Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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似ないほうがいい性格
おじいちゃんになった気分だった。

ショウコが、旦那と去年産まれた娘を伴って、大宮まで来てくれた(ショウコに関しては、コチラに書いた)。
我が家には、わけありのご老人がいることを配慮して、大宮のホテルに一泊するという気の使いようである。

滞在中のホテルに、中学2年の娘を連れてお邪魔をした。
ショウコにいきなり、お年玉をふた袋渡された。

ありがとう、ゴッツァンです、と受け取ろうとしたら、「オヤジ、ざけんなよ!」と、ショウコと娘が、見事にハモって手を叩かれた。
その痛さが、意外と気持ちよかったりして(変態?)。

それを見て、ショウコの夫、マサが手を叩いて笑う。

マサくん。
私は、君の大学の先輩なんだがね。
その遠慮のない笑いは、いかがなもんかね。

しかし、3年前までは私がお年玉を上げていたショウコが、今年は私の子どもたちにお年玉をくれるというのは、感慨深いものがある。
時は、誰の身にも当たり前のように、通り過ぎていく。
時が、止まることはない。
そして、誰もが、年をとる。

お年玉のポチ袋を見ながら、そんなことを実感した。

カネコ(ショウコのオヤジ、私の大学時代の後輩)は、元気か。
芋洗坂係長に、また近づいたか。

私がそう言うと、マサがまた大きく手を叩いて笑った。
「確かに、髪の毛以外は、完全に芋洗坂係長化していますよ、ハハ・・・」
マサって、こんなによく笑う男だったっけ。
父親になると、何かが外れるのだろうか。

赤ん坊は、マサの腕の中で「神の子」のような顔をして寝ている。
その寝顔から透明な粒子が立ち上っているのが、確実に私の目には見えた。
娘も、その寝顔から何かを掴み取ろうとするかのように、息を詰めて見守っている。

私も同じように「神の子」を見つめていた。
その姿に向かって、ショウコが言う。
「ジイちゃんの顔、してるね」

そうかもしれない。
もちろん血は繋がっていないが、赤ん坊の寝顔を網膜に焼き付けながら、この子が、自分の何かを受けついでくれそうな都合のいい予感を、私はずっと感じていたのだ。

そんな私を見て、頭のいいショウコは、すぐに察したようだ。
「この子に、サトルさんのなにを受けついでもらおうかな」

私が答える前に、娘が答えた。

「足の速いところかな」と言いながら、娘が私を指さす。
「だって、こいつは、それしか取りえがないからな」

「ハハハ」とショウコが笑う。
マサも笑う。
娘が、勝ち誇ったような顔をして、また私を指さした。

そんな小さな笑いが、家族を感じさせた。
笑顔のマサに、聞いてみた。

子育ては、楽しんでいるかい。

マサが、無言で大きくうなずいた。
そして、私を見上げて言う。
「ショウコから聞いているんですよ。先輩が、深く子育てに関わってきた姿を」

その会話を引き取って、ショウコが言葉を繋げる。そして、娘の方を見ながら言った。
「すごかったからね、あなたのパパ。出産に当たり前のように立ち会って、どんなに仕事が忙しくたって寝る間も惜しんで離乳食作りはするし、何があっても幼稚園行事、学校行事には参加するし、熱が出たら寝ないで看病するし、ちょっとビョーキだったよね」

6歳の時、突然カネコの子どもとして、私の前に現れたショウコは、私の息子と娘の成長をリアルタイムで経験していた。
彼女は、私と私の子どもたちに、深く関わってきた一人なのである。

そんなショウコが、思い出を噛みしめるような穏やかな笑いを娘に向けている。
ショウコの顔、娘の顔。
似てはいないが、通じる空気はある。

私が懸命に温めてきた「何か」。
その「何か」が、ショウコにも、娘にもある。
それが、家族ということではないのか。

だから、この「神の子」も、家族なんだ。
私は、もう一度、赤ん坊の寝顔を見つめた。

赤ん坊の寝顔から目を移すと、そこにはマサの柔らかな笑顔。

そのマサが、「少しでも先輩に近づけるように頑張ってます」と真剣なまなざしを私に向ける。

照れる。
こんな雰囲気は、好きではない。

場が真面目な空気になると、私は居心地が悪くなる。
脳の中にプツプツと異分子が侵入してくるような気になる。
そして、何かを壊したくなる。

そんな困った性格・・・・・。

その遺伝子は、確実に私の娘にも、受けつがれていたようだ。

「焼肉は、叙々苑! 福沢諭吉は一万円!」

お年玉袋を開けて、福沢諭吉様をその両手に掲げながら、娘が突然叫んだ。
そして、ピョンピョンと跳ねている。

マサとショウコの大笑い。

そして、ショウコが、感嘆した声で言う。
「Kちゃんは、怖いくらいにサトルさんにそっくりだねえ。血は怖いわ。この子も、こんな風になったら、どうしよう」

ショウコと娘が、同時に赤ん坊の寝顔に顔を近づけた。
そして、顔を見合わせて、首を振った。

「そこだけは、似てほしくないよねえ」
二人の声が同期していた。

マサも、小さく控えめにうなづいていた。

確かに、俺も、そう思う。




2010/01/05 AM 08:14:14 | Comment(2) | TrackBack(0) | [子育て]



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