Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








顔面先生
もう一度、娘の授業参観の話を。

休み時間に、私が娘の友だち数人と親しげに話をしていると、父兄や男子生徒たちの視線が、戸惑いを含んで通り過ぎる。

娘の友だちと仲が良いのは、私の感覚としては普通だが、息子が中学のときにも、そういった視線を浴びることがよくあった。

浴びるだけでなく、陰で「子どもに媚びている。迎合している」と言われたこともある。

私としては、自分の子どもの友だちのことをよく知りたいだけなのだが、ひとは「何か」を言いたがる。


大学時代、教育実習で母校の中学に行ったときも、同じように「何か」を言われた。

私が教えたのは、社会科。
教えるのは得意ではないが、それが終わらないと単位が貰えないので、単位のために、先生のふりをした。

二日目には、もう私にニックネームが付いていた。

それは、「顔面先生」。

けっして、顔面が人と比べて大きいから、というわけではない(私は美人の条件といわれる小顔です)。
二日目の体育の授業を担当の教師が所用で休んだため、その授業は自由時間となった。
そこで、からだが空いていた私が、授業を見ることになった。

そのとき、体育の授業がソフトボールだったこともあり、そのままソフトボールの試合をすることになった。
最初は、生徒たちが、打ったり走ったりするのを見ているだけだったが、途中で生徒の一人が「先生も投げてよ」とリクエストしてきた。

私は硬球なら、時速100マイルの剛速球が投げられるが、大きなソフトボールは、苦手だった。
だから、下手から投げた球が、自分の思ったところとは大きく外れて、生徒たちの顔面あたりに球が集中することになった。

投げたのは、ゆるい球だったので、生徒たちは簡単によけることが出来た。
そして、彼らは、それをむしろ楽しんだ。

自分の顔面に向かってくる球を、みな「ワーイ」と言って、よけたのである。

そうして、付けられたあだ名が、「顔面先生」。

休み時間に、廊下を歩いていると、あちこちから「顔面先生」と声をかけられる。

給食の時間に、クラスで生徒たちと給食を食っていると、「顔面先生は、彼女いるの?」とお決まりの質問をされる。

私が、「彼女はいないけど、これはいる」と親指を立てると、クラス全体がドッと受ける。
私にしてみれば、お決まりの儀式のようなものだが、あとで担任に呼ばれ、「人気取りも、ほどほどにしろよ」と、お小言をいただいた。

そして、「Mくんは、教師には向かないね。生徒のご機嫌ばかり窺っているからね。ボールを顔面に投げるのも、あれは、わざとなんだろ。子どもたちの人気者になるのに、一生懸命なんだろ」と言われた。

それを「はい」「おっしゃるとおりです」と聞いていれば、可愛い気もあったのだろうが、生意気な私は反論するのである。


俺は、子どもたちと、ただ触れ合いたいだけなんです。
教師になろうとは思っていませんが、子どもたちと心が繋がれば、俺はそれで満足です。


いまなら、そんな自分を「馬鹿で青臭いやつ」と笑うところだが、その時は、ただ真面目に、そう思っていた。

あとで聞いたところでは、私の教育実習が終わる前に、「顔面先生と記念にソフトボール大会がしたい」と申し出た勇気ある生徒が、数人いたらしい。
もちろん、それは却下されたが、私はそれを聞いて、心を熱くした。

「触れ合った」のではないか、と思った。
それは、錯覚だったかもしれないが、2週間分の結果は残したのではないかと、私は今でも思っている。

第三者から、子どもに媚びていると言われても、人気取りだと思われてもかまわない、と今では開き直ってもいる。


息子が中学の時は、授業参観に行くと、休み時間に廊下を歩いていると、あっちこっちから「マッちゃんのお父さん」と声がかかった。

それが、いまは「マツコのパピー」である。


声がかかっているうちは、子どもたちと触れ合っている、と勝手に思っている。

思うのは、勝手だから・・・・・。




2010/09/23 AM 08:28:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | [子育て]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.