Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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東急ハンズ好き、そしてベスト
カフェに置き去り。

ひと月ぶりに仕事の立て込んだときだったが、ストレス発散に、大宮駅近くの東急ハンズをうろついていた。
時間があったら、東急ハンズ。
それは、私のライフスタイル。

大学時代、朝の10時から渋谷の東急ハンズに入り込み、気がついたら、昼メシを食うのも忘れて、午後5時まで東急ハンズにいたことが数え切れないくらいあった。

マツが行方不明になったら、東急ハンズを探せ。
それが、当時の友人たちの合言葉だった。

それくらい、東急ハンズが好きだ。
大宮の東急ハンズは、渋谷に比べると、そのスケールは10分の1ほどだが、東急ハンズであることに変わりはない。
だから、気に入っている。

得意先との打ち合わせ終了後、ブラブラと無目的に歩き回った。
何を買うわけでもなく、それによって何を得るわけでもないが、そんな時間が、どこか楽しい。
それは、つまり優雅な時間ということ。

昼メシ時。
心を無にして、店内を時速1キロのスピードで、歩行していた。

そのとき、「アラ」という声が聞こえた。
あら? その声が、まさか俺のほうに向いているとは知らずに、私は目を陳列商品に釘付けにしながら歩行を続けた。

次に、「Mさんじゃないですか」という声が聞こえた。
月曜日午後1時過ぎ。東急ハンズ。
知り合いに遭遇することなど、心の片隅にさえ存在しない孤独な状況だ。

思わず、「あん?」と、不機嫌な声を出してしまった。

しかし、顔を軽くひねった先には、桶川の得意先の事務員、麻生久美子似の姿があった。
ミニスカート。

おや、アリマさん。なんで、こんなところに?(アリマァ! と心の中でオヤジギャグ)

「Mさんこそ、何で?」

何で。
なんで?

あけましておめでとうございます。

相当に遅い新年の挨拶をしたあとに、麻生久美子似が、ランチどうですか、と言ってきた。
まあ、知らない仲じゃございませんし、断る理由はございません。
麻生久美子似は、迷わず大宮ルミネ内のカフェに私を誘導した。

ツナ&アンチョビのサンドイッチとコーヒー。
雰囲気は悪くないが、「カッコつけやがって」という悪態をつきたくなる店の内装と客層だった。

しかし、麻生久美子似が、惜しげもなくお綺麗な脚を見せてくれたので、不満は封印することにする(変態と呼んでください)。
しかし、サンドイッチを食い終わったあとに、麻生久美子似の携帯電話が、クラシックの音階(ボレロ)を奏で、彼女が「ちょっと、ごめんなさい」と言って、店を出た。

置き去りですよ。

カフェにひとり。
居心地が悪い。
吸い込む息が薄くて、酸欠状態になりそうだ。

池の鯉のように、口をパクパクパク。
息苦しい。
帰っちまおうか・・・・・。

コーヒーをおかわり。

このコーヒーを飲み終わって、麻生久美子似が姿を現さなかったら、俺は、断固として席を立つ!
・・・・・と思っていたら、麻生久美子似が、背の高い女性を連れて、カフェに入ってきた。

「ごめんなさい。ルミネでお友だちと待ち合わせをしてたの」

いやぁ〜、いいんですよ。オレ、今日は暇ですから。
(どの口で、そんなことを言うかねぇ)

麻生久美子似と背の高い女性が、向かいに座る。
その光景は、華やか、と言っていいものだった。

どこから見ても、混血(ハーフ)。
日本人のいいところと、外人のいいところをすべて取り込んだ美形。
相当な美人である。

しかし、近寄りがたい美人と言うわけではない。
すべてにおいて整ってはいるが、売れっ子モデルのような自己主張の強い「美」ではない。
控えめな「美」だ。
そして、品もある。

美人が苦手な私でも、直視できる美人だと言える。

「大学時代の先輩なんですよ」
と、麻生久美子似が、混血美人を紹介した。

そして、「旦那様もお子さんもいらっしゃいます」と付け加えた。
確かに、落ち着いた佇まいは、人妻を感じさせた。

その混血人妻子持ち美人は、ハミカミながらも私の目を真っ直ぐに見て、「ナガシマです」と艶のある声で言った。

吸い込まれそうな薄い褐色の瞳。
異次元の人ですな。
私には、まったく接点のない人だ。

その顔を拝めるだけで、「儲けた」と言える存在である。
下品にも、心の中で「今日は、もうけた、もうけた」と呟いた。

それから、世間話。
二人の美女を前にして、はるか天空まで舞い上がる、冴えない中年男。
しかし、心は充実。

もうけた、もうけた・・・・・ホンマにもうけた。

芳醇な香りのコーヒーを飲みながら、美女と会話。
私の一番苦手なシチュエーションではあるが、話は弾んだ。

なんでだろう?
以前だったら、身体も思考も硬直して、会話は成立しないはずだった。
それは、松雪泰子似の極上の美女と接するという「免疫」が、私の身体にいい効果をもたらしていたせいか。

しかし、なにか、ひっかかるものがあった。

それが、いったい何なのか、舞い上がっていた私には、判断がつかなかった。

だが、答えは、簡単に出た。

ナガシマさんが、少し首を傾けながら、こう言ったのだ。
「Mさん、まだ思い出していただけないんですか?」

思い出す?
つまり、私はナガシマさんと過去に接点があったということなのか。

空になったコーヒーカップを弄びながら、私は懸命に脳内の貧弱なデータベースを検索した。
ガチャガチャガチャ。

一般の人よりはるかに少ないデータベースだったから、7秒後に、あるファイルを検索することに成功した。
それが、これだった。

ああ、あのときの!

これほどの美女を忘れるなんて、私の記憶中枢は、なんていい加減なんだろう。

その節は、お世話になりました。
しかし、一回だけしかお会いしていないのに、よく覚えていましたね。

「あのときと、ベストがまったく同じだったんですよね」

ああ、ベストがねぇ〜。

一着しかない薄茶色のベスト。
それが、幸運を呼ぶこともある。

これからも、このベストは大事にしようと思った。




2010/02/23 AM 07:31:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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