは宇宙人(狂ったシナリオ)
少々古い話になるが、NASAが地球外生命体に関する会見を行った。

明確に宇宙人の存在を発表したものではなかったが、公的機関がそのような会見を行うのは、異例のことのようだ。

地球外生命体、宇宙人、異星人・・・・・。
宇宙がどれだけ広いのか、勉強不足の私は知らないが、地球人が存在する以上、同じ条件下の惑星なら、似たような生物がいることは、普通に考えられる。

地球人と同じような姿はしていないにせよ、その惑星なりの合理的な姿をしているだろうから、百メートル近い巨人がいたり、15センチの小人がいたりするかもしれない。

そして、地球人よりもはるかに高度な頭脳を持っていることも考えられる。
あるいは、超能力に近いものを持っているかもしれない。
または、スターウォーズのヨーダのように、800歳まで生きる生物もいるかもしれない。

なぜ、私が突然こんなことを言い出したかというと、先日、交差点で、宇宙人と遭遇したからだ。

いや、私は気が触れたわけではない。
本人がそう言うのだから、それを正確に書いただけだ。

小金井市の栗山公園前の交差点。
そこに、宇宙人は、車に乗ってやってきた。

信号が青に変わって、私が自転車を漕ぎ出したそのとき、右後ろから回り込むようにして、自動車が突進してきたのである。
え? なんだよ! 車側の信号は赤だろ、あぶっ! と思ってペダルを漕ぐ足に力をいれたとき、私の15センチ手前で、車は急ブレーキをかけて止まった。

大げさではなく、殺されるところだった。

そんなときは、いくら「仏のマツさん」と言われている私でも、怒る。

私は、運転席の男を睨みつけた。
いかにも土建屋のオヤジ、というような頑固そうな顔。
どんぐり眼の傲岸不遜な面をした男だった。

そのときはわからなかったが、あとで逃げ出したとき、車体の横に、「○○土建」と書かれてあったので、笑えた。
彼の顔を見て、土建屋以外の職業を想像するのは難しいだろう(偏見?)。
あとは、悪徳警官くらいか。

そんなやつだから、私が睨んだら、睨み返してきた。
しかし、車から出る気はないようだ。

横断歩道の歩道寄りの場所で、睨みあう二人。
他の人から見たら、たいへん迷惑な状況だろう。
車側の信号が青になっても、自転車と車が動かないのである。

ただ、この十字路は、昼間の交通量が少なくて、しかも比較的車道が広いので、車や歩行者が我々を回りこんでいけば、流れが止まることはない(大迷惑であることは間違いないが)。

睨み合いは続く。

私は、ひ弱で臆病なくせに、睨み合いになると冷静になる性質を持っていた。
怒りが続くのは、最初の数秒だけで、あとは目に力は入れているが、気持ちは徐々に醒めていくから、何もない状態よりもむしろ冷静な場合が多い。

この場合も、冷静だった。
その場で、土建屋さんの似顔絵も描けそうなほど、冷静に相手を見ていた。

しかし、いくら交通量の少ない道路だとしても、気の荒いドライバーはいる。
クラクションを長押しして、抗議をする車が、ときにはいた。
当たり前である。
迷惑なのだから。

だから、私は「出てきなさい」と、土建屋さんに言った。
しかし、土建屋さんは、口を歪めて、私を冷笑した。

こいつは、出てこないな、と冷静に読んだ私は、怒った振りをして、出来る限りの大声で怒鳴った。
「出てくるのが、怖いか!」

土建屋さんは、わかりやすい男だった。
顔を真っ赤にして、出てきた。
肩を怒らせ、左右に大きく揺するように、まるでチンピラのような歩き方で、私に迫った。

そして、私の汚いダウンジャケットの襟をつかんで、「怖いだとぉ!」と凄んだ。
シナリオどおりの展開だ。
当たり前すぎて、面白みがないと言ってもいい。

だが、そのときだ。
土建屋さんは私が考えていたシナリオと違うことを言ったのである。
それが、「宇宙人発言」だった。

私が、歩行者側の信号が青で、反対側の車側は赤だったのだから、あなたが違反したのですよ、と言ったときのことだ。
「俺は、宇宙人だから、超能力で、信号を変えられるんだ。俺のほうも、だから、青だ」
土建屋さんは、額に青筋を立てた真っ赤な顔で、私にそう言ったのである。

そのセリフは、有能な脚本家としては、想定外のものだった。
私のシナリオでは、私のシュガー・レイ・レナードばりの左ボディブローが炸裂するはずだった。

それが、まさかのアドリブ。
「宇宙人発言」

ハトヤマの親戚か。
そう言えば、どんぐり眼が、似ていると言えば似ている。
あるいは、宇宙人の目は、みなこんな感じなのだろうか。

アドリブに面食らったオレ。

しかし、ここでギャフンと言ってしまったら、名脚本家の名が泣く。
襟をつかまれながら、私は懸命に次のシナリオを考えた。

そのとき・・・・・。
左目の端、50メートルほど先に、お巡りさんが自転車に乗ってこちらに向かってくるのが見えた。
それも、2台。

あれを利用しない手はない。
私は自由な方の左手で、お巡りさんに向かって「おまわりさ〜ん」と手を振った。

左右に気を配っていたお巡りさんは、気がつかなかったようだが、土建屋さんは、目を数回瞬きしたあとで、高速で振り向いた。
私の襟をつかんでいた手から、急速に力が抜け、土建屋さんは、回れ右をした。
そして、○○土建の車に閉じこもり、左右を確かめることも忘れて、慌しく車を走らせて逃げていった。

私は、車に乗り込む前の土建屋さんに、10分後に戻って来いよ、ここで待っているから、と言った。
私は本当に10分間、そこで待っていたが、土建屋さんは戻ってこなかった。


今日のシナリオは、狂いっぱなしだ。


「宇宙人発言」には、負けた。


私の完敗だった。




2010/12/22 AM 06:38:06 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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