Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








お粗末な鴻巣事件
家出のことで、鴻巣の同業者にお世話になったので、ご挨拶に行ってきた。

こういう場合は、何か食べるものを持っていくのが世間の常識である。
しかし、見るからにメタボ気味の男にエサを与えることは、恩人のためにならないのではないか、と私は考えた。

だから、健康サンダルと健康スリッパを買って、持っていった。
どちらもLoftで、そこそこの値段で売られていたものだ。
はたして、私の誠意が、彼に伝わるだろうか。

ロフトの袋は私が使いたいので、百円ショップで買った紙袋に詰め替えて行った。
それが、最初の間違いだった。

私が、かさ張る紙袋を手渡したとき、同業者は間違いなく、「食い物」だと思ったようである。
「いやあ、そんな気を使わなくても」と言いながらも、卑しい目が、紙袋の重さを量るように、数回まばたきを繰り返した。

軽いぞ。
だから、果物ではないな。
和菓子か、洋菓子か。

まばたきのあと、目を閉じて、推理をさまよわせるメタボ探偵。
しかし、無用な期待を持たせるのは、恩人に対して失礼である。
だから、「サンダルとスリッパ」と、正直に告げた。

みるみるしぼむ期待と喜び。
同業者は、5秒間ほど、悲しき静止画像になった。

まさかこんなに落胆するなんて。
やっぱり、食い物の方がよかったか。

いつもいつも世間の常識から、かけ離れる俺・・・。
空回りする好意。

私のブログは、友人たちから「ひねくれものの、したり顔ブログ」と呼ばれている。

人生を真っ直ぐ生きてこなかった人間は、プレゼントさえも、ひねくれる。
そして、人さまにご迷惑をかける。

健康サンダルと健康スリッパは、ありえない選択だったか。

相手の落胆する姿を見て、大きく落ち込む、ひねくれもの。

気まずい雰囲気だ。
間の悪いことに、キャビネットの上の高級コンポからは、私の嫌いな大御所ロッカーの曲が流れている。

それを聴いて、イライラした。
不機嫌になった。

その態度は、感謝を表すために訪問した人間のものではなかった。
私の心に芽生えた反省の小さな波が、私に深呼吸を促した。
そして、気持ちを落ち着かせるために、ソファに腰を下ろした。

だが、否応なしに耳に入り込む大御所ロッカーの声。
深呼吸はしたが、自然と眉間に皺がよる。

そんな私の理不尽な様を見て、同業者は、我に返ったようである。
そして、彼は見事なほど慌てたのだ。

「ああ、Mさん、この人、嫌いでしたよね」
ゴメン、と頭をかきながら、音楽を止める気のいい同業者。
そして、紙袋の中身を取り出し、すかさずスリッパを履く心やさしき男。

「ああ、いいなあ! これは、いい! 履き心地、最高じゃないですか! いいんですかぁ、こんなにいいもんもらっちゃって(でもチョット痛い、と小声でつぶやく)」

スリッパを履きながら、事務所内を往復して、同業者は私に愛嬌を振りまいた。

それを見て、心が痛くなる私。

お世話になったのは、俺のほうなのに、相手に気を使わせるなんて。

さらに同業者は愛想笑いを作りながら、言葉を続けた。
「息子が、最近X JAPANに興味を持って聴いてるんだけど、俺よくわかんなくてさ。一応息子と話をあわせるために、何か聴いておこうと思うんだけど、何を聴けばいいかな。Mさん、詳しいから、教えてよ」

紅。

「え? なに?」

くれない。

「いや、ちょっと・・・・・、いきなり『くれない』って言われても、今日は何も・・・、あげるものはないな(ボケているわけではない)」

・・・・・・・・・・。

俺は、おまえと漫才をするつもりはない!

私の目が険しくなったのを見て取った同業者は、目を泳がせながら、あたりを見回した。
キョロキョロ、オドオド。

その姿を見て、また心を痛める私。

穏やかな声を作って、今度は名曲「Endless Rain」の名を告げた。

「遠藤レース・・・なに? 遠藤さんって、誰?」

まるで、台本に書かれたような掛け合い漫才ですが、これは本当にあったお話です。

笑いあった。
そのおかげで、気まずい雰囲気も解消された。

同業者ともども安堵。

そこで、本日の教訓。
「プレゼントは、ありきたりのものが、一番喜ばれる」

お粗末さまでした。


2009/09/26 AM 07:28:38 | Comment(1) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.