Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ブログが伝えること
ブログを綴りはじめてから、友だちが増えた。

私は、偏屈で感情を表に出さないタチだから、人からは「何を考えているかわからないやつ」と思われることが多かった。

だから、友だちの数が少ない。
友だちになったとしても、「こいつ心を開いてないな」と思われるのか、自然消滅することがよくあった。

その中で、高校、大学の陸上部時代の友人が、いまでも一番密度の濃い付き合いをしているのだが、そんな彼らとも、会わないときは5年以上会わないことが、人によってはあった。

また、「マツは冗談しか言わないから、どこまでが本当かわからないんだよな」と言われることが度々あった。

場を和ますための軽い会話が、私の意図とは別に、私を意味不明の人間に仕立て上げてしまったようだ。

何を考えているか、わからないやつ。
だから、ちょっと距離を置こう。

おそらく、そんな感覚をみな持っていたのではないかと思う。

それが、ブログを書きはじめて1年もたつと、私の周りの空気が徐々にではあるが変わってきた。

私の日常や性格をブログであからさまに綴ると、私のわからなかった部分や誤解していた部分が、少しずつ理解されるようになってきたのである。

わけのわからないやつ、が昇格して、変なやつだが、悪いやつじゃない、という評価を得るようになった。

そのようにして、幾人かの友人が戻ってきた。
そして、同業者も、「俺のこと、書きましたね」と言いながらも、書かれることを嫌がっていないという、いい状況になってきた。

たまに辛辣で批判的なことを書くが、それほど大きな火事にならないのは、私の文章作法が、彼らに浸透してきたからだと、私は思っている。

それは、小説的な作法で、ブログを書くこと。

最初のうちは、そんな意識は、まったくなかったのだが、あるとき、大学時代の友人・ノナカに言われたのだ。

「おまえのって、ブログというより小説っぽいな」

そして、彼はこうも言うのだ。

「ああいう書き方をされたら、心に軽く突き刺さる言葉でも、何となく受け入れてしまうんだよ。あれは、ずるいが、うまい手法だ」

それは、まったく私の意図したところではなかったが、読み手がそう感じてくれるのなら、その手法は続けるべきではないかと、私は最大のヒントをヘチマ顔のノナカから得た。

そうして今もノナカの一言をヒントに、私はブログを綴り続けている。

そのノナカは、仙台で塾を経営している。
そこそこの成功者と言っていい男だ。

しかし、4ヶ月ほど前、8ヶ月ぶりに会った私に向かって、居酒屋の片隅で彼は唐突に、こう言ったのだ。

「人間は、いなければいけないのか?」

何が、言いたい?

「いま言ったとおりのことだよ。俺は、いなければいけないのか?」

8ヶ月前よりも幾分痩せてはいたが、目に力はあったし、声の響きにも芯が通っていた。
負を背負っているようには見えない、自然体のノナカが、そこにはいた。

おまえがいないと、俺は友だちが一人減る、と私は答えた。

「そうか、おまえは困るわけだな」と、ノナカが口元に笑いを溜めて言った。

ああ、困る。

ノナカが、嬉しそうにうなずいた。

大宮駅前で別れ、電車に乗っていたとき、今日のノナカが酒を飲まなかったことに、私は気づいた。

珍しいこともあるものだ、とは思ったが、すぐにそのことは忘れた。
引越し費用のことが、私の頭の中を占めていたからだ。

あれから4ヶ月。
あのとき、ノナカが、私に何を言いたかったのか。
それが、昨日わかった。

ノナカからの電話。
「胃が半分なくなっちまった。5キロ体重が減った。今のところリンパに転移していないから、経過は順調だ。メシも量は減ったが、美味しく食える。おまえ、俺は、いたほうがいい人間だって、言ってくれたよな。それを今、もう一度言ってくれ」

若干かすれてはいたが、力強い生きたノナカの声だった。

ああ、おまえは、いたほうがいい。おまえがいないと、俺は友だちが一人減る。ただでさえ少ないのに、これ以上、減ってほしくない。

「わかった。見舞いには来るな。5キロ戻したら、また会いに行く」
ノナカが、私の返事も聞かずに、電話を切った。



このブログを読んで、どんな感想をノナカは言うだろう。

いなくていい人間なんていない、なんて書いたら、陳腐な言い草だと皮肉っぽく笑うだろうか・・・。




2010/07/07 AM 06:44:23 | Comment(4) | TrackBack(0) | [日記]



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