Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








メジャーでクリーンな3千本
まだ30本以上も打たなければいけないのに、あと200本まで○○本という、せっかちなカウントダウンが一ヶ月前から始まっていた。

カウントダウンは、10からが普通ではないのか。

安っぽくて、どこか憐れなカウントダウン。
イチローは、きっと、そんなものは望んでいないと思うのだが。


メジャーリーグの安打製造機・イチロー。

ヒットにこだわるがゆえに、日米に限らず、野球の盛んな韓国や台湾などでも、イチローへの評価は、賛否両論だと聞く。
下世話な表現では、「突っ込みどころ満載」ということになる。


内野安打が多い、という批判がある。

しかし、一番打者は、まずは出塁することが要求される打順である。
内野安打で出塁して、さらに盗塁をすれば、一番打者としての役割は充分に果たしたことになる。
その後、ホームに帰ってこられるかどうかは、相手投手の出来や、自軍の打者の調子による。

一番打者は、塁に出ればいいのである。
それが、ヒットでも四球でも。

メジャーリーグの最多安打記録を持つピート・ローズは、必要以上にガッツを表面に出すアメリカ人好みの選手だった。
つまり、イチローとは違うタイプの選手といっていい。

しかし、安打製造機という点では、同じであるにもかかわらず、彼はイチローに対して批判的である。
イチローが内野安打の割合が多いことを取り上げて、イチローのことを「世界一幸運なバッターだ」と評している。

足があまり早くなかったピート・ローズ自身は、内野安打が少なかったかもしれないが、ルールで認められている以上、内野安打は間違いなくヒットである。
その総数が少なければ、たまに打つ内野安打は幸運と言っていいが、数を重ねれば、それはある種のテクニックとして、評価できるのではないだろうか。

自己アピールこそが自分を正当化できる唯一のものだというアメリカという「特殊な国」では、ピート・ローズの主張は、そのアピールにより、自分を大きく見せることに成功している。

ただ、この過剰反応は、ピート・ローズが、イチローを怖がっているから、という風に捉えることもできる。
意地の悪い言い方をすると、野球賭博疑惑でメジャーから追放されたローズにとって、最多安打こそが、自己の存在を主張できる唯一のものかもしれないからだ。

しかし、メジャーリーグ・ファンに愛された、ピート・ローズのアピールに対して、同胞人は寛容だから、ローズの言い分が通れば、イチローが積み重ねたメジャーでの記録は、必然的に価値の薄いものになる。

だから、これから先、イチローが何本安打を積み重ねても、内野安打の多いメジャーでの記録は、ピート・ローズの「偉大な記録」を守るために、大きな疑問符をつけて語られる可能性がある。
いや、もう語られている。


他に、イチローがよく突っ込まれるのは、出塁率が、4割を超えた回数が少ないことだ。
近代野球では、出塁率が重視される。

強打者は、肝心な場面で勝負を避けられることが多いから、四球が多い。
四球の数が多いと、打率によって増減はあるが、出塁率が高くなる。
4割を超える出塁率は、強打者・好打者の証明であると評価される。

イチローは、好球必打の打者である。
自分が打てそうな球が来たら、躊躇なく打つ。
それで、ヒットになるときもあるし、凡打のときもある。

並の打者より、ヒットを打つ確率は高いが、その確率は、よくて3割5分。
好球必打の打者に、出塁率4割は厳しいのではないか、というのが私の判断だが、メジャーリーグで似たようなポジションにいるのが、レイズのカール・クロフォード選手。

彼は、盗塁のスペシャリストだが、イチローほど安定してヒットを打っているわけではない。
彼は、毎年いい成績を残しているが、出塁率4割には、ほど遠い選手だ。
ただ、イチローと同じように、玄人受けのするトップアスリートでもある。

私見だが、クロフォードは、出塁率4割を、まわりからそれほど要求されていないと思う。
彼は、普通に打って、走っていれば評価される選手なのだ。

それに対して、似たようなポジションにいながら、イチローはさらに上を求められる。
それは、現実的に言えば、年俸の差、ということなのかもしれない。
プロは、報酬に合ったパフォーマンスを求められる。

イチローは単打ばかりなのに、年俸が高すぎる、という厳しい見方もある。

メジャーリーグでは、たとえ打率が2割6分でも、本塁打30本、打点100の結果を出せば、強打者の評価を得られる。
彼は、打率3割3分、本塁打8本、打点50、盗塁40の一番打者よりも、確実にマスコミ受け・ファン受けがするのである。
たとえば、アルフォンソ・ソリアーノ選手は、本塁打の数が多いということで、イチローより上に評価されて、人気もある。

イチローは、好打者で、さらに俊足、守備も一流だが、シアトルと日本のファン以外には、打率2割6分、本塁打30本、打点100の選手より評価が低い。
イチローに関しては、ヒットを打つのが、他の選手よりうまくてヒットにこだわる選手と捉え、ゲームの流れを変える選手だとは思っていないようだ。

それは、ただ単に本塁打が、新聞の見出しになりやすいからだが、大見出しになってしまえば、たとえセンスがなくて守備が下手なソリアーノのような選手でも、活字が大きければ「スター」になれるというのが、現実なのである。

イチローに関して、「本塁打全盛の時代に、走攻守を含めたマルチな才能で、メジャーに革命を起こした」という好意的な記事もあったが、私には批判的な記事の方が多いように思われる。


プロは、数字がすべてである。
そのことを、イチローほどわかっている選手はいないだろう。
だから、メジャーでヒットを積み重ねることにこだわっている。

メジャーで3000本打てば、おそらく今までの批判は影を潜めて、イチローを「一流」と認めてくれるだろう。
長いメジャーの歴史で、3000本以上のヒットを打った選手は、今現在27人しかいないのである。
その記録は、「一流の冠」を得るに、充分なものだろう。

断言するが、「日米通算」なんて、都合がよすぎる。
たとえば、韓国で1500本の安打を打った選手が、日本に来て500本打ち、日韓通算で2千本安打になった。
だからといって、日本人は、2千本安打の選手として、彼を認めるだろうか。

「それは、ほとんど韓国の記録だから」、と必ず難癖をつけるはずである。

それと同じで、日米通算は、日本でのみ意味を持つ記録だ。
メジャーリーガーであるイチローに、それを押し付けるのは、記録の濫用だ。

イチローは、メジャーで新人王を獲っているのである。
それは、日本の記録がリセットされたということを意味している。
10年前から積み重ねられた安打こそ、イチローにとって、大きな意義を持っている。

いま、3千本安打までは、はるかに先だ。
40歳過ぎまで、今のパフォーマンスを続けなければ、到達できない高い壁である。

ただ、怪我さえなければ、到達できる記録だと思う。
イチロー選手には、ぜひ3千本に到達して、保守的で冷淡なアメリカのメディア、ファンを見返して欲しい。

「あんなに線が細くて、小さくて、メジャーで通用するわけがない」というマイナス評価から始まったイチローのメジャー人生。

連続して年間200本以上の安打を打っても、薬物まみれで積み重ねた本塁打記録の方を大きく評価するという、ステロイド・マニアによるホームラン・シンドロームに犯されたベースボール発祥の地。

そこで、イチローは孤軍奮闘している。


薬物使用を疑われながら、500本以上の本塁打を打った強打者・ゲイリー・シェフィールドは、ヒットにこだわるイチローを揶揄するように「ホームランを狙わないのなら、俺は毎回ヒットを打てるよ」と、豪語した。


そんな逆境の中で、クリーンなイチローが、3千本安打を打ってくれることを、私は切に望みます。




2010/09/19 AM 08:30:18 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.