Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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みんなともだち
先週の金曜日、鴻巣の同業者からSOSコールを貰ったので、行ってきた。

ここのMacの環境は、ほぼ私のと同じ。
なぜかというと、私がすべての機械を設置したから。

私と同じくプリンター以外は、すべて中古だ。
OSも9.1で作業している。

彼は昨年、Mac/G5の高速の機種を買ったが、それはプライベートで使う程度で、私に義理立てして未だに古い環境で作業している。
そして、今回Macの新しいノートブックを買った。

あんた、そんなに儲かっているのかい。
デザイナーって、本当は儲かる職業なんだね。
俺だけが、置いてけぼりなのかな。

(寂しい・・・・・・・)

しかし、新しいノートブックをルータに繋げたら、インターネットがつながらなくなったというのだ。

ノートブックをLANに追加しただけで、LANが機能しなくなる?
インターネットに繋がらなくなる?

そんなことは、なかろう。
何かいじったんじゃないか?

「いや、何もいじっておりません!」

いじるつもりがなくても、いじってしまうことがあるものだが、そこを深く追求しても前に進まないので、彼の言うことを信じることにする。

メインで使っているマシンの中を覗いてみたら、ルータを管理するソフトがいつの間にか消えていた。
これでは、おそらく各マシンにIPアドレスを割り振ることができないに違いない。

ルータも中古。
しかし、メーカーのサイトに行けば、最新のソフトをダウンロードできる。
と思ったが、インターネットに繋がらないのだから、それは無理。

そこで、私の仕事場と同じ環境というのが生きてくる。
主だったユーティリティソフトをUSBメモリに入れて、持ってきていたのである。
同じ環境だから、同じことをすれば、簡単に復活する。

素晴らしく簡単な論理だ!

管理ソフトをインストールして、IPアドレスの割り振りを管理ソフトで設定したら、インターネットに繋がった。

「Mさん、まだ10分もたっていませんよ!」と、感動する同業者。
いいなあ、こんな子どもだましで感動してくれる人って。

感動の顔を維持しながら、同業者が言う。
「ビールを切らしてしまったんで、駅前まで買いに行ってきますよ。おつまみは何がいいですか?」

ビールじゃなくていいよ。クリアアサヒで充分。
食い物は、雪印の6Pチーズをよろしく。

「いや、もっといい物を食いましょうよ。俺、天丼が食いたいんですよ」

おお、天丼! 本当に天丼? まさか大きな海老がのったやつかい?

「そうですよ、大きな海老とカボチャとナス、しし唐です」

おお! ありがとう! 君にまかせた!

という会話を残して、同業者は事務所からいなくなった。

10畳ほどの事務所に、私ひとり。
Macが4台。
ウィンドウズが1台。
大型のカラーレーザープリンタが1台。
ヒューレット・パッカードの複合機が1台。

壁の隅には、私が設置したオーディオ装置が一式。
20年前のビクターのスピーカーをオークションで買って、据え付けてある。
アナログ時代のスピーカーだが、血の通った音が出るのだ。
同業者は、私より16歳若いが、このスピーカーから流れてくる音を聴くと、癒されるという。

久しぶりに聴いてみようか。
そう思って、アンプに近づいたとき、歌声が外から聞こえた。


みんなともだち ずっとずっとともだち
がっこういっても ずっとともだち
みんなともだち ずっとずっとともだち
おとなになっても ずっとともだち



それを聴いて、同業者の事務所のあるビルの道路を挟んだ向かいに、幼稚園があったことを思い出した。

卒園式が近いのだろう。
きっと、そのための練習をしているのだな。

耳に慣れたフレーズが、心の奥深くに侵入してくる。


みんないっしょに うたをうたった
みんないっしょに えをかいた
みんないっしょに おさんぽをした
みんないっしょに おおきくなった



息子の卒園式で、この歌をはじめて聴いた。
涙が出た。

娘の卒園式で、娘が声を張り上げて歌っていた。
その姿を後ろから見て、自然と涙が溢れ出た。

そして、まるで条件反射のように、いま涙が流れ落ちている。


みんなともだち ずっとずっとともだち


理屈なんかない。
ただ、涙が出るのだ。

いま、息子は大学一年になり、娘は中学二年になった。
彼らの成長が、瞬時に脳のスクリーンに投影されて、それはきらめくような軌跡を私の目の前に創出した。

子どもたちは、確実に成長したな。
俺は何もしていないのに、彼らは確実に「好ましい人間」になっている。


みんなともだち ずっとずっとともだち


きっと、いい友だちに恵まれたからだろう。
彼らは、本当に「いい子」に育ったと思う。

涙が止まりませんよ。

息が苦しくなるくらい、涙が出てくる。
なんで、こんなに涙が出るのだろう?

椅子にもたれながら、流れ出る涙を持て余していた。

そんなとき、同業者が食い物を調達して帰ってきた。

だが、醜く泣き崩れた私の顔を見て、同業者は怪しく思う様子もなく、見て見ぬ振りをしてくれたのである。

「天丼、温めたほうが美味しいかな」
そう言いながら、事務所の隅のラックにある電子レンジに近づき、彼はその前に椅子を移動させて座り、電子レンジのボタンを押した。

電子レンジのターンテーブルが回る音。

色々なものが、私の目の前で回っている。

その音と一緒に、園児たちがはりあげる「みんなともだち ずっとずっとともだち」の歌声が、窓の外で繰り返し、流れていた。

号泣が、ずっと止まらなかった。



2010/03/08 AM 06:34:06 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]



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