Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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灰色の雲を見上げ「浅ましい」とつぶやく
人間とは、浅ましいものでございます。


ヨメの母親の暮らしぶりは、三鷹に引っ越してきた半年前と比べると、かなり安定してきた。
こちらが何も言わなくても、三食メシを食い、薬を飲み、夜インスリンを打つ。
その結果、空腹時の血糖値は、100前後をキープ。
もはや優等生と言っていい。

それに加えて、突飛な行動や言動も少なくなって、あまり手がかからなくなってきた。
喜ばしいことだ。

しかし、大きな嵐が過ぎ去ったあとで冷静になった私は、余計なことを考えてしまったのである。
埼玉で義母と暮らした16ヶ月間。
呆れるほどの厄災をもたらした地獄の日々。
そして、無用な出費の数々。

その時は、当たり前のように享受していたのだが、私は何で、あんなにも一所懸命に、そして追い立てられるように義母の医療費を払い続けたんだろう?

落ち着いた私の頭に、突如浮かび上がってきたのは、そんな浅ましい疑問だった。

2ヶ月の長期入院が一度、短い入院が三度、そして、毎月一度の診察代と薬代。
浅ましいと思いながらも計算してみたら、28万2千円弱、支払っていた。

これを大きいと取るか、たいしたことないと取るかは、その人の懐事情と心の豊かさによる。

財布が極度に薄く、心が透けるほど貧弱な私は、出窓の外に広がる広く豊かな農地を見ても、それに感動したのは最初の一度だけで、今は「無駄に土地が余ってる?」とつぶやく貧困さだ。

そんな私だから、「28万2千円? 新しいパソコンとプリンタが買えたんじゃないの」と、「思い出し笑い」ならぬ「思い出し後悔」に心を占領されている。

義母が健康な生活を取り戻した。
本来なら、それを喜ぶべきなのに、今になって「くそ! その金があれば」が、頭の中でリフレインしている。

実に、浅ましい。そして、心が醜い。

浅ましい私は、義母の長男・次男に医療費の相談をしたが、長男からは「俺は毎月お袋に小遣いをあげてるよ」と言われ、次男からは「俺は次男だから、まず長男優先がスジだろ」と言われた。

長男から現金書留で送られてきたお小遣いは、義母がその日のうちに9割がた消費してしまう。
「アタシがアタシのお金をどう使おうと勝手!」という義母の力強い「正論」に太刀打ちできる人はいない。
だから、それが医療費に化けることはない。

そんなことは、長男・次男にはお見通しのはずである。
彼らは、そんな私を見て「馬鹿なやつだな」と蔑みながら楽しんでいる(はずだ)。

義母のみならず、彼ら兄弟が、なぜ私を嫌うのか。
短大の心理学科を出た次男の奥さんが、こっそり解説してくれたことがある。

母親に事情があって、彼らは大学進学を諦めた。
その結果、彼らには大学コンプレックスがあるという。
そして、可愛い妹が結婚した男は、不愛想で、彼らを「お兄さん」と言ってたてるような可愛い男ではなかった

さらに悪いことに、長男は再就職の時に2度、私に保証人を頼んできた。
次男は、事業を始めるとき、銀行の保証人を私に頼んだ。
大嫌いな男に保証人を頼まなければいけない、自分の不甲斐なさに腹を立て、その反動で「妹の旦那憎し」の心が、よりいっそう募ったのではないか。

次男の奥さんは、そう言うのである。
どうなんでしょうか・・・・・。
いまさら、どうでもいいような気がするが。

そんなことは、どうでもいいから、医療費を、というのが私の嘘偽りのない心境だ。

友人は、「還付金請求すれば」と言うが、はたして私にその資格はあるのだろうか。
それに、たとえ還付されたとしても、一部しか還ってこないだろう。


アパートの隣の無人野菜販売所で、6本100円で買った不揃いのキュウリを齧りながら、豪雨が去ったあとの空を見上げ、ため息をつく。


灰色の雲が、なぜか、ピカピカのパソコンに見えてきた。


実に・・・・・・・浅ましい。





2010/09/17 AM 07:11:55 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]



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