Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








武蔵野でユウウツ
どうしようもなく自己管理の下手な人間がいる。

なぜ下手なのか、その人には自覚がない。
だが、どういうわけか、自分には自己管理能力があると確信している。

79歳の嫗(おうな)が、16ヶ月ぶりに自分の家で一人暮らしをはじめた。
そして、我々家族は、そのサポートをするために、1.5キロ離れた隣町に引っ越した。

何もそこまで犠牲を払うことはなかろう。
理解できない。
もっと他に方法はあっただろうに。

すべてに対して賢明で、生きるのが上手な人生の達人たちに、思いとどまるように説得されたが、恐れ多くもその忠告を振り切って、我が家族は、武蔵野市に引っ越した。
2DK×2という変則的なアパート暮らしは、快適とはいえないが、変則的だからこそ面白いともいえる。
(新しい発見もあったが、その話はまたの機会に)。

ただ、嫗の住居に関しては、唖然とせざるを得ない。
2DKのマンション。
嫗が住んでいないときも、1ヶ月に1回、私が部屋の掃除に行っていたので、最初は整然とした美しい空間を保っていた。

しかし、2日目に嫗の住居に足を踏み入れると、泥棒でもここまでは荒らさないだろうと思うほど、部屋が乱れていた。

ヘルパーさんが部屋を綺麗に片付けたあとで、嫗は自分好みに部屋をコーディネートしているようだ。
ヘルパーさんの苦労が無になることに関して、ご同情申し上げるしかない。

ダイニングに洋服やティッシュペーパー、小銭が散乱している。
デコポンの皮が散らばっている。
寝室の扉の前には、まるでバリケードのように布団が山の形をして積まれていて、いったい嫗は寝室からどのようにして脱出してくるのか、呆然とした思いで私はその山を見つめた。

ダイニングのエアコンは、つけっぱなし。
すべての部屋の明かりは、つけっぱなし。
ヨメがゴミの種類ごとにセッティングしたゴミ箱には何も入っていないが、キッチンの大鍋の中に穴の開いた靴下が放り込まれ、卵の殻も放り込まれ、十六茶のペットボトルが放り込まれていた。

飲むはずの薬は、目立つように一日ごとに区分けされたピルケースの中で、その存在を忘れられたごとくほったらかしにされていた。
ヘルパーさんに、昼間の薬の管理はお願いしますと念を押しておいたが、それはあまり守られた形跡がない。

おそらくヘルパーさんが強く促しても、「私はいいの! 薬が嫌いだから」と言って、飲んでいないのだろう。

バスルームを覗くと、お湯をはった浴槽に、布製のガムテープが浮いていたり、茶色く変色した下着が浮いていたり・・・。
衛生上どうかと思う。

ヘルパーさんへの連絡帳で、事態の改善を促すことを要望として書いたので、次の日にそれは改善された。
しかし、また夕方には、すぐに空き巣狙い状態。
薬は、夜は私が強制するので飲んでいるが、あとは飲んだり飲まなかったり。

我が家に引っ越してくる16ヶ月前に、完全に戻ってしまったようだ。
たった3日で、すべてが逆戻り。

私が作った夜と朝の糖尿病食は、寝室のベッドの下のダンボールに、半分以上捨てられた状態で発見された。

つまり、薬は飲まない。
糖尿病食は食わない。
ヘルパーさんの作る昼メシも、その残骸がダンボールに存在していた。
それは、すでに異臭を放っていた。

自己管理、という言葉の意味を考えてみる。
自分で自分のことをコントロールできるのが、自己管理である。
これは、意味としては単純すぎて、他に言葉を広げることができない。
それほど当たり前の日本語だ。

そして、サポートという行為は、本人がその気にならなければ、意味をなさないものだ。
私は、「自己管理能力が優れている」と頭脳全体で錯覚したら、その人の頭には妄想しか残らない。

自分は特別な人間で、今までこうして何ごともなく生きてきたのだから、これは間違いなく「優秀な自己管理能力」である、という都合のいい自己弁護。

何ごともなく生きてきた? では、16ヶ月前、なぜボロボロの状態で我が家に転がり込んできた?

「そぉ〜? うそでしょ!」
「婿さんは、嘘ばっかり言うんだから」
「ここは、あたしのうちだから、汚したっていいんだよ!」


はいはい、そうですね。

他人の目に届かないところで何をしようが、私の勝手。
それが、嫗の「自己管理」。

だが、5日目には、低血糖で倒れる寸前という事態に。
それはすぐに回復したが、その後意味不明の電話をひっきりなしにかけてきて、意味不明の単語を並べる状態が、ここ三日ほど続いている。

三食普通にメシを食い、普通に三回薬を飲み、夕食時にインスリンを打てば、今までどおり優秀な糖尿病患者でいられたのに、なぜメシをダンボールに捨て、薬を陳列しただけで満足しているのか。
そして、なぜ「インスリン打ったわよ!」と嘘をつくのか。

そんな自堕落な生活をしていても、ご本人は「私はできる人なの」と言う。

どうしようもなく、現状把握ができない人。
自己認識を忘れた人。

そんな人だから糖尿病になった、と断定したら、糖尿病を患って、真面目に闘病している人たちに怒られますよね。

「だから施設に入れとけば・・・」という嫗のバカ息子たちの嘲笑が、いま幻聴となって私の耳に聞こえている。

オレ、武蔵野に引っ越してきても、憂鬱・・・。



2010/04/16 AM 07:49:32 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.