Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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移住計画 進行中
昨日の昼、ご老人が、玄関に植木鉢をヨイショヨイショと並べていた。
ヨメが、ベランダに置いて、毎日愛しんでいる鉢植えたちである。

その鉢植えたちが、玄関に充満している。
無駄だと思ったが、一応聞いてみた。

何をしているんですか?

「今晩雪が降るって言うから、寒かったら花が可哀想だろ。だから、暖かいところに移してるんだよ」

今夜は、雪は降りません。
埼玉は、春の陽気です。
もう外は20度を超えているかもしれません。

そう言ったら、「おや? 私のテレビでは、雪が降るって言ってたよ。じゃあ、私のテレビだけ雪が降るって、嘘をついているってわけだ。そんなことは、ないだろう!」と口を歪めて、ご老人が私を睨む。
こんなところが、ご老人が、ご自分の子どもたちから疎まれる理由なのだろう。

おそらく、日本のどこかの地域で雪が降るというのを聞いて、埼玉のことだと勘違いしたものと思われる。
ご老人の勘違いは、いつものことだ。
それを目くじら立てても仕方がない。

ただ、そのときの精神状態によって、その程度のことでも気持ちが荒立つことはある。

ヨメは、ご老人との、この無駄なやり取りが我慢できなくて、ご老人を相手にしなくなった。
パート先から帰ってきて、玄関に充満した鉢植えを見たときも、無言で鉢植えたちをベランダに戻していた。

共同生活によるストレスが、溜まっているのだろう。
そのストレスが、実の母親が起源だからこそ、耐えられないのかもしれない。

そこで、以前のブログで書いた三鷹移住計画が、現実味を帯びてくる。

ご老人は、ほとんど鬱である。
ご自分の内面だけにしか向き合っていないから、回りの人間のすることはすべて空回りにしかならない。
世話の焼きがいが、ないのだ。
ご老人には、他人への感謝の気持ちが皆無と言っていい。

ヨメは、そんな母親を疎ましく思っている。

もうそろそろ、16ヶ月間続いた同居は、解消すべき時ではないのか。

子どもたちは、引越してもいいと言っている。
引越しはそんなに簡単なものではないのだが、子どもたちは彼らなりに、我々5人の関係が、臨界点を超えたと判断しているようである。
ようするに、この状態を維持していくのは、もうウンザリだと思っている。

私も、ウンザリだ。

先日、以前広告の仕事をした荻窪の美容室の社長から、2年ぶりに仕事の依頼が来た。
今回は、10周年のチラシとそれに伴うポイントカードの仕事だ。

オーナーと仕事の話を終え、雑談をしていた時、オーナーが武蔵野市でアパートを経営しているという話になった(金持ち!)。
しかも、そこが3月末には、二世帯分が空くというのだ。

社長! そ、そ、それは、家賃はおいくらでしょうか?

「2DK一世帯、管理費込みで7万2千円ですが・・・」

つまり、二世帯借りたら、14万4千円ですね!

「・・・・・・・、まあ、単純に計算したら、そうなりますね」

それ、まかりまへんか?(妙な関西弁)

「どういうこと?」

オーナーに事情を説明したら、「ああ、俺もボケた母親を抱えているから、あんたの気持ちはわかる」と同情してくれた。
そして、「ほなら、二世帯11万で貸しまひょか」(オーナーもなぜか妙な関西弁)

借してくれまっか?
「貸しまんがな」(関西弁?)

オーナーが持っているアパートの101号室と201号室を借りれば、変形メゾネットとして生活ができる。
101を主な生活の場にして、201のダイニングを仕事場、残りの二部屋を子どもたちの部屋ということにすれば、生活は成り立つ。

家に帰って、ご老人にはナイショで話を煮詰めた。

「いいんでないかい」とヨメ。
「問題なし」と息子。
「おまえ、友だちが少ないくせに、いい話を持ってくるなぁ」と感心する娘。

しかし、学校が変わるんだぞ、これは重要なことだぞ。
本当に、いいんですか?
「いいんです!」

ということで、三鷹移住計画が、にわかに現実的なものになってきた。

ただ、我々が引っ越す予定地は、武蔵野市。
ご老人の実家は、三鷹市

とはいっても、市が違っても、距離は1.5キロ程度しか離れていない。
自転車をすっ飛ばせば、10分で着く距離だ。
お世話ができない距離ではない。

現実的な話をすると、ご老人は「要介護」の認定を受けている。
それがあったので、三鷹での一人暮らしの身から、我が家に「我がままな天使が舞い降りてきた」のだ。
そのとき、長年の不摂生で、我がまま天使の身体はボロボロだった。

嫌らしい言い方だが、今は私の努力で、我がまま天使の身体は、糖尿病患者としては優等生になりつつある。

その天使を、昼間だけヘルパーさんに身を委ねよう。
あとは、週に2回のデイ・サービス
天使は、他人の言うことは素直に聞くので、他人様に委ねようと思う。
晩メシと朝メシは、私が今までどおり糖尿病食を作って、手の空いた人間が、ご老人にお届けをする。

これで、問題はないだろう。
「問題なし!」と全員一致。

あとは、娘の転校手続きだ。

本当にいいんですか?
「いいんです!」

「だって、アタシだけ、埼玉生まれの埼玉育ちだろ。アタシだって、胸を張って東京育ちって言いたいよ!」

ヨメと私は、東京生まれの東京育ち。
息子は、東京生まれの埼玉育ち。

娘は、東京育ちに憧れているのか?

いやいや、そんなことはないだろう。
臨界点を超えた我々5人の現状を、一番憂えているのが、娘である。
そして、ご老人の体調を一番気遣っているのも、娘である。

友だちと離れ離れになる寂しさを、中学2年の娘が、平気で享受できるとは思えない。
相当な心の葛藤があるはずなのだ。

しかし、娘は、ご老人のことを気遣った。
実の我が子たちに疎まれ続ける、行き場のないご老人の今と未来を気遣ったのである。

さらに、そんな娘の気遣いを、永遠にご老人が理解することができなくても、娘はそれでいいとさえ思っているのである。

親としては、その娘の思いに応えるべきだろう。

「移住計画」は、ご老人のためではあるが、娘の崇高な思いを遂げるためでもある。


いま―――、着々と―――、少しずつ、移住計画が進んでいる。



2010/03/14 AM 08:48:06 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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