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● コワイ白髪染め |
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貯金通帳の残高と、白髪の数は、反比例する。
ピンチになると、一方は減って、一方は増え続ける。
白髪は、遺伝なんだろうか。 私の祖母と母は、30代前半から、かなり白髪が目立つようになったと聞いている。
私の場合、30代前半は、白髪は、ほとんどなかった。 それから少しずつ増えていったが、大きく目立つというほどではなかった。
目立つようになったのは、一昨年、我が家に義母が転がり込んできてからである。 昨年は、このブログでも、私の感情的でみっともない姿を何度も書いてきた。 その結果、私の頭の半分の面積が、白く変色した。
武蔵野に越してきて、義母と別居生活を始めたが、一度白くなったものは元に戻らなかった。
2年ぶり、3年ぶりに会う大学時代の友人は、「おまえ、髪の毛、白くなったな」と、私の頭を見て必ず言う。
その友人たちは、年を経るごとに見事に頭がテカッてきているのだが、気配りにあふれた優しい私は、そのことには絶対に触れない。
髪の毛が薄いのも個性。 白髪だって、個性だ。
私の母の話では、私の祖母が師範学校の教師をしていたときに、学生たちから「白髪のせいで老けて見える」と言われて、ショックを受けたことがあったらしい。
白い髪を手っ取り早く黒くするには、染めるしかない。 しかし、祖母の若い頃は、髪染めは、とても高価なものだった。
そこで、薬草学に詳しい祖母は、自分で薬草を調合して、天然の髪染めを作ったというのである。 すごいことだと思う。
その天然の髪染めは、3ヶ月程度は効果があったらしく、3ヵ月後にまた白髪が目立ってくると、学生たちから「先生、染めましょうよ」と言われて、また染めることを繰り返したという。
東京に出てきてからは、薬草が手に入らなかったので、髪染めを作ることはできなくなったが、パオン・白髪染めという便利なものが発売されたので、祖母も母も、それを愛用していた。
私も白髪染めは、数回使ったことがある。 ただ、私の場合、白髪染めの何かの成分が体に合わないらしく、いつも頭皮が腫れる。 場合によっては、顔が歪んで、人相が変わる。
だから、よほどの覚悟がないと、白髪染めは使えない。 黒髪のために、三日間も痒みと闘い、顔が歪むことを我慢するのは、まるで修行のような憐れさがつきまとう。
世の中には、かぶれない白髪染めがあるそうだが、それはとても高価である。 そんなものに金を使うより、子どもたちに温かいメシを食わせた方がいい。
だから、私の頭は白いままだ。
「白髪には、ゴマがいいらしいぞ。セサミンが毛根に効くらしいんだな」 私の白髪を心配して、テカリ友だちが電話をかけてくる。
ゴマが毛根に効くのなら、君たちの淋しい頭にも、効くんじゃないのか。 まずは、君が試しなさい。
「そうだな。毎日黒ゴマ料理を食ってみるか」
健闘を祈る。
しかし、問題は、中学3年の娘の授業参観。
「その白髪、何とかならんのか。老けて見えるぞい」と、娘。
突然、黒くなるわけがないから、当日は、ターバンを巻いていくか。 「インド人か!」
黒いソフト帽をかぶってムーンウォーク。 「マイケルか!」
この際、全部剃っちまうか。そうすれば、白髪が目立つことは絶対にない。 「坊さんか!」
じゃあ、どうすればいい?
「髪を染めろ」 しかし、かぶれて、頭は痒くなるし、顔は歪むし、あれはつらいぞ。
「可愛い娘のためだ。痒いのは、たった三日だ。我慢しろ」
それしか、ないのか? 授業参観を休むと言う手もあるが・・・・・。
「それは、おまえのポリシーに反するだろう。子どもの学校行事にはすべて参加するというポリシーを、おまえは放棄するのか? あと十日だ。今なら間に合う。すぐに染めろ」
わかった。
しかし、こわいなあ・・・・・。
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2010/09/09 AM 06:37:13 |
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