Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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自分を褒める
昨日は、朝から具合が悪かった。

前日に徹夜をした。
ドラッグストアのチラシが2点あったので、身体を休ませるわけにはいかなかったからだ。

その結果、無理をした。
それが、いけなかったのかもしれない。

ドラッグストアのチラシ表裏4ページを仕上げて、朝PDFにしてクライアントに、メールで送った。
この会社のレスポンスはいつも早いので、朝一番で送ると、10時過ぎには、校正が戻ってくる。

校正が戻ってくるまでの1時間ほどが、私の睡眠時間だ。
午前10時2分、校正が戻ってきた。

夢遊病者のように起きだして、校正を見返している間、頭の後ろに鈍い痛みがあった。
寝不足特有の身体のダルさもある。

パソコンの画面が、安い3Dのように所々いびつになって、私の指先も、初心者の社交ダンスのように動きがぎこちなかった。

ドラッグストアのチラシは、データを印刷会社に渡す期限が決まっている。
校了が、午後の4時。

本当は、もっと余裕があるはずだが、印刷会社のオペレータが無駄な残業をしない主義なので、フィルム出しの時間を逆算すると、午後4時がリミットになるのだ。

フィルムのいらない「CTP」にしましょうよ、と社長に言っても、社長は聞こえないふり。

俺は、客だぞ!
お客様は、神様じゃなかったのかよ!

ユーザの切実な声を取り上げるのが、有能な経営者というものではないのか。

しかし・・・・・・・・・・、
どんなに忙しくても毎日午後6時には帰る社長とオペレータに、そんなことを言っても、それはネコに九九を教えるようなものか。

6時に帰るんだニャン!
ニャニャンが「死!」

もし睡眠不足で死んだら、おまえら二人に、真っ先にとり憑いてやる。

指先に痺れる感覚がある。
目を開けていられない。
それは、眠いという感覚とは違って、瞼を動かす筋肉が正常に動作していないという機能不全の状態に近い。


そんなとき、脈絡もなく、「ボランティアの人は、偉いな」という尊敬の念が、頭の真ん中に浮かび上がった。


彼らは、無償の愛を人に注いで、見返りを期待せずに、崇高な行為を全うし続ける。


そんなこと、俺にはできない。

だって、誰にも認めてもらえないなんて、俺はイヤだ!


武蔵野に越してきて、ほぼ4ヶ月。
私はあるご老人に、毎日朝と夜の弁当を作り続けている。
昼は、ヘルパーさんが来てくれるので、昼メシに関しては、私に負担がない。

ただ、4ヶ月間、一日も休まずに、糖尿病食を作り続ける負担は、少なからずある。

負担がある。

それを大声で言ってしまえば、それは真っ直ぐに周りに伝わるのだろうが、私はそれができない人間である。
子どもの頃から、39度の熱があっても、平気な顔をして学校に行った変わり者なのだ。

そして、「おまえ、熱があるんじゃねえの! 顔が赤いぞ」と言われても、「うるせえよ! 朝トマト食ったから赤いんだよ!」と意地を張った俺なのだ。

人に弱みを見せるのが嫌だから、とことん意地を張る。
足を怪我していても、痛い素振りなどは見せない。

この世に、悩み事なんかない、という顔をして、毎日を過ごしている。


だが、白状するが・・・・・、俺の人生、つらいことばっかりなんですよ・・・・・・・・。


引越し費用のことで思い悩んだときは、水深10センチの見沼田んぼに飛び込んで、死のうと思ったこともあった。

前輪のブレーキが完全に機能しなくなった自転車に乗って、北海道まで逃げ、クマと格闘しようと思ったこともあった。

ゴミ捨て場に放置されていたギターを抱えて、大宮駅前の歩道橋の上に立ち、自作のロックを奏でて、施しを得ようと思ったこともあった。


そんな俺だから、
「いやあ、弁当作りがたいへんでさぁ、心が折れそうなんだよね。まわりは、俺が毎日楽しく弁当を作っていると思っているから、誰も俺のことなんか心配してくれないし、その出費がどれほど家計を圧迫しているかも想像できないみたいなんだよ。大好きなクリアアサヒを買うのを我慢して、友だちにビールをたかるんだけど、そのとき、俺の心がどんなに痛んでいるかも、誰もわかってくれないんだ。俺は、120日間、一日も休まずに、あるご老人のために弁当を作り続けているんだぜ。疲れないわけがないだろう! 俺は、ボランティアじゃないんだから!」

・・・・・なんてことは、死んでも言えない。


しかも、徹夜。

午後4時、無事校了になって、印刷会社にデータを送ったあと、私は自転車に乗って、武蔵境駅前のイトーヨーカ堂に行った。
そして、そこのフードコートの椅子に座って、目をつぶった(家で寝ていると、心配されるので)。

すぐに眠った。

寝ているとき、体中から汗が出ているかもしれない、という感覚があった。
しかし、眠かったので、寝ることに集中した。

身体に、地の底に沈みこむような感覚が絶えずあったが、眠気の方が強かった。

目が覚めたのが、午後6時20分。
全身が、汗にまみれていた。
タオルを持っていたので、周りの人に気づかれないように、こっそりと全身の汗を拭った。
さすがに、パンツの中までは拭けなかったので、パンツだけが気持ち悪かった。

パンツ、気持ち悪い、パンツ、キモチワルイ、という呪文を唱えていたとき、突然、ご老人の晩メシと明日の朝メシのことを思い出した。

6時までに届けないと、うるさいことになるぞ。
いや、そもそも、俺、弁当作ったっけ?

慌てて、iPhoneを取り出し、ヨメに電話をする。

「ああ、冷蔵庫に置いてあったから、それを届けてきたわよ」

そう言えば、仕事の校了原稿と格闘しながら弁当を作ったことを薄い記憶の中で、思い出した。

あんなに忙しくても、弁当作りだけは忘れなかったなんて、何て俺はエライんだ!

誰も、褒めてくれないから、自分で褒める。



俺は、エライ、俺は、エライ。




2010/08/02 AM 08:26:24 | Comment(2) | TrackBack(16) | [日記]



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