Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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箇条書きで恨み言
私が、仕事先での打ち合わせを終えて、家に帰ってきた10月30日午後5時10分。
来客がいた。
異星人の次男ご夫婦だった。
横で、異星人が、肉まんを頬張っていた。

こんな時間に何で肉まんを食わせる?
あんたの母親は、糖尿病だぞ。
その余分なカロリーを消費させるのに、俺がどれだけ苦労すると思っているんだ!

小さく舌打ちをしたのだが、聞こえたかどうか。

次男は不機嫌な顔をして、小さく私に頭を下げた。
ただ、それは、よその人が見たら、決して頭を下げている状態には見えなかったかもしれない。
私だけが、「頭を下げた」と好意的に解釈をした。

「二人きりで話がしたい」と私が切り出すと、次男は、「それは・・・」と一瞬躊躇した。
しかし、次男のしっかりものの嫁さんが「その方がいいかもね」と彼の背中を押したので、唾を飲み込みながら頷いた。

私の仕事場にはじめて入った次男は、居心地が悪そうに、仕事場の風景を360度見回した。
その姿は、「こいつ、本当に仕事をしているのか」という疑いの心と、早く帰りたいという弱気が交差しているように見えた。
顎のあたりの無精ひげに、白いものが混じっていた。
それをみて、こいつも年を取ったんだな、と少しだけ共感した。

3台のパソコンには興味を示さなかったが、大きめのカラーレーザプリンタには、長い間目を止めていた。
今となっては持て余し気味となったAGFAのでかいスキャナにも、目が止まった。
机の端に山積みにした校了原稿も見ていたが、それは一瞬目を止めただけだった。

言いたいことは沢山あったが、私から言い出すと喧嘩になりそうなので、黙っていた。
次男も、どう話を切り出していいのか、わからない様子だった。
お互い腕を組んで、違う方向を向いていた。

時刻は、5時35分。
「6時になったら、家族のメシを作るから」と私が言うと、「ああ、晩御飯ね。妹に作らせればいいだろう」と、次男が顎をしゃくった。

そうはいかないんだな。俺じゃないと、バアちゃんの糖尿病食は、作れないんだよ。
私がそう言うと、「まさか」と小馬鹿にしたような笑いを作って、私を上目遣いに見た。
そして、「男は、そんなことをしてる暇はねえだろ」と吐き捨てた。

素晴らしい常識をお持ちのようだ。
当たり前のことだが、話が、かみ合わない。

次男に問いかけた。
あんたは、仕事だけをしてるのか。
毎日同じ時間に起きて、朝メシを食い、時間まで働いて家に帰り、晩酌をして、テレビを見るだけか。そして、寝るのか。
そうなると、俺と同じスケジュールで一日を過ごすのは、絶対に無理だな。
楽だな、あんた。

喧嘩を売ってしまった。

次男は、一瞬目に力を込めたが、思いとどまる理性はあったようだ。
あるいは、面と向かったら、言えないタイプなのかもしれない。
目を逸らせ、口を引き結んで、原稿の山を見つめた。

時間がない。
時間を取りたくもない。
だから、箇条書きのようにして、私が勝手に言葉を放り投げた。


毎日のように家中の電気を突然消されて、仕事場のパソコンの具合が悪くなった。それをカバーするための出費が大きかった。

固定電話の契約をしていた時、我々がいないときは仕事の電話には絶対に出ないようにという言葉を無視して電話に出て、クライアントに誤解を与え、仕事がしづらくなった。

娘の学校からの電話に出て、まったく事実無根のことを担任に吹聴し、その誤解を解くのに多大なエネルギーを使った。

怪しい勧誘の電話に出て、相手をその気にさせ、相手が家まで押しかけてきた。その処理にも無駄な時間を費やした。

インターフォンが鳴っても絶対に出ないで、という言葉を無視して、インターフォンが鳴ると相手を確かめもしないで毎回ドアを開けた。その結果、実体のないスポーツクラブと契約をさせられた。損害額は、それほど大きくなかったが、家計には響いた。

我が家は、新聞を取らない。しかし、新聞の勧誘が来るたびに契約をした。これも、後始末が大変だった。

本人は牛乳嫌いであるにもかかわらず、勝手に牛乳屋と契約をした。ただ、これは息子が気に入っているので、いまも取っている。

我が家では、クリーニングに出す習慣はないのだが、宅配のクリーニング屋が来て、自分のものではなく、我々の衣類をクリーニングに出した。それは、クリーニングに出す必要のないものばかりだった。

冷凍庫が50パーセント以上の確率で開けっ放しである。今は台所に近づかないが、最初の頃は35パーセントの確率で、水道の水が出しっぱなしだった。風呂のシャワーは10パーセントの確率で出しっぱなしだ。

細かいことを言うようだが、夏は、リビングのエアコンを24時間つけっぱなし。今もテレビを24時間つけっぱなしだ。

自分が受け取った郵便物・宅配便の類は、宛名が違うのに、すべて自分のものだと思っている。ヨメに送られてきた花の専門誌も、自分が興味がないからと、ご丁寧に鋏でズタズタに切って、ゴミ箱に捨ててあった。私宛の同人誌も、同様の被害にあった。
私宛の請求書なども、封を切ったあとでゴミ箱にポイだ。一回だけだが、現金書留も悲惨な目に遭った。これは、次男には真実を訴えたが、詳しいことは生々しくなりすぎるので、書かない。

細かい描写はしないが、人間の生理現象に関して、後始末が大変である。

我が家に来た当初、偏食がひどくて、肉しか食わなかった。野菜を出したら百パーセントの確率で残した。そして、肉を出さないと「私を餓死させる気!」と言って怒った。
野菜は糖尿病にいいんですよ、というと「私は食べない人なの」と言う。薬を飲み忘れないようにと諭すと、「私は薬を飲まない人なの」と言う。
一年経って、やっと糖尿病食を残さず食うようになった。しかし、糖尿病は確実にバアちゃんの体に根を張っている。それなのに、なぜ肉まんを食わす?
あんたは、それが、親孝行だと思っているのか!

そして、これが一番言いたいことなのだが・・・・・。
私は、ワセダを出ているのに、まともに働きもせず、毎日パソコンで遊んでブラブラしている、という噂を団地中に振りまかれた(俺はワセダじゃないヨ)。


次男は、そんな言葉の羅列を、腕を組み目をつぶって、聞いていた。
そして、話が終わってからも、黙っていた。

もう6時20分だ。
俺は、メシを作るよ。
あんたたちも、オフクロのための糖尿病食、食っていくかい?

「いや」と言って、次男は首を大きく横に振った。
そして、立ち上がると、私に深々と頭を下げた。

驚いた。

次男君は、長男よりは、ましなようだ。
しかし、それだけだった。

頭を戻した次男は、耳を疑うようなことを言ったのである。
「でも、仕方ないよ。ボケてるんだから」

馬鹿はバカ。
いつまでたっても、バカ。
そして、こんなやつと真面目に会話をしようと思った俺もバカ。

気をつけてお帰り。
私は、それだけ言うと、仕事場に彼を残して、キッチンに立った。

包丁を持つと、私の中の狂気が体から噴出しそうになるので、キッチン鋏で、ニラを切った。

ついでに、縁も切ったろか!



異星人が、我が家に来て、はや一年。
最後に、もう一度恨み言を箇条書きにして、異星人話は今回で終えたいと思う。
最後だから、かなり下品な話になりますが・・・。


長兄、次兄には、子どもがいる。合わせて男ばかり5人。私は、その子たちを可愛がった(つもりだ)。
毎年、お年玉を上げた。(子どもたちだけで)我が家に遊びにきたら、小遣いも上げた。
海やプールにも連れて行った。キャンプにも行った。遊園地にも連れて行った。ゲームや漫画も買った。誕生日には、プレゼントを贈った。
自分の子どものように、可愛がったつもりである。

このヨメの甥たち5人は、今は19歳から28歳になった。一人を除いて、社会人になった。
しかし、彼らは、私の子どもたちに対して、まったく無関心だ。まるで無い者扱いである。
おそらく子どもたちの年齢さえ知らないと思われる。
だから、当然のことながら、お年玉をくれたことがない。

長兄の次男は、高校時代、危ない連中と付き合っていて、何度か補導されたことがある。
そして、危ない連中と引き離すために、2ヶ月近く我が家で預かったことがある。
彼は、そのことを多少恩義に感じていたらしく、異星人が我が家に来てから、2回ほど電話をしてきてくれた。
「アニイの評判、我が家では最悪なことになってますよ」
しかし、彼が今年の7月に結婚した時、我々は結婚式に呼ばれなかった。
非常識な私は、結婚祝いを贈ったが、それを嫌味と取られたのか、礼状は届かなかった。電話もない。
これは、長兄、次兄の「教育」が行き届いているということなのだろう。

長兄は、勤め先が倒産するという不運を何度も味わった。
私は、2回、長兄の再就職の際の保証人になった。乞われたら、拒むわけにはいかない。
次兄は、14年前、独立する時に、金融機関から資金を借りた。私はその保証人になった。それも、拒むわけにはいかない。

そして、昨年の11月に異星人が我が家に来た。
拒める状況ではなかった。

しかし、今ごろ遅いと思うのだが、「俺は押しつけられたのか」という思いが、いま胸を満たしている。
友人に言わせると、「おまえは、いつも利用されているだけだよ」ということになる。

ああ、そうなのか。
俺は、利用されただけなのか?
俺は、利用されたまま終わるのか!?

くそっ!

じゃあ、縁も切ったろか!




最終回・・・・・・・。



2009/10/31 AM 07:31:28 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]

松雪泰子似の美女とランチ
以前、横浜元町の得意先に行った話を書いた(こちら)。

それを読んだ友人たちから、「おまえは十分怪しいやつだが、あんなことを書くと、もっと怪しいやつに思われるぞ」とのご忠告を受けた。
確かにそうかもしれない。
しかし、私が怪しくなるのは、友人ノナカがいる時だけである。
彼と一緒のときだけ、妙な化学反応が起きる。

だから、ノナカが悪いのだ。

ということで(?)、横浜元町の得意先に行ってきた。
前回書いたが、白髪染めを使って、顔が歪んだ。
女優の松雪泰子似の美人に会うには、この顔を何とかしなければいけない。

だから、頭のてっぺんから首までを10時間ほどかけて冷やした。
それで、何とか歪みの90パーセントは治った。
ほっとした。

松雪泰子似の特上の美人。
前回請けた仕事の最終チェックをして、「ご苦労さまでした」のお言葉をいただいた。
心が、解放された。

本来なら、これで終了である。
これでしばらく、松雪泰子似とは、また縁がなくなるだろう。
淋しいな、と思いつつ席を立とうとした時、「お昼をご一緒にどうですか」と、その美しい口で言われた。

耳鳴りか?
妄想か?

あり得ませんよ。
こんな美人から、お昼のお誘いなど。

妄想、妄想・・・・・と心の中でつぶやいた。
しかし、目の前には、透けるような肌の美しい笑顔が。

「オッヒルデスカァ」
声が、裏返ってしまった。

鞄の中には、どこかの公園で食おうと思って作ってきた弁当があった。
しかし、それは夜メシにしよう。
この涼しい季節、腐ることはないであろう。

得意先の近くの元町っぽい(?)店に入った。
それほど広い店ではないが、空間がうまく利用されていて、テーブルとテーブルの間が、広く取られていた。
なんか、落ちつく。

しかし、美女を前にすると、ケツがしびれた感じになる。
腰が浮ついた感じだ。
俺の人生ではじめての経験ですよ。
こんな得上品とお食事をするのは。

そして、この美女は、さらに私を居心地悪くさせる言葉を、その美しいお口で発するのである。

「Mさんのブログ、毎回楽しく拝見させていただいてます」

赤面。

ということは、「松雪泰子似の特上の美女」という表現もご存知ということ・・・?

ど、ど、ど、ど、どうしましょう。

激しく赤面。

しかし、松雪泰子似は、こちらの心がとろけそうな笑顔で、私を見つめるのだ。
そこで、私は思った。
ブログを書くものとして、こんなおいしい場面を書かずにおられようか。

書いたって、この美女なら、きっと許してくれる。
(本当に、お許しください)

松雪泰子似が、笑顔のまま言った。
「Mさんのブログに、異星人さんが出てきますよね。あれを読んで、ああ、私の母にそっくりだな、って思ったんです」

ランチのミックスフライグリルが運ばれてきた。
盛り付けが、元町風(?)でおしゃれである。

「私の母は、50代後半ですから、まだ認知症とまではいきませんが、異星人さんと性格は、そっくりですね。
だから、何かわかるんです」

細く長い指で、フォークとナイフを持つ様子は、まるでドラマのヒロインのようだった。

「他人に厳しく、自分に甘い。そして、打たれ弱い。
いつも何かに対して毒を放っていなければ、安心できないタイプなんですよ。うちの母も」

フライを口に入れるとき、その美しい口を大きく開けるのだが、少しも下品にならない。
口をあけたときの鼻の皺が、魅力的だ。
美人は、得だな。

「異星人さんは、『伝言ゲーム』が、できないんじゃないですか」

伝言ゲーム?

「同じ内容の話を人に伝えるゲームです。この場合は、本当はゲームではなくて、日常会話での伝言のことですけど」

ああ、確かに、ヨメさんに聞くと、若い頃から人の話を自分独自に解釈して、それを周囲に伝えてしまい、大騒ぎになったことが何度もあったようです。

「私の母もそうなんですよ。
普段は、私宛の電話は、用件を聞かなくてもいいって言い聞かせているんですが、先日こんなことがありました。
私がいない時、上司から電話があって、母が伝言を受けたんです。
『お得意様が、品川のプリンスホテルに泊まることに決まった』という、簡単な内容です。
でも、母は私にこう言うんです。
『品川さんが、品川で事故にあった』
信じられませんよね。全然話の内容が違うんですから」

でも、俺には、よくわかる。

「つい最近の話ですが、母が体が熱っぽいといって、お医者さんに行ったんです。
そして、蒼ざめた顔で帰ってきて、こんなことを言うんです。
『医者が、風邪なのかインフルエンザなのかわからないって言ってるの。私は変な病気に罹ってしまったようだよ』
でも、私が電話で確かめると、『インフルエンザではありません。普通の風邪だと思います』って、看護士さんは言ってました。
話が、まったく逆に作られてしまうんですね。
万事がこんな感じで、私はもう慣れっこになってしまいました」

それも、わかる。
しかし、ここで私の体験を詳しく述べることは、話が重複することになるので、私は大きくうなずくだけで済ませた。

ただ、ひとつだけ、松雪泰子似に変な質問をしてみた。

異星人が言いました。
「向かいに住む女子高生が、歩きながら煙草を吸っていたのよ。それも何本も。いったい親御さんは、どんな教育をしてるのかしらねえ」

これは、どういうシチュエーションでしょうか。

「歩きながらですね。つまり、何かを食べていたということかしら」
松雪泰子似は、かなり鋭いところをついてきた。
悩ましげな顔で、目を宙ににさまよわせる。
美人は、当然のことだが、考えに耽っている時も美人である。

「ああ、フライドポテトですね!」

正解です!

女子高生は、ただ歩きながらフライドポテトを食べていただけなのだ。
異星人は散歩帰り、私は仕事帰り。
駐車場前の道を歩く女子高生を同じような角度で見ていても、それが、異星人にかかると、彼女は不良少女になる。

冤罪はこんなところから作られて、音速で噂は団地中を駆け回る。
これを「悪意」と言わずして、何と言う?

眉根を寄せて、松雪泰子似が大きく首を振る。
そして、ため息。。
あまりの美しさに、ドキッとした。
めまいがして、食後のコーヒーカップを落としそうになった。

そして、松雪泰子似が、さらにこう言う。
「そうは言っても、私は漫才のボケをひとり抱えているようなものですけど、それは血が繋がっているから、笑っていられるんですよね。
こんなことを言ったら、失礼かもしれませんけど、Mさんは、血が繋がっていない異星人さんを、よく受け止めていると私は思います」

いかん。
涙が出そうになった。

異星人の件で、初めて人に褒められた。
そこまで言わなくても、という非難のほうが多かったからだ。
嬉しかった。
そして、思った。
俺はもしかしたら、誰かに褒めてもらいたかったのかもしれない、と。

自分で無理矢理押し込んでいた感情が、何気ない言葉で浮かび上がってきて、私は少し狼狽した。
コーヒーをこぼしそうになった。

ハッハッハッ、何をおっしゃいます。
ハハハハハ、アハッ!

笑いで紛らわすことしか、できなかった。



2009/10/29 AM 06:48:27 | Comment(3) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

幸せなラーメン
行列のできるラーメン屋さん。

午前11時22分に店に到着したが、激しい雨の中なのに、もう4人が列を作っていた。
中央線武蔵境駅から徒歩5分くらいのラーメン屋である。

私が到着した時、店の看板の横で巨体をさらしながら、赤いタオルで汗を拭いているスガ君の姿があった。
彼が、一番乗りだったようだ。

列の一番先頭にいたスガ君は、迷うことなく私が並んだ列の最後尾に来て、「お久しぶりです」と私に向かって、深々と頭を下げた。
「あ! いいんですか」と、スガ君の次に並んだ男性が遠慮がちに声をかけたが、スガ君は「はい!」と大声で答えた。
いつもながらの、いい笑顔だった。

20分並んで食ったラーメンは、スープと麺の調和が絶妙に取れていて、スープが麺によくからんでいた。
美味かった。
ただ、値段が、700円。
600円だったら、もう一度来てもいいのだが、と思った。

食い終わったあとで、駅前のイトーヨーカ堂の地下のフードコートで、スガ君と向かい合った。
スガ君は、珈琲。
しかし、アル中の私は、イトーヨーカ堂の食品売り場で、500缶の金麦を2本買い求め、それを飲んだ。

プルトップを引き上げてから、貼り紙に気付いた。
このフードコートでは、アルコールは禁止らしい。

でも、オレ、もうプルトップ引いちまったもんね。
これを無駄にするのは、ビール会社に申し訳ないもんね。

モラルのカケラもないアル中男。
ただ、決して、世間様をなめているわけでは、ございません。
知らなかったのでございます。
どうか、お許しください。

グビグビ・・・・・。

禁断の発泡酒を飲みながら、スガ君の悩みを聞いた。

彼の義父は、静岡でレンタルのコンテナやカラオケルームを経営する優良会社のオーナーだった。
その義父から、「東京で食べ物屋を開きたい。君に全権を任せるので、何か考えろ」と命令されたと言うのだ。

食い物屋といえば・・・。
レストラン、居酒屋、高級ビストロ、割烹料理屋。

スガ君は、以前ラーメン屋を経営していたという過去がある。
しかし、それを4年でつぶした男。

当然、それに関して負い目があるはずである。

結婚する前は、年に400食以上、ラーメンを食していた男。
そして、結婚してからも、年間200食近くの外食ラーメンが、彼の胃袋で消費されている。

私は、そんな彼を「チャーシューデブ」という称号で呼んでいるが、人のいい彼は「ハハハ」と笑うだけである。

チャーシューデブの笑顔に隠された「決意」。
チャーシューデブは、ラーメン屋で、もう一度リベンジしたいのではないか。

それを見てとった私は、「君は、ラーメンを作ってこそ、生きるんじゃないか」と告げた。

そして、「行列なんかできなくたっていいんだよ。君の好きなラーメンをお客さんに作れば、それが君のアイデンティティを満たすんだ」と畳みかけた。

「いいんですか?
ボクは、一度失敗した男ですよ。
そんなボクが、またラーメンを作っていいんですか?」

君が作るラーメンは、ラーメンの王道だよ。
普通すぎるラーメンだが、味は悪くない。

行列のできるラーメン屋は、美味いまずいは関係ないんだ。
雰囲気なんだ。
行列ができてしまえば、そこで「勝ち」なんだ。

でも、君は、それを狙わなくたって、いいんだよ。
自分の作りたいものを作ってごらん。
いいものを提供すれば、人は幸せになる。

幸せなラーメンを作ってみないか。
それは、何よりも君らしいと思わないか?

スガ君が、頷いてくれた。
130キロのチャーシューデブ。
こんな男が厨房にいたら、客はきっと微笑ましく思うに違いない。

俺も、君の作る「幸せなラーメン」が食べたいな。

チャーシューデブが、もう一度大きく頷いた。
幸せそうな顔をしていた。

「でも、Mさん。さっきから気になったんですけど、顔、歪んでませんか?」

ばれたか。

先日、私の頭の白髪の面積が増えたので、中学2年の娘が、こう言ったのだ。
「おまえ、最近、人としてのオーラがないな。その白髪のせいじゃないか」

そこで、3年ぶりに白髪染めを使うことにした。
ヨメと娘が、私の髪に、白髪染めを念入りに施したのであるが、それが丁寧すぎたようなのだ。
頭皮が、かぶれてしまったのだ。

その結果、頭皮は赤くただれて脹れあがり、首筋もただれ、なぜか顔の左側が脹れてしまった。
だから、顔が歪んだ。

頭は痒いし、顔にも違和感がある。
首から上が、膨らんだ感じがする。

しかし、なぜ、今さら、君はそんなことを言う?

「いやあ、Mさんのことだから、気付いていないのかな、って思ったもんですから」

気づいとるわ!



2009/10/27 AM 06:51:43 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]

パソコンおたくプー太郎伝説・最終回
パソコンおたくプー太郎伝説というのを、以前このブログで書いた。

それは、我が家に昨年の11月から生息する異星人が流した、悪意ある噂である。

私は、いい年をして、健康なのに働きもせず、ヨメを朝昼働かせて、自分は毎日ブラブラし、家ではパソコンばかりしている情けない男である、というほのぼのとした童話(?)。

その噂は、私がパソコンを教えている69歳の弟子、キシさんのご尽力で、薄まったかに思えた。
しかし、実は、根深いところで、噂は消えることなく浸透していたのである。

キシさんも、それを実感していたらしく、「先生、提案があるんですけど」と、遠慮がちにパソコン講座が終わってから、言い出したのだ。

「おばあちゃんのお知り合いを招いて、パソコン教室を開いてみませんか。場所は、私が提供しますから」

しかし、そんなご迷惑をかけては・・・・・。

「迷惑なんかじゃありませんよ。老人の暇つぶしですから」
本当の意味での「いい人」キシさんは、眩しいほどの笑顔で、私を見上げたのである。

キシさんのお言葉に甘えることにした。

そして、昨日、キシさんの家のリビングで臨時のパソコン教室を開催した(もちろん無料)。
異星人の団地応援団と、キシさんのお友だち、総勢11名が参加した。
年齢は40代半ばから、70代後半。
その中には、私に対して執拗なほど批判的な、異星人最大の団地応援団・70代後半の男性の姿もあった。

目の前に座った16の瞳は、あまり好意的とは言えない。
キシさんとキシさんのお友だちの6つの瞳だけが、穏やかな目で私を見つめていた。

パソコンは、難しい物ではありません。
そして、怖いものでもありません。
だって、パソコンの寿命は短いですから。
これは、あなたたちの寿命より、はるかに短いんですよ。


(笑ってくれたのは、キシさんだけだった)

パソコンは、そこにあるだけでは何もしてくれませんが、可愛いやつなんです。
ペットのようなものです。
でも、本物のペットは、毎日エサを要求しますが、このペットは、電気を少し食うだけで、安上がりです。
散歩に行く必要もありません。
あなたたちの命令を大人しく、いつまでも待っているのです。
可愛いやつなんですよ。このペット君は。


(やはり、笑ってくれたのは、キシさんだけだった)

パソコンでできることは、たくさんあります。
そのなかには、例えば、こんな機能もあります。
デジカメやデジカメ機能付き携帯で、ペットやお子さん、孫たちの写真を撮ったとしますね。
そのとき、その映像を、いつまでも綺麗なまま保存してくれるのが、このパソコン君なんです。
本物のペットに、そんなことができますか?
可愛いパソコン君だから、できるんですよ。


(少し、食いついてくれたようだ)

ただ、リビングの隅に陣取った70代後半の男性は、腕を組んだまま、私をずっと睨みつけたままだった。

普段のパソコン講座の時間は、90分から120分だが、初心者の集中力は、そんなに持たないだろう、と思ったので、今回は60分にした。
60分は、すぐに過ぎる。
物足りなさそうな顔をした人もいたので、「興味のある人は、質問タイムを儲けます」と言ったら、ほとんどの人が興味深そうな目をして、手を上げた。
隅のご老人以外は。

質問のなかで一番多かったのは、年賀状の印刷とメールに関してだった。
年賀状の印刷は、手元にプリンタがないから、説明しづらい。
だから、メールに関して説明した。

ローマ字入力は、できますか?

ほぼ全員が、首を横に振った。

では、ご自分の名前を、ローマ字で書けますか?

ほとんどが、首を縦に振った。

そこで、紙に自分の名前をローマ字で書いてもらうことにした。
しかし、隅の老人だけは、腕を組んだまま「私はいい!」
完全拒否(可愛くねえ)。

ノートパソコンは3台しか用意できなかったが、みな行儀よく順番を待って、自分の名前をキーボードで打ち込んでいた。
漢字の変換に戸惑う人が多かったが、二人三人と教えるうちに、自然と理解してくれたようである。
なかなか、優秀だな、この人たち。

「あら、けっこう文字打ちって楽しいじゃない」
いい流れで、パソコン講座は、終了した。

キシさんに、感謝の意を込めて、贈り物をした。

「あら、先生、何をなさるんですか。そんなことをしちゃだめですよ」

キシさんの大好きなイッセー尾形の初期のパフォーマンスを収めたDVDだった。

それを聞くと、キシさんは・・・。
キャー!
14センチ飛び上がって、DVDの入った袋を抱きしめたのである。

なんて素敵な69歳。
なんて可愛い69歳。
失礼だが、抱きしめたくなるほど、可憐な人だ。

しかし、そんな私の温かく充足した感情を、残酷にも踏みにじる人がいた。
70代後半の男性だった。
他の人は帰ったのだが、この人だけは、残っていたようである。

彼は、無神経にも、充足した我々の会話に割って入ってきたのである。
「Mさんよ。あんたワセダの出だって言うけど、卒業者名簿を調べたら、あんたの名前はなかったぞ」

オレがワセダ?
なんだ、それ?
しかも、卒業者名簿まで調べた?
何たる、ヒマ人。

そうか、異星人は、大学といえば、東大、ワセダ、ケイオウしか知らなかったのだ。
だから、私が大学出だと聞いて、彼女が知っている適当な大学名を、団地中にばら撒いたのだろう。

(俺は、ワセダじゃないんですがね、ご老人)

しかし、老人は、胸を反らせて、勝ち誇ったような顔で、私を睨むのである。

それに対して、キシさんは、「いいえ、この人はワセダではなくて」と言ってくれたが、私は、それを申し訳なくも遮ったのだ。

もう、どうでもいい!

少しだけ感じた高揚感は、瞬く間にしぼんで、私は肩を落として家路についた。

世の中には、色々な人がいる。
人生は、日々、勉強だな。

ハァー・・・・・・・。
ため息しか、出ない。

この「パソコンおたくプー太郎伝説」は、今回で最終回です。

お粗末さまでした。






・・・・・・しかし、ノイローゼになりそうだわ、オレ。


2009/10/25 AM 07:19:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

心の中で唾を吐く
異星人の次男からスーパードライが1ケース送られてきて、それを送り返したことは、前回書いた。

その翌日、ヨメの携帯に、次男から「何でだよ!」と怒りの電話がかかってきたという。
「何で送ってきたの?」とヨメが聞くと、「何で送り返すんだ!」と、次男は怒鳴ったらしい。

「意味がわからないじゃない!」と、喧嘩腰のヨメ。
「何で送っちゃいけないんだ!」と、同じく喧嘩腰の次男。
喧嘩腰同士の会話は成立するはずもなく、喧嘩したまま、電話は切れた。

まあ、どうでもいいんだよね、オレは。

そんな夜8時。
また、次男からヨメの携帯に電話があった。

「アイツは、何が好きなんだ。ビールじゃなかったのか?」
少しは、低姿勢だったようだが、「アイツ」呼ばわりである。

「アイツ」は、ビールが好きだが、あんたから貰うビールは嫌いだ。
そう言ってくれ、とヨメに言ったのだが、さすがにヨメはそれを通訳しなかった。

次に「アイツは、怒ってるのか?」と、当たり前のことを聞いてきたようである。
ヨメは、それに無言で答えた。

あんたは、自分のオフクロの心配はしないのか?
ヨメに、そう通訳してもらった。

しばしの沈黙の後、次男は「してるんだけど・・・」と語尾を濁したらしい。

だったら、俺に何かを送るより、オフクロの心配を真っ先にしろ。
また、ヨメに通訳してもらった。

すると、「心配してるから送ったんだろうが!」と逆ギレされた。

もっと、違う方法があるだろうが! ばーか!

さすがに、「ばーか!」は、通訳しなかったようであるが、そこで電話を切られた。

これを「戦略・戦術のない喧嘩」という。
つまり、子どもの喧嘩だ。

しかし、少しだけ、言い訳をすることをお許し願いたい。
私は、M家の長男である。
そして、私には85歳を過ぎた母親がいるのだ。

いくら気丈な母親だからといって、長男が、その老齢で病気がちの母親をないがしろにしていい訳がない。
だが、私は抗いがたい事情により、その機会を奪われているのである。

異星人の長男は3階建ての二世帯住宅に住み、次男は5LDKの豪邸に住んでいるのに(ひがみ)、狭い団地に住む私が、異星人の面倒を見るという理不尽な現実。

その結果、私が背負い込まされた「親不孝」の三文字が、私の心を荒ませるのだ。
その現実は、もちろん私の不徳の致すところだと言われれば、返す言葉はない。
己の不徳を人のせいにしてはいけないことは承知しつつ、私は次男に対して棘のある言葉を放つのである。

次男が私に対して見せる「初めての気遣い」。
本当なら、それはありがたく受けるべきなのだろうが、昨年の11月からの「俺の苦労」を思い返したら、私は聖人にはなれないのだ。

スーパードライごときで、水に流せるか! アホンダラ!

唾を吐きたい気分、と言ったら、あまりに非常識だとお叱りを受けるかもしれない。

しかし、それが、私の正直な気持ちなのだ。

異星人の長男にも次男にも、唾を吐きたい気分。

「吐いた唾は、必ず自分に返ってくる」ということはわかっていても、とにかく吐きたいのだ。

夜の11時過ぎ。
また、ヨメの携帯に、次男から電話がかかってきた。
携帯を耳に当てながら、私の仕事場に、ヨメが顔を出した。

「今度、挨拶に来たいって、言ってるんだけど」
ヨメが、遠慮がちに言う。

それに対して、私は頑なに、心の中で唾を吐きながら言うのだ。
「俺に挨拶に来るんじゃなくて、オフクロに会いに行きたいって、何で言えないんだ!」

ああ、ヤダヤダ・・・・・。

困ったもんだよ、この俺の性格。


2009/10/23 AM 07:06:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

荒んだ午前11時過ぎ
なぜかわからないが、異星人の次男からビールが一箱、私宛てに送られてきた。
スーパードライだ。

何を今さら。
何か魂胆があるのか。

常識的な人からは、礼を失しているとお叱りを受けるかもしれないが、そのまま送り返した。
異星人を預かった去年の11月に送ってくるのならわかるが、いま送られてくる意味がわからない。

意味がわからないものには、手をつけない。
私の防衛反応が、完全にそれを拒否したのだ。
ヨメも「陰謀の臭いがする」と言って、賛成してくれた。

ビールは大好物だが、意味のわからないビールは、飲みたくない。
それは、絶対に、不味いはずだ(俺にもプライドがある)。

翌日、久しぶりに大宮の印刷会社からお呼びがかかったので、午前9時半に行ってきた。
この会社の社員たちが、私に対して冷淡であることは、何度か書いたことがある(たとえば、こちら)。

今回も、そうだった。
呼んでおきながら、珈琲は出さない(担当者は、自分だけ専用のコップで飲んでいる)。
「ご苦労さん」の一言もない(俺のほうが遥かに年上だぞ)。
世間話もしない(こちらが話題を振ってみても、ほとんど反応しない)。

心は、確実に下ゲモード。
早く帰りたい・・・・・(断ればよかった)。

「じゃあ、とりあえず、クォークで割付け通り貼り付けといて」
いつもタメ口。
しかも、今回は、出来上がったデータを組版ソフトに貼り付けるだけの単純作業。

インフルエンザで、オペレータが2人休んだ?
だから、仕方がないから、頼むんだと・・・。
まあ、こちらはしがないフリーランスだから、何でもやりますがね。
しかし、もっと血が通った仕事の出し方、言い方ができないものかね。

「11時30分がリミットだからね。後が詰まってるからさ。とにかく、時間厳守」
言ってることは、当たり前のことだ。
しかし、言い方ってものが・・・・・。

腹を立てながら、意地になって11時前に終わらせた。
担当者に、出来上がりを告げると、もちろんねぎらいの言葉は何もなく、私の目の前でデータを検めた後で、それを社内のサーバに送り、彼は無言で私を見つめた。

要するに、もう帰っていいってこと?
しかし、無言はないだろう。
年上を無理に敬えとは言わないが、最低限の礼儀というものは、円滑な人間関係を保つためには、必要なものではないのか。
それが、社会の常識というものでは・・・。

しかし、無言で珈琲を飲みながら、もう一度私を見つめる担当者。

これ、脚色じゃないですからね。
本当に、こんな仕打ちをされたんですよ、オレ(しかも毎回)。

投げやりになって、作業伝票を担当者の目の前に突き出し、サインをもらった。
相手は、無言でうなずくだけ。

あっりがとぉごっざぁいましたぁ〜!

嫌味丸出しの大声で伝票を受け取り、「おっじゃますぃんましたぁ〜」と言って、事務室を出た。

ケッ!

駅まで帰る途中のコンビニで発泡酒を2本買い、1本は歩きながら飲む。
ダブダブスーツ(バーゲン品を買ったので、しかも20年ぶり)の白髪頭のオッサンが、昼間から発泡酒を飲みながら、道を歩く。
当然、人は、よけますわな。
軽蔑の眼差しで、見ますわな。

でも、いいんんだよ。
俺は、アル中なんだから。
見事に開き直るダブダブスーツのアル中。

駅近くの公園のベンチは、鳩の古いフンがこびりついていたが、どうでもいいわ!
フンに座って、死んだやつはいない。

フンに腰掛け、2本目の発泡酒を飲んだ。
時刻は、12時前。

フンまみれのベンチに腰掛けて発泡酒を呷る、ダブダブスーツの荒んだ目をした白髪のオッサン。
そんなやつには、誰も近づきたくないようだ(完全に自虐的)。

行き過ぎる人々は、私の前だけ迂回して足早に通り過ぎていった。
当たり前ですな。

しかし、動物だけは、そんな事情はわからなかった。
首輪をつけていない雑種の犬が私に近づいてきて、私の斜め前に座り、私を見上げたのだ。

目が可愛い。
そして、尻尾を激しく振っている。
頭を撫でたら、犬は、私の右足の横に体を近づけ、寝そべった。
それから、顔だけを持ち上げて、私を見上げるのである。

可愛い。

癒された。

右手で、犬の頭を撫で、体を撫で、左手で発泡酒の残りをゆっくりと喉に流し込んだ。
心の中で毛羽立った怒りが、徐々に体から抜けていくのが、わかる。

12時。
昼メシ時。
そろそろこの公園も混み始めてくる頃だろう、そろそろ帰るか、と思って周りを見回してみたら、私の周りにだけ、大きな空間ができていた。

ダブダブスーツの白髪頭のオッサンと、野良犬の組み合わせ。

たしかに、誰だって、気味が悪いと思いますわな。


2009/10/21 AM 06:46:51 | Comment(3) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

桃太郎は、Mでいい
ときには、真面目な話を。

カメイ金融相の中小企業へのモラトリアム政策
「剛腕」と言われたがっているように見えるカメイ氏は、この件に関して、かなり力が入っているようだ。

瀕死の状態の中小企業は、その「善政」を一時的には、喜ぶだろう。
しかし、もともと自己資本比率の低い、名ばかりの大銀行は、どうなるのだろう。
結果的に、共産社会のように、政府が規制・統制して、最後は国の(国民の)財布を当てにしてしまったら、それはバブル後の世界と、何も変わらないのではないか。

そうなると、「わが国は先進国だ」などとは、胸を張って言えなくなるような気がする。

中小企業が健全な社会は、経済の軸がぶれない活気ある社会である。
だから、中小企業を生かすという政策は、間違っていない。
ただ、それが信用不安を巻き起こすものだとしたら、国民生活さえも犠牲にするものである、と言えないか。

狭い世界の話をしよう。
M家の話である。
我が家が貧乏なのは、私の能力がないからだ。
要するに、金儲けが下手なのだ。

それは、すべてが、自己責任である。
そのことに関して、私は家族にも人様にも迷惑をかけている。
すまん、と思う。

破綻寸前の貧乏一家。
私にも家族にも、モラトリアムな時間が欲しい。
そう切実に思うが、日々の生活は待ってくれない。

時は、止まらないのだ。

モラトリアムは、時を止める政策である。
だから、目先の経済不安を解消するためだけに時を止めるのは、私には愚策に思える。

動いてこそ、経済。

頭のいい剛腕・カメイ氏には、そんなことは、とっくにお見通しだと思うが、剛腕はどのようにして、そのブレを修正するのだろうか。
カメイ氏にとって、久しぶりの政権参加。
連立政権に参加したという「気負い」が、空回りしなければいいのだが。


続いて、光市母子殺害事件

加害者を実名で扱った本に対して、加害者側から出版差し止め仮処分の申請が出たという記事を見た。
当時未成年だった加害者。
当然、少年法の適用を受けて、実名は公表されない。
だから、彼は、最初から「少年A」である。
成人した今も「少年A」だ。

それに対して、実名を公表したメディアもあったと聞く。
ネットでも、公表されたらしい(私には覗き見の趣味はないので詳しくは知らない)。

この犯罪は、人の仮面をかぶった、まさしく鬼畜の所業。
それは、厳しく断罪されるべきだが、裁くのは、メディアではないし、世論でもない。
法だ。

私の持論を述べたいと思う。
私は常々、被害者、加害者のいる事件の報道は、イニシャルで十分だと思っている。

これから書くことを、ふざけている、と怒らないでいただきたい。

たとえば、こんな事件があったとする。
岡山県に住む桃太郎(13)が、鬼が島で赤鬼スケさん(19)と青鬼カクさん(18)を殺害した。
双方が、未成年である。

この場合、通常であれば、加害者は、となり、被害者の表記は、赤鬼スケさん(19)と青鬼カクさん(18)となる。
被害者は、未成年でも、実名表記なのである。
そして、メディアは、赤鬼スケさんと青鬼カクさんの普段の所業を暴き、「殺されて当然」と断ずる。

それは、起きた事件に対して、いかにもバランスの悪い記事であると言えないか。
被害者が、好奇の目にさらされ、中傷の渦にもまれるのである。
それは、理不尽だ。

しかし、だからと言って、加害者Mを「桃太郎」と実名表記して、芝刈り上手なおじいさんと洗濯上手なおばあさんの保護者責任を、あることないこと書き、責めていいということにはならない。
なぜなら、法が「桃太郎」を少年として保護しているからである。

それなら、バランスを取るために、すべてをイニシャルにすればいいではないか、と私は思うのだ。

岡山県に住む(13)が、鬼が島でA・Sさん(19)とA・Kさん(18)を殺害した。

そんな内容の記事では、いけないのか。
そうすれば、被害者が必要以上に貶(おとし)められることはなくなるだろう、というのは、あまりにも楽観的過ぎる考えだろうか。

メディアは、貪欲ですからね。
たとえ、イニシャルで表現したとしても、なるべく加害者・被害者を特定できるようなハイエナ的な文章を書いて、容赦なく両者のプライバシーを暴く可能性もある。
そして、歪んだ想像力を駆使し、してやったりの顔で、自分たちの立てた波紋を傍観者のように眺めるかもしれない。

しかし、それはそれとして・・・・・。
今回の出版に関して、作者は「実名報道だけが取り上げられるのは、本意ではない」などと言っているという。
だが、それは言い訳に過ぎないと、私は思っている。

実名報道は、センセーショナルである。
禁断の実名報道本が出たら、まず「実名報道」が優先されるに決まっている。
だから、それは、はじめに実名ありき、と思われても仕方がない行為であると言える。

もし、作者が、高潔な使命感プロフェッショナルとしての文章力を持っているのなら、実名に頼らなくても「少年A」で、事件の本質は表現できるはずだ、と私は考える。

作者がもし、事件の本質を根底から掘り下げたいのなら、少年犯罪報道に対して「高潔な志」を持つべきだ。
そして、それは、私の考えでは、「実名報道」とは、リンクしない。

高潔、という言葉からは一番遠い位置にあるメディア。
事件の本質を伝えるのに、加害者・被害者の日常を暴くことしかできない彼らには、イニシャル報道は「死活問題」かもしれない。

しかし、事件の本質は、実名だけにあるのではない。
加害者の背負い込んだもの、彼の人格を作った背景、被害者への思い。
それらすべてを伝える作業は、「少年A」で十分こと足りるものだ。

もう一度言うが、犯罪者を裁くのは、メディアではない。
法だ。

さいたま市在住のM・Sさんは、そう思っています。

だって、「桃太郎」は、主人公の名前が「M」でも、お話は十分理解できますから。



2009/10/19 AM 06:50:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | [メディア論]

シナリオ通りの偶然
「嘘みたいな偶然だな」と娘はつぶやいた。

金曜日の朝。
朝メシを食う前に、「学校、行きたくないな」と中学2年の娘が言った。

私は、なんで、とは聞かない。

じゃあ、休んで3連休にしちまうか。
ばあちゃんのマンションの空気の入れ替えをしに行こう。
先月、行けなかったからな。

「おお、行こうぜ!」

これを読んで、親として最低の行為、と眉をひそめる方もいるだろう。
しかし、私は娘を信じる。
娘が学校に行きたくないというからには、余程の理由があるのだろう。

私は、小学3年から高校2年まで皆勤賞だった。
38度以上の高熱があっても行った。
学校には、あちこちに宝箱が埋まっているような感覚を持っていたからだ。

毎日違う宝箱を開けるというワクワク感。
その機会を逃したくないので、毎日学校へ行った。

そして、私の娘も、同じような感覚を持っているという。
だから、娘も学校は休まない。
休む時は、私が親としての強権を発動して、無理に休ませたときだけである(例えばこんなとき)。

その娘が、休みたいと言うのだから、私はその娘の意思を尊重したい。
ということで、異星人が昨年の10月まで住んでいた三鷹のマンションの空気を、娘と二人で入れ替えに行ったのである。

掃除をするほどではなかったので、空気を入れ替え、ガスと電気、水道の点検をし、郵便物を確認して、早々とマンションを出た。
あまり、異星人の基地に長くいたくなかったので。

「腹へったぞい」

午後1時30分過ぎ。
昼メシ時である。

三鷹駅前まで戻って、昼メシを食うことにした。

ラーメンがいいか、それともカレー、ファーストフード、ハンバーグ、何でも言ってくれ。

「じゃあ、通りを歩いて、一番先に目に入った店に入ろうぜ」

一番最初に目に入ったのは、スパゲッティ屋さん。

決して店構えは、綺麗ではない。
だが、雰囲気は悪くない。
いいのか?

「いいんだよ、食べられれば!」

まったく、この娘は、いつも私と同じ発想をする。
私もそうなのだ。
腹が減ったら、何を食っても同じ。
中味は、どうでもいい。

店内は、壁の両サイドに3つずつのテーブルが並び、奥にL字型のテーブルがある。
そのテーブルの中が、厨房のようだ。

「いらっしゃいませ」
タレントの麻木久仁子に東南アジアのテイストを注入したような30歳前後の女性が、カウンターから声をかけてきた。

店内左奥のテーブルに、席を取った。
先客は、1人だけだ。
首の長い白髪頭のオッサンが、L字型のカウンターの一番奥にいた。

何を頼む?
「面倒くせえ。ランチでいいだろう」
確かに、考えるのは、面倒くせえ。

ランチを二つ頼んだ。
トマトの冷製パスタとオニオンスープだった。

「なんか、埼玉くさい店だな」
我が家では、唯一埼玉生まれの娘が、ゆっくりと店内を見回しながら、安心したように呟いた。
埼玉くさい、イコール田舎くさいってことか?

「まあ、そうだな。なんか落ち着くな。このオニオンスープも埼玉の味だな」
それは、違うと思うが。

トマトの冷製パスタは美味かった。
パスタの茹で具合は完璧だし、トマトも缶詰ではなく質のいいものを使っていた。
オリーブオイルは癖があるが、にんにくとタマネギがからんだ時、バランスがよくなる。
上にのせた大葉が、絶妙のアクセントになっていた。

美味いな。
目と目を合わせてうなずく、似たもの親子。

そんなとき、カウンター席から声が聞こえた。

「ミキちゃんの作る料理は、いつも最高だね。これは、全国展開のチェーン店を出しても、絶対成功するよ。
ミキちゃんは、もっと欲を出した方がいいよ、って俺は思うよ・・・ね

親しい人の声でない限り、その人の声だけを聞いて、相手を特定することは難しい。
しかし、この「〜よ・・・ね」の部分で、私の記憶は、4年前にタイムスリップしたのである。

アイツか。

4年前の2月。
M印刷。そこの社長のM氏。確か60歳を過ぎていたと思う。
22万5千円の請負代金が、その月、振り込まれなかった。

抗議をすると、軽薄な声で「Mさん、15万円にまけてくれたら、翌月に絶対にお支払いしますよ・・・ね
面倒な駆け引きはしたくないので、請求書を15万円に書き直して、翌月を待った。

そして、翌月の10日。
M印刷に行ったら、「当社は、3月1日付けをもって、営業を停止いたしました」の紙が貼られていた。
当然、事情を聞いてみた。

「しかし、ないもんは、ないんですよ・・・ね

「〜よ・・・ね」
まったく同じイントネーションではないか。

しかし、M印刷は、さいたま市の会社だった。
そして、M氏は、奥さん共々北海道の出身だと聞いたことがある。
その人が、なぜ三鷹のパスタ屋さんに?

そんな偶然があっていいものか、と思いながら、「この踏み倒し野郎が!」という目線を、店の隅のオッサンに向けて送った。
殺意を含んだ目線は、伝達密度が高いようである。

4年前と同じく、長い首の上に、鶴のように痩せ細った貧相な鳥顔が、こちらを向いた。
からみ合う視線。
こちらは確実に殺意を含んでいる。
負けるわけがない。

相手の鶴は、4年前の自らの悪行を思い出したのであろう。
驚愕の表情で固まる白髪頭の鶴。
肩に力が入るのが、3メートル20センチの距離から確認できた。

ここで、文句を言ってもいい。
それは、許される行為だろう。
しかし、今日は娘がいるのだ。
娘の前で、醜態は見せたくない。

だから、私は娘に、こう話しかけた。

4年前、M印刷っていうお得意さんがあったのを覚えているかい?

ヨメと息子は、あまり私の仕事のことを聞かないが、娘は、知りたがった。
仕事に関して、私のほうから話すことはしないが、娘が聞いてきたら、いつも答えるようにしている。
だから、M印刷のことは、娘も知っているはずだ。

「ああ、4年前に、トンズラした会社だろ。M印刷から入金があったら、家族でスキーに行こうと思っていたんだよな。
でも、トンズラされたんで、ボツになった。あの無責任な会社だろ!」

そうだ。あそこからの入金があれば、楽しい旅行ができたんだよな。
まったく、無責任極まりないな。
もし今Mのやつが目の前にいたら、どうしてやりたい?

娘が、両方のコブシを強く握って、それを小刻みに揺らした。
「もちろん、グーで殴ってやるさ」

それが聞こえたのか、カウンター奥のM氏は、長い首を壁側にひねって、壁とお見合いをした。

「でも、何で今ごろ、そんなことを言い出したんだ。4年前の話だろ」

本当に、何でだろうな?
なあ?

勘のいい娘は、ゆっくりと振り返って、壁とお見合いをしている鶴の姿を発見した。
そして、私のほうに顔を戻して、大きくうなずいた。
そして、少し声のトーンを上げて、こう言った。

「まあ、今さら殴ってみても、仕方ないよな。
殴る価値のあるやつだったら、殴るけどな」

よく言った!
さすがだ! さすが、俺の娘だ!

ふたりで、大きくうなずきあった。

鶴は、依然として、壁とお見合いをしている。

しかし、この不思議な偶然。
娘が、学校を休みたいと言わなければ、三鷹に来ることはなかった。
そして、娘が「一番最初に目に入った店に入る」と言わなければ、鶴には、出会わなかった。

決して愉快な出会いではなかったが、偶然ってやつは、面白い。
本当に、面白い。

しかし、このシナリオは、いったい誰が書いているんだろう。



2009/10/17 AM 07:19:04 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]

2歳児と遊ぶ酔っ払いオヤジ
人さまの家の風呂に入り、ソファで熟睡。

そんな非常識なことをするやつは、人間のクズだ。

私のことですが・・・・・。

何度かブログに書いたこと(たとえばコチラ)があるが、同業者に一流デザイナーのニシダ君というのがいる。
彼は、かつて私の弟子だったが、独立してすぐに私を追い越し、今では一流企業相手に「Macでお仕事」している。

彼の文字使いのセンスは、最初から際立っていたが、「色彩検定」の資格を取ってからは、デザインセンスが大幅に向上した。

彼は、もはや弟子ではない。
師匠、と呼んでもいいくらいだ。

実際、私は文字使いや色彩に悩んだ時は、必ず彼に相談するようにしている。
完全に、立場逆転である。

しかし、こんなどうしようもない男でも、ニシダ君は「センセイ」と言って、立ててくれる。
いいやつだなあ、とつくづく思う。

さらに彼には、チヅルさんという奥さんがいる。
このひとが、恐ろしいほどの大酒豪なのだ(しかしナウシカ似の美人)。

チヅルさんは、朝からバドワイザーやハイネケンを飲む。
私がニシダ君の事務所に行くと、たいてい彼女がいるのだが、左手に缶ビールを持っていない姿を、ほとんど見たことがない。

「センセイ、一緒に飲みましょ」
チヅルさんは、私のことを最初は「Mさん」と呼んでいたが、結婚してからは、「センセイ」になった。

朝から、ビール?

飲みましょう。

ということで、いつもニシダ君を差し置いて、酒盛りになる。
気がついたら、二人で1ダース空けていた、などということもあった。

昨日、久しぶりに、ニシダ君の浦和の事務所にお邪魔をした。
Macの調子が悪いというので、様子を見に行ったのだ。

ニシダ君は、デザインセンスは一流だが、機械音痴である。
少しでも機械の調子が悪いと、パニックになる。

「ど、ど、どうしましょうか、センセイ!」
たいした症状ではないのだが、哀れになるくらい、うろたえるのだ。

だ、だ、大丈夫だよ! 俺がすぐ直すから。

今回もレスキューオヤジが、参上した。
しかし、チヅルさんと、もうすぐ2歳の娘はいたが、本人は歯医者に行っていて、いなかった。
虫歯が急に痛み出したらしい。

玄関で出迎えてくれたチヅルさんの左手には、バドワイザーがなかった。

もしかして・・・・・?

「はい、二人目が、おなかに」

そうか、酒盛りを期待していたのだが・・・、クソッ!

しかし、「センセイのために、銀河高原ビール、取り寄せておきました」と、チヅルさん。
それを聞いて、いい嫁さんになった、とナミダ目でチヅルさんを見る、アル中オヤジ。

2歳の子どもを膝に乗せ、銀河高原ビールを立て続けに飲んだ。
「ビール、おいちい?」と、子どもが聞くので、「おいちいデチュ」と答えた。

チヅルさんの目に軽蔑の光が宿ったような気がしたが、気にしない、気にしない。

2歳児と遊んでいる(遊ばれている)うちに、銀河高原ビールを3本飲んだ。
つまみは、スモークチーズ、カマンベールチーズだけ。

ペースが速かった分、酔いが回るのが早かった。
この状態では、機械の調子を見ることができない。
そこで、チヅルさんに、非常識なお願いをした。

「少しだけ、冷たいシャワーを浴びてもいいかな」

ヨゴザンス!(何時代の人)

冷たい水が、肌を突き刺す。
酔いで火照った身体に、それは心地よい刺激を与えてくれた。

ついでに頭を洗った。
身体も、高価そうなボディソープを大量に泡立てて、綺麗に洗った。

爽快だ!
生き返った。

バスルームを出ると、2歳児に「ドウジョ」と、また銀河高原ビールを手渡された。
ニヤケながらそれを一気に飲んだ。

そして、2歳児を腹の上に乗せたまま、寝てしまったんですよ。

気がついたら、外は暗くなっていた。
ニシダ君も帰っていた。
後頭部に違和感を感じて触って見ると、完璧な寝癖がついて、髪の毛が逆立っていた。

照れ笑い。

身体を起こすと、テーブルには、夕食が盛り付けられていた。
数をかぞえると、4人分あった。

もしかして、俺の分もあるの?

「もちろんですよ」
満面の笑みのニシダ君とチヅルさん。

も、も、申し訳ない、と言いながら、速攻でMacの調子を見た。

File Buddyで検索してみたら、壊れているファイルが1個あって、それがMacの動作を重くしていたようである。
そのファイルを取り除いたら、動きが軽快になった。

ニシダ夫婦が、それを見て感心した。

「ね、このおじさんは、ただの酔っ払いじゃないんデチュよ。役に立つんデチュよ」

チュゴイ! チュゴイ!

2歳児に、頭を撫でられた。

かなり、幸せな気分になった。

そんなオレって、変でしょうか?



2009/10/15 AM 07:02:52 | Comment(2) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

ノムラとマツイ
楽天のノムラ氏が嫌いである。

それは、私の中で、自民党が嫌い、演歌が嫌い、東京ジャイアンツが嫌い、というのと同レベルのものだ。

「試合に勝ったら俺のおかげ、試合に負けたら選手のせい」という姿勢が嫌いなのだ。

こいつの性格、まるでジャイアンそのものじゃないか。
だから、嫌っているのだと思う。

阪神タイガースの監督を3年。
すべて最下位だった。

その結果を選手のせいにして、ノムラ氏はいまだに、名監督の冠を得ている。
楽天でも2年間Bクラスだったらしい。

「このメンバーで優勝を期待するのは無理だよ」
最初から、匙を投げているのだ。
戦う前に、煙幕を張って自己弁護をしている、その姿勢が嫌いだ。

しかし、今年はAクラス(らしい)。

このメンバーでAクラスに入ったのだから、「俺のおかげだよ」。
得意気に見える。

マスコミ向けに色々なことを毎回ボヤいている様が、ネットのニュースの中で取り上げられている。
見出しだけしか読まないので、その「名作ボヤキ」の独演会の内容は、まったく把握していない。

それは、かなり過激なボヤキのようだが、それは直接選手に発言したものなのか、マスコミ向けだけのものなのか、いまひとつ理解できない。

もし、それが選手を蚊帳の外においての「マスコミ向けのサービス」だとしたら、私のノムラ氏への印象は、さらに悪くなる。

選手に恥をかかすのが、監督の役割なのか。
「それは、最低だな」
そう思ってしまうのだ。

ただ、そのボヤキを直接選手に(あるいはコーチ経由で)伝えているとしたなら、「名監督」とまではいかないが、まあ許せるオッサンだと思う。
はたして、どちらなのだろう?

ただ、どちらにしても、ひとつのチームを3年間最下位にした監督が「名監督」のわけがない。
戦力分析が手探りの1年目はともかく、3年間、手持ちの駒を機能させることができない指揮官のどこが「名」だ?
世界中のどこにも、3年連続最下位の指揮官が、「名監督」の評価を受けた前例は、おそらくない。

彼は、よほど「マスコミ操作」が優秀な監督なのだろう。
あるいは、華麗なる催眠術師か・・・。

まあ、自己弁護が上手いのは、どこの国でも「優れた管理職の条件のひとつ」らしいが・・・。

ノムラ氏が、今年で監督を辞めるという情報もある(見出ししか見ていないので)。
しかし、ノムラ氏はボヤキのプロフェッショナルなので、表向きは球団批判をしつつ、球団と適当なところで折り合いをつけながら、最後はボヤキタレントとして、確固たる地位を築き上げるだろうと私は思っている。
薄ら笑いを含む毒舌と、自己弁護を適当に散りばめつつ・・・・・。

それに対して、マツイ。
ヤンキースのマツイのことである。

もちろん、ノムラ氏と同じく、私にはインターネットの上っ面の報道でしか、情報を知ることができない。
しかし、明らかに作為の見える報道だとしても、それを上手に咀嚼吟味したら、彼らの人間性がうかがい知れると言ったら、それは独善的過ぎるだろうか。

マツイは、昨年の終わり、膝の手術をして、万全ではない状態で今シーズンを迎えた。
アスリートにとって肉体にメスを入れることが、どれほど重大なことか、それは想像するしかないが、相当な不安に苛まれたであろうことは、何となくわかる。
レギュラーが約束されていない不安定な立場。

しかし、泣き言を言わないマツイ。
自分の体に対して達観したようなコメントを残すマツイ。

私にとっては、その存在を認めたくないほど嫌いな東京ジャイアンツ。
だから、東京ジャイアンツ時代のマツイには、まったく興味がなかった。
彼がどれだけホームランを打っても、「へぇ〜、そう? だからなに?」という感想しか持てなかった。

大新聞の販促用に作られた野球チームなど、存在意義があるのか、と思っていた。
マツイに関しても、大マスコミの傘に守られた、温室栽培の花のように思っていた。
温室栽培の中で作られた実績に、どれほどの価値があるのか。
(東京ドームは、非力のバッターでも、何であんなに球が飛ぶんだ!)

ジャイアンツを優勝させよう!
ワッショイ! ワッショイ!
ジャイアンツが優勝すれば、新聞が売れる!

だから、選手には、上げ底の靴を履かせて、一流に仕立て上げよう。
世論は、お祭り記事に乗せられる。
俺たち大マスコミには、何でもできる。

ワッショイ! ワッショイ!

大きな偏見を持っていた。

だが、言い訳をせず、怪我と向き合うメジャーリーグのマツイを見て、私の考えが少し変わった。

彼は、イチローのように、メジャーでのポジションは一流ではないが、アスリートの生き様としては、一流なのではないか、と近年私は思い始めている。

ケガを言い訳にする男たち。
負けを選手のせいにする監督。
勝利を傲慢なボヤキで独り占めにする監督。

そんな男たちと対比したら、マツイは、その成績以上に賞讃してもいい存在だと思う。

ただ、私は、今でもマツイには、あまり興味がない。

しかし、薄っぺらではないその存在は、アスリートとして大きいと感じている。
イチローの記録は、とてつもなく大きいが、その「アスリートとしての総合的な品位」を比べたら、マツイと同等に思える。

マツイは、言い訳をしない。
その一点だけを取って、私は彼を認めるのである。

そして、ボヤキ老人は、「活字という戦略」の中だけに存在する「自己弁護の達人」として、日本球界で大きなポジションを、これからも占めていくだろう。
(老人の言い訳の垂れ流しをありがたがるメディアのおかげで)

ボヤキ老人のファンには申し訳ないが、彼の感情だけが表出した言葉の羅列は、品性のカケラもないと感じている。

それに対して、マツイには、メジャーリーグのどこかで、来年も「品格ある姿」を見せてくれることを願っている。

ただ、メディアは、「品格」よりも「老人性ボヤキ」の方が、お好き・・・・・。



2009/10/13 AM 06:45:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | [メディア論]

友だち・奥さん・家出・大損害
急ぎの仕事を終え、脱力感に浸っていた午後3時14分。
iPhoneが、震えた。

京橋のウチダ氏だった。

「悪いな。もし時間が少しでも空いていたのなら、相談に乗って欲しいんだが」
私の知り合いの中で、(私を除いて?)一番のイケメン・ウチダ氏が、どこか切羽詰ったような口調で語りかけてきた。

彼は、坂口憲二を草食系にした男だと表現すれば、一番わかりやすいだろうか(余計わかりにくい?)。

ウチダ氏は、私よりだいぶ年下だが、彼とは「俺おまえ」に近い関係で、友だちの世界を築いてきた。
一方的に相談を持ちかけられることのほうが多いが、私は心のどこかで、それを楽しみにしている自分がいることに、小さな喜びを感じていた。

今どこだ?

「大宮の手前だな」

すぐそこまで来ていたようだ。
要するに、緊急の用だということだろう。

だから、近所のガストを指定した。

いつもながらの高級そうなスーツに身を包んだウチダ氏。
薄っぺらな男が、そんな格好をしたら反感を買うだろうが、体の内側から品のよさを漂わせるウチダ氏なら、それは許される。

しかし、イケメン・ウチダ氏の顔は、切迫していた。

「Mさん、助けてくれないか」

しかし、まずはビールだろう。

「ああ、悪かった。そうだよな。それがなければ、始まらないよな」
ウチダ氏は、少しばかり焦点の合わない目で私を見つめ、無理矢理、笑顔を作った。

こんなウチダ氏を見るのは、長い付き合いで初めてだった。
ウチダ氏の顔は、心なしか蒼ざめているように見えた。

マヨコーンピザをつまみに、ジョッキを飲んだ。
ことさらに、ゆっくり飲んだ。

ゆっくり飲んでも、ウチダ氏の顔は、蒼ざめたままだった。
いつもなら余裕のある目の動きが左右に揺れて、苛立ちを感じさせた。

ジョッキを3分の2あけたところで、「どうした?」と聞いてみた。

ウチダ氏の目は、相変わらず左右に揺れて、頻繁に唇を舐めていた。
それは、自らイケメンを放棄する仕草だった。

「女房が戻ってこないんだ」
「切迫」という言葉しか思い浮かばないほど、思いつめた表情。

奥さんが、戻ってこない?
いつから?

「昨日」
肩に力が入ったまま、ウチダ氏は、大きなため息をついた。
それは、獣の唸り声に聞こえた。

心がどこかに飛んでいるウチダ氏に、詳しい事情を聞いてみた。
いつもは理路整然と説明できる男だが、混乱しているせいで話が前後して、全体像をつかみづらかった。
何度か聞き返して、それなりに事態を理解した。

ウチダ氏の奥さんは、株が趣味だったという。
ただ、動かす金額は、それほど多くはない。
常識的な額を、堅実に、慎重に運営していたから、大きくは儲けないが損もしないという、いいバランスの中で運用していたという。

それが、今回大きな損失を出した。
その額が、いくらかは聞かなかった。
ただ、それは大きな額だったが、家庭を壊すほどのものではなかったという。

しかし、ウチダ氏の奥さんにとって、そのショックは大きかった。
「少し、頭を冷やしてきます」というメモをウチダ氏の書斎の机に残して、奥さんは家を出たらしいのだ。

奥さんを怒ったのか?

「怒らないさ。俺の仕事が軌道に乗るまで、あいつに助けられたことが、何度もあるんだ。
俺が怒る理由なんて、ない」

さすが、賢明なウチダ氏だ。
ここで怒ってしまったら、奥さんは、確実に居場所がなくなるだろう。

奥さんの友だちにも、遠まわしに聞いてみたが、奥さんが立ち寄った形跡はないという。
心当たりのあるところは、すべて当たってみた。
もちろん、奥さんの携帯にも、何度かかけてみたようだ。

繋がらないか?

「電源は入っているが、出ないんだ」

留守電は、入れてみたか?

「ああ、二度・・・・・。しかし、返事はない」

憔悴しきった顔で、私の目を見つめるウチダ氏。
テーブルの上の珈琲は、手付かずである。
私だけが、2杯目のジョッキを手にしている。
そして、ピザを口に運ぶ。

ピザを咀嚼しながら、「まあ、たった一日だからな。大げさにすることはないと思うが」と、ことさら間延びした口調で、外の景色を見ながら、ウチダ氏に話しかけた。

二、三日待つという選択肢もあるんじゃないか。
ひとりになりたいって意思も、尊重すべきだと思うが。

「しかしな」と、ウチダ氏の肩に、また力が入る。

ウチダ氏は、首を大きく横に振って、歯に力を込めた。
「自分の連れ合いが苦しんでいるのに、何もせずにほったらかしにするほど、俺の神経は太くないんだ」
そして、目にも力を込めて、私を見つめた。

「心配することは、いけないことなのか? 俺たちは14年間連れ添った夫婦なんだぜ」

わかった。
じゃあ、ここは、俺が、電話するべきだな。
私がそう提案すると、ウチダ氏の肩から、少し力が抜けた。

「頼めるか?」
必死の形相。
ウチダ氏の顔が、すぐそばまで、迫ったような気がした。

教えられた番号に電話をした。
想像していた通り、相手は出なかったが、留守電を吹き込んでおいた。

「家を出るなら、家族いっしょにでしょ。絶対に家族旅行のほうが、楽しいですよ。ウチダのご意見番より」
という、ふざけた留守電だった。
内容もふざけていたが、ピザを食いながらだったから、滑舌も悪かったと思う。

「いたずら電話?」と思われても仕方がないものだった。
しかし、深刻になるよりはいい。
混乱した頭には、ちょうどいい「熱さまし」になるのではないか、とノーテンキに考えた。

ウチダ氏は、私が電話をかけるのを聞いて、その内容の酷さに、うなだれていたが、2分後に電話があった。

「Mさんですよね」というので、「そうです。Mです」と、ジョッキを呷りながら答えた。
「ウチダは、心配していますよね」と聞かれたので、「そうです。心配しています」と答えた。
「怒っていますよね」と聞かれたので、「ウチダは、そんなことで怒るやつじゃない!」と、私が怒った。
そして、もう一度「心配はしているが・・・」と付け加えた。

沈黙・・・・・。

ウチダ氏が、私の愛しきiPhoneをひったくりそうになったので、賢明に阻止をした。

そして、ウチダ氏との小さなバトルの後、「ウチダが迎えにいきます」と私は言った。

さらに、22秒の沈黙が続く。

息を吸う音。吐く音。

「お願いします」

私が、ウチダ氏の顔を見て頷くと、ウチダ氏は、中腰になって「場所は!」と怒鳴った。
店内の空気が震えて、視線がひとつのテーブルに集まった。
イケメン・ウチダ氏の顔は上気して、違う空気を店内の隅々にまで放散した。

iPhoneの中だけが、冷静だった。
ウチダ氏の奥さんが、小さな声で、場所を告げた。
品川駅前のホテルだった。

いま、ウチダが行きます。そこなら、2時間も、かからないでしょう。

中腰のウチダ氏に、場所を教えた。
ウチダ氏は、中腰のまま、私の両肩を強く叩いて、頭を下げた。

そして、人間業とは思えない勢いで席を立ち、ガストを出て行った。

それを見送る、薄っぺらな「好奇心」という名の視線たち。
冷淡な視線たち。

その冷淡な視線が、瞬く間に消え去った店内で、私は正気に戻った。

ん? もしかしたら、この店の支払いは、俺持ちか?

なんだよ! 損しただけかよ!



2009/10/11 AM 08:11:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

そして、田端事件
少しばかり、愕然とした出来事。

昨年の12月に7年ぶりに、ある工務店から仕事をいただいた(それに関してはコチラ)。

7年前は、冴えない会社だったが、久しぶりに行ってみたら景気のいい会社になっていた。
北区田端にある、その会社からは、今までに昨年の12月、今年の2月、5月の3回仕事をいただいた。
B4のチラシの仕事だ。

その会社では、ほぼ毎月B3のチラシを出しているが、そちらの方は、他の企画会社が請け負っていた。
工務店のチラシにしては珍しく、淡い色調のチラシだった。

だから、私が作るチラシも、イメージを損なわないように淡いトーンでデザインした。
反響は、それなりにあったという。

「Mさん、効果ありましたよ。やっぱり色んな形で告知しないと、弱小企業は世間に認知されませんね」
喜んでいただいたようだ。

それなら、B3のチラシの方も、私にやらせてくれませんかね。
今度お呼びがかかったら、さりげなくそう提案してみようかと思った。

しかし、なかなかそのお呼びが、かかってこなかった。
7月にお中元を贈ったのだが、何の反応もなかった(下心見え見え)。
8月のお盆前に電話をしたときは、社長の奥さんに「いま、それどころじゃなくて」と、慌しく電話を切られた。

何があったのか、と思った。

久々にその会社の社長から電話がかかってきたのは、一昨日の朝だった。
「明日、来られますか?」と聞かれたので、「はい」と即答した。

そして、台風が去った昨日の午後3時、乱れに乱れたJRのダイヤにヘトヘトになりながらも、行ってきたのである。

会社内に一歩足を踏み込んだだけで、空気の違いを感じた。
新築のビルのワンフロアを借り切って、机とキャビネットを整然と配置しているのは、以前とまったく変わっていない。

しかし、見通しが良すぎるのだ。
5個ずつ2列に並んだ机の上には、まばらにパソコンが置いてあるだけ。
営業も事務もいない。

午前11時。
普通の会社なら、昼飯前の一番活気がある時間ではないのか。

私が、無人の事務所を見渡し、戸惑いながら声をかけると、社長は窓際の応接セットから立ち上がって、「こっちこっち」と手招きした。

応接セットに座って、社長の顔を真正面から見ると、その憔悴した様子に、愕然とした。
5ヶ月前と比べて、明らかに10キロ近く体重が減っているのではないだろうか。

社長は、以前「『80キロを超えないように』って、女房から釘を刺されてるんですよね」と、苦笑いしながら言っていた。
つまりは、80キロ近い体重があったということだろう。背は、165センチくらいか。
しかし、目の前の社長は、確実にしぼんで、顔にも精気が感じられなかった。

5ヶ月前、「世の中、まだまだ不況ですが、うちは上期、何とか前年並みの実績でいけそうですよ」と誇らしげに言っていた面影は、どこにもない。

壁にかけられているゴッホの自画像のレプリカも、淋しげで、表情が戸惑っているように見えるのは、気のせいか。

「Mさんは、温かい珈琲しか飲まないっていうんで、缶コーヒーを買ってきましたよ。自動販売機で、もうホットを売っているんだねえ。季節は、早いわ」
そう言う社長の目の周りには、隠しようのない疲れが浮いていた。

いくら鈍感な私でも、事態の深刻さは察したが、「しかし、なぜ」という疑問も浮かぶ。
5ヶ月前の、あの活気はどこへいったのか。

穏やかだが、自信に満ちた顔の息子の姿も見えない。
いかにも気配り上手という、好感の持てる社長の奥さんもいない。

それに・・・・・・・、
この状況で、私に仕事を出せるはずもないだろう。
だったら、なぜ私を呼んだのか。

私の訝しげな視線に気づいた社長は、一度大きくため息をついて、首を2、3度小さく振った。
そして、俯いたまま話し始めた。

4月に請け負った3棟の施工で、立て続けにミスをして、想定外の損害を出したらしい。
それまでの業績は、決して悪くはなかった。
だが、今回の損害は、その業績を吐き出すものだったらしい。
収支の穴を埋めるためには、銀行からの融資というのが、当然の選択。

ただ、それなりに健全経営をしていても、銀行は、最低限の融資しかしてくれないものだ。
そして、間が悪いことに、営業が請け負い代金を着服するという事件も起きた。
5年以上勤めていた営業だから、完全に信用していたというのだ。
おそらく倒産してしまっては、給料も退職金ももらえなくなるので、不正な手段に出たのだろう。

坂道を転がり落ちる時は、早い。
まだ、倒産というところまではいっていないが、「もう、時間の問題ですな」と、社長は肩を落とした。

そして、未練のこもった表情で、「5千万、融資してくれれば」と言って、身体をソファに沈み込ませながら、小さく唸った。

5千万。
気の遠くなるような額である。
想像もつかない。

ただ、素人考えであるが、健全な会社なら、条件を満たせば融資を受けられる範囲の額である、とも言える。
最終的には銀行からの融資になるとしても、プロセスの中で他の機関を使えば、道はあるのではないか、と。

しかし、社長は力なく首を振る。
「息子が毎日あっちこっち駆けずり回っているが、ダメだね。俺は、ここまで信用がないのかと、絶望的な気分だよ」

そこまで絶望的なら、私が言うことは何もない。
で、私に何のご用でしょうか?

「パソコンの中に、CADデータが入っているんだが、それぞれのパソコンに入ったデータをひとつにまとめたいんだ。できるよね?」

要するに、パソコンを独立して使っていて、それぞれの連携がなかったらしい。
一応LANは組んであるのだが、サーバがなかった。
つまり、データがバラバラに散った状態だった。
それをまとめて欲しいということだ。

「万が一倒産しても、データは財産として残しておきたい。息子がそう言うんでね」
ミネラルウォーターを喉に流し込みながら、社長は力なく笑った。

了解した。
外付けハードディスク1台あれば足りる問題だが、便利なネットワーク接続型HDを導入した方が、柔軟な対応ができるだろう。

その場で、私が、かなり割り引いた見積り(ほとんどボランティア)を書いて見せると、「やっぱり、前払いの方が安心だろ」と、社長は少し卑屈な目になって、私を見た。
それは、私の心を重くする、「大きな負」を感じさせる目だった。

しかし、私は負のエネルギーを振り払うように、こう言った。

当然です。
それが、商売というものですから。

それに対して、「2割引いてくれる? お願い!」と、少し下卑た自嘲気味の表情を作って、社長は片手で拝む仕草をした。

その姿を見て、今度は悲しくなった。
人間は、弱いな。
ベクトルがマイナスに向かったとき、人は本性を出すものなのか。

なんか・・・・・、ヤダな・・・・・。

意地悪く「ダメ!」と言ってみてもよかったが、私の顔は、善人の笑い顔を作っていた。
そして、善人顔のまま、頷いた。

そんな自分の善人顔に、落ち込んだ一日だった。


2009/10/09 AM 07:04:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

クライアントは、オレ様か
クライアント様に、言いたいことがある。

今週の月曜日、ドラッグストアのチラシの最終稿を持っていって、オーケーをもらった。
「ご苦労さまです」とも言われた。

あとは、印刷会社にデータを送るだけだ。
校了になったときは毎回のことだが、身も心も軽くなって、家路についた。

浦和駅から最寄り駅。
最寄り駅の改札を通り、階段を下りて、地下の駐輪場に向かおうとしたときのことである。

「おい! あんた!」

恐ろしいほどの大声が聞こえた。

私の周りにいるひと全員が、声のした方に顔をひねった。
それほど、非常識な大声だった。

人さまを「おい! あんた!」と呼ぶ人間に、真っ当なやつはいない。
ヤクザさまだって、もう少し上等な礼儀を持っていると思う。
その意見は、おそらく多くの方々の賛同を得られるはずだ。

駅前のロータリー。
車の中から、見覚えのある顔が覗いて、私を手招きしているのが見えた。

ロータリーは、車を停めるところではありません。
バスも入ってくるし、他の車も頻繁に行き来している。
占領していい場所ではないのだ。

しかし、声の主は、「尊大」という呼び名が、一番似合う男だった。
この人に関しては、コチラコチラのブログに書いた。

それをお読みいただくと、私が彼を嫌う理由が、おわかりいただけると思う。
嫌いなやつ。
だから、無視をしてもよかったが、無知な男に「一般常識」を教えるのも、大人の役割である。

近づいて、「ここは、車を停めるところではありません」と、当たり前のことを言った。
すると、スドウ氏は、意味のわからない外国語を聞くような顔をして、少しの間、放心状態になった。

おそらく5年ぶりに会うスドウ氏。
電話では2、3度話をしているが、友好的な会話をした記憶がない。
私が、「オレ様キャラ」のスドウ氏に、毎回腹を立ててしまうからである。

スドウ氏は、すぐに放心状態から戻って、オレ様を復活させた。

ふんぞり返るように顎をしゃくって、車をロータリーのはじへ移動させた。
普段だったら、無視するところだったが、今日は、ひとつの仕事が終わって開放感を味わっていたところだ。
少し、心が広くなっていたのかもしれない。

スドウ氏の車についていって、窓越しのスドウ氏と話をした。
5年ぶりに見るスドウ氏は、私の記憶どおりの角度で、体を反り返らせていた。
つまり、5年経っても、オレ様。

いかにも血圧の高そうな赤ら顔は、5年前と変わっていなかった。
頭を覆うカツラ(?)も、同じ位置に存在していた。

「あんた! もう、仕事やめたんだろ!」

いいえ、やめてませんが。

「じゃあ、なんで、電話が繋がらないんだ! モグリで、仕事してるのか!」

私は、屋号を掲げ、税金も毎年欠かさずに納めております。けっして、モグリではございません。

「じゃあ、なぜ、繋がらんのだ!」

それは、固定電話をやめたからでございます。
そして、携帯電話の番号も変わったからでございます。
ただ、そのことをそちら様に教える義務はないと、私が勝手に判断いたしました。
なぜなら、5年間に1度しか仕事を出してくれない会社とは、お付き合いをしたくないからでございます。

「ちょうどいい、急ぎの仕事があるんだがね!」

まるで、ひとの話など、最初から聞く気はないと言わんばかりに、ひとの話に言葉をかぶせて、また大声で話すオレ様。
進歩のない男だ。

「囲碁サロンのポスターをレイアウトして、インクジェットプリンタで5部出力。サイズは、A2。明日の5時までに頼みたい」
大声は、まだまだ続く。
「いくらで、やる?」

進歩のないオレ様には、日本語は通じないようだが、一応無駄だとしりつつ、日本語で返事をした 。

10万円ですね。

つかの間、スドウ氏が、息をのんだ。
そして、それを恥じるように誤魔化すかのように、また大声で吠えた。
「馬鹿か、あんた! なぜ、そんなに高い!?」
スドウ氏は、血圧の数値が30以上あがったような赤い顔をして、私を睨んだ。

私の場合、1日拘束されて5万円です。
2日なら、10万円。簡単な算数ですね。
(もちろん、嘘です。そんな素晴らしいギャラを毎回いただいていたら、私は間違いなくメタボおじさんになっていただろう)

赤鬼のような顔で睨まれた。
あるいは、ゆでダコ。

私のほうは、睨むというほどではないが、スドウ氏の目を覗き込んだ。
何度か書いているが、私はにらめっこは得意である。
いくらでも黙って相手の目を見つめていられる。

ただし、筋者(すじもん)の顔は、怖くて見ていられない。
また、仲間由紀恵さんクラスの美女の目も、恐れ多くて見ることができない。

だた、目の前の男のように、ただハッタリだけで生きてきた人間の目だけは、怖がらずに、いくらでも見つめていられる。
だから、にらめっこをした。

しかし、スドウ氏は、つまらない人だった。
にらめっこは、1分も続かずに、「チェッ」と大きく舌打ちをして、逃げるように車を出したのである。

サヨウナラ〜、オレサマ〜〜〜〜!
5年後にオ会イシマショウ〜〜〜!


さて、ここで、真面目な話をしておきたい。

クライアントは、少しも「偉い人」ではない、と私は思っている。
どんな時でも、仕事を出す方、請ける側は、対等である。

お互いを尊重し、尊敬し合わないと、いい人間関係は築けない。
仕事は、「やるもの」でも「与えるもの」でもない。
お互いが、作り上げるものだ。

それを勘違いして、仕事を出す側が「オレ様」になるのは、仕事の本質を理解していないとしか思えない。

仕事は、共同作業。
片方が片方に隷属を強いるような関係では、決して「いい仕事」は、生まれない。

私は、そう思っているのだが、違うだろうか。



2009/10/07 AM 06:33:46 | Comment(3) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

メールの不具合、オレの不具合
メールの具合が、またおかしくなった。

以前も書いたと思うが、春先までMacOS9対応の古いメールソフトを使っていた。
それは、開発が中止されたものだったから、サポートが受けられず、一度開いた文字化けしたメールは、ただの記号のオバケとなって、ゴミ箱に捨てられた。

その中には、大事なものもあったとは思うが、相手にいちいち確かめる時間も気力もないので、放っておいた。
化石となったメールソフトは諦めて、本意ではないが、ウィンドウズのフリーのメールソフトを使うことにした。
(なぜかOutlookは、意地でも使わないのです)

フリーのメーラーを使って、ほぼ半年。
このメーラーの機能不足に難癖をつけたら、多大なレポートが書けるが、無料のソフトに、そこまで求めるのはルール違反だろう。
添付書類が支障なく送受信できるだけで、満足しなければならない。

しかし、なぜか先週から、また文字化け現象が起きるというトラブルに見舞われた。
ソフトも違うし、前回とはプロバイダも違うのに、同じ現象が起きるとは、いったい誰の呪いなのか?

書き忘れたかもしれないが、今年6月初めに、昨年の11月から我が家に生息する異星人が、2ヶ月半の入院から解き放たれてくることもあって、我が家は引越しをした。
引越しをしたと言っても、同じ団地内の賃貸住宅である。

前は3LDKだったが、異星人がリビングを占領している関係上、メシは家族4人で肩を寄せ合って、狭い和室でとっていた(ヨメ自慢の、でっかい仏壇があるので)。
肩身が狭い食事風景。
私と中学2年の娘は、それでも満足していたが、ヨメと大学1年の息子は、「狭い狭い」と、小言ジジイのように、いつもボヤイテいた。

だから、一部屋多い4DKに移ったのである(家賃は、ほぼ同じ)。
そのとき、通信会社とプロバイダを変えた。
ただ、メールソフトが入っているウィンドウズの環境は、以前と同じだ。
そして、先週の半ばまで、メール機能は、正常に動作していたのである。

いまになって・・・・・。
また・・・、呪いか?

幸い、ヤホーのメールは、文字化けせずに使えるので、お得意様には、そちらのアドレスに送ってもらっている。
ヤホー様、感謝しています。

さらに、世の中には、「電子」の付かない便利なメールもある。
郵便、あるいは宅配便だ。

民営化されて、かなりサービスが低下した(誰のせい?)が、遅れたとしても、とりあえず郵便は届く。
宅配便も、よほど運が悪くない限り、思い通りの日にちに届く。

今年の8月に請け負った同人誌。
それをクライアントに、「余ったら、でいいですから3部送ってください」と頼んでおいた。
「今日送りましたから」という電話があったのが、一昨昨日(さきおととい)のことだった。
宅急便で送ってくれたらしい。

しかし、一昨日届くはずのものが届かなかった。
昨日の夕方まで待ったが、来なかった。

すぐ必要な荷物ではないので、しばらく様子を見てもいいだろうと結論付けたが、先方から確認の電話が来た。
「届きました?」
届いていない、と恐縮しながら言うと、「追跡調査」で確かめてくれた。

追跡調査によると、一昨日確かに届けられたという結果が出た。

受け取り印に、異星人の苗字の判が押されていると聞いて、納得した。

あー、そうですかぁ! 確かめてみます。お手数をおかけいたしましたぁ!

電話を切った。

そうは言ったものの、こんなケースのとき、それを確かめる方法は、私にはない。
おそらくその品物は、ゴミ箱内で無残な姿をさらしていることだろう。
以前、ヨメに送られてきた花関係の雑誌が、そんな被害にあった。

そのとき、ヨメは怒りまくって異星人を責めたが、私にそんな勇気はない。
実の娘とムコは、立場が違うんですよ。

こちらが普通の主張をしても、異星人が「団地応援団」に違うことを言ったら、それが真実になってしまうんです。
そして、悪意の創作落語が、団地内に蔓延する。
だから、諦めるしかない。

データは残っているので、パソコンからプリンタにデータを送って、両面プリントをし、体裁を整えて簡易製本をした。
そして、近所の印刷会社に持っていって、断裁をしてもらった。

見た目は、立派な同人誌が出来上がった。
オレって、器用! と自己満足。
クライアントの手を煩わすことはなかった。
最初から、こうすればよかったのだ。

「電子」のつかないメールは便利だが、私のように考えの浅い人間は、時に混乱を招く。
今回のことは、我が家の事情を勘案しなかった私が、百パーセント悪いのだ。
それは、間違いがない。

電子メールは調子が悪いし、「人的配達」も調子が悪い。
今月は、不測の「医療費」が家計を圧迫して、財布の調子も悪い。

だから、オレの調子も悪い。

あーーーーーーーーーーあ。

頭痛がしてきたし・・・・・。
(まさか、新型インフルエンザか?)


2009/10/05 AM 06:36:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

いつか来る地獄におびえる日
引きこもりから復活したら、仕事が舞い込んできた。

それは、さいたま市在住のイズミさんからいただいた仕事で、これから書くことに関しては、イズミさんの承諾を得ている。

イズミさんは、私のブログを毎回読んでくれているらしい。
そして、ここで展開される私の悲惨な現状に同情し、「仕事をお願いしたい」と言ってくれたのである。

イズミさんは、42歳の編集会社社長。
まるで財務省の官僚のように、隙のない雰囲気をまきちらして、彼は近所のガストにやってきた。
初印象は、私の苦手なタイプに思えたが、話してみるとオールマイティな知識に溢れた冗談好きの人で、すぐに打ち解けた。

「わぁ、ここがMさんのブログによく出てくる打ち合わせ場所ですか。なんか、面白い!」と言いながら、忙しなく首を回すイズミさん。
外見と違って、飾らない人のようである。

仕事内容は、32ページの小冊子だった。
2色刷りで、画像、イラストを各ページごとに散りばめた明るいものにしたい、とのことだ。
細かいスケジュールを提示されて、細部を詰めた。
打ち合わせは、1時間近くかかった。

そして、打ち合わせが終わったあとで、「Mさんは、やっぱり、ビールでしょうよ」と振られた。
いやしかし、それは・・・、という儀式は嫌いなので、ジョッキを注文した。
イズミさんは、車で来ているので、珈琲のままだ。

「今度、飲みましょうか」とイズミさん。
いいですね。安い居酒屋なら、大歓迎です。
「俺も」

そんな会話のあと、イズミさんが、ゆっくりと自分の話をしだした。
彼の母親の話だ。

イズミさんの母親は、やさしく穏やかな人だったが、4年前に、60代半ばで認知症になった。
それからが、地獄だったという。

買い物に出かけたきり、母親が帰ってこないので探し回ったら、近所の交番に放心状態でいる母親を見つけた。
突然、自分の家が思い出せなくなったというのだ。
バッグもどこかに置き忘れた。
途方にくれているところを、運よく警官が通りかかって、交番に連れていき、事情を聞いていたところだったらしい。

その姿を見て、イズミさんは、愕然とした。
昨日までは、やさしく穏やかな笑みを浮かべていた母親が、突然無表情になって、実の息子の顔を、首をかしげながら見るのだ。
その変わりようは、「想像を絶していましたよ」と、イズミさんは、苦い思い出を噛みしめるような顔になって言った。

その後、イズミさんを襲った修羅場の数々は、認知症の凄まじさを、私に思い至らしめた。

その一番の被害者は、イズミさんの奥さんだったという。

毎日のように「私の財布がない! あんたが盗んだんでしょう!」と責められたと言うのだ。
母親の財布は、いつもタンスの最上段の引き出しに仕舞ってあった。
しかし、母親は、そのことをすぐに忘れて、お嫁さんを責めるのである。

財布は、最上段の引き出し。
何度言っても、それが理解されることはなかったという。
それほど大事なものなら、手にずっと持っていればいい、と思って持たせても、自分で最上段のタンスに入れてしまうのだ。

それを忘れて、「ない! 財布がない! 嫁が隠した! 盗んだ!」と、毎日のように騒いだというから、それは、イズミさんの奥さんにとって、拷問の日々だったろう。

その結果、しばらく奥さんと子どもは家を出て、「別居」という形態をとることにした。

奥さんがいなければ、母親が騒ぎを起こす回数が減るということがわかったからだ。
イズミさんの母親は、いつも穏やかな顔で息子の嫁と接していたが、本当は心にかなりわだかまったものがあったのだろう。
それが、認知症になって噴出したのではないかと、イズミさんは思ったのである。

別居すること2年。
母親の認知症が進んだので、去年母親をホームに入れることになった。
その結果、イズミさんの日常が戻ったので、別居は解消された。

「だから、なんか、人ごとじゃないんですよね」と、イズミさんは、快活な笑いを装いながら、同情を宿した表情で私の顔を見た。

不幸自慢は、したくはない。
しかし、同じ境遇の人がいたら、つい話したくなってしまう。

だから、話した。

異星人は、医者に言わせれば、認知症の境目だという。
「現実の認識が、斑(まだら)になっている状態でしょうか」と言うのである。

そして、異星人がまきおこす事件に関しては、「おそらく性格的なもの」という動機付けが、一番理にかなっているのではないか、とも言われた。

異星人の性格・・・・・。

長男が産まれる前から、夫と言い争いをすると、「家を出る」と言って、異星人が家出を繰り返したということは、ヨメからよく聞かされた。
病院に逃避したこともあったという。
そんなときは、「私は不治の病で、余命半年なんだからね」と泣き叫んだらしいが、実際は健康そのものだった。

健康だから、その後3人の子を産んだ。

育児放棄はしなかったらしいが、夫と喧嘩をすると、飽きもせず家出を繰り返したという。
箱根や鬼怒川で保護されたこともあったらしい(異星人の行動範囲は狭いので、そこまでがテリトリーだったらしい)。
借金を抱えて、家計を圧迫したこともあった。

そんな母親に嫌気がさして、長男、次男は、自分の結婚は、婚姻届を出してから事後報告で済ませるという、賢明な選択をした。

「どうせ、反対するに決まっているんだから」

私たちが、異星人に結婚を反対されて、駆け落ち同然で家を出たとき、異星人の長男、次男は、「馬鹿だなあ。あの人は、誰が相手でも満足なんかしねえよ」と、鼻で笑ったのだ。

現状に満足せず、すべての現象に批判的な人。

そんな人は、意外と多い。
そして、異星人は、その典型なのだろう。

自分では何もしないくせに、不満だけを心に溜め込み、それを人にぶつける人なのだ。

義父が死んでから、長男、次男は、明らかに、実の母親との距離を置くようになった。
それは、見事なほど、徹底していた。
義父が死んでから、異星人は誰にも引き取られず、三鷹で不健康な一人暮らしを余儀なくされた。

その結果、糖尿病が悪化した。

「要するに、Mさんは、押し付けられたんでしょうね」
イズミさんは、半ば同情の混じった目で、私を見た。
私は、曖昧に笑うしかなかった。

それを聞いて、私はある人のことを思い浮かべた。
違う環境の人間を較べることは、フェアではない。
ただ、今回一度だけ、較べることをお許し願いたい。

私の実の母親のことだ。

彼女は、我慢強く、愚痴を言わない人だ。
80歳を過ぎて、一年に3回の手術を受けた時も、泣き言は言わなかった。

我々が見舞いにいくと、自分のことは放っておいて、孫たちの心配ばかりしていた。
85歳を過ぎた今、「物忘れが激しい」「歩くのが遅くなった」と言いながらも、毎日買い物に行き、料理を作っている。
話すことも理路整然としている。

そんな姿を見て、中学2年の娘は、こう言うのだ。
「川崎のおばあちゃんは、すごいね! アタシは、おばあちゃんを世界で一番尊敬してるよ。おまえのことは、永遠に尊敬することはないけどな」

若い頃から、肺結核、そして再発。不治の病と言われる再生不良性貧血、真菌症、気管支拡張症を患いながらも、教師、銀行勤めで家計を支えた。

自分が元気でいれば、息子も嫁も孫たちも、安心する。
それだけを念じて、私の母は、日々の暮らしを懸命に生きている。

その生き様は、確かに尊敬に値する。

人は、それぞれ違う。
人を比較しても意味がない。
それはわかりきっているのだが、疲れきったときは、どうしても較べてしまう。

意味がないことはわかっている。
だから・・・・・、反省。


「認知症が斑のうちはまだいいですが、人格が変わってしまったら、地獄ですよ」
何か得体の知れないものを見るような顔で、窓の外に視線を移しながら、イズミさんは寒そうに、肩をすぼめた。
彼が、かつて陥った「地獄の時間」を思い出したからだろう。

地獄ですか?
「はい、間違いなく、地獄です」

そんな来たるべき地獄に怯えながら、私は、2杯目のジョッキを注文した。



2009/10/03 AM 06:56:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

パソコンおたくプー太郎伝説
引きこもり4日目。
久しぶりに、外の世界に足を踏み出した。

ドラッグストアのチラシの打ち合わせだった。
これは、毎月の仕事なので、段取りはわかっている。
打ち合わせも、30分もかからずに終わった。

午後2時過ぎ。
浦和のKirin Cityで、昼メシをとった。
ピザマルゲリータとキリンラガーを1杯。

団地内で「パソコンおたくプータロー」と言われているオレ。
プー太郎は、昼間から酒を飲んだっていいんですよ(開き直り)。

1杯では物足りないが、この店は、ビール1杯が500円という非常識さである。
財布と相談するまでもなく、1杯で我慢するのが、プー太郎の常識だ。
我慢した。

家に帰った。

早速、仕事をするプー太郎。
フォーマットはできているので、あとは画像と価格、キャッチコピーを変え、目玉商品の枠だけを前回と大幅に変えるだけである。
夜7時前には、もう初稿は終わっていた。

晩メシは、マルちゃん「麺づくり」とんこつ味。
美味しく、いただきました。

食べ終わった頃、ヨメが仕事場に顔を出した。
血糖値が、安定しないのよね」

いつもながらの、主語不在の会話である。
異星人の血糖値が、70〜500の数値を乱高下しているらしい。

2週間前までは、160前後で安定していた。
それが、いきなりの乱高下。

ヨメも食事には気を配っているのだろうが、所詮は、素人料理人である。
私のように、「糖尿病糖質制限食餌療法(私独自の命名)」に関して、気を配っているわけではない。
ヨメには、ある程度の知識は与えたが、気楽に考えていたのだろう。

カロリーさえ抑えれば、いいんじゃない?

それは、糖尿病患者にとって、最低限の役割しか果たさない療法だ。
効果はあるが、万全ではない。

かぼちゃの煮つけを食わせた? かぼちゃ6分の1?
サツマイモの甘辛煮を食わせた? 2分の1本?
しかも、梨をまるまる1個食っただとぉ!
同じ日に?

めまいがした。

糖質のコントロールが一番重要な糖尿病患者に、そんなものを出すなんて!

異星人の体重が、1.5キロ増えた? それでは、血糖値があがって当然だろう!

怒りを溜め込んで、頭をかきむしるプー太郎。

お年よりは、長生きする権利がある。
いや、待てよ、しかし・・・・・。

そんなことを言ったって、異星人や異星人の息子たち、彼女の団地応援団には、私の意思が通じるわけもない。
無駄ですよ。

ア・ホ・く・さ!

もらいもののウォッカを呷って、ふて寝しようとした。
そのとき、携帯電話が震えた。

私のパソコン教室のシルバー生徒・キシさんからだった。
「先生、メールのことで、ちょっとわからないことが出てきたんですけど・・・」

すぐに、伺った。

過去のメールを探し出したいのだが、その数が膨大なので、どう探したらいいのか、というご質問である。
キーワードを打ち込んで検索しましょう。

「あら! 簡単に出てきたわ! なんて、便利なのかしら!」

一件落着。

珈琲を飲みながら雑談をしていると、キシさんが、顔を曇らせて私の顔を見た。
「先生、変な噂が立っているの、ご存知ですか」?」

キシさんのところにまで「パソコンおたくプー太郎伝説」が、届いているらしい。
大きな団地だが、世間は狭いということだろう。

「噂の出どころ(77歳のご隠居らしい)は、何となく想像できますよ。私も団地生活10年ですからね」
無理矢理明るい笑顔を作って、私の顔を控えめに見る、ここにもいた心やさしき人。

「私でお役に立つのなら、その人とお話しますけど。実は、その方とは以前、自治会の『定例会寄席』でご一緒したことがあるんですよ」
ズズズと、お茶をすする69歳の生徒。

しかし、そんな余計なお手間をかけては・・・。

「いいんですよ。暇ですから」と言い、「先生には悪いんですけど、退屈しのぎですのよ」と笑う69歳。

心に沁みるご提案である。

お願いすることにした。

そして、夜9時46分。
また、携帯電話が震えた。
キシさんからだった。

「先方は理解してくれたようですよ。ものすごく恐縮してました。
絶対とは言えませんけど、先生の気苦労は、これで少しは解消されたと思います。
でも、こんなことを言っては失礼かもしれませんけど、くれぐれもおばあちゃんを大切にしてあげてください。
悪気はなかったと思いますから」

はい。
ありがとうございました。

と、一応感謝の意を示した。
しかし、私は思うのだ。
それは、第三者だから言えることである、と。

異星人は悪気・悪意だらけである。

ヨメと結婚して23年。
その間に噴出した悪意ある噂の出どころは、すべて異星人からだった。

私が法律事務所を辞めたときは、「役に立たないからクビになった」と吹聴された。
長男が6歳の時、風邪をこじらせて1日入院した時は、「腐ったものを食べさせた」と、親戚中に言いふらされた。
独立してしばらく、まとまった稼ぎがなくて、印刷会社でDTPの仕事をしていた時は、「大学まで出て、インクこねる仕事して、恥ずかしくないのかね」と罵倒された。

そんな中傷は、数え上げたら、きりがない。
被害者の私から言わせてもらえば、異星人は「悪意が洋服を着ているようなもの」なのである。

今回の「パソコンおたくプー太郎伝説」の創作落語の中に、我々家族が、異星人の住む団地に無理矢理押しかけて、居場所を奪ったという「ありえない話」が存在している。
異星人がこの団地に来たのは、昨年の11月だ。
冷静に考えれば理解できることでも、「同情」という名のフィルターをかけたら、それは真実になってしまうのである。

俺たち家族は、この団地に15年住んでいるんですよ。
俺たちは、何も悪いことはしてないのに、なぜ、そんな噂が、蔓延してしまうんですかね!

悪意の津波は、真実さえも覆い隠すということか。

皆さんもお気をつけください。
「善良」なんて言葉は、「悪意」の前では、赤ん坊同然ですから。

しかし、そう憤慨しても、異星人の血糖値が・・・・・。

冷静な医学データを突きつけられたら、私も折れるしかないではないか。

団地内での「パソコンおたくプー太郎伝説」が収束に向かうのは、はるか先だろうが、異星人の体調は待ったなしである。
だから、日常生活に戻ることにした。

厳しい食餌制限に戻った異星人の生活。

朝ごはんを食べ終わったあとで、「まったく、人でなしだよ、あの男は。こんなまずいもん食べさせて」
リビングから、そんなつぶやきが聞こえた。

人でなしと、パソコンおたくプータローでは、どちらがいいだろうか。

もちろん、どっちもイヤですが・・・・・ネ。


2009/10/01 AM 06:37:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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