Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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柿の種の約束
私の朝は、いつも早い。

ヨメが、立川市の花屋でパートをしているのだが、朝の始まりが早いのだ。
6時10分にアパートを出るから、5時45分頃朝メシを食べさせなければいけない。
そのため、平日は、毎朝5時半ごろ起きる。
ストックしてある冷凍ものを温め、適当にアレンジして、バランスのいいものを作る。

ヨメがパートに出たあとは、6時45分に、中学3年の娘が起きる。
中学には8時半までに行けばいいのだが、お友だちが、同居している祖母と同じ空気を吸うのは耐えられない、少しでも早く家から逃れたい、と言っているので、その子にお付き合いして、家を早く出るのだ。

娘は、7時20分過ぎにアパートを出る。
フレンチトーストやパングラタン、明太子チーズトーストなどを日替わりで食わせて、送り出す。

大学2年の息子は、授業の始まりによって起きる時間が違う。
早いときは、7時半。
遅い時で、9時過ぎ。
朝からビビンバや牛丼などを食うことを好むので、少しヘビーなものを出して、送り出す。

その後に、自分の朝メシ、ということになるのだが、私は面倒くさがりやである。

私の座右の銘は、「テキトー」。
口癖は、「めんどくさい」だ。

自分の食うメシなんか、テキトーでいいし、面倒くさい。
だから、亀田の柿の種で済ますことが、3回に1回はある。

私は柿の種を、こよなく愛している。
娘も、柿の種なしでは、生きていけない体質だ。

だいぶ前のことだが、小学6年の修学旅行のとき、旅行から帰ってきての第一声が「柿の種、食いてえ」だった。
普通だったら、「父上、とても淋しかったでございます」と言うべきところ、いきなり「柿の種、食いてえ」ですよ。

娘にとって、それほど柿の種は、生活の一部になっていたのである。
だから、我が家では、柿の種を欠かしたことがない。
娘は、柿の種だけのものを好むが、私はピーナッツ入りを好む。
ピーナッツと柿の種の量のバランスが絶妙で、亀田製菓の気配りに、いつも感動している。

我が家では、ダンボールで作った「柿の種ボックス」に、柿の種様が、いつでも出動できる準備を整えている。

娘が、感動の面持ちで言う。
「柿の種を考えた人は、偉いな。ノーベル賞ものだな」
「柿の種があれば、戦争なんか起きないのにな」
「子ども手当ても、柿の種で支給してほしいな」(それは、困る)

得意先に行く時も、小さなパックの柿の種をバッグに入れていく。
そして、打ち合わせが終わったら、駅のホームで柿の種をポリポリしながら、発泡酒を飲むことに、私は無上の喜びを感じている。
それが、とても貧乏臭い行為だということは自覚しているのだが、私はその欲望を抑えきれないのだ。
人さまから白い目で見られてもいい、と思っている。

娘も、友だちと遊びに行く時に、必ずバッグに柿の種を入れていく。
「オヤジくさい」と言われているようだが、彼女は、まったく平気なようだ。

私の場合、メシを作るのが面倒くさくなると、気がついたら、朝昼、柿の種で過ごすことが、たまにある。
仕事の納期が迫っている時は、夜も柿の種の場合がある。

中毒、と言っていい。

日本テレビで「Mother」というドラマを放映している。

松雪泰子が出ている。
気になって、一話目から見てみたら、恥ずかしいことに、見ていて涙が出た。

ヤバイ! こんな姿を家族には見せられないぞ、と俯いて涙をこっそり拭きながら、次回からは、録画して、深夜に見ようと思った。
「Mother」の時間帯は、娘の好きなロッチが出ている「爆笑レッドシアター」を見ることが多い。
だから、「Mother」は、こっそり録画して、皆が寝静まった深夜に見るのが一番いい。

昨晩も見た。
柿の種と発泡酒をテーブルにセットして、目は最初からウルウル。
美しいぞ、松雪さん。
上手すぎるぞ、子役の子、そして田中裕子
美味すぎるぞ、柿の種。

柿の種をガリガリ、ポリポリ。

時刻は、午前1時40分。
家族は眠っているはずだった。

しかし、娘が突然和室のドアを開けて、寝ぼけた顔を覗かせた。
そして、かすれた声で言う。
「なんか、柿の種のにおいがするな・・・」

恐るべし、柿の種星人。

テーブルの上の柿の種を寝ぼけまなこで見つけ、手を伸ばす。
そして、そのついでに涙ボロボロの汚いオヤジの顔を見た娘。
何か言われるか、と恐れおののいたが、「このドラマ、泣けるらしいな」とだけ言って、娘もドラマに集中し始めた。

ドラマ後半の、子役と松雪さんの電話の場面では、堪えきれずに号泣。
娘も、意外なことに号泣していた。

柿の種をポロポリ噛みながら、声を殺して号泣する親子。

見終わって、柿の種を噛みながら、「柿の種もいいが、Motherもいいな」と、二人でうなずき合ったのだった。

そして、今夜のことは、柿の種に誓って、みんなには、内緒にしておこう、と固く約束した。

柿の種に誓った以上、約束を破るわけにはいかない。




2010/06/23 AM 06:59:20 | Comment(5) | TrackBack(0) | [日記]



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