Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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幸せなラーメン
行列のできるラーメン屋さん。

午前11時22分に店に到着したが、激しい雨の中なのに、もう4人が列を作っていた。
中央線武蔵境駅から徒歩5分くらいのラーメン屋である。

私が到着した時、店の看板の横で巨体をさらしながら、赤いタオルで汗を拭いているスガ君の姿があった。
彼が、一番乗りだったようだ。

列の一番先頭にいたスガ君は、迷うことなく私が並んだ列の最後尾に来て、「お久しぶりです」と私に向かって、深々と頭を下げた。
「あ! いいんですか」と、スガ君の次に並んだ男性が遠慮がちに声をかけたが、スガ君は「はい!」と大声で答えた。
いつもながらの、いい笑顔だった。

20分並んで食ったラーメンは、スープと麺の調和が絶妙に取れていて、スープが麺によくからんでいた。
美味かった。
ただ、値段が、700円。
600円だったら、もう一度来てもいいのだが、と思った。

食い終わったあとで、駅前のイトーヨーカ堂の地下のフードコートで、スガ君と向かい合った。
スガ君は、珈琲。
しかし、アル中の私は、イトーヨーカ堂の食品売り場で、500缶の金麦を2本買い求め、それを飲んだ。

プルトップを引き上げてから、貼り紙に気付いた。
このフードコートでは、アルコールは禁止らしい。

でも、オレ、もうプルトップ引いちまったもんね。
これを無駄にするのは、ビール会社に申し訳ないもんね。

モラルのカケラもないアル中男。
ただ、決して、世間様をなめているわけでは、ございません。
知らなかったのでございます。
どうか、お許しください。

グビグビ・・・・・。

禁断の発泡酒を飲みながら、スガ君の悩みを聞いた。

彼の義父は、静岡でレンタルのコンテナやカラオケルームを経営する優良会社のオーナーだった。
その義父から、「東京で食べ物屋を開きたい。君に全権を任せるので、何か考えろ」と命令されたと言うのだ。

食い物屋といえば・・・。
レストラン、居酒屋、高級ビストロ、割烹料理屋。

スガ君は、以前ラーメン屋を経営していたという過去がある。
しかし、それを4年でつぶした男。

当然、それに関して負い目があるはずである。

結婚する前は、年に400食以上、ラーメンを食していた男。
そして、結婚してからも、年間200食近くの外食ラーメンが、彼の胃袋で消費されている。

私は、そんな彼を「チャーシューデブ」という称号で呼んでいるが、人のいい彼は「ハハハ」と笑うだけである。

チャーシューデブの笑顔に隠された「決意」。
チャーシューデブは、ラーメン屋で、もう一度リベンジしたいのではないか。

それを見てとった私は、「君は、ラーメンを作ってこそ、生きるんじゃないか」と告げた。

そして、「行列なんかできなくたっていいんだよ。君の好きなラーメンをお客さんに作れば、それが君のアイデンティティを満たすんだ」と畳みかけた。

「いいんですか?
ボクは、一度失敗した男ですよ。
そんなボクが、またラーメンを作っていいんですか?」

君が作るラーメンは、ラーメンの王道だよ。
普通すぎるラーメンだが、味は悪くない。

行列のできるラーメン屋は、美味いまずいは関係ないんだ。
雰囲気なんだ。
行列ができてしまえば、そこで「勝ち」なんだ。

でも、君は、それを狙わなくたって、いいんだよ。
自分の作りたいものを作ってごらん。
いいものを提供すれば、人は幸せになる。

幸せなラーメンを作ってみないか。
それは、何よりも君らしいと思わないか?

スガ君が、頷いてくれた。
130キロのチャーシューデブ。
こんな男が厨房にいたら、客はきっと微笑ましく思うに違いない。

俺も、君の作る「幸せなラーメン」が食べたいな。

チャーシューデブが、もう一度大きく頷いた。
幸せそうな顔をしていた。

「でも、Mさん。さっきから気になったんですけど、顔、歪んでませんか?」

ばれたか。

先日、私の頭の白髪の面積が増えたので、中学2年の娘が、こう言ったのだ。
「おまえ、最近、人としてのオーラがないな。その白髪のせいじゃないか」

そこで、3年ぶりに白髪染めを使うことにした。
ヨメと娘が、私の髪に、白髪染めを念入りに施したのであるが、それが丁寧すぎたようなのだ。
頭皮が、かぶれてしまったのだ。

その結果、頭皮は赤くただれて脹れあがり、首筋もただれ、なぜか顔の左側が脹れてしまった。
だから、顔が歪んだ。

頭は痒いし、顔にも違和感がある。
首から上が、膨らんだ感じがする。

しかし、なぜ、今さら、君はそんなことを言う?

「いやあ、Mさんのことだから、気付いていないのかな、って思ったもんですから」

気づいとるわ!



2009/10/27 AM 06:51:43 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]



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