Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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幸せは長く続かない
年末に入って、稲城市の同業者から、大量の仕事を2種類いただいた。

これで、来年の1月までは安泰だ(入金は、1月と2月に分かれるが)。
先日、ヨメが落とした3万円も何とか補填できそうだ。
娘の高校入学の準備も、恥ずかしくないものが揃えられそうだ。

ホッとした。

そして、同業者が、嬉しいことを言う。
「これから、優先的にMさんに仕事を回しますので、末永いおつきあいをお願いします」

はい、こちらこそ、よろしくお願いします。

同業者が私を選んだ理由を私なりに考察すると、デザイン力は、そこそこ。技術力は、まあまあ。納期は絶対に守る。単価が安い、という四つの評価ポイントがあったと思う。
そのなかで、3番目、4番目の評価が、大きな選択理由だろうと、私は推測している。

要するに、使いやすい、ということだろうか。

それにしても、この同業者、若いのに、色々な仕事をもらってくるものだ。
その点を不思議に思っていたら、同業者がボソリと独りごとのように言った。

「家内が、恵比寿で小さな事務所を構えているんですが、そこからの仕事が主流ですかね」

そうですか。
そんなカラクリが。

詳しいことを根掘り葉掘り聞く趣味は私にはないので、それ以上掘り下げて聞くことはなかったが、「ウラヤマシスミダ(ショコタン語とハングル語の融合)」という感想は持った。

同業者が、さらに言う。
「こんなことを言うと、機嫌を悪くするかもしれませんが、Mさん、儲かってないでしょ」

はい、もうかりまへんなあー。

私がそう言うと、同業者が、右手で頭をかきむしりながら言った。
頭をかきむしるのが、趣味のようだ。

「Mさん、怒らないでくださいよ。俺が、Mさんの年収を上げるお手伝いをしますから」

は? どういうこと?
唐突過ぎて、理解できませんが。

同業者が、窓の外を見ながら、右足を激しく揺すった。
貧乏ゆすりが、趣味のようだ。

あるいは、貧しい中年をからかうのが、趣味なのか。

私が、険しい顔をしているのを覚ったのだろう。
同業者は、また頭をかきむしって、「ああ、俺、変なこと言っていますよね」と細い声で言った。

そして、衝撃の告白。
「俺、対人恐怖症でして・・・・・、人と話すと緊張して喉が渇いたり、体が小刻みに震えることがあるんですよ」
自分の両手を見る同業者。
両手を見るのが、趣味?

そして、私を窺うように見上げて、話を続ける。
「でも、Mさんと話しているときは、それが全くないんですよね。何ででしょうねえ? 不思議ですねえ」

不思議がられても困るが。

「こんなだから、俺、友だちがほとんどいないんですよ。で・・・・・・、これはいいチャンスではないのか、と俺は思ったわけです。Mさんなら、俺を受け入れてくれるのではないか・・・・・と」
そして、何度も瞬きを繰り返して、勢いをつけるように言った。

「ダメですかぁ?」

いや・・・まあ、こんなくたびれたジジイでいいのなら・・・・・。

それを聞いて、同業者は、「ハハハ」と笑った。
「俺の家内は、9歳年上なんですが、結婚を申し込んだとき、今のMさんと同じことを言いましたね。『こんなくたびれたバアさんでいいのか』って」
そして、頭を軽く掻きながら、「家内も、俺が始めて緊張せずに話せた女の人だったんですよ」と言った。

わかったような、わからないような・・・・・。

仕事がもらえるならいい、と割り切った方がいいのだろうが、今ひとつ納得できない気もする。

私が曖昧な表情をしているのを見て、同業者は、黙った。
そして、少しの沈黙のあと、小さな声で「やっぱ、ダメっすかねえ」と、うなだれた。
うなだれるのが趣味(しつこい)。

私のイメージでは、彼は「仕事のできる、しっかりした男」という感じだったが、完全にそれを覆された気がして、私は正直、面食らっていた。

うなだれるのが趣味の同業者は、またボソリと言葉を漏らした。
「Mさん、2年前に死んだ11歳年の離れた俺の兄貴に、なんか似てるんですよねえ」
そして、「家内は、10年以上前に死んだ俺のオフクロに似てるんです」と言って、頭を掻いた。
やはり、頭を掻くのが趣味のようだ。

そうですか。

深く考えるのは、面倒くさくなってきたので、とりあえず頷くことにしよう。
いい仕事をいただいたのに、あれこれ思い悩むのは、贅沢というものだ。
私には、思い悩む趣味はないから。

細かい納期を打ち合わせて、話は終了。
腰を上げようとしたら、同業者が、「Mさん、これ、もし良かったら、持ってってくださいよ。使い古しで悪いんですが」と言って、テーブルの上の箱を指差した。

それは、FAXだった。
そういえば、前回お邪魔したときに、FAXが壊れて困っているんですよ。でも、しばらくはFAXなしで我慢します。絶対に必要なものでもないし、と雑談の中で言ったような気がする。

それを覚えていてくれたようだ。
見ると、使い古しとは言うものの、箱はかなり新しいから、そんなに古い機種でもないようだ。

いやいや、そんなことをされては、「いや、どうぞどうぞ」という儀式が私は嫌いなので、即座にいただいた。

自転車の荷台に括りつけて、アパートに帰った。
中を開けてみると、ほとんど使った形跡のないコンパクトでスリムなFAXが、上品な顔をして格納されていた。

こう書くと、「また、たかり体質が出たな」と批難されるかもしれないが、それは甘んじて受けましょう。

最新式の機能豊富なFAXをいじりながら、私は心が浮き立つのを抑えられない。
だから、何を言われてもいい。

幸せだ。



しかし、その幸せも、ほんのつかの間のことだった。

本日、真夜中、0時40分過ぎ。
新丸子の実家のご近所に住むKさんから、またもSOSの電話が来た。
今月の7日と同じことが、また起きたらしい。

深夜のサイクリング。
片道約25キロ。
しかも、前回よりはるかに寒い。極寒の夜。
そして、日本の警察官の仕事熱心なこと!

2度目なので道は完全に把握している。
往きは、1時間21分で到着。自己新記録。
3度、警官に声をかけられたが、一度は、「ああ、この間の!」という学習能力のある人だったので、すぐに無罪放免してくれた。

今回は1時間以上トラブル解決に時間がかかったが、感情が収まるとトラブルメーカーは、すぐ眠りに落ち、私は、再び深夜のサイクリング。

帰りは1度しか呼び止められなかったが、時間は自己記録に遠く及ばない1時間40分。
心の重さが、全身まで重くしたのか、思うようにペダルが漕げなかった。

鬱・・・・・・・・だ。

アパートに帰り着いたのは、午前5時ジャスト。
ワインをラッパ飲みしながら、家族の朝メシを作った。

そのあと、焼酎を飲みながら、激辛キムチを食った。

「ねえ、キムチくさくない?」とヨメ。
「朝から、キムチかよ! ここは、いつから韓国になった!」と娘。
「キムチくささと酒くささが、変に混ざって、ドブ川みたいなにおい!」と娘のお友だち。
そして、息子は、ずっと鼻をつまんでいた。

いま、キーボードを打ちながら、今度はカクテキを食い、クリアアサヒを飲んでいる。


遠くに見える富士山の壮麗さだけが、今の私の救いである。





ところで、今月7日に、今回と同じトラブルを書いたとき、メールを寄せてくれたフナキさん。
「あなたのお姉さんは、とても繊細な人なんです。ご家族が受けとめなければ、誰が、受けとめるのでしょうか。お姉さんの苦しみをわかってあげてください」とアドバイスしてくださいました。

その教えどおり、深夜の府中街道を寒さに凍えながら、「受けとめるために」行ってきました。
(ただ、私たちは、毎回受けとめています。ただ、私がそれを事細かに書かないだけです)

それに、あなたのアドバイスには、重要な視点が抜け落ちています。

それは、50年以上、その「繊細な人」に、絶えず振り回され、寄生虫として住みつかれた母の「心と体の疲労」のことです。

母親なんだから、我慢すればいい、という指摘は、あまりに無慈悲すぎて、私は、そんなことを言う人のことばは、到底受け入れられません。

親切そうに見えて、所詮は他人事の意見(他人だから当たり前か)。

母がいなくなったあと、このトラブルメーカーは、確実に私に寄生するのです。
それを考えたときの私の恐怖は、想像できないでしょう。

他人事でしょうから。


フナキさん、この場を借りて、返事をさせていただきました。
メール、ありがとうございます。






ケツが、イタい・・・・・。


2010/12/17 AM 07:21:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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