Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








やつれた3日間
体調がよくない状態が続いていた。
なぜかは、わからない。

火曜日。
手持ちの仕事はあるが、それほど急ぎというわけではない。
だから、休養に専念しようと思った。

ただ、家にいると何かしら雑音が耳に届く。
「隠れ家に行こう」という結論に達した。

このブログで何度か書いているが、中古OA販売会社のPCのメンテナンスをする代わりに、会社の倉庫を自由に使わせてもらっている。
完全なる倉庫だが、隅のスペースに衝立で仕切られた事務所がある。これが快適なのだ。

販売会社の社長が言う。
「俺の会社は、この倉庫の一角から始まったんだよね。
今はもうここに事務所は必要ないんだけど、最初の苦労を忘れないために、そのままにしてあるんだよ」

そのおかげで、この使われていない事務所には、エアコンもあるし、事務机、ソファもある。
ソファは、ボロに近い状態だが、シーツをかぶせればそれなりに使える。
そこで、一日寝ていようと思ったのだ。

朝、家族を送り出し、ご老人に飯を食わせ、ご老人のためにお昼の弁当を作った。
ご老人はお弁当を見せると、12時はるか前に食ってしまうので、弁当に「12時前に食うと燃えるぞ」という紙を貼っておいた。
このおまじないは、驚くほど利くのだ。

約1.5キロ離れた隠れ家に、自転車で到着。
倉庫内は、年末に大掃除をしたので、比較的綺麗にかたづいている。
バケツに水を張り、家から持ってきた氷を入れ、その中にクリアアサヒの500缶3本をぶち込む。
酒は他に、いいちこが常備してある。
そのときの気分次第で、飲もうかと思う。

食い物は、安い時に買いだめしておいたカップラーメンが10個以上ある。
ハードオフでジャンク品として買った電熱器でお湯を沸かせば、それも食える。
他に、ナビスコのクラッカーも4箱常備してある。
それを食ってもいい。

CDラジカセも置いてあるので、音楽も聴ける。
毛布も家から2枚、変色したやつを持ってきて置いてある。

つまり、隠れ家として申し分ない空間だ。

隠れ家に行くにあたって、中学2年の娘にだけ、居場所を知らせておこうと思った。
紙に居場所を書いて、娘の勉強机の上に置いておいた。

「カク
レガニイクバンメ
シマデニハカ
エルツ
モリダバカオ
ヤジ」


それを読んだ娘に、夜ひとことだけ「バーーカ!」と言われた。

火曜日午前10時15分。
隠れ家に入ってすぐしたことは、寝ること。
音楽はかけず、無音の中で寝た。

底なし沼に落ち込むような不快感を感じて起きたとき、タップリと寝汗をかいていた。
タオルを5枚常備してあるので、それで汗を拭いた。
拭きながら壁にかかった時計を見ると、午前11時20分。
1時間程度しか寝ていなかったことになる。

眠りも浅い。

また横になって目をつぶったが、普段なら簡単に眠れるのに、眠気は襲ってこなかった。
酒を飲めば眠れるかと思ったが、そういう飲み方は好きではない。
酒は、飲みたいときに飲んだほうがいい。
だから、飲まなかった。

音楽も聴く気にならない。
無音で、横になっていた。
眠気が来るのをじっと待つつもりで、目をつぶった。

最低限の灯りしかつけていないから、倉庫内は暗い。
時おり、ジージーという音が聞こえる。
そして、外を走るトラックの音。

空気は、埃っぽい。
自分の吐く息だけが、空気中に増幅して聞こえる。
それをうるさいと感じながら、眠りに落ちた。

また汗をかいて目覚めた。
時刻は、午後3時4分。
3時間、眠っていたようである。

不快感が、足元から背中までネバつくように貼りついている。
心なしか寒気がするようだが、それは気のせいかもしれない。

下っ腹に違和感を感じた途端、大きな屁が出た。
その音は、広い空間に分散して、すぐに消えた。
下っ腹はすっきりしたが、嫌な感じの汗は、まだ背中を伝っていた。

オレ、どうしたんだろう。

そう思いながら、暗い天井を見つめ、眠れないまま2時間を過ごした。

結局、酒も飲まず、朝から何も食わずに家に帰った。

水曜日も隠れ家で過ごした。
時々、浅い眠りに落ち込み、眠れない時は天井の暗い空間を見つめた。
そして、酒を飲まずメシも食わない仙人のような時間を過ごした。

家に帰っても、背中のあたりに不快感が貼りついている感覚があった。
夜メシだけは食ったが、発泡酒は飲まなかった。

寝る前、湯船に浸かったが一時間以上浸かっていたらしく、風呂場の外からヨメに「大丈夫?」と聞かれた。
「大丈夫」と聞かれたら、「大丈夫」と答えるしかない。
たとえ、大丈夫でなくても・・・・・。

木曜日祝日。
子どもたちがいるので、朝メシを作り、昼メシを作った。
そして、午後1時、家を出ようとしたとき、娘に言われた。
「また、隠れ家か?」

そうだ、隠れ家イズ・マイ・ライフ。
そう言ったら、またひとこと「バーーカ!

隠れ家でソファに横になった。
このときは、目をつぶったら、すぐに寝られた。
目が覚めたとき、背中に汗はかいていたが、不快感は小さいものだった。

壁の時計を見ると、午後5時15分。
バケツに浮かべたクリアアサヒを手に取った。
そして、一気に飲む。

細胞にしみわたるクリアなアサヒ。
そして、久しぶりに腹が減った感覚がよみがえった。
ナビスコのクラッカーを6枚立て続けに口の中に放り込んで、2本目のクリアアサヒを飲み干した。

少しだけ、生き返ったような気がした。

家に帰る途中、友だちの家から帰るところの娘と遭遇した。

私の顔を見て、娘が言う。
「ああ、やっと人間らしい顔になったな」

つまり、この数日間の私は、人間らしい顔をしていなかったということか。

「たまには、自分の顔を鏡で見たほうがいいぞ。その顔を見せられる家族の身にもなってみろ!」
そして、呆れたような苦い笑いを作ってさらに言うのだ。

「まるで、やつれた高田純次だな」

やつれた高田純次?

皆さん、想像できますか?

俺は、想像できない。

3日ぶりに自分のブログを開いてみたら、コメント欄が賑わっていた。

ビックリした。




2010/02/12 AM 07:17:28 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.