Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ケツを痛めた怪しすぎる男
今日、真夜中の0時10分過ぎ。
iPhoneが震えた。

ディスプレイの表示を見ると、新丸子の母が、困ったときにお世話になっている近所の方からだった。

母の身に、何か異変が?

胃を何者かに締め付けられるような痛みが急に私を襲い、震える指でボタンを押した。

すると、ご近所のKさんが、「救急車か、警察を呼びますが、いいですか?」と突然言ってきた。

救急車? 警察?

やはり、母の身に・・・・・何かが?
と思いながら、胃を右手で押さえ、心のざわめきを止められないままKさんから話を引き出すと、それは姉のことだった。

姉が問題を起こして、母が思い余って、Kさんに電話をしたらしい。
そして、Kさんが、それを持て余して、救急車か警察をと判断し、私に承諾を求めるために電話をしてきたのだ。

姉は、事情があって、税金を納めていない。
税金の無駄遣いはできない。
だから、救急車や警察を呼ぶ資格はない、と私は思った。

Kさんに、恐縮しながら、詳しい様子を聞いてみた。

身内の恥になるので、詳しいことは書かないが、私が行けば解決できそうなことだったので、これから行きます、とKさんに告げた。

「ああ、助かります。どれくらいかかりますか?」と、Kさん。

頭の中で、素早く計算した。

時間的に、もう電車は使えない。
私は、車を持っていない。
タクシーで行くという選択肢はありだろうが、金がかかりすぎる。

となると、自転車か。
武蔵野から新丸子まで、おそらく25キロ弱。

すっ飛ばせば、2時間以内に着く。

だから、2時間後に着きます、と答えた。

Kさんは、「待っています」と言い、遠慮がちに「なるべく早くお願いします」と言って、電話を切った。

真夜中に、自転車で25キロの距離を走る。
無謀ではないが、タイヤがパンクする危険もある。

そう思って、パンク修理セットと空気入れを後ろの荷台に括りつけて、家族には何も言わずに、私は自転車にまたがった。

午前0時32分、走り出した。
寒さが、全身を包む。
ダウンジャケットと手袋。
しかし、真夜中の空気は冷たい。

すっ飛ばせば、すっ飛ばすほど、空気の冷たさを感じる。
そして、真夜中の街を走り抜ける人間が、どれほど怪しい人間に見えるか、私はすぐに痛感させられることになる。

府中街道には、たくさんの交番がある。
そして、日本の警察官が、どれほど仕事熱心なのかも、私は思い知らされた。
往きは、3回、警官に呼び止められた。

自転車の荷台に、空気入れを括りつけて、真夜中の道路を疾走する男。
それは、誰の目から見ても、怪しいやつだった。
呼び止められても当然、と言えたかもしれない。

「どこへ行くんですか?」
「お住まいは?」
「身分を証明するものはありますか?」

はい、急な用があって、実家の新丸子に行くところです。
身分証明は持っておりません。

「それは、困りますね。身分がわからないと困ったことになりますよ」

困ったことというのが何かは知らないが、きっと困ったことだろうから、実家に電話をかけて、Kさんに事情を説明してもらった。

無罪放免。

しかし、その繰り返しは、私にとって時間の無駄と言えた。
さらに、そのたびに電話を受けるKさんの心情を思うと、申し訳なくて、寒さが余計にしみた。

ただ、それでも頑張った私は、実家まで25キロの道のりを1時間32分で疾走した。
呼び止められなければ、あと25分は短縮できたのに。

実家に行くと、蒼ざめた顔が二つあり、鼻を膨らませて泣き喚き、あたりを睨み回しながら、足をドンと鳴り響かせる生き物が一つ、いた。

40分でトラブル解決。

Kさんに丁重にお詫びをし、マンションの下の階のご家族の郵便受けにも、お詫びの手紙を書いて入れた。

母に「泊まっていくでしょ」と言われたが、家族の朝メシを作る義務が、私にはある。
それに、午前10時には、小平市の病院で仕事の打ち合わせをする約束がある。

だから、帰らなくちゃ、と言った。
「それなら、これをしていきなさい」と、空色のマフラーを首に巻かれた。
温かかった。

3時5分、暗い府中街道を戻った。

寒い。
手袋をして、マフラーをしていても、真夜中の風は凍えるほどの冷たさだ。

冷たい風が喉に入ると余計寒く感じるので、マフラーを鼻から口を被うようにして首まで巻いた。
それで、少しは寒さを凌ぐことができた。

しかし、警官に呼び止められること、4度。
すれ違うパトカーに「待ちなさい!」と命令されたこともあった。

そのたびに、恐縮しながら、母のご近所のKさんの携帯に電話をかけ、事情を説明してもらった。

本当に、恐縮です! Kさん。
ご迷惑をおかけしました。
あなたは、日本のマザー・テレサです。

4度目に呼び止められたのは、往きにも呼び止められた警官だった。

またかよ!

学習能力がねえなあ!
仕事熱心にも、ほどがあるぞ!

マフラーを解いた顔を見せると、「ああ、なんだぁ! さっきの〜!」と言われた。
そして、「怪しいマフラーの巻き方をしてるから、わからなかった」だって。

鼻からマフラーをしないと、喉が冷たくて、と言ったら、「ああ、寒いからねえ」と同情され、「ちょっと待ってて」と机の中をゴソゴソと。
そして、頑丈そうな新品のマスクを私の目の前に差し出し、「これ使いなよ」と言ってくれた。

私は、遠慮をするのが嫌いなタチなので、素直に受け取った。
ありがとうございます。
助かります。

「スピードを出しすぎちゃダメですよ」

はい、わかってます。

しかし、鬼のようにすっ飛ばし、4時29分に、アパート前に到着。
帰りは4度呼び止められたにもかかわらず、1時間24分の自己新記録。

明け方に飲む、クリアアサヒも美味い!

しかし、深夜の往復50キロの疾走の代償か。
ケツが痛い。

いま、とてつもなく、ケツが痛い。

ヒリヒリヒリヒリ・・・・・・・・。




2010/12/07 AM 06:41:00 | Comment(5) | TrackBack(0) | [日記]



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