Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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お引越し会議 その1
引越しを考えている。

一つは、ブログのお引越し。
それに関しては、また後日書こうと思う。

もう一つは、家のお引越し。
昨年の6月。
一昨年から居住者が一人増えて、生活が窮屈になったので、同じ団地内の4DKに引っ越した。

その結果、部屋が一つ増えたので空間は快適になったが、生活は快適ではなくなった。
問題点が、数多くあるのだ。
その問題点の91パーセントは、ご老人が震源地である。

ご老人は、同居人である家族には、我がまま放題の言動・振る舞いをするが、団地の人―――私は彼らを団地応援団と呼んでいる―――には、気立てのよいご老人で通っていた。
通っていた、と過去形で書いたのは現在の状況が、かなり変化を帯びてきたからだ。

ご老人と団地応援団は、ある宗教で結びついている。
その絆は強い。
彼らの付き合いは、ご老人が一昨年の11月に我が家に来て以来だから、15ヶ月になる。

だが、ここに登場するのが、「人間の観察力」というやつだ。
さすがに、どんなにぼんやりした人でも、15ヶ月も付き合っていたら、相手の本性が微かながらも見えてくるものである。

最近になって、団地応援団は、ご老人の言うことが少しおかしい、と気付いてしまったようなのだ。
ただ、彼らは基本的に優しいから、それを露骨に態度に現すことはしない。

しかし、ご老人は、相手のわずかな変化にも敏感に反応する人種だった。
その種の空気を嗅ぐ能力は、野生の狼のように鋭敏だ。

だから、「よそよそしくなったぞ」
団地応援団の変化を、すぐに察知した。

それまでは、団地応援団に対してのご老人の言動は、おおむね好意的だった。
悪口を言うにしても、それなりにオブラートに包んだものだった。
しかし、今年に入ってからは、かなり辛辣な悪口を脈絡なく言うようになった。

ストレスが、たまっている様子が、からだ全体から立ち上っている。
最近のご老人の日常は、時に攻撃的になり、時に沈み込む毎日。
感情の起伏が、かなり激しい状態と言っていい。
そして、沈み込んだ時に、ご老人は必ずこう言うのだ。

三鷹に帰りたい・・・・・」

一月の終わりあたりから、その回数が格段に増えた。
今では、一日に百回以上そうつぶやいている様を、家族全員が何か不吉なものを見るような目で遠回しに眺めている。

そんなとき、私が冗談のつもりで言ったひと言が、そのまま家族会議の議題になってしまったのだ(いま私は大変後悔している)。

「俺たちも、ばあちゃんと一緒に三鷹に引っ越すか」(軽いノリ)

しかし、「やめてよー!」
「やだ!」
「冗談は、顔だけにしろよ!」
という言葉を期待していた私は、話が思いがけず真面目な方向にいったので、目を高速で泳がせることになった。

まず話の主導権を握ったのは、中学二年の娘だった。
「真面目な話、ありゃあ、おかしいぞ。ばあちゃん、完全に気持ちが病んでるぞ」
ヨメと大学一年の息子が頷く。

「ばあちゃんはもう、ここには居場所がないんじゃないか」と娘。

しかし、だからと言って、我々が三鷹に引っ越すのは、どこかおかしくないか。
先ず君の場合は、転校ということを考えなきゃいけない。

「まあ、アタシは一向に構わないが」
娘があっさりと言う。

いや、友だちと別れることになるんだぞ。それでも、いいのか。人生で一番大切なのは、友だちだ。

「転校したって、友だちづきあいはできる。おまえ、ユカちゃんを知ってるか?」

ああ、もちろん、知っている。君の小学校一年の時の同級生で、2年の1学期の終わりに大分に引っ越した子だな。

「そうだ。ユカちゃんとは、彼女が引っ越してから手紙のやり取りをしたあと、小四からパソコンのメールでやり取りをした。そして、中学に上がってからは、携帯で連絡を取り合っている。たった一年しか同学年じゃなかったのに、ユカちゃんはアタシの親友だ。埼玉と大分。離れていたって、友だちは、友だちなんだぞ」

しかし、それは相当ラッキーな関係だ。誰もが、そうなれるものじゃない。それでもいいのか。

「アタシをなめんなよ! アタシは、どんな状況でも友だちができる子だぞ」

・・・・・・・でも、ばあちゃんの我が儘は放っておくという手だってあるだろ。

「ばあちゃんは、もう逃げ場がないんだよ。三鷹だけが、逃げ場なんだ。そんなこと、お前だって、とっくにわかっているだろう!」

・・・・・・・・・・・・。

ただ、三鷹に引っ越すにしても、ばあちゃんの住むマンションは2DKだ。家族5人で住むには狭すぎるだろう。

「だったら、我々は他の部屋を借りればいい」

しかし、今と同じ広さの家を借りるとしたら、家賃は倍以上になる。同程度の家賃だと、せいぜい2DKのアパートくらいしか借りられないのが現実だ。
(ノートパソコンをカチャカチャカチャ)いま、ネットで調べてみたら、3DKでさえ12万円以上する。貧乏な我が家では無理だな。

しかし、ここで息子が親孝行発言をする。
「それなら、俺のアルバイト代を全額足りない家賃分に回してもいいよ」

パチパチパチ・・・・・。
ヨメと娘が、大拍手。
息子は、大きく胸を張る。

しかし・・・・・・・。

「まだ先のことだが、アタシが高校に上がったら、アタシも夏休みにアルバイトして家賃の一部を払ってやる。そうしたら、家賃どころか、家の一軒や二軒や三軒、買えるんじゃないか」

う〜〜ん・・・・・四軒は、ダメだろうか。

「四軒は・・・・・・・チョット無理だ」

そうか、現実は厳しいな。

「そうだ。お前ももう少し、大人になれ」

はい。

というような建設的な(?)会議が延々と続いた。

有意義な会議に臨んだわれわれ四首脳は、脳を使って疲れたので、冷凍しておいた自家製のピザを食いながら、私はクリアアサヒを飲んだ。
ヨメは、ただただピザに齧りついていた。
息子は、ピザを食いながら、ケツをかいていた。
そして、娘はピザにタバスコをタップリとかけて、「キター!」と叫んだ。

それを見ながらクリアアサヒを飲んでいる私の背中は、まさか事態がこんなおおごとになると予想していなかったせいか、冷たい汗をかいていた。
ちょっとした寒気さえ覚えていた。

まいったな。
まったく・・・・・・・・・・。


この話、次回に続く。




2010/02/18 AM 09:00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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