Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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イライラ その3
前回前々回と3月1日に私の身の上に起きたイライラ話を書いた。
しつこいようだが、今回もその続き。

友人のコピーライター、極道顔のススキダの事務所で、彼が探してきたラーメン店の基準に合った物件を検討していた。

午後1時を過ぎていたので、テーブルの上にあったバナナを2本とって昼メシにした。
ススキダは、「じゃあ、俺は3本」と言って、ちっぽけな負けじ魂を発揮した。

伝説の漫才師、故・横山やすしの顔をさらに怖くした顔の50男。
私の友人には、俳優の坂口憲二をソフトにしたようなイケメンの企画会社社長がいる。

同じ人間でも、こんなに違うものなのか・・・。
人類比較論を頭の中で展開していたとき、我がiPhoneがまた震えた。

ディスプレイを見ると、ヨメだ。
まさか、緊急の用か。

出てみると、恐れていたごとく、本当に緊急の用だった。

「ばあちゃんが、騒いでるの」
ヨメの諦めきって疲れたような声が聞こえた。

我が家に同居するご老人の長男から毎月初めにお小遣いとして現金書留が送られてくる。
普段は時間にルーズなご老人だが、毎月1日は朝からそれを心待ちにしていて、書留が送られてくる午前11時前後には、玄関前で正座をして待っているのだ。
今日もそうして現金書留を受け取った(らしい)。

しかし、ヨメがパート先から帰ってくると、受け取ったはずの現金書留が「ない! ない!」と言って騒いでいたという。
パニックに陥って、粗相もしたらしい。

現金書留を受け取った後の行動を聞いてみても、パニック状態だから要領を得ない。
ただ、ずっと家にいたことだけは確かなようだ。
それなら、家の中を探せば解決すると思うのだが、ご老人は自分が普段使っているバッグの中やリビングに置いたチェストの中を探すのを拒んでいるという。

受話器の中からも、ご老人のパニック振りが伝わってくる。
そこで私は提案した。

ご老人は、我々の言うことは絶対に聞かないが、団地応援団の言うことなら聞くようだ。
その団地応援団の中でも、ご老人が一番信頼しているカスガさんに事態の収拾をお願いしたらどうだろうか。

私の提案に、ヨメも「ああ、そうね。それが一番いいわね」とため息を漏らしながら答えた。

電話を切ったあと、ススキダが私の顔を見て、「おまえ、最近トラブルが多すぎないか」と同情してくれた。
いや、お前の顔の方が、俺にはトラブルに見えるが・・・・・。

無視された。

その後、ススキダを運転手にして、不動産屋を連れて、物件を見て回った。
腹が立つと腹が減るので、ススキダの事務所から盗んできたバナナを、さらに2本立て続けに食った。
物件をデジカメで取りながら、頭の中で友人のテクニカルイラストの達人・イナバが書いたイメージ図と比べながら、ススキダに感想を述べた。

それに対して、ススキダは、その極道顔に似合わないほどの繊細な意見を返し、私は彼の高い能力に嫉妬を覚えた

そんなときに、またiPhoneが震えた。

「カスガさんに来ていただいたら、バッグの中や洋服ダンスは見せてくれたけど、チェストの中は絶対に見せないの。これは私のプライバシーだからって、怒るのよ。カスガさんも途方にくれているわ」
要するに、現金書留は、いまだに見つかっていないということだ。

さらに信じられないことだが、ご老人は「ムコさんが知っている」と言い始めたらしい。
「さっきムコさんが帰ってきて、私は現金書留をムコさんに渡した」と言っているらしいのだ。
しかし、私は、いまだかつてご老人宛の封書の類を触ったことは、一度もない。
ただの一度もないのだ。

いつもその場限りの嘘ばっかりつきやがって!
俺をイライラさせるなよ。

私が家を出たのは、8時50分。
姉が抗がん剤を受け取る薬局に薬代を支払いに行ったのが、午前11時前。
その後、真っ直ぐにススキダの事務所に向かった。そして、ススキダの事務所に着いたのが午前11時50分頃。

私が二人いるのなら、その時間に私はさいたまの団地に帰ることは可能だが、残念ながら私は一人しかいない。
私がご老人の現金書留を私物化するのは、絶対に無理だ。

電話を変わったカスガさんに、私はそう告げた。
ススキダには申し訳ない話だが、証人として彼にも説明してもらった。

友人までトラブルに巻き込むなんて。
本当にイライラする。

受話器の向こうから、ご老人の騒ぐ声が聞こえる。
「ムコさんが、私のお金を●●●!」

面倒くさくなったので、ヨメに、とりあえずご老人に1万円を渡すことを提案した。
10日に得意先2社から入金があるまで、我が家にとって1万円の出費は大きいが、この馬鹿げた事態を収拾するには、それしか方法がないように思えたからだ。

「仕方ないわね」とヨメが答える。
そして、「ごめんなさいね」。

また物件を検討することに没頭した。
しかし、午後3時40分ごろ、またiPhoneが震えた。

「お店から電話があったの」とヨメ。
なんだ? 店って?

ヨメが言うには、ご老人がいつも行く大宮のデパートで買い物をしまくったが、お金を払う段になったら「お金がない」と騒ぎ出したというのだ。
「アタシは4万円持っているんだ」と店員に主張したが、財布の中には7千円しか入っていなかった。
ご老人は、いつものようにタクシーで大宮に行き、いつものペースで買い物をしたが、財布の中身がいくらあるか確かめなかったようだ。
そこで、お決まりのトラブル。

(そうか、ご老人はいつも長男から4万円のお小遣いをもらっていたのか。独立してからお小遣いゼロ円の男としては、うらやましい限りだ)

ただ、こういうことを書くと、「嘘つきやがって」という非難を受けるのだが、それは無視することにする。
本当のことを書いて非難されるのは、理不尽であり時間の無駄。

ああ、イライラする。

それで、ばあちゃんは、いくらの買い物をしたのか?
「1万8千円くらいって言うんだけど」

おそらく、そのあとも、それプラスけっして使うことのないバッグや靴なども買うつもりだったに違いない。
そして、帰りはタクシーで得意気に凱旋。

イライラする。

仕方ないから、それはカードで支払ってやったら?
(私もヨメもある会社のクレジットカードを持っているが、ほとんど使ったことがない。緊急の時に使うのがクレジットカードの定義だと思えば、いまはそれを使うときであると言える)

とりあえず、ばあちゃんを迎えにいって、今回の買い物はクレジットカードで支払う。
そして、そのコピーをとって、帰りのタクシー代の領収書もコピーをとって、ばあちゃんのバカ息子に請求しよう。

あとのことは、俺は知らん。

「ハハハ」とヨメが笑う。
そして、また言う。
「ごめんなさいね」

お互い重いため息をつきながら、電話を切った。

車内でソファに身を預け、鉛のように重くなった全身を使って、またため息を吐いた。

その姿を見てススキダが気を使って、「レイコ(ススキダの奥さん)が5時過ぎに帰って来るんだが、一緒に埼玉まで車で送るよ。お前は、その間眠っていればいい」と言ってくれた。

それは、助かる。
だが、一つ条件があるんだが。

「何だ」

車内で、いいちこが飲みたい。
それをストレートで飲めば、安らかに、ご臨終できそうな気がするんだ。

「うちに二階堂はあるが、二階堂ではダメか?」

いいちこ! 絶対にいいちこ!
いいちこじゃなきゃ、イヤだ!

「そ、そうか。じゃあ、途中で、さ、酒屋に寄ってくか」

うろたえたススキダの様子。

何か、イライラする!

(ごめんよ、ススキダ。本当は感謝してるんだ)



2010/03/06 AM 08:44:31 | Comment(4) | TrackBack(0) | [日記]



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