Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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箇条書きで恨み言
私が、仕事先での打ち合わせを終えて、家に帰ってきた10月30日午後5時10分。
来客がいた。
異星人の次男ご夫婦だった。
横で、異星人が、肉まんを頬張っていた。

こんな時間に何で肉まんを食わせる?
あんたの母親は、糖尿病だぞ。
その余分なカロリーを消費させるのに、俺がどれだけ苦労すると思っているんだ!

小さく舌打ちをしたのだが、聞こえたかどうか。

次男は不機嫌な顔をして、小さく私に頭を下げた。
ただ、それは、よその人が見たら、決して頭を下げている状態には見えなかったかもしれない。
私だけが、「頭を下げた」と好意的に解釈をした。

「二人きりで話がしたい」と私が切り出すと、次男は、「それは・・・」と一瞬躊躇した。
しかし、次男のしっかりものの嫁さんが「その方がいいかもね」と彼の背中を押したので、唾を飲み込みながら頷いた。

私の仕事場にはじめて入った次男は、居心地が悪そうに、仕事場の風景を360度見回した。
その姿は、「こいつ、本当に仕事をしているのか」という疑いの心と、早く帰りたいという弱気が交差しているように見えた。
顎のあたりの無精ひげに、白いものが混じっていた。
それをみて、こいつも年を取ったんだな、と少しだけ共感した。

3台のパソコンには興味を示さなかったが、大きめのカラーレーザプリンタには、長い間目を止めていた。
今となっては持て余し気味となったAGFAのでかいスキャナにも、目が止まった。
机の端に山積みにした校了原稿も見ていたが、それは一瞬目を止めただけだった。

言いたいことは沢山あったが、私から言い出すと喧嘩になりそうなので、黙っていた。
次男も、どう話を切り出していいのか、わからない様子だった。
お互い腕を組んで、違う方向を向いていた。

時刻は、5時35分。
「6時になったら、家族のメシを作るから」と私が言うと、「ああ、晩御飯ね。妹に作らせればいいだろう」と、次男が顎をしゃくった。

そうはいかないんだな。俺じゃないと、バアちゃんの糖尿病食は、作れないんだよ。
私がそう言うと、「まさか」と小馬鹿にしたような笑いを作って、私を上目遣いに見た。
そして、「男は、そんなことをしてる暇はねえだろ」と吐き捨てた。

素晴らしい常識をお持ちのようだ。
当たり前のことだが、話が、かみ合わない。

次男に問いかけた。
あんたは、仕事だけをしてるのか。
毎日同じ時間に起きて、朝メシを食い、時間まで働いて家に帰り、晩酌をして、テレビを見るだけか。そして、寝るのか。
そうなると、俺と同じスケジュールで一日を過ごすのは、絶対に無理だな。
楽だな、あんた。

喧嘩を売ってしまった。

次男は、一瞬目に力を込めたが、思いとどまる理性はあったようだ。
あるいは、面と向かったら、言えないタイプなのかもしれない。
目を逸らせ、口を引き結んで、原稿の山を見つめた。

時間がない。
時間を取りたくもない。
だから、箇条書きのようにして、私が勝手に言葉を放り投げた。


毎日のように家中の電気を突然消されて、仕事場のパソコンの具合が悪くなった。それをカバーするための出費が大きかった。

固定電話の契約をしていた時、我々がいないときは仕事の電話には絶対に出ないようにという言葉を無視して電話に出て、クライアントに誤解を与え、仕事がしづらくなった。

娘の学校からの電話に出て、まったく事実無根のことを担任に吹聴し、その誤解を解くのに多大なエネルギーを使った。

怪しい勧誘の電話に出て、相手をその気にさせ、相手が家まで押しかけてきた。その処理にも無駄な時間を費やした。

インターフォンが鳴っても絶対に出ないで、という言葉を無視して、インターフォンが鳴ると相手を確かめもしないで毎回ドアを開けた。その結果、実体のないスポーツクラブと契約をさせられた。損害額は、それほど大きくなかったが、家計には響いた。

我が家は、新聞を取らない。しかし、新聞の勧誘が来るたびに契約をした。これも、後始末が大変だった。

本人は牛乳嫌いであるにもかかわらず、勝手に牛乳屋と契約をした。ただ、これは息子が気に入っているので、いまも取っている。

我が家では、クリーニングに出す習慣はないのだが、宅配のクリーニング屋が来て、自分のものではなく、我々の衣類をクリーニングに出した。それは、クリーニングに出す必要のないものばかりだった。

冷凍庫が50パーセント以上の確率で開けっ放しである。今は台所に近づかないが、最初の頃は35パーセントの確率で、水道の水が出しっぱなしだった。風呂のシャワーは10パーセントの確率で出しっぱなしだ。

細かいことを言うようだが、夏は、リビングのエアコンを24時間つけっぱなし。今もテレビを24時間つけっぱなしだ。

自分が受け取った郵便物・宅配便の類は、宛名が違うのに、すべて自分のものだと思っている。ヨメに送られてきた花の専門誌も、自分が興味がないからと、ご丁寧に鋏でズタズタに切って、ゴミ箱に捨ててあった。私宛の同人誌も、同様の被害にあった。
私宛の請求書なども、封を切ったあとでゴミ箱にポイだ。一回だけだが、現金書留も悲惨な目に遭った。これは、次男には真実を訴えたが、詳しいことは生々しくなりすぎるので、書かない。

細かい描写はしないが、人間の生理現象に関して、後始末が大変である。

我が家に来た当初、偏食がひどくて、肉しか食わなかった。野菜を出したら百パーセントの確率で残した。そして、肉を出さないと「私を餓死させる気!」と言って怒った。
野菜は糖尿病にいいんですよ、というと「私は食べない人なの」と言う。薬を飲み忘れないようにと諭すと、「私は薬を飲まない人なの」と言う。
一年経って、やっと糖尿病食を残さず食うようになった。しかし、糖尿病は確実にバアちゃんの体に根を張っている。それなのに、なぜ肉まんを食わす?
あんたは、それが、親孝行だと思っているのか!

そして、これが一番言いたいことなのだが・・・・・。
私は、ワセダを出ているのに、まともに働きもせず、毎日パソコンで遊んでブラブラしている、という噂を団地中に振りまかれた(俺はワセダじゃないヨ)。


次男は、そんな言葉の羅列を、腕を組み目をつぶって、聞いていた。
そして、話が終わってからも、黙っていた。

もう6時20分だ。
俺は、メシを作るよ。
あんたたちも、オフクロのための糖尿病食、食っていくかい?

「いや」と言って、次男は首を大きく横に振った。
そして、立ち上がると、私に深々と頭を下げた。

驚いた。

次男君は、長男よりは、ましなようだ。
しかし、それだけだった。

頭を戻した次男は、耳を疑うようなことを言ったのである。
「でも、仕方ないよ。ボケてるんだから」

馬鹿はバカ。
いつまでたっても、バカ。
そして、こんなやつと真面目に会話をしようと思った俺もバカ。

気をつけてお帰り。
私は、それだけ言うと、仕事場に彼を残して、キッチンに立った。

包丁を持つと、私の中の狂気が体から噴出しそうになるので、キッチン鋏で、ニラを切った。

ついでに、縁も切ったろか!



異星人が、我が家に来て、はや一年。
最後に、もう一度恨み言を箇条書きにして、異星人話は今回で終えたいと思う。
最後だから、かなり下品な話になりますが・・・。


長兄、次兄には、子どもがいる。合わせて男ばかり5人。私は、その子たちを可愛がった(つもりだ)。
毎年、お年玉を上げた。(子どもたちだけで)我が家に遊びにきたら、小遣いも上げた。
海やプールにも連れて行った。キャンプにも行った。遊園地にも連れて行った。ゲームや漫画も買った。誕生日には、プレゼントを贈った。
自分の子どものように、可愛がったつもりである。

このヨメの甥たち5人は、今は19歳から28歳になった。一人を除いて、社会人になった。
しかし、彼らは、私の子どもたちに対して、まったく無関心だ。まるで無い者扱いである。
おそらく子どもたちの年齢さえ知らないと思われる。
だから、当然のことながら、お年玉をくれたことがない。

長兄の次男は、高校時代、危ない連中と付き合っていて、何度か補導されたことがある。
そして、危ない連中と引き離すために、2ヶ月近く我が家で預かったことがある。
彼は、そのことを多少恩義に感じていたらしく、異星人が我が家に来てから、2回ほど電話をしてきてくれた。
「アニイの評判、我が家では最悪なことになってますよ」
しかし、彼が今年の7月に結婚した時、我々は結婚式に呼ばれなかった。
非常識な私は、結婚祝いを贈ったが、それを嫌味と取られたのか、礼状は届かなかった。電話もない。
これは、長兄、次兄の「教育」が行き届いているということなのだろう。

長兄は、勤め先が倒産するという不運を何度も味わった。
私は、2回、長兄の再就職の際の保証人になった。乞われたら、拒むわけにはいかない。
次兄は、14年前、独立する時に、金融機関から資金を借りた。私はその保証人になった。それも、拒むわけにはいかない。

そして、昨年の11月に異星人が我が家に来た。
拒める状況ではなかった。

しかし、今ごろ遅いと思うのだが、「俺は押しつけられたのか」という思いが、いま胸を満たしている。
友人に言わせると、「おまえは、いつも利用されているだけだよ」ということになる。

ああ、そうなのか。
俺は、利用されただけなのか?
俺は、利用されたまま終わるのか!?

くそっ!

じゃあ、縁も切ったろか!




最終回・・・・・・・。



2009/10/31 AM 07:31:28 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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