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● テクニカルノックアウト |
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白状するが、あまり体調がよくない。
体調を崩した理由は、私の計画性のなさからくる。 まるまる3日間、仕事がなかった日がある。 余裕のある人だったら、それを休養に当てるのだろうが、私は余裕ゼロの人間である。
得意先、知人に片っ端から電話をして、「仕事をくだせえ。仕事がないと、オラァ死にますだ」と頼み込んだ。 その成果もあって、違う種類の仕事を4件手にすることができた(俺って、営業向き?)。
ホームページ、チラシのデザイン、画像の切り抜き362点、そしてライター(火が点くやつではない)の仕事。
貰ったはいいが、どれも納期は短い。 すべてが、一週間以内の仕事だ。
私がメインで使っているMacは、G4/450MHz。 これは化石といっていいほど、優雅に動きやがる機械なのである。 大学一年の息子が使っているウィンドウズのノートパソコンの5分の1程度の速度しかない、まるで大正レトロの機械だ。 だから、能率が悪い。
そして、皆さんも薄々お気づきだとは思うが、私には才能も仕事の処理能力もない(キッパリ)。 一週間で、4件の仕事。 才能に溢れたお方は、絶対に徹夜などはしない。
頭の中で、自分の処理能力を見事に計算しつつ、効率的な仕事をなさる。
しかし、才能をデスクトップのゴミ箱に捨てた人間は、4件の仕事をこなすには、徹夜をするしかないのである。 今週の木曜日、金曜日と土曜日。 仕事が大詰めに来たので、朝5時まで仕事をした。 しかし、私の場合は家事も同時にこなすのである。
そんなもの、ヨメさんにさせればいいだろうという、当たり前のご意見は、とりあえず無視する。
だって、家事をしていないと、俺がオレでなくなるような気がするんですよ。 オレは、変人ですから。
金曜日の朝は、徹夜明けの澱んだ頭脳を意識しつつ、家族の朝メシを作った。 そして、ヨメ、息子、娘を送り出し、ご老人がメシを食い薬を飲む様子を監視しながら、自分はおにぎりを一個頬張る(ツナマヨ)。
そのあと、仕事にかかろうとすると、ご老人が廊下に粗相をする。 それを、雑巾と両手に持ったファブリーズで除菌しながら、廊下の景色をレマン湖のほとりのような清浄な空気に変換する。
ご老人が我が家に来てから、ファブリーズの消費量が半端ではない。 メーカーの方、お願いいたします。 いくらでも宣伝いたしますので、ファブリーズ一年分を、ただでいただけないでしょうか。 本当に、ハンパねえんですよ。 ファブリーズの消費量。
このままでは、我が家はファブリーズ破産をしてしまうかもしれません。
両手に持ったファブリーズを仕事場の床において、また仕事を始める(雑巾は洗濯機に放り込み、すぐにお洗濯)。 残ったのは、花の画像の切り抜き、約200点と文章書き。 目がチカチカする。 そして、イライラする。 あーあ、めんどくせえ!
昼メシまえ、ご老人が私に、廊下から声をかける。 「ムコさんよう。今日のお昼は、力(チカラ)うどんが食べたいんだけど」
しかし、力うどんには、餅が入っている。 ご老人の歳では、餅は危険物だ。それは、やめたほうがよろしい。
「じゃあ、餅の入っていない力うどんを作っておくれ」 はいはい(古典的な漫才ですな)。
そして、夜。 晩メシを作っていたら、部活から帰った娘がキッチンに顔を出した。 「おい、今日の夜メシは何だ?」
鮭のムニエルとラタトューユだ。 「あちゃぁ! 今日の給食はラタトューユだったぜ」
本当か。じゃあ、君のだけシチューにするか。 「ウッソー! 給食にそんなの出るわけないだろ! バーーーーーカ!」
おバカな私・・・・・。
そして、仕事が一段落した午後11時55分。 風呂に浸かっていた。
そのとき、ご老人の声が聞こえた。 「ムコさんよう」 はい。
「あたしゃ、睡眠薬飲んだかねえ」 さあ・・・・・。 「ああ、思い出した! 飲んだ飲んだ。でも、ちっとも眠くならないんだけどねえ」 いつ飲みましたか。 「今だよ」 じゃあ、もう少し待ちましょうか。 (またまた古典的な漫才ですな)
そんな馬鹿馬鹿しい一日を終えて、一時間ほどの仮眠。 全身が痺れるような奇妙な感覚の睡眠を終えて、気だるい朝を迎えた。
そして、土曜朝早く、桶川の得意先・フクシマさんから電話。 「あけましておめでとうございます」
なんだって? 「だって、Mさんと話をするの、今年初めてですよ。だから新年のご挨拶を」 相変わらず、おバカなフクシマさん。
「急ぎの仕事があるんですけど」 なに! 急ぎの仕事だって? 何でこのクソ忙しいときに! (たじろぎながら)「い、いらないんですかぁ?」
いただきます。 ただ、フクシマ様。ワタクシ、忙しいのでございます。ホントに忙しいのでございます。 「ああ、じゃあ、Mさんちの近所のガストで打ち合わせってことで」
それと、フクシマ様。ワタクシ、朝から何も食べていないのでございます。 「ああ、俺にピザをおごれと?」
はい。しかし、フクシマ様。ピザを食べている間に、のどが渇いたら、いかがいたしましょうか。 「ああ、ビールですね。了解です!」
ガストでフクシマさんと密会。 フクシマさんは、私の顔を見るなり言った。
「Mさん、顔が白いですね」
なにぃ! あなたに私の「顔がひどい」と言われる筋合いはない!
「いやいや、『ひどい』ではなく『し・ろ・い』。顔色のことですよ」
フクシマさん。今まで隠していましたが、私は白人だったのです。
・・・・・・・・・・。
という恒例の挨拶を1分30秒で終えて、料理の注文に20秒。仕事の打ち合わせに10分。ピザとビールをかっ食らう時間、3分20秒。 しめて15分10秒の時間を消費したあと、私はフクシマさんを置いて、ガストを後にした。
土曜日は息子と娘がいるので、作って冷凍しておいたチヂミを昼メシとして食わせた。 ご老人のリクエストは、カツ丼。しかし、当然のことながら無視。五目いなりを高速で作って出した。
あとは、仕事、仕事、仕事。 夕飯は、ビーフシチューwithフランスパンとしゃきしゃきレタスのサラダ。 ご老人は、別メニュー。 懐石料理と間違うくらい、素晴らしい料理をテーブルに並べたが、ひとこと「味が薄い」(減塩醤油をドバドバドバとかけやがった)。
ケッ!
また、仕事、仕事、仕事。 夜は、作業している最中に気分が悪くなって、失神すること数回。 しかし、そのたびにカウントエイトで立ち上がって、ノックアウトは、かろうじて免れた。
ただ、熟練のレフェリーなら、確実にテクニカルノックアウトを宣告したかもしれない。 それほど、ダウン寸前の状態だった。
仕事の目途が96パーセントついた日曜午前4時。 気合を入れるために、風呂に浸かった。 そして、気合を入れるために、東京事変の「修羅場」「群青日和」「ミラーボール」「OSCA」「スーパースター」を防水ラジカセで流した。
気合が、入った。
まさか椎名林檎様も、自分の歌で気合を入れる人がいるなんて、想像しなかったに違いない。
日曜日午前4時35分。 気合が入ったまま、Macの前に座り、友人から貰った黒糖梅酒をストレートで飲んだ。 飲んだあとで、少しだけ目をつぶった。
目を開けたら、時計は、午前6時5分(つまり、つい先ほど)を表示していた。
1時間半も、寝てしまったようだ。
テクニカルノックアウト!
テンカウントのゴングを聞きながら、私はブログを書いている。
あーあ、体調が悪い。
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2010/02/07 AM 08:41:09 |
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