Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ケツイタイヤ人とブリシリ人
今さらの話だが、結婚できない男が増えているらしい。

しかも、40歳以上の男性が独身の場合、この先結婚できる確率は、5パーセント以下しかないともいう。
それほど、中年男性の結婚は、危機的な状況らしいのだ。

なぜ、そんなことを私が知っているかというと、昨日、見ず知らずの親切なオバさんに教えられたからだ。

昨日の午前11時半過ぎ、いつものように、一週間分の食材を買い出しに行った。
3ヶ所のスーパーを回り、4千8百2十1円の買い物をした。

帰りに、ケツが痛くなったので、休むことにした。
幸いにも、帰路に大きなマンションがあり、そのコーナーには、大きめの木のベンチが設置されているのを知っていた。
しかも、そこはうまい具合にお日様が当てっていて、日向ぼっこには最適の空間だったのである。

痛むケツをかばいながら、そっと腰を下ろした。
太陽の光が、気持ちいい。
まるで、極寒の日に入る露天風呂のような心地よさだ。

ケツ流が、よくなったような気がした。

今日は、帰ってから稲城市の同業者からいただいた仕事をする予定でいるが、それほど急ぎではないからマイペースでできる。
少しくらいの憩いの時間は、許される状況だ。

私は、大きく息を吐いて、全身の力を抜いた。

そんなとき、50歳前後の紺のスーツを着た、小太りの女性が近づいて、声をかけてきたのである。
「お一人ですか」

見ればわかる。
いま、私は一人だ。
だから、はい、と答えた。

「お淋しいでしょう?」と言われた。

淋しくはない。
毎日が刺激に満ちている。
(今は、ケツにも刺激がある)

「ああ、それは、いい心構えでいらっしゃいますね」
厚化粧の顔で、微笑まれた。

「でも、今が良くても、いずれ体が思い通りに動かなくなったとき、淋しくなるものですわ」

まあ、それは、誰でもそうだと思うが。
(何が言いたいんだ、このオバさんは。健康食品でも売りつけようと思っているのか。俺はケツ以外健康だ)

ケツに居心地の悪さを感じた。
折角の日向ぼっこが、台無しではないか。
ケツ論を早く言え。

そのとき、厚化粧を綻ばせ、いかにも親身になった口調で、オバさんが、冒頭の言葉を述べたのである。
40歳以上の独身男性に、結婚のチャンスは、驚くほど少ないのだ、と。

そこで、やっと私は気づいたのだ。
「お一人ですか」は、「独身ですか」の意味だったことを。

確かに自分の身なりを振り返って見ると、くたびれたダウンジャケットに履き古したジーパン。
髪の毛は半分近くが白髪。
自転車の前後のカゴには、大量の食材。
一人暮らしの淋しい中年だとおもわれても仕方のない状況だった。

その膨らんだ買い物袋を見て、「お一人の食事は、さぞお淋しいでしょう」と、テレビドラマに出てくるお節介オバさんの口調で言われた。

甚だしい勘違いだった。

さらに、オバさんは、私が後悔で俯いているのを見て、ここぞとばかりに早口で言った。
細かい唾が、空中に飛んだ。
「ワタクシ、先月友人と中高年だけを対象にした結婚相談所を開設いたしました。淋しい中年の男女の縁をできるだけ多く取り結びたいと思い、こうして商売を抜きにしてご紹介して歩いているわけでございます」
そして、大きく息を吸って、「いかがでしょうか。ワタクシどもに、お手伝いをさせていただくことはできないでしょうか」と、中年太りの体を2歩前に押し出した。

かなりの威圧感。

事態をやっと把握した私は、零コンマ7秒で、ポケットからiPhoneを取り出し、ヨメの画像を見せた。
そして、説明した。
これが、私のヨメさんです
そして、これが息子、娘、娘の友だち、と言って、画像を次々に見せた。

これが、私の家族です。
私は、独身ではないのです。

それを聞いたオバさんは、右のコブシを小さく振りながら、一瞬空を仰ぎ、「でも」と言った。
「でも、お一人ですか、と聞いたら、はい、って」

すみません。いま、私は、ここに一人で座っているという意味だったんです。

オバさんの目が攣り上がる。
声が一段と大きくなって、「日本語で一人と言ったら、普通、独身のことでしょう!」と、右足で地面を蹴った。

なんか、いきなり、行動が下品になってきたようだぞ。

すみません。
日本語が理解できなくて。
俺、ケツイタイヤ人なものですから。

そして、私はパスタがないと生きていけないんです、と言って、かごの中のパスタの束を指さした。

それを聞いたオバさんは、口をポカンと開けたあとで、さらに眉を吊り上げ、「ああん!」と唸った。
それから、もう一度地面を蹴り、回れ右をした。

そして、大きなケツをブリブリさせて、遠ざかっていった。

オバさんは、日本の裏側からやって来た、ブリシリ人だったのかもしれない。




ブリシリ人のオバさん。
からかうつもりはありませんでした。
ただ、少しだけ意味を勘違いしただけです。

ケツイタイヤ人を、どうかお許しください。




2010/12/20 AM 06:33:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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