Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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次は、ひきこもり
私はいま、自分が一番なりたくない人間になっている。

大人気ない、器が小さいとは思うが、そんなことさえ、もうどうでもいい、という気分。

異星人によって、団地にばら撒かれた悪意の噂は、ヨメの奔走によって解消されたかに思えた。
しかし、実情は違っていたようだ。

団地内を歩いていると、異星人の応援団によく出くわす。
「Mさん、誤解をしていて悪かったですね。ごめんなさいね」と言われた。

それを聞いて、ああ、誤解は解けたんだな、と思った。
「Mさん、田舎から梨を送ってきたんだけど、ナシ好きかしら? もし好きなら、今度お届けしますよ」

ナシは、娘の大好物なんですよ。

いい雰囲気で、会話をした。
異星人の応援団は、皮肉ではなく、いい気性の人たちばかりである。
心底から人を心配する心をカラダ全体に溜め込んでいる人が多い。
私など、絶対に到達することのできない心境まで上り詰めた人たちばかりだ。

感服する。

道で会うたびに、「誤解していて、ごめんなさいね」と頭を下げられた。

恐縮した。

しかし、4人目の応援団と出くわしたとき、自分が異次元にいるような気になった。

「Mさん、本当にごめんなさい。誤解してました。ごめんなさい」
頭を深く下げられた。

また、恐縮した。

しかし、次のことばを聞いて、私は体が大きく沈み込む感覚に陥ったのである。
「でも、Mさん。やっぱり働かなければダメですよ。一家の大黒柱なんだから、体が悪くないのなら、真面目に働いて、おばあちゃんを安心させなくちゃ」

ん?
これは、どういうことだ?
誤解は解けたんじゃなかったのか?

いったい、どの誤解が解けたんだろう?
俺の頭がおかしくなって、日本語が理解できなくなったんだろうか?

そして、その日の夜、我が家に巨峰を持って訪れた異星人の応援団が、またも理解不能なことを言うのである。
「ごめんなさいね。誤解していて。深く反省してます」
また深く頭を下げられた。

いや、もう気にしていませんから。お気遣いなく。

優しい眼差し。
穏やかな微笑み。
この人たちは、本当に「いいひとなんだな」と心底思った。

だが、いいひとの顔で、私には理解不能なことばを発せられて、私は大きく混乱したのだ。

「でも、やっぱり男の人は元気なうちは働いた方がいいですよ。
私の知り合いに、雑貨屋さんがいるんですが、人手が足りないらしいですよ。とりあえず、そこで働いてみませんか。
Mさんのように、高学歴(?)の人には不満かもしれませんが、少しでも家計の足しになれば、おばあちゃんも喜びます。
Mさんは、突発性難聴で右の耳が聞こえないとか、右目が弱視だとか言って言い訳ばかりしているらしいですが、そんなのは気の持ちようです。
両耳が聞こえないとか、両目が見えないとかだったら大変ですけど、Mさんはジョギングができるんだから、大丈夫ですよ」


理解不能。思考混乱。

これは、本当に日本語なのか。
俺が知っている、真正の日本語なのか。
俺は、あまりに性格が歪んだせいで、日本語の意味を理解できなくなったのだろうか。

目の前に存在する、やさしき微笑み。
吸い込まれそうなほど、それは、慈悲深い微笑だった。

だが、ことばの意味を正確に翻訳してみると、自分の立場が、何ひとつ変わっていないことがわかって、私は慄然としたのだ。

また、家出?

しかし、前回は人様に迷惑をかけた。
それに、冷静に考えたら、俺が家を出て行く理由がないことに、遅ればせながら気づいた。

仕事も2件、急ぎのものを抱えているし。

そこで、私は仕事場に、籠城することにしたのだ。

俺は、ここに立てこもるぞ。
メシは作らないし、洗濯、掃除、買い物もしない。
学校行事にも参加しない。
俺は、仕事だけをする。
誰も俺の邪魔をすることは、許さない!

そう宣言した。

やったれ! やったれ!
中学2年の娘が、私の手を強く握った。

家出されるより、断然いい!
大学1年の息子が、両手を挙げて、ガッツポーズを作った。

ヨメは・・・・・、「家事は、得意じゃないけど」と、消極的な賛成を表明した。

我ながらオロカだと思う。
こんなことをして意味があるのか、とも思う。
異星人には、私の意図するところは、千パーセント伝わらないだろう。

「部屋にこもって、またパソコン遊びかい・・・。
見下げ果てた男だよ。まったく・・・・・」

賢い大人なら、もっと他の方法を取るだろう。
しかし、オロカな私には、他に方法が思い浮かばないのだ。

自分に対する強い嫌悪感。

俺は、俺が一番嫌いな人間の姿に成り下がった。

ああ・・・、ヤダヤダ・・・・・・・。



2009/09/28 AM 07:02:17 | Comment(4) | TrackBack(0) | [日記]



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